五月雨時雨 2024/05/29 21:27

無様な駒は次の淫獄のマスへと自ら進まされる

顔を上げても、窮屈な空間の天井として用意された透明な強化ガラスの向こうにはそのガラスの上に設置されたカメラ達しか見えない。左右に視線を移しても、そこには不自由な姿へと変えられた自分の身体をほんのわずかな遊びを残して挟んでいる壁以外何も見えない。
ならばと下に顔を向けたら、そこには屈辱がある。左右の目と鼻の穴、そして男根を除く全てを包み込み自由を奪う黒革製の拘束服の機構によって折り畳んだ状態に維持させられた両腕と、床の部分に描かれた無慈悲な文字と模様が己の今の立場を改めて思い知らせるかの如く男の視界に飛び込んでくる。
何処を見ても、絶望を補強する情報しか無い。そんな現実に絶えず打ちひしがれている無様な男は、頭部に被せられた黒革のマスクに仕込まれているスピーカーから発せられた新たな指示に誇りを痛め付けられながら、抵抗の選択肢を没収させられた身体を伸ばせぬ手足で前に運び始めた。

「ワンちゃん、三マス進みなさい」

マスクの頭頂部にあしらわれた耳飾りと、拘束服と一体化している尻尾の飾りに合わせた呼称で、残忍な男が命令を下す。その命令を受けた男は逆らえぬ肉体を苛む仕置きの理由に繋がりかねない躊躇いを排除した動きを従順に取りつつ、肘と膝で支えた肉体を進ませ始める。
別室で賽子を振る無慈悲な男達に支配された無様な男は、言い渡された通りに縛められた肉体を移動させるしか無い。裸体を内部に封じ込めた黒革を軋ませ、足の間で間抜けにぶら下がっている男根を揺らめかせ、尻尾飾りと一体化している拘束服の内側に突き出た男根型の淫具が望まぬ歩行の度に生み出す腸壁への摩擦に甘い苦悶を味わわされると分かっていても、共に捕らわれ悪趣味な敵達が用意した巨大な双六を彩る滑稽な駒の一体に変えられた男は、次の地獄が待っているマスへと伸ばすことを禁じられた自らの手足で前進させられるしか無いのだ。

「このマスは……おっと、これはラッキーだ。さっきと違っておチ○チンだけじゃなくて、お尻でも気持ち良くなれるよ。良かったね、ワンちゃん」

己の身体で死角となっている背後の壁の開く音が聞こえる。そこから直接見えなくとも歓迎とは程遠い存在であることだけははっきりと分かる物体が現れ、隠すことも守ることも許されない男根と尻尾と繋がった淫具に貫かれている尻穴に迫っていく。
その接近に怯え、恐怖し、絶望しながら、男は同じ双六の駒にされ姿を見ることも悲鳴を聞くことも叶わない程離れた場所で嬲られている他の仲間への仕置きと称した加虐をもたらす理由を捧げぬよう前に逃げたがる肉体をマスクによって閉じさせられた状態のまま唸りを漏らしそうになっている口と共に制し、もうすぐやって来る男根と尻穴への悦楽に対する覚悟を別室にいる敵達に鑑賞されつつ決めていくのだった。

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