ロリ男子七草先輩の通学
§
満員電車は海だった。
人海。それも、自分より遥かに大きく強い人たちの。
毎日ドアが開くたび、心拍数が有意に跳ね上がる。140㎝台のチビにとっては、小さな女子小学生が一人すし詰めの大人たちの中に紛れるようなもの。
僕だって、男子高校生だというのに。
でも今日は幸運だった。優しそうな女の人の近くに陣取れたんだから。
……女の人、というより、発育のいい女子中学生なのだけれど。
ふと目が合う。
吊りスカートにワイシャツ、赤い紐タイ。物静かな優等生といった、眼鏡っ娘。近くの女子校の子だろう。栗色の髪を三つ編みにして、でも顔立ちは華やかだから、野暮ったさはまるでない。高級なモンブランを思わせる雰囲気だった。素朴で、僕みたいな人間が落ち付ける、数少ない人種。
それが、僕の頭一つ分上から見下ろしてくるのだ。
お互い、妙に相手を見つめてしまって、目が合うと気まずく会釈する。
そして、お互いほぼ同じことを思ったはず。
“その歳で、その体格?“、と。
まるで大人びたお姉ちゃんと小さな妹。そんな体格差で見下ろされて、見上げさせられて。でも男女も年齢もあべこべだ。
大人しい眼鏡少女と、気弱な小男。お互い奇縁を感じずにはいられない。でも、いつまでも見つめあってる訳にはいかなかった。
突然、どっと混み始めたのだ。
そして、長身女子がつんのめると。
僕を、その胸で弾き飛ばしてしまった。
「ゎ……!」
“え?”と思う間もなかった。小さな声と共に視界いっぱいに広がるパツパツおっぱい。それが顔面にどむっとぶつかりたわむのだ。一瞬顔いっぱいに極上の柔らかさが広がった。それが次の瞬間には力強く僕を跳ね飛ばして、無力な小人を押しのける。
少女は気付かない。いくら長身といったって、彼女自身非力な女子中学生なのは変わらないから、こけないようにするだけで必死だった。僕も半ば逃げるように移動するけど今日の混雑は凶悪。そのまま反対側のドアまで押し流されてしまう。
閉まるドアが、開いては閉じてを繰り返し、そのたび密度を増す人の束。息詰まるほどにひしめく巨躯の世界で、僕も圧死を覚悟する。
けれど、なぜか体が押し寄せてこない。
「…………?」
恐る恐る見上げれば、あの子が腕を突っ張って、なんとか僕に空間を作ってくれていた。度を越したチビ男子高校生を、自分の体で圧死させたくはないみたいだ。その長躯で僕を守るように覆いかぶさり、ギュッと目をつむって耐えてくれている。
非力な少女がぷるぷる耐えて、でも僕は申し訳なくもその厚意に甘えることしかできない。僕の目から見れば、この子は一般人にとっての200㎝に匹敵する。潰されたら大変なのは間違いない。
そして生まれた空間の中で。
僕の鼻に触れるか触れないかのところで、胸元が突き付けられていて。
電車の揺れで、上下に揺れるのだ。
どうしたらいいのかわからない。
でも、目を離すことも出来なかった。
鼻先に突き付けられた中学生おっぱい。文学少女然としているのに、そのボリュームでワイシャツがキリキリ悲鳴を上げそうなほど。多分Eカップはくだらない。僕の体だとさらに2、3サイズは大きく見えるロリ巨乳。それがブラにも服にも拘束されてなおどっぷりと揺れていた。まだ、14歳くらいなのに。
パツパツ子供巨乳が鼻先を撫でる。本人の意思と関係なく僕の小ささを煽り立てた。
おまけに車両が減速すれば、横殴りにぐぐぅっと頬に押し付けられる清楚巨乳。少女は真っ赤になって、だのに僕は逃げることも出来ない。こんな情けないことってない。この子の体温が上昇するのがわかる。体熱が漏れる。肌からふわぁっといい香りが立ち上ってきた。どんなふうに呼吸したらいいんだろう。規格外のおっぱいを突きつけられ、パツパツのパノラマを見せつけられながら否応なく香りを嗅がされて……。でも多分、本人はそこまでは気づいていない。
少女が、なんとか体の向きを変えようと身をよじる。そうすれば、思いっきり押し付けられ、すりすり頬擦りしてくる横乳。屈辱的で、でもむにぃっとした弾力が柔らかくて、頭がおかしくなりそうだった。年下おっぱいの母性的な重みと、生々しく羞恥を飲み込む少女の気配。それに何度も何度も、頬をヨシヨシされるのだ。
巨乳ロリにこんなに気を使わせてしまうなんて。配慮してくれた上で、こんなに何もできないなんて。そう思うと、だんだん彼女の体が怖くさえ思えてくる。この大人しい女の子に何かされても、僕は絶対抵抗できない。触れたら痴○、でも目の前にそびえ立ち、腕で檻を作って逃げられない。見上げると、ローアングルは3分の1をおっぱいで埋め尽くされていた。
ただ、そんな優しさも幼さゆえのことだったのかもしれない。
そして僕は、成長するための養分だった。
急停車する。
電車にみっちり詰まった内容物がみんなよろけて、互いに互いへよりかかった。
結果、少女もよろけてしまって。
“ドンッ!“と。思いっきり壁に手をついたのだ。
「ひっ?!」
とっさに漏れた言葉は本物の恐怖。反射的に小動物に堕とされて、ビクビクと高身長巨乳○女を見上げてしまうのだ。
そこには、目を丸くして真上から見下ろしてくる女の子がいて。
驚いたまま、でも、わずかに頬を紅潮させていた。羞恥ではない。高揚している。彼女自身未知の感覚に、少し恍惚とさえしていた。
目を瞬き、それから細めて。
「…………♡」
唇を、舌先で潤したのだ。
嫌な予感がした。
嫌な嫌な予感がした。
それは、想像以上に早く的中して。
「…………ごめんなさい」
本当に小さな一言ののち。
電柱みたいな太ももが、僕を掬い上げたのだ。
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