KLV Canvas & 性DEC 2019/08/21 20:51

素材屋さんを辞めたら素材屋さんになってしまった話

あんまり愉快な話ではないので、ブラウザーバック推奨です。

くらびすたは前々から「素材屋さん」呼ばわりされるのを嫌っていました。

自分にとって素材とは、たとえば音楽なり効果音なりを作るときに使う、録ったばかりで編集していない音源のことです。敢えて意地悪な言い方をすれば、人格や作品としての価値を認めない、紙一重の差でガラクタに近い側の存在に対する呼び方です。

その「素材」という言葉を、自分がそれなりに気合を入れて作り、これはきっと同人界隈の役に立つものだと信じて送り出す、「やがてゲーム作家さんやプレイヤーさんの感動体験になる小さなカケラ」に対して使う気にはなれなかったのです。

自分はそんじょそこらの素材屋さんではないのだ、感動体験の創造を手伝う立派なクリエイターなのだと信じて、最近はPALETTEプロジェクトも放っておいて請負制作の方に注力していました。

本当にイキっていました。そしてスベっていました。

後から考えると、皆さん「オンリーワンの『素材』」「自分専用の『素材』」を求めてくらびすたに声をかけてくださっていたんですよね。こちらがどれだけ創意工夫を凝らして提案しても、どこか手ごたえがない。なんだか見当違いな意見も受け取るし、あれ、あなた音についてそんなに詳しいおつもりなら僕を頼らなくてもいいでしょう?というお話も。

くらびすたはくらびすたで、クライアントさんが望む以上に「ここでこういう音を入れるならこういう音と合わせましょう」だの「システム的にそこはしんどいと思います」だの言っていました。たぶん。「庇を貸して母屋を取られる」気持ちにさせていたかも。でも僕の思想(というと大げさですかね)からいって、サウンドが占めるべきウエイトは庇の端っこに置いておけるほど小さくないんです。

とにかく、基本絵師や発案者のワンマンアーミーで、たまーに「音素材屋さん」が呼ばれる程度、いえ、彼らのエネルギーは実際目を見張るものがありますし、やはり僕は音にしか集中しないしできない人間であるというのが現状ですから、その点どこまで行っても僕はクリエイターとして貧弱なのは間違いありません、とはいえ皆さん3,000円でリリースして数十本売れるゲームに使う「音素材」のパックが5,000円だと高いっていうのは暴力的ではありませんか、いいえ、その考えこそが庇を貸してなんとやら状態なのかもしれませんが、それにしたって。という具合で、この辺の現場と目線を合わせるには、やはり僕は出しゃばりすぎなのです。

クライアントさんの中には本当に喜んでくださる方もいます。それでも僕は相手次第で「あなた様専用の、人格を持たず文句ひとつ言わず使われる、他の音とのミスマッチだってものともしない、そんな見かけだけゴージャスな奴○音源」を制作するかもしれないという状況を作り出していたのです。ただの「素材屋さん」稼業よりもおぞましい禁忌です。

やっぱり僕は僕の信じるクラフトマンシップに従って、二次元コンテンツのサウンドをガッチリサポートしたいです。ただそれはシナリオやコンセプトがないと活かせず、その上で僕は今のところあくまで音専業でいます。辛抱強く音屋としての価値を高めながらいい出会いが来ることを待つ以外にないなと思います。

つまり

ずっと忘れていたツクールDJプラグインの開発をそろそろ再開します

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