2024/07/14 映画『ルックバック』鑑賞感想
一応ネタバレ注意です
あとは考察サイトでさんざん言われてそうな部分はあえて省いてます。今更すぎるので。
・「村一番」じゃなくなる瞬間
藤野がヘタな絵(多分意図してそう描いてある)でも注目されてた序盤、藤野は悪い気もせずかといって絵に対する強い興味も無い状態でした。藤野より絵がうまい人はおそらく潜在的にはいたものの、毎週4コマを1つ発表している藤野は間違いなく漫画というフィールドで「村一番」とでもいうべき存在でした。
そこに不登校で何の接点も無かった京本がいきなり自分よりうまい絵を発表しだし、藤野は「不登校で自分より練習時間を用意できる京本はズルい」という後ろ向きな感想を抱きます。このとき、藤野はそんな京本との勝負を放棄するでもなく「自分の作風を補佐するための画力を磨き、見劣りしない漫画を描けるよう努力する」という道を選択します。
この時点で、藤野が持つ才能を感じさせます。
自分は物心ついたころにはそれなりにネットが発達していたので、早い段階で自分に上位互換がいる事も把握してしまってましたし、自分がさほど大した存在じゃない事を痛感しながら生きてきたのでこの「村一番」感を味わったことはありませんがもしこんな状況になったらあっという間に投げてると思います。
・「続ける」ことの辛さ、報われなさ
藤野はそこから絵の勉強を続け、格段に上達していきます。しかしその熱量が増せば増すほど、周囲からの感想は冷ややかなものとなっていきます。ここは本当に身につまされるような気分となりました。
結局のところ周りが求めているものというのは「素人が片手間で描いたにしてはうまい」以上のものではないのです。
結局藤野はその報われなさに折れ、絵の勉強をやめてしまいます。
その方が苦労もなく余計なストレスもないとなれば当然です。
・藤野の京本に対する想い
藤野は京本に対して絵を自由に学び、思うように生きてほしいという感情と本当に自分のアシスタントが務まるのは彼女しかいないので近くにいてほしいという相反した感情を持っているんだろうなと読み取りました。
そこに関しては彼女の空想したIFにも表れています。美大で学ぶ彼女、それを助けた後アシスタントに誘う自分。もうこうなればいいのにの塊です。それだけに2人の死別が、作品に重い影と意味を与えています。
・最終的な感想
自分は登場人物2人のように、生活すべてを創作に捧げられるほどの気持ちも無く、別に大層な思想をもって創作しているわけでもないのに評価されなければ生意気にもヘコむ、ある意味でいえば創作をしないほうが幸せだったかもしれないタイプの人間です。それでもこの作品を見て何かしら強い感情を持てたので、創作を続けてきた意味は微かながらあるんじゃないかなと思えました。
また強い娘が負けて犯されまくるエロRPGを作っていこうと思います。