デジタル8色ドットを12色化するペイント解説その1
□前書き「制作の経緯」
今回、PC8801で制作された「美少女写真館番外編」をWindows12色にタイルを塗り直しをするという前代未聞の技術テクニックを行って開発費ゼロ円制作をやる事になった次第だが、実際の所8色→12色化がどれほど大変時間のかかる技術で、また8色→16色化を行うのが不可能なのかを解説していきたいと思う。
恐らく美少女ゲーム史上初めての試みとなるので、講座を読んで面白かったら美少女写真館シリーズを買って下さると嬉しいです。
非常に難しい話になっていくので、専門的な部分は簡素に表現していくため、実際の内容とは大幅に異なる場合も有ります。
□8色ドット絵の世界
具体的に8色ドット絵が何かと言うと、「はっちゃけあやよさん1」「はっちゃけあやよさん2のPC88版」「美少女写真館シリーズ全作品」が8色ドットで表現されたゲーム作品となる。
こちらが実際の8色ドット絵な「あやよさん」である。パンツは履いてる。
拡大してみると分かる通り、あやよさんの肌は「黄色と赤」で塗られており「肌色」は使用されていない。
更にドット絵は□ではなく長方形に塗られていて、黒い線はカクカクしている。
これは何故かと言うと、PC8801のゲームは「デジタル8色」しか表現する事が出来ず、ドット絵を描く際も「縦長ドット」で貼っていく必要があるためである。
何故そうなるのか? について語っていくと、非常ーーーに長くなってしまうので簡単に説明すると。PC88では上記のような小さな画面にしか「あやよさん」を置くことが出来ず、用意された「クレヨン」は8色以下しか使えない。
この中にあやよさんを置くためには長方形にする必要が有り、「クレヨン」の色は自由に選べないので肌色に近い「黄色と赤」しか並べられない。しかし、16色カラーになると画面は大きいし好き勝手に「クレヨン」を入れ替える事が出来る。
肌色を塗りたければPC8801版のゲームを発売する事をあきらめるしかなく、PC88⇒PC98へと移植する事は出来ても、逆にPC98版のゲームをPC88に移植することは出来ないのが定めである。
要は、小さなパンツを大きな箱に移せるが、大きな箱のために作った大きなパンツは小さく出来ないという話となる。
□あやよさん2の原画が異なる理由
あやよさんを遊んだ方の中で「何であやよ2はPC88版とPC98版で原画が違うの?」と疑問に思った方もいるだろう。それは失踪したからではあるが、実は技術的な問題が有ってそうなっている。
実際の所は違うかもしれないので、単なる憶測にはなるが、松柴さんの場合はHARD社は在宅で作業を行っていたため原画の元絵が社内に存在しない。
ようこそシネマハウスへの原画展を訪れた方は知る通り、ドット絵のゲームは「原画」ではなく「元絵やラフデザイン」が『原画』となる。
これはスキャナーで取り込んだ絵柄をドット絵のライン化をして、色を塗っていくという工程が必要なため、ゲーム画面と同じ原画。というのが存在しない。
例えば、ファイナルファンタジーやドラクエなどの原画集を見たとしてもそこにあるのは「ラフデザイン」であり、よくある「ペンで書かれた線の原画」はほぼ無い。
ゲーム上のデジタルデータは「電子原画」であり、ラフに書かれた絵を線でなぞって仕上げたのが『ドット絵』となる。
つまり、ゲームを作る際に重要な「原画ラフ」が存在しない場合は、8色ドット絵を16色ドットに直すことが不可能となる。
□例外のX68000版あやよさん
冗談みたいな本当の話だが、例外として実際にHARDさんが「ラフがないならドットを消せばいいんだよ」というナイスアイデアを思いついたX68000版のあやよさんがある。決して真似をしてはいけない技術であった。
これは上記のあやよさんと比べてみても分かる通り、線がカクカクで「イベント絵」としてはかなり見劣りする。美少女写真館を16色化にする場合「ラフ原画」が存在しないので、それはもう「無残な16色版美少女写真館」となってしまうだろう。
実際、仕上げさせられたらいち氏もコメントで68版のラインに苦言を記していた。
つまり、どういう事だってばよ。というと、こちらの「8色ドット絵トモコさん」をPC98に対応するには「8色ドット絵のまま移植する」か「新たに書き直して16色化」か「見るも無残な16色トモコさん」の3通りの方法が有り、長岡建蔵氏or社長が「新たに書き直す」という選択を選んだ。
こうして上のトモコさんは肌色カラーな16色に書き直されて、あやよさんのPC98版は「原画もイラストも異なる作品」となった次第である。
恐らくだが、あやよX68版のドットラインが酷いというクレームがユーザーから届いて(そりゃそうだ……)らいち氏もさすがにそれはと辞退して、原画マン募集で長岡氏が参戦したため「新たに書き直して16色版」となった。という顛末なのかもしれないが、30年以上前の話なので、真相は謎のままである。
その2では、実際の12色化の作業についてお届けします。