空飛ぶ郵便屋さんの異変
早朝の一騒動
ここは街から遠く離れた村の早朝。
見張りで立つ俺の耳に、風を切る音が入ってくる。
「おはようございます、門番お疲れ様です!お手紙お届けに参りました!」
空中でも届く澄んだ声で、彼女は頭上から挨拶をしてくれた。
飛行能力を活かし、彼女は郵便屋として物や手紙を届けてくれる。
こんな辺境にもしっかり飛んできてくれる、ありがたい存在だ。
やがて風切り音が大きくなり、足元の草が揺れ始めた。
「おはようございます!いつも届けてもらってありが‥‥!?」
いつも通り俺は感謝の言葉を伝えようとしたが。
その言葉は目の前の光景に遮られてしまった。
彼女は、腰の鞄以外何も身に着けていなかった。
「え‥‥え‥‥!?その恰好は‥‥!?」
「??‥‥ああ!先ほど魔物に襲われていた方を助けまして‥‥」
聞けば、飛行中に襲われている他者を助けたそうで。
「何やら変な魔術を使う魔物でしたが!空ではわたしたちは負けませんよ!」
見れば、彼女のお腹にぼんやりとハートマークの紋様が。
そしてその下の股は、知ってか知らずかトロトロで。
‥‥つまり、『変な魔術』とやらにかかり、一種の催○・催淫状態に陥っているようだ。
「まあアクシデントはありましたが!今日も元気にお届けに参りました!」
翼で敬礼したまま、ニッコリとこちらに笑顔を向け手紙を渡して来た。
裸で。頭がおかしくなりそうだ!
「あ、いや‥‥ちょ、ちょっと待ってください!今村の神父様を急いで呼んできますので!」
「‥‥??いや大丈夫ですよ?特に異常はないですし‥‥?」
彼女は自分の異常事態に気付いていない。なんと厄介な魔術だ。
「では私はこれで!今日はこのまま街に行くんです!」
「!!‥‥い、いやいやちょっと待ってください!!」
このまま街に。その姿で。
それはあまりにまずい!
何とか引き留めようとしたその瞬間。
ポンッ!
彼女のお腹から、小さな破裂音が聞こえた。
そしてお腹のマークが霧散していき。
「‥‥!?」
彼女の身体が驚きで一瞬跳ね、そのまま動かなくなった。
どうやら魔術は時限式だったようだ。間一髪助かった。
「だ、大丈夫ですか‥‥?」
「‥‥???」
返事はない。状況が把握しきれていないようだ。
目線だけをこちらに向け。
「‥‥????」
困惑したまま、顔を真っ赤にして震え始めた。
「と、とりあえず着替え持ってきますので!!」
「え、あ‥‥‥‥」
返事もろくに聞かぬまま。
俺は急いで村に戻り、着替えを用意することにした。
いつもの郵便屋さん
いつもはちゃんと服を着ています。いつもは。
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