「海水浴装置」アリスの海の家 (2020/09/12 14:4更新)
◇更新情報(2020/09/12 14:40更新)
資料写真などわかりやすいものに変更しました
ピクルスです!
アリス関係の下調べをする関係で「不思議の国のアリス」を調べてたのですが、その際「不思議の国のアリス」の本文の中に「海水浴装置」という聞き慣れない単語が出てきました。
アリスが自分の涙の海の中に落ちた時、過去、海で泳いだ時の記憶を思い浮かべたシーンで…
アリスは生まれてから一回だけ海辺にいったことがあり、イギリスの海岸ならどこへいっても海には海水浴装置(かいすいよくそうち)があり、子どもが木のシャベルで砂をほっていて、海の家がならんでいて、そのうしろには列車の駅がある。
ご覧のようにかなり唐突ですよね? 「海水浴装置」…なんでしょう?
アリスの翻訳者によると
むかしは水着になったところが見えるとイヤラシイとみんな思ってたから 、タンクみたいなものに入って、それでそれごと海に入れてもらったんだって、そのタンクのこと。
とあります。
???
想像した限りでは、なにか小さい風呂桶のようなものがあって、その中に入ったまま
海に入るのかな? …と考えつつググってみました。
「海水浴装置」調べて見た
調べてみるとこんなものでした
え?
車輪がついた小屋が水の中に???
実はこれ、「bathing machine」という
馬車式の移動海の家というか、移動着替え小屋なのです。
馬車式海の家
馬が引いて、水際や浅瀬の中に入ると切り離し、馬は別の場所に。
切り離された馬車がその家族の海の家になります。
馬車の中で着替え、ステップから砂浜や水の中に直接入っていきます
女性が持っている紐は命綱。これを持ってると溺れない、波に攫われないのです。
それにしてもこの水着のデザイン素敵ですね。
それにしても、なぜ直接海に入れる方式にしたのでしょう?
なぜ水の中に直接??
恐らく理由と思われるのがこちらです。
◆1 命綱
この頃の人達はそんなに泳ぎが上手くはなかったでしょうから、この海上基地の命綱がないと怖くて少しの深みに行けなかったかもしれません。
◆2 足を砂等で汚したくない?
砂や土等で足が汚れるのが嫌なのでしょう。シャワーありませんしね。
◆3 水着姿を見られたくない
最も大きな理由は18世紀ですから、着替えた水着姿を見られるのは恥ずかしいので、直接水の中に入りたかったようです。
また初期は水着も一般的ではなく、裸で水泳する場合もありました。
出口ドアには布製のキャンバスフードの日よけが装備されて、フード降ろして女性が波の下に沈むまで目隠ししていたようです。
場合によってはその目隠しの中で水遊びもしていたみたいですね
絵の中では女性が多い
見ての通り絵では女性ばかりで男性がほとんどいません。
これはサービスでしょうか?
実は男性と女性でビーチが別れていたのです。
1750年頃英国では男性と女性は18メートル以上離れていることがガイドラインで、男女で400メートル水泳場が離れていた場合もありました。
致し方なし
はい見ての通り今も昔も男は変わりません
こちらは覗きと鉢合わせになった図
内部
内部はこの様に映し鏡や足を洗うための足湯の桶等、ドレッサーとして装飾されている豪華なものもあったようです。
帰る時には、着替えを終え準備を終えると小さな旗を振って馬の御者を呼びました。
その後
「海水浴装置」は1735年頃英国のスカボローで出現し、英国の水泳での定番装置になっていきました。立ち並ぶ中で泳ぐ風景はその時代の原風景となったことでしょう。
最盛期には水中までレールが引かれ、蒸気機関で水の中へ出し入れする「海水浴装置」もありました。
ビクトリア女王の「海水浴装置」にはフロントベランダとカーテン、着替え室に、そしてトイレがある豪華なものでした。
また、ホテルが埋まる繁盛期には、簡易カプセルホテルとして貸し出されることもありました。でもあまり居心地は良くなかったようです。
しかし1910年に英国で男女の隔離規制が撤廃されると、急速に廃れ1914年には殆どなくなってしまいました。
女性の水着への羞恥心が薄れていったのと、男性と泳ぐことで命綱の必要がなくなった面もあるのでしょうね。
思いっきり脱線しましたが
◆今回の調査報告は以上になります
「不思議の国のアリス」を調べてみて、思いっきり脱線しましたが、いかがだったでしょうか?
今回不思議の国のアリスを読んで、まさかのイギリス版「海の家」の調査になるとは思いませんでしたが、調べてみてなかなか面白かったです。
アリスも、アリスのモデルてある、アリス・プレザンス・リデルも恐らくこの「海水浴装置」を使ったでしょう。
その光景に思い馳せるのも面白いのではないでしょうか?
今回の作品に使うのは全く考えてなかったのですが、海のシーンを入れてみるのもいいかもしれませんね。
それでは、今回はこんな感じの記事となりました~
ではでは~