H&ストック /H&Stock 2021/06/29 12:00

あとがき <注意:クリア後にご覧ください。> ネタバレ度/☆☆☆☆☆MAX

注意:この記事は「LOVE RUN DOLL DELIVERY ~性具配達人~」の
   雑談的裏側記事です。必ず「クリア後」にご覧ください。


販売開始からもうすぐ1週間(2021/6/28時点)。
すでに多くの方にご購入&プレイしていただいており、誠にありがとうございます。

いくつかの不具合でゲームを中断させてしまった方、すいません。
またその報告をくれた方、
セーブデータをやり取りして不具合検証に協力いただいた方にも
この場を借りて感謝を申し上げます。


このゲームは、それぞれが自由に進め方を選べるため、
全てのパターンを検証するには時間が足りず、想定していなかった不具合もありました。
「配達」「お店」「その他」をバランスよく進める人、
一つのタスクを1個ずつやり遂げていく人、
色々な進め方の人がいて、ものすごく勉強にもなりました。
今後の製作の糧として参考にしていくつもりです。


さて、クリア報告もちょくちょくいただくようになったので、
この辺りで「あとがき」的な事を書かせていただきます。
ちょっと長いですけど、お暇なときにお付き合いください。


ストーリーとコンセプト

今までのH&ストックのゲームをされたことがある方なら、
今作もおそらく「箱庭型現代劇」「バカゲー」と思った方も多いかなと思います。
実際、その通りのコンセプトでした。
あまり強○的に「襲う」「襲われる」みたいな表現が
好み(得意)ではないためか、
「明るいバカエロ」「誰にでもある日常」は基本にありました。


エンディングで見られるコンセプトアート/これらのイメージから背景やストーリーを組み立てました。

ただ、PVやポスターを見たときには
「あれ?なんか今回はバカゲーじゃないのか?」
「ホラー?」「シリアスなの?」的な印象を受けた方もいたかもしれません。
で、体験版をやってみると、やっぱり「バカエロ」かな?
でも…ストーリー設定は前作より深いのかな?
と…最後までどういう感じなのかな…と掴めない人もいたかもと思います。

目指していたのはその辺りの「どっちとも取れない不思議な感じ」と、
それが「徐々に気にならなくなっていく感じ」です。
「現代劇」なので、町にはコンビニもありますし、
主人公も割と普通の男性(?)。
なのに…会社がアダルトグッズ会社だけに、
普通にエロい用語を普通に使って話しますし、
割と明るい感じの印象で進んでいきます。


エンディングで見られるコンセプトアート/これらのイメージから背景やストーリーを組み立てました。

話が終盤に連れ、
シリアスになったり…時に悲しい感じになっても、
セリフでは頻繁に「チンポがどうのこうの…」って言っていて…
普通だったらぶち壊しなんですけど、
その世界では違和感がない…というのが面白いかなと思って製作していました。



ここまで来た段階では、シリアスな会話の中にチンポだのおっぱいだのが混ざってももう気にならない?

そもそも…簡単にストーリーをまとめると
「あの時のチンポに未練のある女が成仏できず…彷徨い、
 やっとあの時のチンポにたどり着き、
 もう満足しましたので後悔はないです…で還っていく話。」

こう…まとめてしまうと「バカエロ」なんですけど、
みなさんは…終盤はどう思われましたかね?
「え?寂しいなぁ…」と思ったか…
「チンポに未練で…こんな展開になってるのはなんでやねん。」と思ったか…。
冷静に見れば後者がまともなんですけど…その違和感を払拭して、
いかに前者のような感情にさせるか…。
そこがポイントでした。
どう取られても自由ですが、どう思われたかは興味があるところです。


本当にチンポに出会っただけで未練を果たされた遊女

あの…一応…補足として「チンポに未練だけで…」と、
ひどい言い方をしてしまいましたけど、
「勝山美月」はチンポだけ…ではなく…
もちろん彼自身に会いたかったんですよ、多分。


「ダッチロールシティ」との関係性

そして、要素の一つとして外せないのが、
やはり、前々作「ダッチロールシティ」等を
プレイしてくださった方に向けた設定です。
作中でも何度か出てきて、
4丁目のH&ストック事務所でもあらすじを閲覧できる
「ダッチロールシティ」との関係性。
「ダッチロールシティ」は、99%バカエロで、
パズル的なアドベンチャーゲームでしたが、
あのゲームには、舞台設定も登場キャラの設定もほとんどない、
普通のライトなゲームでした。
「魔法のローション」で「ダッチワイフ」が一週間だけ人間に?…みたいな…
ライトofライトな作品です。

ただ、
『あんなライトで、設定も浅いゲームの
「魔法のローション」とかいう…取って付けたかのような設定に、
 こんな裏側のストーリー設定があったんかい!!』
『あの設定をここまで膨らましてんじゃねえよ。』
と…思った方が一人でもいてくれたら、狙い通りで嬉しいです。

発売も8年前ですし、
ほとんどの人が「やったことないので知らん」
もしくは「覚えていないし」…って感じになるのは分かってはいますけどね。

しかも
H&ストック事務所で「ダッチロールシティ」を閲覧した後は、
H&ストック事務所を出た時だけ、
暁天町のBGMが「ダッチロールシティ」の街の音楽に変わるという…
いったい誰が気付くんだ?…というレベルの小ネタも仕込まれていますし。


中村もダッチロールシティの主人公と同じことをしていたのか。

終盤で明かされることですが
その「ダッチロールシティ」のダッチワイフを買って
同じことをやっていたのが「中村一徳」です。
ちなみに、中村の兄は前作ゲームの
「ピンサロールペイメント」のピンサロの店長でしたね。

しかし…あの「ダッチロールシティ」が
庄司英雄が仕組んだ「霊浄化作戦」だったとは…。
コレを作っていた8年前の私も知りませんでしたよ。

まあ今作は「ダッチロールシティ」と比べて
人物設定や舞台設定を多く必要としたことから、
ある程度のストーリーの整合性みたいなのが必要になってしまい、
製作にさらに時間を要することになってしまいましたね…。



舞台設定


このワンシーンだけのためにわざわざ作られた暁天楼の背景。
このシーンは「会話」ベースで済ませられないという製作者の意気込みがうかがえる。

100年以上前の遊郭とその後の炎上が土台にあるストーリーで、
女性たちは遊女の霊を纏った人形でした。
人によっては体験版の段階で色々気づいた人…
だんだんと気づいた人…
最後の方で気づいた人…様々だと思いますが、
みなさんはどうだったでしょうか?

「吉原」「中村」「旭」「島原」…
はいはい、そういうことかな?って気づいた方。
さらに「勝山」「夕霧」…
ふむふむ…やはり遊女絡みかな…?とか…。

まあ…遊郭だったことは結構序盤で出てくるし問題ないし…
例え分かったとしても
それがどうなっていくのか興味を引く…のが大事なので
そこは問題ではないんですけどね。

こういうのは、人によって情報量が異なるので面白いですね。
「めぐみ」はまだか…は「め組」かなぁ…?とか…
「纏」ですぐに「町火消?」とピンっと来る人とか…
「ひょっとこ面」は地域によっては「火男」だったり…
すぐに「潮吹き面」って繋がってる人もいるかもしれないな?…とか
色々と想像しながら作ってました。

あれ…?実在する…ある地域には…遊郭の近くに…似たような名前の川があるな…
遊女が眠る供養塔がある神社もあるな…池もあるな…病院もあるなぁ…。
ひょっとしてこの町は…実在のこの辺りがモデルに?

いやまあ…フィクションなんで…どうでしょう…。

でも…皆さんはエロゲーとしてやってるわけで…
こう色々と考えながらのプレイは…そもそもしてないですかね?



禁断のメタ、H&ストックの事務所

ただ、H&ストックの事務所も…あの町にありましたね。
現実世界とリンクしているということかも?
いえ…H&ストックが毎回登場するのは
メタフィクション的なことというより、
一緒の世界にいるよ…っていうことです。
小規模な同人ゲームであったとしても、
自分の作った世界に入ってきてくれるのは嬉しいですからね。


<左>H&ストックの事務所でみられる「見てはいけないヤツ」
<右>そして、その現物。ちなみにこのチャート図は、「第3代目フローチャート(全8代)」である。進行表をまずパソコンで作成し、PDFにしてタブレットで確認していたが、なんせ文字が多すぎて、タブレットでも全体を把握しにくいため、キンコーズに行って20分割でプリント。それを繋ぎ合わせて全体のチェックをしながら、気づいたところはその場で記入。紙のサイズが大きいため、折りたたみながら使用するため、すぐにボロボロ、手書きも汚い。デバッグにも使用するため、最後はぐちゃぐちゃ。そして、修正がまとまると、またパソコンで改めてまとめ直し、キンコーズに行ってまたプリント。それをくりかえすこと、なんと8回。「竿天の精液」集めてんのかよ…ってくらいに繰り返し。最後の方は、デジタルのままプリントしなくても確認できるまでにまとまったが、とにかく、最初の気合が入りすぎて、作りすぎた。最初のチャート図作成は楽しかったが、これを一人でゲームにしなくてはいけないという地獄が待っていた。ちなみに、右上の書類がキャラやアイテムなどの設定集をPCでまとめる前の原稿の一部。そして右下が一番最初にストーリーを作るために仮で作成したマップ(意外とそのままだった。)。設定集を見て思い出したが、最初は「吉原紫音」が最後まで出てくるストーリーじゃなかったんだな。あと、「ひょっとこ」という言葉だけがメモ書きされていて、おそらくストーリー考えている合間に、ひょっとこの事を思いついてか、慌ててメモしたんだな。それと、「塩の作り方/製塩法」についての資料が出てきた。たしかに「おまたのしお」の入手方法に悩んで、塩について調べていたっけなぁ。近所のキンコーズはセルフプリントでのプリンターはよく紙が詰まるので、紙が詰まるとスタッフが飛んでくるのだが、プリントされた内容には「チンポ」「まんこ」のオンパレードなので、紙が詰まったら急いで自分で処理した思い出。

ボツ要素?

<ボツ01:横スクロール>

まず、制作に時間がかかった要因としては「背景の作り直し」ですね。
前にここで記事にしたこともありましたが、
横スクロールで開発を試みたこともありました。
そのころは今みたいなアドベンチャー要素より、
ややアクションが強いゲームデザインでした。


今、改めてやってみると、なかなか新鮮で面白い。
だけど、キャラがデカいせいなのか、なんとなく怖さがあり、ホラーゲームとかなら面白そう。

ストーリー自体は本筋は同じような感じですが、
「配達」がメインではなく、
「配達」は色んな仕事のひとつというものでした。
「企画開発」と「配達」をメインにするために、
今のようなスタイルに変化しました。
正直、背景なんてツクール素材使えばすぐに始められるのに、
その背景素材を描き、また1から作り直すとは…。

結果、ここで一度、製作を諦めましたね。


<ボツ02:企画開発できる商品>

企画開発~配達できる商品も色々とありましたが、
こちらもキリがない(いつまで経っても完成しない)ので、
途中で配達の荷物の種類を絞り込みました。
絞り込んでから、一気に製作が進んでいきました。
やっぱり線を引くって大事です。
一回作り切ったので、
またここから追加していければ面白いかなとは思っていますが。


<ボツ03:乗り物の衝突や町の人?>

「ダッチロールシティ」の時は車に衝突してもダメージを受けましたが、
今回はダメージというか…まあ邪魔な時は邪魔ですよっていう…その程度です。
とにかく自転車やバイクとの接触などで進行不能になりまくるし、
バイク飛ばしてたら本当に事故るし…予期せぬエラーになるし…。
結果「邪魔者」という程度でおさえて、
ダメージについては断念…というか不要…となりましたね。

人も本来は外の街にも配置する予定でしたが、
「幽霊」も出てくるし、町の中を賑やかにするには
ちょっと大きさが足りないな…と。
これ以上大きくしたりイベント増やすと、
一部のPC環境ではプレイに支障が出るなぁ…となりました。
町のガヤガヤした音をBGSで流すことで
たくさん人がいるんだよっていう無理やりですが、
そういう方法をとりました。


<ボツ04:真のエンディング?>

真のエンディング?と言えば意味深ですが、
製作開始の段階では、
大きく分けて「ハッピーエンド」と「バッドエンド」みたいなものを予定していました。
「ハッピーエンド」は社員みんな仲良く暮らしましたとさ…。

「バッドエンド」は社員みんな還ることになりましたとさ…でした。

つまり、結果的に、今作のエンディングは最初の段階でいうとバッドエンド ですね。
(細かいところを言えば完全バッドではないんですけど)
ただ、製作の途中でマルチエンディングは一旦やめて考えようとなって…
作っていくうちに、最初に言ってた
この「ハッピーエンド」って本当に「ハッピーか?」となりました。
むしろ「バッド=みんな還る」の方が筋が通るというか…
そういう結末があっていいのではと思いました。
今回のエンディングはかなり長いですし、
それをマルチにすると作りこみも設定も薄く広がるだけ…。
ひとつのエンディングにすべてを注いで、セリフを書いている段階で、
「ああ、これが真のエンドだな」となり、それを採用しました。

まあ、エロゲーなんで、
そんな深く考えずに「ハーレムエンド」みたいなのもあっても
良かったかもしれませんが。

なので、仮に今後のアップデートで、
(この先、または途中に)追加ストーリーはあったとしても、
マルチ化することはないかな…と思っています。



しかし、発売の予定より遅れてお待たせした方々にはすいませんでした。
本来2020年中の発売が、半年も伸びてしまいました。

ただ、結果的にですが、
なんとなく「6月末という夏の直前に出せた」のは良かったと思います。
ゲームの設定にも近い季節ですし…。
そろそろ竿天蝉が鳴き始めますし…。
みなさん「せみのぬけがら」を見つけたら、
マン汁と精液と潮をぶっかけて混ぜてみてください。
「蘇咲汁」が出来上がりま…、いやなんやこのレシピ。
なんちゅうゲーム…。
やっぱり…バカゲーでしたわ。




最後までゲームをプレイしていただき、
また、「あとがき」を読んでいただきありがとうございました。

引き続きH&ストックをよろしくお願いします。

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    *葵* ID00032246
    旭さんのファンになりました!ありがとうございました!

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