whisp 2020/06/02 21:31

まいてつ:稀咲読み聞かせ『きつねのみそしる』+キャンペーン&クーポン活用情報!(進行豹

こんばんわです! 進行豹でございます!!!

あやかし郷愁譚の購入特典で
https://www.dlsite.com/maniax/promo/ayakashinostalgia

『まいてつ読み聞かせボイスドラマ』 全7話

が、18作品コンプリート特典としてついてくることになりました!!!

内訳は以下の通りです!

・日々姫 「長靴をはいたネコ」
・ポーレット 「犬が言葉をなくしたおはなし」
・れいな 「炭鉱の白犬」
・ふかみ 「うさぎのもちつき」
・凪 「清柾公(せいしょこ)さんの虎退治」
・真闇 「ネコ岳の猫」
・稀咲 「きつねのみそしる」



でもって本日!


『あやかし郷愁譚 ~いんがめ ほゆる~』がリリースされ!

ほゆるちゃんには! 『whisp作品80%オフまとめがいクーポン』が付随してくるため!!

いかの恐るべきコンボで、上記「18作品コンプリート特典」が、驚くべき安価でゲットできることとなりましたのです!


その手順です!!!


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【初手】

『あやかし郷愁譚 ~いんがめ ほゆる~』
https://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ282631.html

を購入する。

なにか値引きクーポンとかもってたら、それを適用すると更にお得



【2手目】
80%オフクーポンが配給されてるのを確認してから

『10本まとめ買い4400円セール』の中から、

A:あやかし郷愁譚作品を17本以上
https://www.dlsite.com/maniax/campaign/matome202005?keyword=あやかし郷愁譚&group1[0]=music

と、
キャンペーン全対象作品
https://www.dlsite.com/maniax/campaign/matome202005?group1[0]=music

からその他お好きなのを、『「A」とあわせて20本』になるようにカートにいれる


【3手目】
購入時に80%オフクーポンを適用する。
すると、(4400円+4400円)* (1-0.8)=『1760円』 で、上記18特典をすべてゲットできてしまう


/////////////


のでございます!!!!

「まいてつ」も! 「ものべの」も!!! サントラも大増量ディスクもボイスドラマ群も画集も! です!!!!

おそらくここまで空前絶後な規模のキャンペーン+割引コンボはなかなかないのではないかと思いますので!

「これからあやかし郷愁譚聞き始めるよ!」という方だけでなく
「『まいてつ』『ものべの』やってみたい! という方におかれましても、ぜひぜひご活用ご検討いただけましたら幸いです!!


と、いうことで台本紹介!

本日は「まいてつ」けもみみランジェリー安眠読み聞かせボイスドラマシリーズ全7作品の大トリ!

稀咲先輩の 『きつねのみそしる』でございます!!!

稀咲先輩の読み聞かせの話であると同時に、稀咲先輩生涯(いまのとこ)たったいちどだけの「読み聞かせしてもらったときの思い出話」でもございます!

ぜひ!



///////////////
;稀咲、きつねランジェリー特典ボイスドラマ
;『稀咲読み聞かせ「きつねのみそしる」』
;進行豹 v100_2016/12/21_v110_161222


;以下、セリフは全て稀咲
;タイトルコール

「宝生稀咲、きつねランジェリー抱きまくら特典ボイスドラマ
『稀咲の読み聞かせ『きつねのみそしる』」


;本編


「……ふぅ。疲れた。
キミも、一日お疲れ様だね」

「約束のもの、持ってきたよ?
急に読み聞かせなんてねだられるから、
少し、苦労をさせられた」

「ああ――ボクは、あまり経験がないんだ。
その、『読み聞かせをしてもらう』ということのね」

「だけど、たった一度だけ。
父に読み聞かせてもらったことがあって――」

「あるいは、覚えていないくらい昔に。
それこそ、赤ちゃんだったときとか。
もっとたくさん、読み聞かせてもらってたのかもしれないけれど」

「だけど、ボクが今記憶してるのは、
たった一度の読み聞かせだけ」

「それも、ふふっ――
まぁ、父らしいお話でね。
だから、覚えているのかもしれないけど」

「ボクも一緒に横になる。
そうしながら、キミに、読み聞かせてあげたい」

「だって、さ……甘えたいんだよね?
読み聞かせなんて、急にねだってくるってことは」

「いいよ、甘えて。ボクにだけは。
ボクだけが知ってるっていうのもね、
フフっ、なかなかに優越感なんだ」

「キミがほんとは、
こんなに甘えっこだってこと」

「だから、優しく読んであげる。
といっても――さっきもいったけれど、
読み聞かせてもらった経験自体、あまりないんだ」

「正直、上手にできるとは思えない。
でも君のため。
愛情をたっぷりこめて、大切に読む」

「君とボクとの赤ちゃんが産まれてきたときの――
ふふっ、予行演習にもちょうどいいしね」

「それじゃあ、読もうか。
目を閉じて? ボクの声に――甘えて、聞いて?」

「『きつねのみそしる』」



;以下読み聞かせ

『ある山奥に、きつねとたぬきが住んでおりました』

『きつねとたぬきは 友達でした。
きつねはこまめでめんどうみが良く、
たぬきはずぼらでめんどうくさがりでした』

『きつねには得意がありました。
けものとでも鳥とでも虫とでも、だれとでもなかよくできるのです』

『たぬきには得意がありました。
山のものでも、川のものでも、地面の下にあるものでも、
おいしいものをたくさん知ってて、もっとおいしくお料理できるのです』

『ある日のことです。
きつねのおうちにたぬきが遊びにやってきました』

『「お誕生日おめでとう」
会うなり、たぬきはいいました。
「お誕生日のお祝いに、ひとつおくり物をしたいのだけど、
なにがいいかな」』

『きつねはよろこんで答えます。
「どうもありがとう たぬきさん、
たぬきさんちのおいしいものを、どうかごちそうしてくださいな」』

『たぬきはしょんぼり、おなかをかきかき答えます
「ごちそうしたいのはやまやまだけど、
いまは食べ物を切らしてる。
干したコンブしか残ってないんだ」』

『キツネはえっちら、いい匂いのするカメを持ってきます。
「それならここに味噌があるから、味噌汁作ってくださいな。
みんながおいわいにきてくれるから、たあんとできたらうれしいな」』

『「味噌汁でいいならよろこんで。
きみんちでいちばん大きななべて、たあんとこしらえてあげるから」
たぬきは急いでいえにかえって、干したこんぶを持ってきます』

『大きなお鍋にいっぱいいっぱいのみずをはり、
干したコンブをその中にいれ、火にかけ、ぐつぐつ煮込みます』

『「おいしいおだしがとれたかな。
味噌をときいれ味噌汁つくろ」』

『「味噌とくまえに たぬきさん。ひとつおしえてくださいな。
この中に、おいしいものをいれるなら、なにがいっとうよろしいかしら」』

『「たったひとつならきのこがいいよ。
しめじを いれるとおいしいね」』

『そこヘトカゲがお祝いをしにやってきました。
きつねは、すぐさまトカゲにお願いしてみます。
「まっくら森のリスのところで、
しめじを たあんと たのめるか、ひとつ訪ねてくださいな」』

『「おまかせください、ごあんしん。
きつねさんのお誕生日のお祝いに、ご用をつとめてまいりましょう」』

『トカゲがしゅるしゅる はっていきます。
もどるときには、リスといっしょ。
リスは しめじでいっぱいの かごをせおってまいります』

『「きつねさん、お誕生日おめでとう。
おいわいなにかと悩んでいたが、しめじがほしけりゃあげましょう」』

『きつねはしめじをうけとって、
たぬきにどうぞと渡します。
たぬきはぽおんと、おなかをひとつならします』

『これは上等、よいしめじ。
さっそくおなべにいれようね』

『干したコンブとしめじがはいって、ぐつぐつ、ぐつぐつ。
おなべがだんだん煮立ってきます』

『「おいしいおだしがとれれたかな。
味噌をときいれ味噌汁つくろ」』

『味噌とくまえにたぬきさん、ひとつおしえてくださいな。
この中に、おいしいものをいれるなら、なにがいっとうよいかしら』

『しめじがあるなら ごぼうがいい。
ごぼうをいれるとおいしいね』


『そこヘミミズがお祝いをしにやってきました。
きつねは、すぐさまミミズにお願いしてみます。
「しめった土のもぐらのところで、
ごぼうを たあんと たのめるか、ひとつ訪ねてくださいな』

『「おやすいごよう、ひともぐり。
きつねさんのお誕生日のお祝いに、おつかいをしてまいりましょう」』

『みみずがにょろにょろもぐっていきます。
もどるときには、もぐらといっしょ。
もぐらはごぼうでいっぱいの かごをせおってまいります』

『きつねさん、お誕生日おめでとう。
おいわいなにかと悩んでいたが、ごぼうがほしけりゃあげましょう』

『きつねはごぼうをうけとって、
たぬきにどうぞと渡します。
たぬきはぽんぽこ、おなかをふたつならします』

『これは上等、よいごぼう。
さっそくおなべにいれようね』

『干したコンブとしめじとごぼうが、ぐつぐつ、ぐつぐつ。
おなべがだんだん煮立ってきます』

『「おいしいおだしがとれたかな。
味噌をときいれ味噌汁つくろ」』

『「味噌とくまえにたぬきさん、ひとつおしえてくださいな。
この中に、おいしいものをいれるなら、なにがいっとうよいかしら」』

『「ごぼうとにんじん なかよしこよし。
にんじんをいれるとおいしいね」』

『そこヘちょうちょがお祝いをしにやってきました。
きつねは、すぐさまちょうちょにお願いしてみます。
「かわいた野原のウサギのところで、
にんじん たあんと たのめるか、ひとつ訪ねてくださいな」』

『「いい風ですし、よろこんで。
きつねさんのお誕生日のお祝いに、ご用事たしかに引き受けましたわ」』

『ちょうちょがひらひらて風にのります。
もどるときには、ウサギといっしょ。
ウサギはニンジンでいっぱいの かごをせおってまいります』

『「きつねさん、お誕生日おめでとう。
おいわいなにかと悩んでいたが、ニンジンほしけりゃあげましょう」』

『きつねはニンジンうけとって、
たぬきにどうぞと渡します。
たぬきはのおなかは、ぽんぽこぽん。
[三度'さんど]、たからかにひびきます』

『これは上等、よいニンジン。
さっそくおなべにいれようね』

『干したコンブとしめじとごぼうとニンジンが、ぐつぐつ、ぐつぐつ。
おなべがだんだん煮立ってきます』

『「おいしいおだしがとれたかな。
味噌をときいれ味噌汁つくろ』

『味噌とくまえにたぬきさん、ひとつおしえてくださいな。
この中に、おいしいものをいれるなら、なにがいっとうよいかしら』

『ニンジンときたら さといもがほしい。
さといもあれば ごちそうだ』

『そこヘスズメがお祝いをしにやってきました。
きつねは、すぐさまズズメにお願いしてみます。
「しずかなお山のイノシシのところで、
さといもたあんと たのめるか、ひとつたずねてくださいな」』

『「おやすいごよう、ひとっとび。
きつねさんのお誕生日のお祝いに、わたしがお願いしてきます」』

『ズスメはちゅんちゅく飛んでいきます。
もどるときには、イノシシといっしょ。
イノシシはさといもでいっぱいの かごをせおってまいります』

『「きつねさん、お誕生日おめでとう。
おいわいなにかと悩んでいたが、さといもほしけりゃあげましょう」』

『きつねはさといもうけとって、
たぬきにどうぞと渡します。
たぬきはのおなかはぽんぽこぽこぽん!
空の上までなりひびきます』

『「これは大きく素敵なさといも。
さっそくおなべにいれようね」』

『干したコンブとしめじとごぼうとニンジンとさといもが、ぐつぐつ、ぐつぐつ。
おなべがだんだん煮立ってきます』

『「おいしいおだしがとれれたかな。
味噌をときいれ味噌汁つくろ」』

『たぬきは火からお鍋をおろし、
お味噌をちろちろ ときいれます』

『そうしても一度お鍋を火にかけ――
あまぁいあまぁいお味噌のにおいが、
きつねさんのおうち いっぱいにひろがります』

『「さぁできた。
きつねさんのお誕生日のお味噌汁!」』

『たぬきの声に、みんなわあっと、
お鍋にかけよりかこみます。
けれどもすぐに、あれれと首をかしげます』

『イノシシが えんりょをせずにいいました。
「おいたぬきどん。これは味噌汁じゃないだろう。
どこをどうみても芋の味噌煮だ」』

『鍋をどれどれと覗き込み、たぬきもびっくりぎょうてんです。
「なんとびっくり、味噌汁つくったら芋煮にバケた!
さすがきつねの味噌汁だ」』

『みんなそうかと感心します。
なるほどきつねの味噌汁ならば、どんな料理にもバケそうです』

『「さぁさぁみなさん、冷めないうちにいただきましょう」
きつねの声に、めいめい、ごはんの準備です』』

『きつねとたぬきとトカゲとリスと、
みみずともぐらとちょうちょとウサギ、
スズメとイノシシ、みんなそろって
「いただきます」
お鍋をわいわい、つつきます』

『そのおいしいこと、たのしいこと。
みんなにこにこ、おなかいっぱいになりました』

『「きつねさん、お誕生日のおいしいうたげに、
おまねきくださりありがとう」
「こちらこそ、おいしいお祝いをありがとう」』

『トカゲとリスが、かえるみちみち話します。
「しめじをもってきただけで、こんなごちそうたべられて、
おおいにもうけた、とくをした」』

『みみずともぐらが、かえるみちみち話します。
「ごぼうをもってきただけで、こんなごちそうたべられて、
おおいにもうけた、とくをした」』

『ちょうちょとウサギが、かえるみちみち話します。
「ニンジンもってきただけで、こんなごちそうたべられて、
おおいにもうけた、とくをした」』

『スズメとイノシシ、かえるみちみち話します。
「さといももってきただけで、こんなごちそうたべられて、
おおいにもうけた、とくをした」』

『みんながそれぞれ帰っていくと、
きつねもたぬきにお礼をいいます』

『「本当にありがとうたぬきさん。
お祝いにきてくれたのに、
はたらかせちゃってすまなかったね」』

『「みそしるつくるくらいなら、はたらいたうちにはいらない。
干したコンブをひとかけで、こんなごちそうたべられて、
おおいにもうけた、とくをした」』

『たぬきもおうちにかえっていきます。
あとかたずけをきちんとすませ、きつねもにっこりわらいます』

『「みんながあんなによろこんだ。おおいにもうけた、とくをした!」』

『「とっぴんぱらりのぷう」』


;読み聞かせここまで


「ふふっ――おしまい、だよ」

「このお話を探し出すのが大変だった。
なにせ、ほら。ビジネス雑誌のバックナンバーだ」

「父に聞いても、すぐには思い出してくれなくてね。
『きつねがタヌキと一緒に、
いろんな動物から食材をもらって、芋の味噌煮を作るお話』
っていってもさ、全然ダメで」

「ダメどころか、
『ウチの娘は頭を強く打ちでもしたのか』って顔で見るんだ。
だからボクも、意地でも思い出させたくなってね」

「一生懸命頭をひねって、
思い出したことをかたっぱしから伝えてみて」

「それで――
『大いにもうけた、得をした』っていったらさ、
とたんに父が! 『ああ、そんな話もあったなぁ』って」

「ははっ、あの人らしいよね。
それで、本人も読みたくなって、
秘書に探させたらしいんだ」

「けどね、秘書さんも忙しい。
なかなか見つけてくれなくて」

「待ちきれなくてさ。
……キミを待たせ続けたくもなかったし。
それで日々姫に、古本の探し方を教わったんだ」

「古本って、買ったことがなかったんだよ。
最新の、業務に関係してくる出版物をチェックするだけでも、
ボクの乏しい読書時間は、すぐにいっぱいになっちゃうから」

「で。日々姫から話がつたわって、他のみんなもそれぞれ、
あれこれ教えてくれて」

「最終的にはポーレットだった。
彼女は、やはり――
こういってはなんだけれども、マニア、なんだね」

「[蛇'じゃ]の道は[蛇’へび]とはあのことだ。
マニア特有のつながり、っていうのかな?
古本屋さんから古本屋さんに話がとおって――」

「最終的には、なんと福嶋の古本屋さんからのお取り寄せだ。
廃刊になった、しかもビジネス雑誌の古本なんて、
まったく需要がなくなるんだなと、つくづく思った」

「そりゃそうだよね、
廃刊になってるビジネス書。
そこに書かれたビジネス成功のコツだとか?
なんの説得力ももたないもの」

「けれど、ボクにはこの一冊は有益だった。
たぶん――どんな成功者の記したビジネス書より」

「だってさ、みんなが探してくれたんだ。
ボクのために――それこそ、『キツネのみそしる』みたいに」

「そう考えたら……
あの人――父が、たった一回の読み聞かせをしてくれた理由も、
なんとなくわかるような気さえしてきた」

「教条的、だよね? このお話は。
たぶん、なにかの童話だか民話だかを下敷きにして、
『大人のためのビジネス童話』に仕立て直しをしたのかな?」

「いろんな教訓、詰め込んであるんだと思うんだ。
例えば、――例えば。
『優秀なリーダーの存在は、
個々の仕事を和ではなく積とすることができる』とか?」

「でなければ、
『うまく働かせるコツは、
仕事の総量を負荷を感じない単位まで切り分けることにある』とか」

「上司が部下に読ませて、したり顔で聞いたりもできそうだよね。
『さて、このお話でもっとも“儲けて得をした”のは誰だと思うかね?』とかさ」

「答えを聞いたら、またどドヤ顔で、
『ほう、そう考えた理由は?』って聞くんだ。
直接の上司にいたら……ちょっと対応が面倒かもしれないけど」

「でもさ、銀行では――どこの会社でもそうなのかな?
結構いるんだ、そういう、例え話で仕事のお説教をしたがるタイプ」

「自分たちを、戦国武将に見てたりとかも多くない?
『部長はノブナガタイプだな』とか」

「それで仕事が楽しくなるならなによりだ。
けど、危ないとも思う。
一度でも型にハメてしまえば、どうしてもその眼鏡で見てしまう」

「ノブナガタイプにふさわしい言動の印象だけが強化されて記憶され、
そうでないものは無視されるようになる――とかね」

「その結果、『本人』をきちんと見なくなる。
タイプだけで判断し、パターンで処理しようとしてしまうようになる」

「危ない、よね。
効率的といえば効率的ではあるのかもしれないけれど――」

「だけど、人はそんなに単純じゃないから。
装いもするし、嘘もつくし――
思いもかけぬ美しさを見せてくれることだって、ある」

「タイプだけをみて、そういうところが見えなくなったら……
っと、と。いけない。
ボクもどうやら例外にもれず、この手の話が大好きみたいだ」

「父もあのころは若かったから――
ひょっとしたなら、ボクを相手にそういう話の……
いわば、実験? したかったのかもしれないね」

「ボクももちろんこどもだったけど……
まぁ、たぶん相当にマセてたし――
父はさ、ボクの頭の良さを、ずいぶんと過大評価してるから。昔から」

「だけど、結局はこどもだし。
夜でねむいし、うとうとしてるところに、あの話だろ?」

「もう、思うのはきつねの味噌汁のことばっかりさ。
『しめじおいしそう、ごぼうおいしそう、にんじんおいしそう、さといもおいそう』って」

「で、ドロンとばけての芋煮だろう?
それは食べたい、こどもだったら、誰だってたべたくなるよ」

「それが、顔に出てたのかな?
父は、なんにも聞かなかった。感想ももとめなかった。
ただ……ああ、そうだ。撫でたんだ」

「とてもめずらしいことだから、
『おっきなおてて』ってびっくりした。
大きな手で、ボクの頭をやさしくなでて、『おやすみ』っていって」

「ふふふっ、そうだ。思い出したよ。
次の日の晩御飯は、里芋の味噌煮――ううん、きつねのみそしるで!
ボクはね、生まれてはじめて、『食べ過ぎておなかが苦しい』っていうのを経験したよ」

「あー、いいね。読み聞かせはいい。
いろんなことを思い出して……少し、こどもに帰れるみたいだ」」

「……ふふっ、今日のキミはあまえっこのあかちゃんだからね。
食べたくなっても、むしろ、当然のことだと思うよ?」

「というか、ボクも。食べたくなるってわかってた。
だから、材料は買ってある。明日は少し早く帰って、一緒に、“きつねのみそしる”を作ろう。
作ってたべよう。おなかいっぱい」

「……しあわせ、だよね。そういうのって」

「たくさんの幸せをを感じさせてくれることを、
“いいおはなし”の基準だと、仮に定めるならさ。
『きつねのみそしる』は、いいお話だ。ボクにとっては、間違いなく」

「キミにとっても、そうだとうれしい。
いつか産まれる――きっと授かる、ボクと、キミの、赤ちゃんにとっても」

「……ふぁ――あ――ちょっと、しゃべりすぎたかな。
それに、読み聞かせにも集中しすぎちゃってたみたいだ」

「目、しょぼしょぼしてまぶたが重いや。
このまま、眠るよ、キミのとなりで」

「おやすみなさい、大好きなひと。
一緒に明日を迎えることを、ボクは誇りに、うれしく思う」

;チュ=リップ音
「ん…………(ちゅっ!))」

「キミのとなりだ。
寝てしまうのがもったいないけど――
こうして一緒に眠れることも、しあわせだから」

「さん、にぃ、いちで、一緒にまぶたを閉じるとしよう。
それじゃあ、いくよ? 『さん、にぃ、いち、それっ!』」

「……ふふ、まっくらだ。
だから、感じる。キミの心音。キミの体温。キミの体臭、息遣い」

「ボクのも、キミに伝わってるよね。
少しでも、キミの眠りをつつめるのなら――うれしいな」

「それじゃあ、今度こそ――言葉も、とじるよ」

「おやすみなさい。大好きなひと」



;終

///////////////



というわけで、読み聞かせ7本! すべて台本ご紹介いたしました!

上記キャンペーン+クーポンコンボをご活用で、できたらぜひぜひ! お耳からも物語! 読み聞かせ! ご堪能いただけましたらうれしいです!!!

次回はTG様の日々姫ASMRの台本紹介して。

そしたらそのつぎはレイルロオド・マニアックス書こうかな? とか思ってます!

ひとつひとつ順番に、ですね!

がんばります! ご期待ください!

それでは!!!

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