flower spiral 2020/12/23 18:00

宣伝SSを完成したところからアップします。その⑥

来年初頭に発売予定の成人女性向けシチュエーションボイス作品、アルトボイス男子・桐野千歳の前日譚を少しずつアップします。
その⑥をアップしました~!


・宣伝ボイス(ちょびっと様)
紹介の所から商品予告のリンクがあります!

・販売予告
アルトボイス男子 桐野千歳 flower spiral https://www.dlsite.com/girls/announce/=/product_id/RJ309044.html

こちらで終わりです~!めっちゃ長くなってしまった。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
※後日、Pixiv様に載せます~!


・アルトボイス男子 桐野千歳、前日譚⑥


「桐野さんって、色んな美味しいご飯のお店を知ってますよね。今日食べた懐石料理、とっても美味しかったです……!」

「あの店は取引先の人と食べに行って、気に入ったところなんだ。季節でコースの内容が変わるらしいから、また行こうよ」

「はい! 楽しみです……。あっ、次は私にごちそうさせてくださいね」

「それは申しわけないな。君が大変じゃないなら、手料理の方が食べたいかも。前にもらった作り置きのおかず、どれも美味しかったし」

「わ、わかりました。なにかリクエストはありますか?」

「肉の料理がいいな。ハンバーグとかビーフシチューとか」

「……意外です。さっぱりした料理がお好きなのかと思ってました」

「基本的になんでも食べるけど、肉の方が好きなんだ。偏るとよくないから、気をつけてるだけだよ」

彼女と恋人同士になって一ヶ月が経った。
デートのディナーをすませた後、彼女が明日も休みだと知った僕は、自分が住んでいるマンションに彼女を誘った。

「……桐野さんはご飯を食べるところと、くつろぐ場所を分ける人なんですね」

先にリビングに入った彼女は、きょろきょろと見渡してから、僕の方に振り返る。

「うん。そっちのソファに座って。なにか飲むよね?お茶とコーヒー……紅茶もあるけど、どうする?」

「あ……えっと、お茶でお願いします……!」

「そんなに固くならないでほしいな。今日、君を家に誘ったのは、僕をもっと知ってほしかったからなんだ。……って、前にキスしといて説得力はないか」

先月のことを思い出したのか、彼女の頬がうっすらと赤くなる。

「君が可愛かったから、ついしちゃったんだ。ごめんね」

「い、いえ……謝らないでください!桐野さんにされたこと……嫌じゃなかったです」

「そう?じゃあ、これからは遠慮しないでおくよ」

「……へっ? それは、えっと……どういう意味でしょうか?」

質問を笑顔で受け流すと、彼女は「えっ?えっ!?」と慌てだした。
あたふたしてるの可愛いな、キスしたいなと思ったけれど、絶対にもっと緊張させることになるから今は我慢しよう。

「あの……桐野さん……?」

「ふふっ……ごめん。なにもないよ。ほら、座ってくつろいでくれるとうれしいな」

「は、はい……」

僕が出したお茶をゆっくり飲んで、ようやく緊張が解けたのだろう。
彼女は興味深そうに、再びリビングを見渡し始める。

「なにか気になるものでもある?」

「いえ、広くて整頓されたお家だなぁって思って」

「まぁ、余計なものは置かないようにしてるからね。シンプルすぎて怖いって言わたことあるよ」

「そうなんですか?私はインテリアとか食器とかで、桐野さんの趣味がわかって、素敵なお部屋だなぁって思います」

「よかった。また、遊びに来てくれる?」

「は、はい」

「せっかく家にきてもらったんだし、趣味以外のことを話したいな」

「なんでも聞いてください。私も質問します」

「なんだかお見合いみたいだ」

「そうですね。えっと、苦手なことはありますか?」

「なんだろう……あ、早口言葉とか苦手だな」

「東京特許許可局とかですか?」

「……噛まずに言えるの、すごいな」

「桐野さんも言ってみてください」

「君にかっこわるいところ見せたくないから、遠慮しておくよ」

僕が逃げると彼女はクスクスと笑う。

「家で仕事してると、あまり人と会うことってないんだよね。だから、コンビニで店員さんと話すとき、たまに声がかすれちゃう。君はそういうのなさそうだよね」

「一応、接客業ですから。あ……でも、あまり人と話すのは得意じゃないです」

「へぇ……そうみえないけどな」

「桐野さんは初めからお話しやすかったんです。優しくて、ゆっくりした話し方ですし。私が本のこと語りすぎても、引いたりしないで聞いてくださいましたから……」

「そう言ってもらえると、特別な感じがしていいね」

僕の返しに彼女は、はにかんでお茶を飲む。

「グラフィックデザイナーって、どういうお仕事なんですか?」

「ポスターとかパンフレットの制作依頼が多いかな。あ、パッケージデザインでイラストも書いたりするよ」

「キャラクターデザインみたいな感じですか?」

「そっちは専門外だな。あぁ、そうだ。ポートフォリオあるけど、後で見る?」

「みたいです!」

彼女が僕の仕事にも興味をもってくれているのがうれしい。
こうして、たくさん会話することで、お互いを深く知っていけるのはいいことだ。

(今日は、いつもよりたくさん話せて、よかったな)

寝室に行くと、先にお風呂からあがっていた彼女は、僕がさっき渡したポートフォリオを楽しそうにみていた。

「部屋、寒かったら言ってね。もう少し暖房の温度、あげるから」

「大丈夫です。あの……これも桐野さんが書いたんですか?なんだか他のものと毛色が違
いますよね?」

彼女が指しているのは日本酒の名称を筆文字で書いたものだった。

「あぁ、それは僕が書道を習ってた先生の仕事を引き継いだんだ」

「なるほど。迫力があって、カッコいいですね。色々出来るのって凄いです」

「ありがとう。先生の弟子として、恥ずかしいことはしたくないって思ってから、ほめてもらえて嬉しいよ」

「いつから書道は習ってたんですか?」

僕は少し長くなるよと前置きして、書道教室に行くことになったきっかけを彼女にした。

「ガサツな桐野さんって、想像つかないです」

「まぁ、無理やり男らしくなるためにしたことだから」

妹が僕の影響を受けて男勝りになり、大変だったんだと説明すると、彼女はクスッと笑う。

「……妹さん、かわいいですね」

「ありがとう。妹とは今も仲がいいんだ。今度、結婚するから、写真使ったムービーの制作頼まれたんだけど、ほとんど僕と写ってるやつばかりで、編集するのに苦労したよ」

「そうなんですね。子供の頃に桐野さん……気になります」

「よかったら、アルバムみる?」

「はい!!」

「ふふっ、わかった。仕事部屋に置いてるから、持ってくるよ。ちょっと、待ってて」

アルバムを手にして戻ると、彼女はそわそわした様子で僕をみつめてきた。

(あ……良いことを思いついた)

僕はベッドに座わってから、彼女に手招きする。

「こっちに来て。一緒にみようよ」

「えっ!?」

「その方が、写真の説明もしやすいし」

「わかりました」

恥ずかしそうにしながらも興味が勝ったのだろう。
隣に座った彼女の肩を後ろから抱いて、アルバムを開く。
彼女は赤ちゃんの妹を抱っこしている僕を見て、目を細めた。

「桐野さん、可愛い……。本当に美少女って感じですね……。あっ!し、失礼しました!」

「別にいいよ。改めて見ると懐かしいな」

ページをめくるたびに、僕と妹が成長していく。そして、問題のページにたどりついた。

「急に桐野さんがやんちゃっぽい感じになってますね」

「うん。これは、さっき話した時期の写真」

精一杯男らしくてかっこいいポーズをとる僕の隣で、妹も同じポーズをしている。

「妹さん、可愛いですね」

「僕の真似ばっかりするから大変だったよ。可愛いのは、可愛かったけどね」

彼女は丁寧にページをめくっていく。
書道教室の先生と妹、僕の三人でとった写真のところで、彼女の手が止まった。

「この人が、さっき言ってた先生ですか?」

「そうだよ。書道家で、デザイナーもしてる、すごく才能に溢れた人だったんだ」

去年、亡くなったんだけどねと言うと、彼女は悲しそうな顔をしてくれる。

「年をとって体は弱ってたけど、亡くなる直前まで楽しそうに仕事してるところを見てたから、不思議と悲しくはないんだ。本人は天国で「まだ働きたかった!」って、言ってるかもしれないけど」

先生は僕の人生を豊かにしてくれた。
彼が亡くなっても、大切な思い出は全て僕の心の中にある。

「先生のおかげで、僕は他人の言葉に振り回されずに自分らしく生きてこられた」

「尊敬できる人だったんですね」

「うん。……他人の言葉で傷ついたことがあるくせに、僕も人を外見や言動で判断しちゃうことがあるんだ。そのたびに先生の話を思い出して、気をつけるようにしてる」

「……」

「……なんだか、堅苦しい話になっちゃったかな」

「いえ、桐野さんのお話は、どんなことでも聞きたいです。楽しいことだけじゃなくて、難しいお話でも」

「……うん。ありがとう。僕も君の話を聞かせてほしいな。恋人として、君のことはなんでも知りたい」

「桐野さ……えっと、千歳さん」

「桐野さんでいいよ。……呼び方って自然に変わっていくものだからね」

「でも、恋人同士ですし。名前で呼びあうのが普通ですよね?」

「上辺だけ恋人同士っぽくなっても意味ないよ。僕は君と心の距離を近づけていきたんだ」

「私も……桐野さんと、もっと恋人らしくなるために、距離を……近づけたいです」

彼女はアルバムをみるのをやめて、よりかかってきた。
僕と同じバスソープの香りがして、鼓動が速くなっていく。

ゆっくりと関係を進めていくつもりだったのに。
僕の恋人らしくなろうとする態度がいじらしくて、もっと彼女が欲しいと思ってしまった。

「それじゃあ、してみようか。……恋人らしいこと」

「え?……んっ」

顔を上げた彼女に軽いキスをしながら、身体を横抱きして、膝の上にのせる。

「っ、はぁ……ぁ……んぅ……桐野さ……」

「……君が大丈夫なところまでしかしないから。……だめ?」

「あ……」

うつむきかけた彼女の頬に片手をそえて、僕から目をそらせないようにする。

「ちゃんと答えてくれないと、僕の都合の良い方に考えちゃうよ」

「桐野さん……」

腰に回していた腕に力を込めると、彼女はぎゅっと目を閉じる。

「っ……してください……桐野さんの考えてる、恋人らしいこと……」

彼女は目をつぶったまま、嬉しい答えをくれた。
僕は唇を彼女の耳に近づけて、囁く。

「僕のわがままを聞いてくれて、ありがとう。愛してる……」

「っ」

彼女の頬に振れていた手をおろして、寝間着のボタンを外してく。
露わになった素肌が、とても柔らかそうで僕の情欲を誘う。

ナイトブラをずらし、左胸を手で包み込むようにして揉むと、彼女は小さく声をもらした。

「っ……ぁ……あっん……」

「ふふ……今の声、すごく可愛い」

僕が耳にキスをしながら、くすぐるように話すと、彼女は身をよじって逃げようとした。
それを阻止して、胸の先を優しく撫でたり、つまんだりして刺激する。

「や……ぁう……ん、きりの、さ……あ、あぁっ……やっ」

「ん?どうしたの?」

「ひ、ぁ……んっ、耳、あぅ……ん、ぅ……んっ……!」

「声、我慢しないで……」

「あっ……だめ……こんなおかしな声、桐野さんに……聞かれたく、ない……っぁ、やっ、あっ……!」

「逆に声を出してもらわないと、嫌な気持ちにさせてるのかなって、僕が不安になるよ?」

「はぁ……んっ……そ、そうですか?」

「うん。……だから、恥ずかしがらないで、君の声を聞かせてほしいな」

「っ……わかりました……。んっ、はぁ……あっ……あっ……んっ……」

彼女は息を乱して、僕にされるがままになる。
素直な反応が嬉しくて、もっと彼女がとろけている姿をみたくなった。

胸を触るのをやめて、下腹部の秘められた場所に指で触れる。

「ひっ、ぁ……!?」

まだそれほど身体を愛撫していないのに、彼女の秘所は愛液で濡れはじめていた。
秘唇を指でなぞると、彼女は両足をびくりと跳ねさせる。

「き、桐野さん……あっ……あぅ……んっ……」

「ここ、触られるのは、まだ怖い?」

「んっ……いえ、だいじょうぶ……です。でも、くすぐったくて……変な感じがします……」

「ふふ……そう。……これは?」

両足を少しだけ広げさせて、花の芽みたいになっているところを指先でいじる。
すると、彼女の嬌声が、ひときわ高くなった。

「っは、ぁんっ……あっ、そこ……あ、あっう……」

「気持ちいい?」

「は、はい……。ひぁ……! んっ……」

「じゃあ、僕におねだりしてみて。もっと、ここをいじってほしいって」

「っ!?」

目でもう一度促すと、彼女は羞恥に震えながら、唇を開いた。

「……も、もっと……桐野さんに、してほしい……です」

「うん。いいよ」

溢れた愛液で、とろとろに濡れて充血しているその場所を、指先で丁寧に触る。
彼女はすぐに反応して、より淫らで甘い声を響かせた。

「ぁあ、や、ぁんっ、あ、あぅ……あっん、やっ……」

「んっ……乱れてる君、すごくそそる」

「私……こんな……んっ、あぅ、あ、やっ……」

「ふふ……こっちもいっぱい濡れて、さっきより柔らかくなってきた。中に指、いれてみるね」

「ひっ……ああっ……!?」

ぐちゅりと音を立てて、すんなりと僕の指が彼女の中にはいる。

「ん、ぁ、あっ……」

「僕に触れられて、君のここ……どんどんいやらしくなっていくね。このまま指を動かしたら、君はどんな反応を見せてくれ――」

「っ、やっ、あっ、桐野さん……!きりのさ……待って、ください……!」

「なに?」

怖がらせたかなと、高ぶっていた気持ちを無理やり落ち着かせる。
指をそっと中から抜くと、彼女は僕を上目遣いでみてきた。

「言い方が全部……その……え、えっちです……!いじわるは……ひ、控えてください……!」

「……」

なぜか、怒られてしまった。予想外の抗議に僕は――

「ぷっ……」

思いっきり声をあげて笑ってしまった。
彼女の肩に額をくっつけて、笑うのをとめようとして、失敗する。

「ご、ごめん……つぼにはいっちゃって……ふふっ……」

「どうして、笑うんですか……!?」

「いや、だって、これからそういうことするんだし、まぁ、普通にエッチなことくらい言うよね」

「普通……?これが、普通なんですか?羞恥プレイというものじゃなくて……?」

「しゅうち……?もしかして僕に、意地悪されてると思ったの?」

「そ、それは……えっと、あの……」

しどろもどろになっている彼女をみて、僕は少し困らせたくなってしまった。

「こんなのいじめてるうちにはいらないよ。――どういうのが意地悪になるのか、教えてあげる」

僕の言葉で、彼女の体温が一気にあがった。
顔が真っ赤にして黙ってしまった彼女を追いつめるように囁く。

「……ところで、君の口から「羞恥プレイ」なんて単語がでたの、すごく意外だな」

「っ、それは……き、気にしないで……ください。私が言ったことは、忘れてください……!」

「それはできないな。今は君を困らせたい気分なんだ」

「えっ!?」

「君、さっき意地悪は嫌っぽいこと言ってたけど、すごくここは反応してるよね?」

「それは……あっん……」

「君は僕に「意地悪」されて、気持ちよくなっちゃってるんだよ。――やらしい子」

反論を聞く前に、下腹部への愛撫を再開する。
僕が指で赤く熟れきった秘芯を上下に擦ると、その動きにあわせて彼女の身体がしなった。

「はぁ……はっ……あっ……ん……あ、やっ、あ、ひぁっ……あぁっ……!」

「ふふ……もういっちゃったの?中でなくてもいけるなんて、君の方が、僕よりもよっぽどエッチだ」

「ち、ちがい、ます……あ、はぅ……」

「違わない。ほら、君の腰、物足りなそうに動いてる。次は中でいってみようか?」

「だ、だめ……ぁ、ああっ……」

指をさっきより深く入れて曲げると、とろり中から愛液が溢れてきた。

「んっ……あっ……指、奥……あぁっ……」

「想像してみて?これから君はここで僕とつながって、もっと濡れていくんだ」

「あ、あぅ……はぁ、あ……んっ……」

「ふふ……中、ひくひくしてるね。いったい、どんななふうにされるって、想像したの?」

「い、いえません……!」

「そう。……僕に言えないような、やらしいこと、考えたんだ?」

「ち、違います……ぁんっ……」

「じゃあ、どうして君のここは、こんなに僕の指にすいついてくるの?」

「き、桐野さんに触られて、勝手に体が……おかしくなってるんです……。だから、私のせいじゃ……ない、です。……あぁっ!?」

「否定できるなんて、まだ心に余裕がある証拠だね。……僕は素直な君の方が好きだな」

「や、あぁっ、ゆび、動かしちゃ、あ、あぁっ」

「君って、わかりやすい反応するから、可愛がりがいがあるよ」

「ん、あぁっ、きりの、さ……あ、あんっ、あぅ……」

耳を舐めながら、わざと音が大きく聞こえるように、指を中で激しく動かす。
喘ぐことへのためらいをなくさせるくらい、彼女を溺れさせたい。

「ひっ、だめ……あ、あんっ、あぅ、あ、ひぁ……」

彼女の声が淫らさを増していく。その声に僕自身も興奮して息が乱れていく。

「ん、んっ……あっ……んっ、あっ、ひっ、あぁっ……!」

擦っていた中がびくびくと痙攣して、僕の指を締めつけてくる。
彼女が達したことがわかって、下腹部が熱くなった。

「はぁ……はぁ……んっ……はぁっ……」

僕にもたれかかって、彼女は荒い呼吸を繰り返している。

「ごめん、ちょっと意地悪しすぎたかな?」

「いえ……あの、桐野さん……」

「なに?」

「私、認めます……。桐野さんの言ったとおり……私、えっちです……。桐野さんに触られると、すごく気持ちいいです」

震える声が可愛くて、たまらない気持ちになって、彼女の唇を強引にふさぐ。

「んっ……はぅ……んぅ、っは……」

「はぁ……んっ、ふ……はっ」

彼女は、とろんとした表情で僕の行為を受け入れてくれる。欲情を押さえきれず、僕は彼女の舌をむさぼる。

「はぅ……んっ……ぁ、あっ……ふぁ……あっ……」

彼女は僕の体の変化に気づいたのか、びくりと肩を震わせた。

「ごめん、怖いよね。君が嬉しいことを言ってくれるから、興奮しちゃった」

「……あやまらないでください……私も……桐野さんに触られてから、ずっと……どきどきしてます」

「……もうしてもいい?指じゃなくて、君と繋がりたい」

「っ!」

彼女は涙を浮かべたまま、ちいさく何度も首を縦に振った。

「ふふっ……可愛い」

彼女の額と唇にキスをしながら、これ以上、理性を失わないようにしなくては考える。
たぶん、彼女は僕が初めてだ。

できるだけ、痛い思いはさせたくない。
大切に、優しく愛してあげたい。

腕を伸ばして、ベッドの近くにある小物ケースからゴムを取り出す。
僕も着ているものを全て脱いで、ベッドに彼女の体を倒した。

覆い被さったまま、柔らかい唇を味わうように、何度もキスをする。

「ぅ、はぁ……ふ……んぅ……っは……きりのさん……」

「ん……なに?」

「桐野さんとキスするの、好きです……うれしいです……」

「っ! ……煽るようなこと、言わないで。我慢できなくなる……」

「ん、がまん……しないで、ください。私、ちゃんと今……貴方に触れられて、気持ちいいと思ってます」

「……!」

「だから、なにも怖くないです……」

頬を染め、まっすぐ僕を信頼してくれる彼女が愛おしい。

「……君が好きだよ」

もっと伝えたい気持ちがあるのに、簡素な言葉しか、でてこなかった。それなのに、彼女はとろけるような笑みを浮かべてくれる。

「私も、桐野さんが大好きです」

「うん。……ありがとう」

もう一度だけ唇にキスをしてから、彼女の秘所に昂ったものをくわえさせる。

「んっ……いれるよ。あっ……うっ!」

「っあ、あっ、あぁっ……!」

ゆっくりと腰をすすめて、彼女と繋がる。

「っは……はぁ……よかった……大丈夫そうだね」

「う……はい、きりのさんが……優しくしてくださってるから……。っあ、でもっ……」

「安心して。僕も、ちゃんと気持ちいいよ」

「……あ」

キスをしながら、ゆるゆると腰を動かす。
彼女との行為は、体が全部溶けていくような錯覚に陥りそうなる。

「あぁ、あ……あっん……」

「んっ、ここ……よかった?」

「っ……はぁ、あ、それは……あっ……はぅ……」

「いいみたいだから、いっぱいしてあげる」

「ひぅ……あ、そんな……わたし、ばっかり……!っあ、あぅ、あっ……」

中を突くたびに彼女はベッドのシーツを掴んだまま、せっぱつまった嬌声をあげる。

「もう、いきそう?」

「ん、ぁう、わからないです……。気持ちよくて、わたし、あっ、んっ、あっ、ふぁ、あぁっ」

「くっ……はぁ……はっ……奥……はいってるの、わかる?」

「はい……指と、ぜんぜん、ちがって……あっ、きりのさんの、熱が……つたわって、きます……あ、あぁっ、あぅ」

「ふふ……君って、素直でやらしい……。最高だな……」

「っ!きりのさ……あぁっ、や、あんっ、あぅ、あっ……」

僕が激しく動いても、彼女は快楽に濡れた甘い声で喘ぐ。
もう遠慮しなくても平気だろう。
僕は自分の思うままに欲望を解放して、彼女と深く愛し合った。




「ん……」

いつの間にか僕は眠っていたらしい。
人の温かい気配を感じて、目を開けると、彼女の背中が見えた。

すこし距離が離れていることに不満を感じた僕は、腕を伸ばして彼女の体を引き寄せる。

「っ、桐野さん……」

「……おはよう」

「おはようございます。ごめんなさい、起こしちゃいましたか?」

「いや、勝手に目が覚めただけ。それよりも……」

携帯の画面が目に入る。彼女がみていたのは、賃貸の見取り図だった。
彼女の体を後ろから抱きしめて、画面をのぞきこむ。

「……引っ越しするの?」

「本を買い続けているからから、狭くなってしまって……。次の更新が三月なので、それまでにどうするか決めるつもりです」

「今より広いところって、家賃とか大変じゃない?」

「さらに都心から離れたら、家賃が安くて、もう少し広いところがあるんです。でも、通勤費が増えてしまうしまうし、どうしようか悩んでます」

彼女は小さく息をはいて、携帯に視線を戻した。
僕は彼女から携帯をそっと取って、ベッドの端に置く。

「良い解決方法があるよ。僕と一緒に暮らさない?」

「え?」

「広いマンションを借りたら、書庫も作れるし。君させよければだけど……どう?」

「そんな……桐野さんにご迷惑がかかりませんか?」

「大丈夫だよ。物件とか、僕も探しておいていいかな?できるだけ、君の職場に近いところにするね」

「あ、ありがとうございます。よろしくお願いします」

「ふふ、断られなくて、よかった」

「断るなんて、絶対にないです」

彼女は体を僕と向き合うようにして、くっついてきた。

「私は桐野さんと出会って、好きなことが増えました。だから、一緒に暮らせたら、もっと毎日が楽しくなりますよね」

「……!」

「桐野さん?」

「いや……僕たち本当に気が合うなと思って。僕も君と同じ考えだったから」

彼女と出会う前の暮らしも、不満はなかった。
けれど、好きなこと、楽しいと思えることを一緒に共有できる相手がいるのも良いことだ。

そんな風に考えられる相手――君に出会えて、本当によかったと思う。

「最初、君に女性に間違われて、よかったかも」

「どうしてですか?」

「だって、男だってわかってたら、ここまで親しくなれなかったかもしれないよね?」

「……どうでしょう?確かに、男の人だとわかっていたら、お泊まりには誘わなかったと思います。あ、でも……」

彼女は頬を染めて、ぽつりと言う。

「どちらにしても、私はいつか桐野さんを好きになってたと思います。貴方の人柄が、好きでしたから」

「……そう」

「っ、桐野さん……!?」

嬉しい言葉に、口元が綻ぶ。
ありのままの僕を愛してくれている彼女を、絶対に離したくない。
そう思いを込めて、僕は彼女を強く抱きしめた。

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