レモネードオアシス 2021/10/29 14:48

TS俺が百合堕ちするまで12

いつもあたたかいご支援ありがとうございます!
金曜日なので小説を更新したいと思います!


ついに最終回です。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
読んでくれている人がいたら嬉しいです。


目次

TS俺が百合堕ちするまで(カテゴリー)

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♂♀終章 女の子同士だけど


「遥香先輩、大好きです! 付き合ってくださいっ」

 ……可愛く言えただろうか?
 心配になって、姿見に映っている自分を見つめる。
 そこには顔を真っ赤にして、こちらのことを不安げに見つめている自分自身の姿……千尋が映し出されていた。

 ときは、放課後の寮の相部屋。
 千尋はこうして何度も姿見を前にして、告白の練習をしていた。
 なにを隠そう、遥香に告白しようと覚悟を決めていたのだ。
 今日はこうして何度も鏡を前にして練習している。

 だけどもっと可愛く言えるのではないか?
 もしも告白を断られたらどうしよう?

 そんなことがグルグルと頭のなかを駆け巡ると、いざ告白しようと思っても時間だけが過ぎていき――、
 こうして放課後の告白の練習をするのは、実は今日で3日目だったりする。

(大丈夫……っ。勇気持て、わたし……! 今朝は遥香さんのぱんつを交換こしてもらったし!)

 遥香の穿いていたショーツはお守り代わり。
 きっと千尋に勇気をくれるはず。
 もうそろそろ遥香が生徒会の仕事を済ませて帰ってくる時間になっている。

「今日こそは……!」

 何度も心に決めるも、今日で3日目だ。
 この調子だと一生告白できないのではないか……、そんなことを考えてしまい、首を横に振って再び告白の練習。

「遥香先輩のことが大好きですっ。身も心も……女の子になったのにおかしいとは思いますが、付き合ってください!」

 鏡を相手にしての、何度目かわからない告白。
 その告白は決して遥香には届かないはずだったけど――、

「うむ。その心意気やよし!」
「は!?」

 突然部屋に響き渡った遥香の声に、千尋は変な声を上げてしまう。
 振り返ると、姿見には映らない絶妙な角度のところに遥香が立っているではないか。
 たったいま帰ってきたばかりなのか、制服姿でカバンを持って。

「な、なんで遥香さんがここに……!?」
「なんでって、ここは私と千尋の部屋なのだから当然じゃないか」
「あっ、うっ、で、でも……そんな、急に……っ」
「いや、こっそり帰ってきて千尋のことを驚かしてやろうと思っていたのだが、逆に私のほうが驚かされたみたいだな」
「き、聞いて、しまいました……よね?」
「ああ、なかなか見事な告白だった。女は度胸ってな。いい感じだったぞ」
「あ、あうう~」

 あまりにも恥ずかしすぎて目眩を感じてしまう。
 ほっぺたから火が出そうなくらいに熱くなって、その場に立っていられなくなって――、

「おっと、危ない」

 駆け寄ってきた遥香に抱き留められて、なんとか倒れずにすむ。
 それでもすぐ近くに遥香の顔があって、更には遥香に抱きしめれている。

「あっ、ダメ……」

 しゅいいいいいいいいいいいい……。

 気がつけば、千尋はおもらししていた。
 せっかく今朝に遥香と交換こしたショーツが生温かくなると、恥ずかしい音とともに内股がくすぐったくなる。
 黒タイツが黒よりも暗い黒に染め上げられいくと、抱きしめてくれている遥香の脚線美までも失禁に濡れていった。

「あっ、ううっ、おもらし、しちゃう、なんて……っ。ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
「なにも謝ることはない。千尋のおもらしは可愛いからな」
「うう~、恥ずかしいのに」

 しゅわわわわわわわわわ……。

 恥ずかしい音を立てながらのおもらしはなかなか止まってはくれない。
 千尋と遥香を中心として水たまりが広がっていくと、ツーンとしたアンモニア臭が立ち昇ってくる。

(ダメだ……。絶対に嫌われてる……っ)

 あまりの恥ずかしさと情けなさに顔を真っ赤にさせていると、しかし遥香の顔がぐんぐん近づいてきて――ちゅっ

「あっ」
「これが私の答えだ」
「え……?」
「千尋が勇気を出して告白してくれたのだ。だから私も全力で受け止めてやらないとな」
 一瞬、なにを言われていたのかわからなかったけど、キスという答えがじんわりと身体に染み渡っていくと、ゆっくりと告白が成就したのだという実感が湧いてくる。

 だけど……、

 なんかさっきの告白が事故のように思えてきて、なんだか急に悔しく思えてきて。

「遥香先輩、改めて……わたしと、お付き合いしてくださいっ」
「ああ、いいとも。これから一緒に、二人の時間を重ねていこうじゃないか」
「はい……んっ」

 あらためてのキス。
 今度はすぐには唇を離さずに、舌を絡ませて。
 千尋は頬を弛緩させて、ただひたすらに遥香からの温もりを享受する。
 それは、もしかしたら千尋が女として歩き出した瞬間なのかもしれなかった。

 二人の時計は、たったいま動き出したばかり――。


おしまい。


ここまで読んでくれてありがとうございました!
楽しんでもらえたら嬉しいです!


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