作品紹介「うえはぁす」

ライターの「今俊郎」様による作品紹介記事です。
今回はソフトハウスキャラの2作目「うえはぁす」です。
これからもこのような感じで次々作品紹介をして行きたいと思います。
ご意見、ご感想はラジオまでお寄せください。



2000年2月に『葵屋まっしぐら』でデビューしたソフトハウスキャラ。「旅館経営ADV」という当時でも珍しいジャンルとゲーム性は話題になったとはいえ、当時は美少女ゲーム最盛期。今より数多くのタイトルが発売され、人気大手ブランドも多数という状況では、「デビュー作から大ヒット!」というわけにはいかなかった。ソフトハウスキャラファンの中でも、「『葵屋まっしぐら』から買い続けている」という人は少数派だろう。
その『葵屋まっしぐら』でデビューしたソフトハウスキャラの第2弾作品が、2000年9月22日に発売された『うえはぁす 〜お姫様は今日も危険でした〜』。ソフトハウスキャラにとっては、この作品で初めてSLGとジャンルに銘打ったタイトルでもある。

舞台は欧州にあるゴースティアル王国。主人公のエリオットは、つい先日、会社をクビになったところ。実はゴースティアル王国では、国の認める会社で一定期間働くと永住権を獲得できるのだが、エリオットはもう少しで永住権を獲得できるというときにクビになってしまったのだ。
社宅も追い出され、今や愛車を自宅代わりに生活することになったエリオット。そんな彼が、ある日パンクを修理していると、ひとりの女性がマルヒローに乗せて行ってほしいと頼んでくる。まるで結婚式から抜け出してきたかのようなドレス姿の女性を見て、「面倒ごとはごめん」と断るエリオットだったが、銃で脅され、結局乗せて行くことになる。
実は彼女はゴースティアル王国の第1王女クリスだった。結婚相手が40歳を越える大臣であることを理由に逃げ出してきたとを知ったエリオットは、彼女と正式に契約し、永住権の取得と就職の斡旋を条件に、彼女の希望する場所に彼女を送ることとなる。

というわけで、『うえはぁす 〜お姫様は今日も危険でした〜』のテーマは逃走劇。プレイヤーは主人公エリオットとなり、クリスを捕まえるべく追ってくる警察車両から逃れて、移動カードや妨害カードを駆使し、さらには愛車「ストーン」を改造しながら、ゴールへたどり着くことが目的となる。
このゲームパートがゲームのメインとなるわけだが、町や村を道路で結んだマップ上でカードプレイを繰り広げるあたり、かなりアナログなボードゲームの香りが強い。当時の美少女ゲームに慣れたファンからすれば「これをPCゲームでやる?」という印象を受けた人も少なかったようだが、逆にボードゲームのムーヴメントが来ている2018年に出したらウケるんじゃないかなあ。お手軽なボードゲームという雰囲気ながら、手持ちのカードの使い方によって展開が変化していく、戦術性の高いシステムなのだ。

ストーリーは全部で7話。ストーリーが進んでいくにつれて、マップ上の移動できる範囲が変わっていく。
ゲームシステムを見ればカードを駆使して最短距離でゴールすればよさそうなものではあるけど、そうすると見ることのできないイベントがあったりするのが困りもの。なにせメインヒロインであるクリス姫とのルートを進めようとするなら「クリスの余計な知識」を収集しなければいけないわけなのだが、これがどう見ても「ただの寄り道じゃねーか!」って代物ばかりなのだ。そういうものを集めないとメインヒロインとのストーリーが進まず、エッチシーンも見られないというあたり、ゲームであることにこだわるソフトハウスキャラらしさでもあるのだが……。それ以外にも、最短距離を進むだけでは開かないイベントあり、隠しシナリオあり、さらには特定条件下で町や村に立ち寄った時だけ発生するイベントなどもある。中にはヒロイン以外とのエッチシーンなどもあったりするので、とにかく全部のイベントをクリアするには、なんだかんだとやりこまなければならない。一見簡単なシステムだけどやり込み要素満載。まさにソフトハウスキャラのゲームじゃないか!と、プレイしてもらえば納得することだろう。

そんな『うえはぁす 〜お姫様は今日も危険でした〜』のヒロインはゴースティアル王国第1王女のクリスと、第2王女リゼット。
クリスは自分の結婚式から逃げ出してくるように、我がままで傍若無人、そして世間知らずの女の子。逃走中もとにかくエリオットを振り回しまくるわけだが、自分の非を認め、反省もするなど、素直なところもあったりするから手に負えない。お姫様好きにはたまらないヒロインだ。
リゼットはクリストは違って、聡明で活発な王女と周囲に名を響かせているのだが、他人のためには一切動かないという性格が災いして、周囲に問題を発生させるというトラブルメーカー。そもそもクリスが逃走した理由である「結婚相手が40歳を越える大臣」というのも、本当は「結婚相手が40歳を越える大臣“の甥”」という大事なところを伝えなかったからというのが原因なのだ。それでも憎めないかわいらしさというのは、何とも罪作りである。
その他にもサブキャラが登場するが、そのサブキャラとのエッチシーンがあるのは前述のとおり。ぜひぜひ全キャラとのエッチを楽しんでほしい。

(左から、ガソリンスタンドの店員、アリエル・桜小路、リゼット姫、クリス姫、セイフ王妃、改造屋の店員)

そして、ファンにはたまらない最大のお遊び要素として、マップの中の隠しマスとして、「葵屋」が設定されている。2作品目にして前作の舞台を盛り込んでしまっているわけだが、これが予想以上に好評を博したこともあり、その後のソフトハウスキャラ作品の過去作ゲストという流れが作られたわけだから、ブランド歴史にとっては非常に重要なポイントだったといえるかもしれない。
そしてもうひとつ。このゲームはゲームシステムの関係で、SLGパートでマップのスクロールやユニットのアニメーションなどが頻繁に行なわれるわけだが、今から18年前のPC環境で、これらをユーザーのストレスなく行なうというのは、なかなかに大変なことだったのではないだろうか。もちろん遊んでいる側からすればさほど重要ではないことなのだが、ボードゲームがメインである以上、そこをスムーズに遊んでもらうことは何より大事なこと。そういう部分へのこだわりが、その後のソフトハウスキャラ作品のゲーム性への高評価に繋がっていったのではないだろうか。

現在販売されていない『うえはぁす 〜お姫様は今日も危険でした〜』。プレイ経験のないファンには、初期のソフトハウスキャラ作品を体験する機会として、ぜひプレイしてほしい1本。なんとCi-enの「全力支援プラン」(#1)継続3か月のファンに、このソフトをプレゼントすることになった。ぜひぜひこの機会にゲットして遊びつくしてほしいタイトルだ。

(#1・JORI:「全力支援プラン」の詳細はこちら
また、「全力支援プラン」でのプレゼントは手作業で順番に行っております。コードの発行まではもうしばらくお待ち下さい。)


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