毛ガニデパート 2022/02/05 06:01

アラビアンナイト</breath>2発売記念 ネットでできるイスタンブル旅行+α

「アラビアンナイト</breath>2 ~シンドバードと白鯨の物語~」の発売を記念して、作中に出てくるイスタンブル(イスタンブール)の名所+αの紹介をしたいと思います。

トルコというと、よくメディアで取り上げられるのは、奇岩地帯のカッパドキアや白い棚田状の温泉のパムッカレですが、イスタンブルもかなり見どころがありますので、この機会に知って異郷の雰囲気を深めていただければ幸いです。
ノートルダム大聖堂やサグラダファミリアのようなキリスト教建築はメディアに露出するのですが、イスラーム建築はアルハンブラ宮殿くらいしか出ないんですよね。
イスラーム建築も素晴らしいものが多いので、宗教とか関係なく、「ノートルダム大聖堂すごいッ!」というのと同じ感覚で楽しんでください。

よそ様の写真を持って来るわけにはいかないので、リンクになっています。
気になった項目があればクリックしてみてください。

コンスタンティノープル競馬場

東ローマ帝国の首都だった時代を思わせる競馬場(ヒッポドローム)跡地です。
競馬場のコース中央に建てられるオベリスクには、エジプトから取って(盗って)きたトトメス3世(BC1479-1425)とコンスタンティノス7世(905-959)の物を使う豪華仕様。
東ローマ帝国の遺産には他にも、ヴァレンス水道橋もあります。

アヤソフィア大聖堂(別名:ハギアソフィア)

ビザンチン帝国時代の360年に建てられた、(当時)世界最大のキリスト教会をモスクに改装した物。
現在は無宗教の博物館になっています。
キリスト教会だった頃に作られたモザイク壁画は、モスク時代には漆喰で覆い隠されていたため、痛みが少ない状態で保存されています。
鈍い金色を配したビザンチン建築、イスラームとキリスト教が混じり合った荘厳な空間に圧倒されます。

※情報提供により、2020年7月にモスクに戻された事が判明。古い情報を見ていました。
ただ、礼拝中以外は博物館として解放されている様子。

スルタンアフメト・モスク(別名:ブルーモスク、スルタンアフメト・ジャミィ)

1616年に建てられた、世界一美しいモスク。
ブルーモスクとあだ名されるように、高価な青いタイルをぜいたくに使った壁や天井の幾何学文様やアラベスク文様と、それに映える赤の絨毯が特徴です。
ステンドグラスから入る光によって、あわい青に照らし出される姿はあまりにも美しい。

スレイマニエ・モスク(別名:スレイマニエ・ジャミィ)

1557年に建てられたモスク。
スルタンアフメト・モスクが世界一美しいモスクなのに対し、こちらはイスラーム建築の最高峰と言われます。
モスクは、中央の巨大なドームの重量を支えるために「象の脚」と呼ばれる太い4本の柱をドームの下に配置しているのですが、スレイマニエモスクは壁とアーチを上手く使ってドームの重量を隅に逃がしています。
ですので、よく見るとスルタンアフメト・モスクに比べて中央の柱が壁寄りにあるのが分かるかと思います。こういった設計が、イスラーム建築の最高峰と言われる由縁です。
それによって、中央に広い空間ができて、立つ者に宇宙の広がりを感じさせるそうです。
また、ドームと壁の継ぎ目も注目して欲しいポイントです。
四角い建物の上に、丸いドームを継ぐので、どうしてもすき間ができてしまいます。
その隙間を、埋め、重量をうまく逃がすムカルナス(鍾乳洞)と言われるパーツがあります。とても美しいので、注目して欲しいポイントです。
スレイマニエ・モスクではないのですが、特にアルハンブラ宮殿二姉妹の間のムカルナスはぜひ見て欲しいです。

イェニ・サライ(別名:トプカプ宮殿)

皇帝の住まいだけあって圧巻の豪華さ。
ハーレム(ハレム)にある、果実の間は他とは違った美しさがあります。
あと、上空から見るとハーレムがすっごく入り組んでいて、はげしい権力闘争があったんだろうなと感じさせます。

ダ・ヴィンチとミケランジェロの橋

レオナルド・ダ・ヴィンチが、イスタンブルに切れ込む金閣湾に掛ける橋の設計を依頼されました。
そこで、ダ・ヴィンチが設計したのが241mもあるのに橋脚が無いアーチ状の橋です。
とても意欲的な設計だったものの、残念ながら当時の皇帝によって、「そんなに長いのに橋脚が無くて支えれるはずがないだろ」と却下されてしまいました。
最近、MITが研究したところ、このダ・ヴィンチの橋は実現可能だそうです。
次に設計を頼まれたのが、ミケランジェロですが、自分がダ・ヴィンチの後釜だと知ると怒って帰ってしまいました。
作中では、金閣湾にダ・ヴィンチの橋を架けて、ミケランジェロの橋にはボスポラス海峡を担当してもらいました。
なお、ミケランジェロが設計した橋はこんな感じです。

ウルバン砲(別名:バシリカ砲、ダーダネルス砲、大型射石砲)

東ローマ帝国はすっかり衰退し、国土のほとんどをオスマントルコ帝国に奪われて、半島の先端のコンスタンティノープルだけになっていました。
しかし、コンスタンティノープルは鉄壁。
陸には3重のテオドシウスの城壁、海には船の侵入を阻む鉄鎖。
コンスタンティノープル内でも食料供給がある程度可能で、海岸線も多いため包囲の間隙を縫って外部からの補給も狙えます。
ローマでキリスト教が国教に定められた土地でもあり、攻めようとすれば他のキリスト教勢力からの援軍も考えられます。
そのようなわけで、イスラームからの15度にも及ぶ包囲に耐えてきました。
しかし、イスラームからしてもコンスタンティノープルは15回も狙ってきたくらい重要な土地。
「ムスリムがコンスタンティノープルを奪取した時にイスラームは最終的な勝利に近づく」というムハンマドの言葉もあり、コンスタンティノープルを陥落させる事は、覇者としてのステータスでもありました。
そこで、コンスタンティノープル攻略用に作られた兵器が、ウルバン砲です。
製作者のウルバンはハンガリー人。巨砲を作りたかったものの、ヨーロッパではないがしろにされ、オスマントルコに売り込みに来ました。
イスラーム、特に国交を考えていたオスマントルコは支配民にはとても寛大で、ウルバンのように西洋から才能ある人物や、異端扱いされたキリスト教の宗派を受け入れていたのです。
ウルバン砲は、全長8m、重量16.8トン、大人も入れる630mmの口径から放たれる岩の重量は500kg、射程距離16km、砲声を20km先まで轟かせる、当時世界最大のトンデモスペックでした。
あまりに重すぎるために、前後に2分割して牛60頭に引かせ、砲身の冷却のために3時間必要という男心をくすぐるロマン砲です。
これなら、鉄壁のテオドシウスの城壁も一撃だぜ! ……と思いきや、反動も規格外で着弾が上にズレてうまく当たらなかったとか。
開発者のウルバン達は、コンスタンティノープル攻略の際にウルバン砲の暴発によって亡くなっています。
本当かどうかは知りませんが、ウルバン砲の前にいた人間よりも後ろにいた人間の方が死んでいるという話もあります。
そんな、微妙感漂う兵器ですが、コンスタンティノープル陥落の象徴であったのは間違えないでしょう。
この後、コンスタンティノープルはイスタンブルと改名され、オスマントルコの首都となりました。

番外編

蛇の柱(プラタイアの三脚の土台)

作中には出しませんでしたが、コンスタンティノープルにはローマ以前の歴史的建造物もあるので紹介します。
蛇の柱は、コンスタンティノープル競馬場のそばにあるオブジェです。
元々は、BC479年のプラタイアの戦いで、ペルシャ軍の侵攻を退けたギリシア連合軍が戦勝記念に作った物です。
デルフォイのアポロン神殿に寄贈されました。ソクラテスの無知の知で有名な所です。
この時には、柱の上に蛇の頭、その上に金の三脚が乗っていました。
三脚は、ピュティア(神託の巫女として有名なシヴュラの亜種)が神託を受ける際に使うアイテムです。
それを、コンスタンティノス大帝がローマ帝国の新しい首都に遷都した時に取って(盗って)きました。
その後、エルサレム奪還に行く途中にいい物を見つけたからついつい略奪しちゃったぜ(てへぺろ)で悪名高い、第4回十字軍で三脚が盗まれ、蛇の頭が破壊され今に至ります。
デルフォイにあった時のイメージはこんな感じです。


(Ubi soft『Assassin's Creed® Odyssey』より)

オリンピアのゼウス像

これも、キリスト教徒が取って(盗って)きた代物です。
オリンピックで有名な、オリンピアのゼウス神殿にあったものです。
本体は杉ですが、金や象牙、黒檀、宝石などで飾られた豪華仕様、さすがゼウスの聖域に作られた像だけあります。
詳細は不明ですが、コンスタンティノープルだった時代に焼失した模様です。
そんなわけで、作中には出てきませんが、歴史的価値の高いものなのでここで紹介を。
オリンピアのゼウス神殿にあった時のイメージはこんな感じです。


(Ubi soft『Assassin's Creed® Odyssey』より)

タキ・アルディン

作中のキーパーソン、タキ・アルディンの発明を蒸気機関以外で1つ紹介したいと思います。
2気筒式揚水ポンプ(英語の動画です)
16世紀に、この発明はとってもクール。

アイオロスの球(別名:ヘロンの蒸気機関)

世界最古の蒸気機関にして、クルクル回るだけのオモチャ。
しかし、あなどってはいけません、想像以上に回ります。
その動画がこちら。回るのは2:30くらいからです。
現代の精度で再現された物とはいえ、蒸気の力ってすごいなと思わせる一品です。

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