工房クロロフィル May/18/2025 18:40

空飛ぶ郵便屋さんの異変

早朝の一騒動

ここは街から遠く離れた村の早朝。
見張りで立つ俺の耳に、風を切る音が入ってくる。

「おはようございます、門番お疲れ様です!お手紙お届けに参りました!」

空中でも届く澄んだ声で、彼女は頭上から挨拶をしてくれた。

飛行能力を活かし、彼女は郵便屋として物や手紙を届けてくれる。
こんな辺境にもしっかり飛んできてくれる、ありがたい存在だ。

やがて風切り音が大きくなり、足元の草が揺れ始めた。

「おはようございます!いつも届けてもらってありが‥‥!?」

いつも通り俺は感謝の言葉を伝えようとしたが。
その言葉は目の前の光景に遮られてしまった。

彼女は、腰の鞄以外何も身に着けていなかった。

「え‥‥え‥‥!?その恰好は‥‥!?」
「??‥‥ああ!先ほど魔物に襲われていた方を助けまして‥‥」

聞けば、飛行中に襲われている他者を助けたそうで。

「何やら変な魔術を使う魔物でしたが!空ではわたしたちは負けませんよ!」

見れば、彼女のお腹にぼんやりとハートマークの紋様が。
そしてその下の股は、知ってか知らずかトロトロで。
‥‥つまり、『変な魔術』とやらにかかり、一種の催○・催淫状態に陥っているようだ。

「まあアクシデントはありましたが!今日も元気にお届けに参りました!」

翼で敬礼したまま、ニッコリとこちらに笑顔を向け手紙を渡して来た。
裸で。頭がおかしくなりそうだ!

「あ、いや‥‥ちょ、ちょっと待ってください!今村の神父様を急いで呼んできますので!」
「‥‥??いや大丈夫ですよ?特に異常はないですし‥‥?」

彼女は自分の異常事態に気付いていない。なんと厄介な魔術だ。

「では私はこれで!今日はこのまま街に行くんです!」
「!!‥‥い、いやいやちょっと待ってください!!」

このまま街に。その姿で。
それはあまりにまずい!

何とか引き留めようとしたその瞬間。

ポンッ!

彼女のお腹から、小さな破裂音が聞こえた。
そしてお腹のマークが霧散していき。

「‥‥!?」

彼女の身体が驚きで一瞬跳ね、そのまま動かなくなった。
どうやら魔術は時限式だったようだ。間一髪助かった。

「だ、大丈夫ですか‥‥?」
「‥‥???」

返事はない。状況が把握しきれていないようだ。
目線だけをこちらに向け。

「‥‥????」

困惑したまま、顔を真っ赤にして震え始めた。

「と、とりあえず着替え持ってきますので!!」
「え、あ‥‥‥‥」

返事もろくに聞かぬまま。
俺は急いで村に戻り、着替えを用意することにした。

いつもの郵便屋さん

いつもはちゃんと服を着ています。いつもは。

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