東方二次小説(第五話)「アイドル天狗はたて」

いつも犬走椛の警備する崖。今日は朝はたてがよってくれるというので、いつも以上に張り切って朝出かけたのだが。
「どう~しよう・・・」


そこにいたのは射命丸文で、しかもしかめっ面で腕を組んでたっているのだ。
朝からどぎまぎしてしまう。なんで文さんがここにいるんだろうか?いつもなら取材に出かけていてたまにしか顔を出さない。非常に邪魔なのだが、一応上司にあたる鴉天狗。
軽く朝の挨拶だけして、警護の仕事に就いた。
だが文は一言もしゃべらない。
「・・・・・・」

口から生まれたのではないかというほど弁のたつ文がむっつりしているのも珍しいのだが。

「やほ~椛待たせたかな~?」
そこへはたてが飛び込んできた。
「はたてさん・・よかった」

椛がほっと胸をなでおろした。
ハタテの明るい性格が場の雰囲気を戻してくれるかとも・・・。
はたては雰囲気の悪い場の状況を感じて、文をちらっと見る。
だが、見ただけで特に声もかけずに椛と話し始めた。


「今回の花菓子念報読んでくれた?アイドル発表会盛り上がったのよ。早苗さんも来てくれたし、椛が仕事でこれなかったのは残念だわ・・」
はたては文の反応をちらちら眺めながら、言葉をつづけた。

「白狼天狗や鴉天狗の若い子たちもいっぱい集まってくれて、賑やかだったわ・・それに」
はたては文にちらちら視線を投げながら。
「おかげで花菓子念報。今回は新記録の発行数になったわ。人里でも今までに販売数だったし」
「発表会はたてさんの水着かっこよかったですね。生写真もかなり売れたらしいし。鈴奈庵にも人だかりができたようですよ」
椛が楽しそうに答える

「そうね今回はどっかの新聞はいっぱい売れ残ったみたいじゃない・・・」
はたては文をちらちら眺めて反応を見ながら。
「そういえば文だけ発表会に来なかったわね。大天狗様もお怒りだったし・・・」
と・・

「姫海棠はたてのぶあかあ~」

大声で空に向かって叫ぶ。びっくりするはたてと椛。
文は二人に向き直すとはたてを罵倒する。


「はたてあなた新聞をなんだと思ってるのよ。花菓子念報が売れないからって泳ぐわけでもないのに発表会っていう公式の場所で水着だなんて。そこまでして新聞の売り上げを上げたいの」
「はあ?」
「人里でいつも新聞なんて見向きもしない男たちが群がって買ってたわよ。恥ずかしいったらありゃしない」
文はかなり怒っていて叫びまくっている。

「いや・・文さんああいう場所ですし、別にヌード写真じゃないわけだから・・」
「はあ、文なにあんた、うらしゃましかったのかしら、そ~れ~にぃゴシップ新聞記者にいわれることはしてないわよ」
必死に止めようとする椛。一方ではたてはこらえてきた怒りから反論する。二人とも
ご気が荒い。
この場合は椛が正しいと思うのだが。

「ゴシップ新聞?なんてこというのよはたて、お互い新聞記者なんだから、自分すててまでやることじゃないでしょ。いい加減なことしないでよ」

「いいかげんですってえ?あれは白龍君と大天狗様のアイデアなのよ。大事な演出効果だからやったことなのに」
「そ~ですよ・・ここは文さんがいいすぎですよ。はたてさんはお仕事だったんですから」

はたてが言い返す。椛も応援する。
だが、文の怒りは収まらない。
白龍の名前を出されて文は余計に怒りが収まらなくなった。
「はいはいなんでも白龍君ね~男の還元に騙されて脱いだってわけ。はたてあんた恥知らずの女ね。あ~あ花菓子念報のためとかいいながら、ようは男にちやほやされたかったわけだ、さ~いてい」


「なんですってえ~あたしのどこが恥知らずなのよ」
一発触発。思わず椛が割って入る。
「はたてさんも落ち着いてくださいよ。今日の文さんはおかしいんです。仕事中の私の前でやめてくださいよ」

どちらも言い始めたら止まらない、とはいえこれ以上やったら口喧嘩ではすまず、本当に喧嘩になってしまう。椛は身を挺して二人の間に入った。
「椛がそういうならやめていやってもいいけど、文には謝ってほしいわ」
まだまだ怒りが収まらないはたてはそこまでいうと文を?
「あ?あれ?」
「え?なんですか?」

はたてがびっくりしてる。振り返ると文の姿がない。さすがは自称地上最速。
いつの間にか消えていたのだ。
「こら文バカって言ったの謝っていってから消えろよ」
はたての叫びだけが谷間に響いた。








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