KDSsoftware 2020/03/20 16:02

チトリと虚空のダンジョンの登場人物紹介『行商のヴァルキュリア』


 自我崩壊により個性が消滅したものはただの機能となり、人格を失い、人間でなくなり天使と扱われる。そもそも天使には名前が無く、彼女の役割は行商だったため、誰が呼んだか"行商のヴァルキュリア"。天使群の一柱、神々側のアイテム係である。
 個性を持たないのだが、天使は元人間であることもあり複合的に英雄の伝承を保有していることが多く、人間はその英雄伝承を見、天使を個性的に思う。普通、天使はこの過程でなんらかの相応しい呼ばれ方(アイルとか)を得ている。
 しかし彼女の場合は例外的に英雄伝承、要するに呼ばれる名前を一切持っていなかった。それは彼女が人類最後の時代、通称"黄昏時代"の出身であり、伝える人間が残っていなかったせいで、彼女が英雄として人類史に名前を残さなかったことによる。

 神々の黄昏ならぬ人類の黄昏、人類が絶滅する寸前の時代、大地は汚染され動植物の悉くは毒を持ち、人類は緩やかに減少していった。レアメタルの枯渇によって倫理観が破綻し人類は脳髄に電極を突き刺す。合成食糧を食べ、余計なカロリーを消費しまいと日々眠るようにしてネットサーフィンにふける。
 生活を保障する組織は国ではなく企業であり、年金ではなく保険の配当となった。(自力で商売できる人間は別だが、そもそも生産的な活動などほぼ消滅しているため、)人類が金を増やそうとした場合、金融商品を買って寝て待つ以外の選択肢が無かった。保険にさえ入っていれば、最低限の生存は可能だった。そうして巨大な保険企業が人類を牛耳ることになる。
 時代を経るにつれて人類の身体能力は向上する。速く走ることも高く飛ぶことも遥か昔に極めてしまったような人類が、次に向上させていった能力とは"幸運"であった。金融商品を奪い合うため人類が幸運を競う、などという、何一つとしても生産性の無い時代、それが黄昏時代だった。

 全人類が身体能力も頭脳もカンストしている黄昏時代においての最強、それは営業成績の良い保険屋である。
 幾つかの金融商品が並ぶ時、優越等が生まれるはずもなく、どれを買ったところで同じ状態になる。顧客がどこを決め手とするかと言えば"誰の営業成績を上げたいか"ぐらいであり、彼女は誰よりもちょうどいい人間だった。
 とても愛らしいが美人と言えるほどではなく、誰よりも優れているのに突出部分がない、怒ったり怒らなかったり、笑ったり笑わなかったり、泣いたり泣かなかったりする、年代性別人種信条問わず、だれとでも恋仲になれるように作られた人間、そして最も神に愛された幸運の持ち主だった。
 誰でもない人間だったから誰にでも愛された。誰でもなくなった人間とは即ち天使であり、彼女にとって天使は人間としての人生の延長線上でしかなく、気づいた時には自分の名前すら忘れてしまっていた。


 そんなこんなで行商のヴァルキュリアとなった彼女ではあったが、(最終的な人類の姿であるがゆえに身体能力こそ常人より優れ、誕生した全ての機械・魔術の取扱を知ってはいるものの、)伝承を持たないがゆえに神器も必殺技を持っていなく、対虚人戦において役には立たない。あくまでもエインヘルヤルのサポートとしてアイテム係につとめている。
 また、資産運用の一環としてなのかチトリの生前の彼氏(?)であるユングのパトロンをしている。(どういう意味であれ)狙った男の彼女であるチトリにはあんまり良い印象を持っていないよう。

 その他行商のヴァルキュリアの自分語りは体験版で! (なおイベントCGは体験版に含まれません)
https://www.dlsite.com/maniax/announce/=/product_id/RJ279191

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