kazmaro Apr/21/2025 00:48

ナスに堕ちた夜

飢えた日常

美奈子はキッチンに立ち、包丁を握りしめながら、まな板の上に並ぶ野菜を見つめていた。トマト、キュウリ、ナス——それらは日々の料理に欠かせない食材のはずなのに、彼女の目には違うものに映っていた。

夫とのセックスレスが始まってどれくらい経つのだろう。思い返せば、新婚当初は毎晩のように求め合い、ベッドの上で乱れ合った。だが、いつの間にか夫は仕事に追われるようになり、帰宅してもソファで寝落ちするのが日常になっていた。

愛液が溢れる感覚も、クリトリスが熱を持つ感覚も、もう長い間忘れてしまっている。

最初は我慢していた。だが、ある日、夕飯の支度中にキュウリを手に取った瞬間、そのずっしりとした感触にゾクリと背筋が震えた。指で表面を撫でると、まるで勃起したペニスを握っているようだった。

その日を境に、美奈子は夜の静寂の中で、野菜を使って己の身体を慰めるようになった。

ナスは特別だった。紫色に艶めく皮、指で軽く押すと弾力を感じる果肉。カリ首のように膨らんだ先端をラビアにあてがうと、熱がじんわりと込み上げてくる。何度、ナスの先端をクリトリスに押し当て、そのまま奥へと沈めたことか——。

そんな彼女のささやかな楽しみが、駅前の八百屋へ行くことだった。

八百屋「大輔青果」の店主・大輔は、いつも笑顔で迎えてくれる。美奈子よりも少し年上の、がっしりとした体つきの男。彼と交わす何気ない会話、そしてチラリと視界に入る股間の膨らみ……。

「奥さん、今日はいいナスが入ってるよ」

その言葉を聞くたび、美奈子は内心で震えた。ナスの形を確認するふりをしながら、その張り具合を確かめる。つるりとした表皮に指を滑らせると、まるで本物のペニスを触れているかのようだった。

「奥さんなら、どれがいいと思う?」

大輔の言葉に、心臓が跳ねる。彼の視線は優しいが、どこか挑発的だった。

「そうね……この太いのがいいかしら?」

思わず漏れた言葉に、自らの頬が紅潮するのを感じる。大輔がくすっと笑う。

「奥さん、いい目してるね。これは弾力があって、張りが違うんだ」

まるで彼のペニスの話をしているかのように聞こえてしまうのは、美奈子の頭が既に淫らになっているからだろうか。

「でも、やっぱり一本じゃ足りないんじゃないか? 三本ぐらいは必要だろう?」

囁くような大輔の声に、美奈子の胸がざわつく。いやらしく聞こえるのは気のせいだろうか。それとも、自分がそう感じてしまうほどに飢えているのだろうか——。

「それと、米もそろそろ切れてるんじゃないか? 十キロ入りのいいのがあるよ」

「そうね……お願いしようかしら」

「夕方、まとめてお届けするよ。重たいものは俺が運んであげるから、安心してくれ」

その言葉に、思わず頷いてしまう。家まで大輔が来る——それだけで、なぜか胸の奥がざわついた。

その日、美奈子は三本のナスと十キロの米を注文し、家へ帰った。自宅のキッチンに立ちながら、それをどう料理するかではなく、どう使うかを考えてしまう自分がいた。

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