LOSER/S 2022/06/11 16:30

空想科学<あいとゆうき>の物語。

 
   ■ 

はじまりは、安っぽい娼婦と詐欺師の物語。

           ――たった2人ではじまった物語。

1羽の天使が、全ての人が幸福であれば良いと思いました。

           ――そんなの無理に決まってるのに。

ひきこもりのカラスが、真実は1つであるべきではないと思いました。

           ――そのせいで宇宙はぐちゃぐちゃになっちゃった。

ひとりぼっちのライオンは、友達のために一生懸命頑張りました。

           ――だけどあの子は最後までひとりきり
   ■

 
ひとりぼっちのライオンは、桜色のうさぎを作りました。

           ――友達の世界を護るために。

桜色のうさぎは、だいすきな人と一緒にたくさんボウケンしました。

           ――キミはまだ、ぼくたちを覚えてる?
 
桜色のうさぎは、だいすきな人のために爪と牙を生やしました。

           ――癒やす事しかできなかったくせに。

希望の為に、を植えた人たちがいました。

うさぎは も、種から育った大きな桜の木を護っています。


   ■


宇宙は無くなりそうでした。

だから桜色のうさぎは、黄金のうさぎを造ることにしました。

出来ないことなんて1つもない。

           ――いぬは少し苦手だったけど。

誰かに傷つけられることなんてない。

           ――割りとメンタルは弱めだった?

大好きな主人と宇宙を守る、そのための存在。

           ――あなたが居なくなったら、どうしたらいいの?

黄金のうさぎは戦いました。歌ったり踊ったり、お酒も少し飲みました。

一生懸命がんばって、宇宙は何とか救われました。

それから、黄金のうさぎは水星で幸せに暮らしましたとさ。

めでたし。

めでたし。


 ■









































































 時間が流れました。















































































































   

 

彗星が星を毀す夜。



西暦1960年、横浜、みなとみらい。
蒼い彗星が地球を滅ぼすのを、私たちは見つめていた。

あなたの手は震えていた。きっと怖いのだろう。と思った。
こんな事が昔にも起きた気がしていた。
誰もが忘れ去った海岸で、世界が滅ぶのを見つめていた気がした。

そんなの勘違いなのは決まっているけど。
私は毀れる夜空を睨んだ。だって、もう、決めているんだもの。

『貴方を護る。何度失っても。何度毀れても。私は貴方を護り抜く』

それは随分と前から決意した誓いだ。
例え世界が滅んでも、あなたの事を愛し続ける。



目が覚めた。
私は一人で立っていた。
西暦2023年。横浜。中華街

世界は滅んでいない。
私の隣にあなたはいない。

大好きだったあなたは。
護ると誓ったはずのあなたは。
幾重もの日々をともに過ごしたあなたは。
私の隣にはもう居ないけど。

それでも。護ると。決めていた。

これは、私達の物語だ。

英雄は死んだ。
狼は桜を護り続けた。
魔法の音楽家は宇宙の真ん中で眠る。

これは、私達の物語だ。
旧い旧い時代から続く、私と君の物語だ。




荒唐無稽で有り触れた、
空想科学<あいとゆうき>の物語。





ほんの少しだけ様相は変わってしまったけど。

それでも。まだ。ボウケンのやり方は覚えてる?

じゃあ行こう! この日常を愛するために。







白いライオンが君の手を取る。
蒼いうさぎは桜を目指す。










さあ、――ボウケンの時間だ。
 
 





一緒に行く?
 
 

3件のチップが贈られています

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

記事を検索