【ラフ】あやかし郷愁譚_雪御嬢_ゆき
本日は「あやかし郷愁譚」の第7弾のイラストラフが仕上がりましたので公開です。
九州の雪女ともいえる、雪御嬢のゆきです。
以下紹介文の公開です。
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「うふふっ、綺麗に取っとっと!
ほんでね? もひとつおまけに――
えと……おにいさん。
ちょこっとの間だけ――お首、たててくなっせ?
ん。そぎゃん感じで。
そーしたら――
ん……
……こん氷の櫛で、髪と頭皮ばなぜたげるけん。
ひんやりしてきもちよかーって、
犬神ちゃんにも、大評判なんよ?」
人吉・球磨の山中に住まうあやかしは、主に犬神――犬神憑きと雪御嬢。
夏に活発な活動を見せる犬神と、もちろん冬にアクティブになる雪御嬢とは、お互い不得意な季節に相手を支え合い、麓の村の人間たちとも含めたひとつの共同体を築いておりました。
しかし、長い時間がすぎて、人間たちが犬神の遠吠えも、冬の寒さも雪の厳しさも畏れなくなってくると――人吉・球磨のあやかしたちも、徐々に力を失いはじめます。
そこに届いた、茂伸からの移住の誘い。
お調子者の犬神はすぐに移住を決意して――
おいていかれれば行き詰まるのが目に見えているゆきもしぶしぶ、犬神への同行を了承します。
そうして茂伸にたどり着き――
テンションがあがりまくった犬神は、ゆきを置き去り、一直線に駆け出します。
……茂伸の陽射しの中に足止めされたゆきを助けたあなたとゆきの、おたがいを溶かしあい、あたためあう小さな恋のお話。
ゆきの愛らしい熊本弁でお耳を楽しませながらどうぞ――ゆきとの暮らしを、育んでいただけましたら幸いです。