ProjectRepadars Feb/06/2025 22:17

デジタル8色ドットを12色化するペイント解説その2

□美少女写真館12色化への道

いよいよ後半である。非常に難しくて時間がかかるので分けたが、その1では「8色→16色化が不可能」であり「例外をすると見るも無残な16色版」が仕上がるという事がお分かりいただけただろうか?

元々、HARD作品に尊辺友氏が手掛けた作品は「8色ドット絵で表現されたゲーム」しか存在しないため、原画家「尊辺氏ご本人」が「16色版美少女写真館」を非常に物凄く熱望されていたため、このような「新技術発見だよやったねHARDちゃん!」な事態に巻き込まれて当方はこれを書いている次第ある。

□12色に塗り直されたあやよさん

美少女写真館が12色カラーになると聞いても、イメージがしにくいと思うので、まずはあやよさんで仮作成した物を例として出して解説してみる事とする。

こちらが実際に「12色カラー」で塗り直したあやよさんのPC8801版である。
仮塗りなのでかなりいい加減に塗られていて、線もカクカクしている。全部塗り直して販売したら結構儲かるのではないかとも思うが、物凄ーーーーーーーく苦行な作業なので心から辞退申し上げたい。

拡大してみても分かる通り、長方形の縦長ドット絵のまま8色カラーの表現を維持した上で肌色のタイルだけ「赤と黄色から肌色」へと置き換えられている。

これをキレイに直してラインを整えるのには、アウトラインも仕上げたりと地獄の時間を過ごす必要がある次第だが、見た目も自然な表現となっていてアニメの様な発色となっている。

例えば肌色だけではなく髪の色も置き換えたりしてフルカラーに表現する事も出来なくはないが、それをするとそれをすると元絵との違和感が出てしまう関係で「12色制限」を設けた形である。
実際には背景と色を変える必要があるため「14色」になっているイベント絵も有るのだが、細かい事は気にしないで…

作業工程としては、肌色のタイルをひたすら張り替えていきアウトラインを調整し、ドットを統合させて元絵に合わせていくという作業が必要となる。具体的には作業時間にアニメのシーズン3まで余裕で見終えてしまう感じであるが、これにより「PC8801版限定ゲーム」を肌色カラーに表現したり、例えば逆にファミコンなどの小さな画面に置き換えたりと色々出来る。

が、物凄く大変なのでやる企業はおられないと思う。

□番外編が選ばれた理由

そんな経緯で、美少女写真館12色化を行うことになったわけだが、今回番外編を12色化する事になった理由として「自分が一番好きな作品」で「もっともドットのラインが良い」という2点が有る。

美少女写真館シリーズの推しキャラクター「川村優子」が主人公であり、自分が作業して楽しいと感じられるため本作を選ぶことになり、12色化にするにあたって91年に作られた事も有って「シリーズとして最も技術が高い」ため、制作の時間が抑えられる。

□肌色と背景の違い

そんなこんなで、ご覧の通り「黄色の肌」が満載な美少女写真館シリーズを肌色に染めていく作業が開始となったわけだが、見ても分かる通り「背景も黄色で肌色も黄色」となっているため、実質12色カラーの14色にするしかない次第である。

特に肌色と背景の境があいまいなため、憶測でドットを打っていく必要が有り、目視しながらでも「肌か背景かわからない」という問題が非常に多かった。

分かりやすい例として、郁ちゃんと久美子のイベント絵が有るのだが、首に巻いたタオルの色が「黄色」で肌の色も「黄色」という、人物の境界線が全く分からないからカンで打つしかない。

更に拡大してみると、背中の線とタオルの線の違いを判断する事が出来ず、どこまでが『タオル』と見てよいのかは完全なる当方のセンス任せである。

せめて原画ラフでもあれば判断材料になるが、尊辺氏も所持しておらず「何となくこれで合っている気がする」という押し問答を脳内で繰り広げて、これで大丈夫だろうと完成させてから全然違う事に気が付いて「最初からやり直し」となるのが「美少女写真館番外編12色化作業」である。

具体的には、一枚のイベント絵辺り「何となく合っていたはず」と判断するまでに5時間かかり、それのやり直しに更に2時間と、鬼のような作業時間を費やす。

色々悩みつつ、打ち直しを繰り返して仮完成したのがこちらのイベント絵。
まだ手直しをする必要があるが、上記と比べてもタオルのラインが圧倒的に違っている。

拡大してみると違いがはっきりと読み取れる。
タオルの影や肌の質感が表現され、湯上りらしい女性的な艶がイラストから感じられるようになった。こちらは仮のものなので、製品版では更にエッチになる予定である。

□12色カラー版の完成形

苦労を重ねてやり直しを乗り越えて仕上がったのが、お着換え優子さんなイベント絵である。

だがこれではちょっと……と尊辺氏からもご指摘を頂き、今回尊辺氏が1990年代当時に制作された「謹製16色パレットタイル」をお借りして完成したのがこちらとなった。
令和の時代に、まさかのご本人からの合作である。


こうして完成し、製品版に組み込まれた「12色カラー版イベント絵」がこちら!

うーん、エッチである。上の自分パレットとは全然違うw

そしてこちらがタイトル画面にそのまま流用される事となり、見事に仕上がった優子さんとなった。使用したパレットは尊辺氏が以前制作された「Dの館」というソフトに収録された物を用いて、アウトラインと体裁を整えた次第である。

無事に完成形が見えるようになり、作業時間的に夏発売も見えてきたが「エロス超倍増」だけは確実にお約束できるかと思う。

まあ、ここまで前後編と渡って続けてきたのですが、番外編は「アニメーション」が原作に導入されているので、思った以上の長い道のりの気分転換に続きも描くかもしれないので、お付き合いいただけたら幸いです。

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