【独り言】カードゲームについての僕なりの考察

トランプゲームの一種「大富豪」

 最近久しぶりにスマートフォンアプリの大富豪で遊んでみたのですが、非常に面白かったです。

 大富豪のゲームルールは一つの、カードゲームとして洗練されていて非常に完成度が高いので、オリジナルのカードゲームを作る上でも参考にするべき部分がたくさんあると思いました。大富豪はなぜ面白いのかを徹底的に深く考えて分析してみることで、見えてくるものがありそうなので、自分なりに考察してみました。

大富豪は何故、あんなに面白いのか?

 大富豪はトランプを使っておこなうゲームなので、デッキ構築型ローグライクのように1枚1枚のカードに素敵な絵がついているわけではありませんし、プレイヤーが自分のお気に入りのカードを集めて自分のデッキにコレクションしていくような楽しみ方もできません。ストーリー性のあるゲームでもないので、アニメや漫画のようにダイナミックで手に汗握るストーリーを楽しむこともできません。それにも関わらず退屈せずに遊ぶことができてしまうということは、それだけゲームシステムが面白くて洗練されているのではないかという仮説に突き当たりました。

 オリジナルのゲームを自分でつくる場合でも、すべての絵とストーリーを撤廃してゲームシステムの部分だけを遊んだとしても、ちっとも退屈せずに面白く遊べるほど完成度の高い洗練されたゲームシステムをやはり目指したくなりますよね。それができるようになるためには、本質的に面白くて洗練されたゲームデザインとはどのようなものなのかを、大富豪のゲームデザインを分析することを通じて学ぶ必要性があります。

 そうなると、大富豪のゲームルールはなぜあんなに面白いのかという疑問が出てきます。この答えを見つけ出すために自問自答してみました。

理由1. 7渡しがもたらす駆け引きの妙

 7渡しは、大富豪の中でも特に戦略性を高める要素の一つです。7のカードを出すことで、プレイヤーは自分の手札から不要なカードを相手に押し付けることができます。このルールは、相手の手札を弱体化させるだけでなく、自分の手札を有利に整えることができる絶好の機会を提供します。これにより、どのタイミングで7を使うか、どのカードを押し付けるかという戦略的な選択が求められ、ゲームに深みが加わります。

 例えば、ハートの3を相手に押し付ける場合、3を渡してしまうことでかえって相手の手札を強化してしまわないかを心配する必要があるので、そこにリスクとリターンの駆け引きが生じます。

2. Qボンバーが生むリスクとリターンのバランス

 Qボンバーは、プレイヤーが任意の数字を指定し、その数字のカードをゲームから4枚取り除く強力な技です。例えば、クイーンを指定して除去すれば、他のプレイヤーがQボンバーを行う可能性を封じることができます。この技は、どのカードを取り除くか、そしてそのタイミングをどう選ぶかが非常に重要で、ゲームの戦略に大きな影響を与えます。このリスクとリターンのバランスが、ゲームにスリリングな要素を加え、プレイヤーの意思決定をより緊張感のあるものにしています。

3. 5スキップと9リバースが生むテンポの変化

 5スキップは、5のカードを出すことで次のプレイヤーのターンを飛ばすルール、9リバースは9のカードを出すことでターンの順番を逆転させるルールです。これらのルールは、ゲームの進行を予測不可能にし、プレイヤーに常に先を読むプレイを求めます。

4. 革命とJバックがもたらす劇的な逆転劇

 革命は、同じ数字のカードを同時に4枚出すことで、カードの強さの序列が逆転するルールです。このルールは、劣勢に立たされたプレイヤーが一発逆転を狙える要素として非常に魅力的です。革命を成功させるためには、手札の構成や場の状況を慎重に見極める必要があり、プレイヤーに高い戦略性を要求します。一方、Jバックは、現在の場札連鎖が終わるまでの間だけ、カードの強さが逆転する「革命状態」に近い効果を一時的に発動させます。これにより、一時的にゲームの流れを大きく変え、予期しない展開を生むことができます。革命状態やJバック状態のときには、2の価値が低くなり、3の価値が高くなります。3はこのゲームで最弱のカードですが、革命やJバックがもし発生したときに備えて、保険としてゲーム終盤まで3のカードを温存し続けておくのが定石です。

5. スペ3返しがもたらすカウンター戦略

 スペ3返しは、スペードの3が他の通常の3とは異なり、ジョーカーよりも強力なカードとして扱える特殊なルールです。このルールにより、強力なジョーカーであってもスペードの3で打ち破ることができ、予想外の逆転劇を生む可能性があります。スペ3返しは、プレイヤーにとって大きな戦略的な要素となり、カードの出し方やタイミングをより慎重に考える必要が出てきます。

6. 8切りと砂嵐がもたらすスリル

 8切りは、8を出すことで場の流れをリセットできるルールですが、砂嵐は、3のカードを3枚同時に出すことで、8切りと同じように場の流れをリセットする強力な技です。砂嵐は、8切りと異なり、4を2枚出して阻止することができないため、非常に強力な効果を持っていますが、貴重な3のカードを3枚消費するというデメリットもあります。これにより、プレイヤーは砂嵐を使うタイミングを慎重に見極める必要があり、ゲームにさらなる戦略性を加えます。

7. 4人対戦型ルールが生むダイナミズム

 大富豪が4人対戦型のゲームであることは、ゲームの面白さに大きく貢献しています。複数のプレイヤーが関わることで、単なる1対1の対戦では生まれない複雑な駆け引きや読み合いが可能になります。4人対戦では、他のプレイヤーの動向を常に気にしなければならず、自分だけでなく他のプレイヤーとの相互作用がゲームの結果に大きな影響を与えます。このダイナミズムが、ゲームをより豊かで戦略的なものにしているのです。

8. 無駄の一切ない洗練されたルール

 大富豪には7渡しや8切りといった様々な効果をもつカードが存在しますが、効果や役割がかぶっていてただ名前が違うだけというような無駄なカードは一切ありません。ゲームルールに無駄なところが一切なく洗練されているのも、大富豪のカードゲームとしての完成度を高めていると感じます。

9. 敵対陣営にも手札の概念がある

 大富豪のルールにおいては、敵対する陣営も自分と同じように手札を持っています。これがあるお陰で、Qボンバーのような面白いギミックも成立するわけです。

感想

 大富豪は作者不詳ですが、世界で初めてこのルールを考案した人は本当に偉大な人だなあと思います。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

記事を検索