環境音素材の作り方
※この記事は以前の記事DSKB Vol.2 Summer Creators Updateに記載していた内容を独立させたものです。
Q. 環境音なんて録って切って貼ればおしまいでは
A. そうかも。 打ち消し線芸の濫用はよくない
ちゃんと(いろんな意味で)いい音を作るにはそれなりに手間がかかるものです。
1 - 録り方を勉強する/ロケハンをする
以前のSLの録音では前日夜に友人の電動自転車を借りて駅舎の周りをぐるぐる走っては響きを確認しました。それからある程度機材を揃えている場合、マイクの選定も大事なことです。遠くの音を録るのに向いているマイク、近くの音を録るのに向いているマイク、骨太な音が録れるマイク、繊細な音が録れるマイクなど、それぞれに特性があります。
2 - 録る
デジタル録音におけるいわゆる「音割れ」状態は、即ちデータとしての破綻を指します。アナログのテープなどでは(もちろん程度によりますが)デジタルのそれほどひどいものとはならず、むしろ味わいにすらなることすらあります。布を手でちぎった境目(アナログ)と、ハサミで切った境目(デジタル)、「味わい」を感じるとすればどちらでしょう?多分アナログの方ですよね。この喩えがいい感じかどうかは僕もわかりません。
話が脱線しました。そう、ですからデジタル録音の場合は音量の調節に気をもむのです。
3 - 加工する(ループ)
変化が薄い部分、あるいは変化が大きいゆえにループの境目をごまかせる部分を見つけ出して、主にフェードでつなぎます。場合によってはカットインも使います。
4 - 加工する(エフェクト)
必要に応じてEQ(音域のバランスを整える機材/プラグインソフト)やリバーブ(反響音を付加する機材/プラグインソフト)を使い、狙いの音を作ります。たとえば近くで録った音を遠くの音のように聞かせたい場合にリバーブで輪郭をぼやけさせるとか、ラジオっぽくしたい場合に高い音や低すぎる音を思いっきり削るとか、そういった加工を施します。
スクリーンショットのEQ3VBとかDVerbとか書いてある波形が、これらエフェクターを通した後のものです。夏祭りの音は全体でひとつの音に聞こえるかもしれませんが、編集の中では4つの素材、6つのトラックを使っています。このうち蝉部分のみを鈴虫に差し替えて、秋祭りの音を作りました。
こうして素材はゲーム作家さん、ひいてはプレイヤーの皆さんに届けられるのです。