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2022年 09月の記事 (68)

遠蛮亭 2022/09/30 22:42

22-09-30.日之宮の齋王.瑞穂さん最終暫定立ち絵

おつかれさまです!

まず、広輪さまの瑞穂さん立ち絵暫定が上がりましたので早速。

左は以前から胸サイズを調整された瑞穂さん、右が新規、奴○服姿の瑞穂さんです。神御衣でひっぱってるときは胸が引き締められてやや上向きますが、これがなくなるとタレ乳気味になる瑞穂さん、序盤以降はほぼずっと奴○姿のほうで出ずっぱり、ということになるかと思います。長船が五十六に反旗を翻し、その旗印とされた後はいちおう、神御衣を着させてもらえることもあるかなーとは思いますが日常的には奴○姿。便所、という烙印とか常に誰かの精液が股間にこびりついてる、とかのアイディアは広輪さまがノッてくださった気がして非常にうれしい限り。

この服装で娼館モードに1枚使えるかどうかと思いましたが、イベント番号6番、「兵士たちに輪○」の男たちを差分にしていただいて複数の竿役をいただければいけるかなーと。そう考えるとこのイベント6番は長船とのセックスシーンに流用もできそうです。というわけで娼館システムは確り組み込むことが確定になりましたが、ただ晦日さんとみのりんには娼館ありません。全26枚は動かせないので増やせないのですよね。出産絵は3人ともアリなんですが…。

先日から言ってましたが、現在「興奮」「発情」「絶頂」などのステートを作り、こちらが「勃起」のとき(「キス」か「愛撫」を当てると勃起状態になる)のみ「挿入」可能だとか、挿入すると相手の防御は極端に下がるけれども攻撃力は暴れて200%上がるとか、挿入状態から「射精」して「絶頂」させられたら虚脱状態で数ターン間全能力値がゼロになるとか、そういう部分を作っています。アルティミシア九国史全体において神力持ちの女性は男よりけた違いに強いので、瑞穂さんや姫巫女は画面中央にドンと表示するデカキャラでHPも何万とか設定しておこうと思うのです。虚脱して多少のダメージを喰らっても簡単には沈まないように。このあたり作っててめんどくさかったのは男キャラが挿入喰らってしまうとかそういうあたりの調整なのですが、とりあえずツクール標準のステート無効化とコモンイベントとプラグインで問題なく動くところまでできました。

以上です! 10/5までにはみのりんと晦日さんの立ち絵も完成予定、そして10月中旬から広輪さまにはイベントCG作業に入っていただきます、広輪さまにご助力いただけて本当に幸甚! それではでした!

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遠蛮亭 2022/09/30 10:49

22-09-30.くろてん2幕4章8話.盾姫帰郷

 おはようございます! すこし出遅れましたが!

 月~水と調子悪くふらふらし、昨日木曜だけちょっと回復しましたが今日また失調。まあ水曜までほどフラフラでもないですが、9時過ぎまで虚脱状態でぐったりしてました。なので今から少し気合入れなおします。

 では、今朝の1時間で描きましたお絵描き。

 源初音さん。髪色金髪ときつね色で迷いましたけどもやっぱり、狐神なのできつね色。左上からの光は試しにやってみただけでいい感じの効果になったかどうかわかりませんが、まあそれなり。

差分。光を消したやつ。

もうひとつ差分。裸。

では、以下今日もくろてんです。昨日は夕方からくろてん第5幕4話を書いてそのあと「日之宮の齋王」の続きを書くつもりでしたが、体力が続きませんでした…。

黒き翼の大天使.2幕4章8話.盾姫帰郷

 士官学校合格。

 ということで。

「うーぁー……だらー……」

新羅辰馬は、自堕落になった。

 それまでの反動か疲れか、精神的にいろいろと(聖女がらみで)ストレスを課されての消耗か、士官になったから弛緩するという、洒落にもならない今の状態。見かねた雫が「えいっ♪」と自分のお尻を触らせても、「ん~……」と平気でその尻を揉み返す始末。こんなのは辰馬じゃあないと、新羅邸女性連は顔を見合わせた。

「これはどーにも重症だよー、あのたぁくんが、お尻触らせても悲鳴ひとつあげないって!」
「いえ……そこは普通、立場が逆ではないですか? まあ、辰馬さまの性格はだいたい、把握しましたし、照れ屋さんであられるのも理解ですが……」

 ソファでだらーと解けた氷菓のようになっている辰馬を目の前にして、少女たちは談合に耽る。雫の言葉に、やや呆れた返しをするのは美咲だった。

「あの子はあんなふーにみえてすこぶるまじめ、が取り柄だったんだけどねー……なんか、今のたぁくんにセクハラしても違うんだよなぁ~……」
「はは、セクハラって自覚あったんだ……。まあ、曲がりなりにも先生だもんね」
「え、と……。セクハラ、とはなんでしょう?」

 渇いた笑顔のエーリカに瑞穗が、たいそう失礼ながらと質問する。応えたのはエーリカではなく、三大公家北嶺院の娘で現在辰馬に先んじてすでに士官学校生の文。

「男の存在そのもの、と昔のわたしならそう言ったはずなんだけど……まあ……性的ないやがらせというか?」
「瑞穗の存在そのものみたいなモンよ。やたら男に媚びる肉袋ぶら下げて無防備に歩いて。特にシンタみたいのはアレ、まちがいなくあんた見てエロいこと考えてるから。少しは自重……つーかわたしに寄越しなさいよ少し!」

 エーリカが猛る。ここにいないシンタにいきなり風評被害だが、まずもって実際そんなことろはあるので仕方ない。「まさかそんな、上杉さんが……」否定したくはありつつ瑞穗は少し怯えた顔になってその巨大すぎる肉塊を腕で抱えたが、それがまた肉を圧してむに、と変形させ、エーリカを逆撫でする。なまじ自分の身体に自信があるだけに、エーリカから瑞穗に対する身体コンプレックスは大きい。

 あー、いやだわ、このデカ乳天然エロおっぱい。わたしが帰国して女王になったら、わたしより胸が大きい女は死刑にしよう……。

 とか、いつもの芋ジャージ姿に包まれた自分の胸と、縦縞ニットに包まれた、その部分だけエーリカ自身の二倍近い超弩級のモノを見比べて心に決める。心の中のこととはいえ、死刑とか言うあたりかなり苛烈。

「まあ、みずほちゃんのおっぱいもエーリカちゃんのも、どーでもいいんだよ。二人ともあたしよりは断然おっきいんだし。今話してる内容はどーやってたぁくんをもとに戻すか、でしょー?」

 などと叫んで割って入る、トランジスタグラマーの雫。サイズはともかく、身長144㎝バスト85㎝という比率は相当に視覚的に大きいわけだが、やはり本人としては数字が欲しいらしく、珍しくやや憤然とした雰囲気。

「胸とか必要ですか?」

 貧乳世界代表、美咲がぼそりと言うと、三人娘は一斉に相手に向き直り、悄然《しょうぜん》。少なくとも身体ならともかく、傾国の美少女・晦日美咲には明らかに顔で負けている。さらには鍛えているだけに、雫に負けないほど身体の……その、具合もいいときているのだから、三人娘にとっては非常に強大なライバルだった。

「あー……おしっこ……」

 ぼやー、と言いつつ、のろのろと立ち上がる辰馬。おじいちゃんのような足取りで、ふらふらとリビングを抜けてトイレへと消えていく。

「辰馬って気が抜けるとあんななのね……いや、前から「おれはホントは自堕落なんだ」って言ってたからてっきりいつもの悪人ぶりたがりかと」
「まあ、昔のたぁくんは多少、あーいうところあったかなー。でもあんなおじーちゃんにはなってなかったよ?」
「まあ最近いっぱい頑張ってましたし、辰馬さま。わたしや穣さんにひたすら兵学講義を聴いて、しっかり合格したんですし少しは休ませて……」
「て、言いながら一番我慢ができないのはあんたでしょーがえろ娘ぇ! 優等生ぶってんじゃねーわよ、アンタの部屋から毎晩あえぎ声、聞こえてんだから! 一人でするなら声を抑えなさい!」
「ぁ……ぅ……すみません……」
「まあ、そう言わないでくれますか? 彼女が後天的淫魔の質を身につけたのはヒノミヤの男衆による凌○が原因で、彼女が自ら望んでこうなったわけではないんです」
「そーねー。穣の大好きな五十六さまは穣より瑞穗が好きだったんだよねぇ~。あんなジジーにやられまくった瑞穗かわいそー。でもってヤリ捨てられた穣憐れ……。ま、今じゃあみのりんはたつまの方が好きになっちゃったし? 関係ないか?」

 ぴき。と。

「誰がみのりんですか! そしてわたしが誰を好きになったですって!? わたしは相手が誰だろうと、敵と見なせば容赦なく殺しますよ!」

 怒りにふるえ、神杖・万象自在《ケラウノス》を巫女服の袖からさっと取り出す穣。

「やってみなさいよこのエセ金髪! あんたが術を使う前にわたしの盾でその顔を凹ませてやるわ!」
「本当に……それ以上の侮辱は許しません!」

エーリカと穣、両者の間に殺気が流れる。穣も、さすがにいきなり万象自在の術式発動とはいかなかったが、かなり本気のブチ切れ寸前なのは火を見るより明らか。ストレスからか、エーリカがやたら攻撃的になっている。

 と、その両者の手から聖盾と、聖杖がそれぞれ消えた。

「神楽坂さん……トキジクを……?」
「……瑞穗!? あんた……!」

 二人の得物を手に、瑞穗は申し訳なさげに頭を下げる。

「申し訳ありません。ですが喧嘩はだめです、こういう状況、ストレスがたまるのもわかりますが、絶対に仲間内で喧嘩なんかしちゃダメです!」

 時間をわずかに止めた、その反動で荒く肩で息しながら、瑞穗はそう言って二人を諫める。三者の視線が交錯し、にらみ合いになり、普段なら真っ先に目を逸らす瑞穗が、今日は一歩も退かない。結局穣が折れ、エーリカもしぶしぶ矛を収めた。

「まあ、なんてゆーか? たつまがアレだってのが一番悪いのよ!」
「そうですね。それは同意です。仮にもヒノミヤと五十六さまを打破した男が、あのていたらくでは」

 今度は一転、意気投合したエーリカと穣は、口々に辰馬の悪口を語り合う。理想を追いすぎ、メンタル弱すぎ、口が悪い、他人に甘すぎ、自分に厳しすぎ、顔立ち可愛すぎ……言ってるうちに貶していたはずが褒めていることに気づき、二人はバツ悪げに視線を逸らした。

「まあ、新羅には多少、いいところもある、とは認めます。ええ。別にだからどうこうというのは、絶対に! ないですが」
「あーはいはい。そーいうツンデレ詐欺いいから。さっさと素直になっちゃいなさいよアンタ……」
「わたしは素直で正直です!」
「すごいなぁ……ホント筋金入りのツンデレ。これで天才とか……(笑」

‥‥‥‥………

「ふー……出すモン出してすっとしたし、寝るか……って」

トイレから戻ってきた辰馬が見たものは修羅の巷……というかキャットファイト。エーリカと穣が取っ組み合い、罵り合いつつ大げんか。さすがにエーリカも神術の使えない状態の穣に本気の殴打を加えるほど大人げなくはないが、それでもかなり一方的にイジメているのは変わりない。ヴェスローディアから流れてきて2年、エーリカがここまで不安定というか、怒りっぽい状態なのは初めてかも知れない。

「なにやってんだ-、おまえら」

 ぽー、と辰馬。なんとも事態の重さを把握していない感じの聞き方に、エーリカのボルテージはさらに上がる。

「一言、言っとくけど!」

 一旦ためて。

「わたし、卒業したら国に帰るから!」

「は?」

 辰馬は大きな赤い瞳を点にし。

 瑞穗も驚きに手を口元にやる。美咲相手に話し込んでまたむやみと敗北感に落ち込んでいた雫も「へ!?」と大口を開け、美咲、穣、文もやはり愕然としたふうを隠せない。

「一応、貯めに貯めて100万弊、手元にあるしね! 一度国に帰って、女王になる! 伯父様とお兄様に喧嘩売って、勝ってやるわよ!」
「はあぁ!?」

 辰馬のぼんやりが消えた。完全に正気付き、だからこそエーリカが本気で言っていることに疑いをはさみえない。どうやらエーリカがナイーブになっている理由は、そこにあったらしい。

「女王になったらあたしが、たつまを王様にしてやるわ! まー安心なさい、伯父様も兄様も、今のわたしの政治力の敵じゃないから。二人を食み合わせてブッ殺して、そしてわたしはヴェスローディアを獲る! そしてたつまにあげるから、まあ数年間おとなしくして待ってなさい!」
「……っぁ、えぇ? ……えー……?」

 正気付きはしたが、理解の及ぶ話でもない。辰馬としてはエーリカがヴェスローディアの正統継承者資格を保有しているなんて事は知らなかったわけだが、いつもエーリカが貧乏くさい芋ジャージ姿だろうと仕事の水着姿だろうと冒険着の戦闘用ドレスだろうと着用している額飾り《サークレット》、あれがそもそも王位継承資格の証明であり、エーリカの伯父と兄が自己の正統を証明できずに内戦を泥沼化させている原因なのだった。

「ッハァ! 正直に言ったらすっきりー! まあそーいうわけだから皆さんおあいにくさま、たつまはわたしのものになります! だって皆、これより大きなプレゼント、用意できないもんねぇ~!」

 意気軒昂と、少女たちを見渡すエーリカ。めっちゃ強気で尊大なことをガンガン言ってるのに、やたらと寂しそうでもあり。それが分からないような皆でもないだけに一人としてエーリカに反駁《はんばく》することができなかった。

 ただ一人。

「いやいや、待て待て。それはおかしいし」

 当事者、新羅辰馬だけが口をはさむ。

「おれはここにいる全員を一人残らず幸せにしたいんだよ。なんのかんのでもう、みんなと関係もっちゃったわけだし……」
「わたしは違いますけど。勝手にひとまとめにしないでくれます!?」

 いかにも不愉快げに穣が言うが。

「あーもう、じゃ、あとでお前も抱くって事で!」
「な!?」
「つーわけだからな。どうもおれは自分で思ってたより欲深らしーんだわ。だからお前一人とか、誰か一人じゃ満足できんの。いくらヴェスローディアをくれるとか、王にしてやるとかいわれてもそれはおれの望む道と違う。なのでエーリカ、おまえの言葉は本当に嬉しいけど、お断りします」

 辰馬は不実な自分を認めた上で最低限誠実にそう語り、頭を下げる。

「それに、旦那様に国を差し出す程度わたしなら今すぐ一瞬だけど?」

忽然と、中空に踊る水色髪の神。露出度高めな白い衣にややきつめの目つき、そして黙っていてもビシビシとこちらの身を叩くように迸る神力は、紛れもなく純然たる女神のそれ。創世神グロリア・ファルの愛娘、サティア・エル・ファリス、久しぶりの出番。

「うぉわ!? サティア? 祭神の仕事は?」
「旦那様の声が聞こえましたので、少しの間幻体に任せて参りました。やはり数百万の民が一斉に主神をたたえる国、いいですね。凄い勢いで力が戻ってきますよ、ほら!」

 瞬時に空間を引き裂いて、サティアは光剣を引き抜く。その巨大さが、かつてとはまったく比較にならない。

「ばか、お前……ッ!」
「どうですか旦那様ぁ~?」

 どぅ! と炸裂。辰馬の障壁結界がかろうじてその威力を消し止めたものの、最盛期に迫るか凌駕する神力には恐怖と戦慄を覚える。まさか今更裏切るとも思えないが、女神の思考なんて読めるものでもない。

「というわけで。旦那様争奪戦というならわたしも。二人でアカツキの主神として君臨しましょう、旦那様?」
「するかよばかたれ! なんで争奪戦になるか! つーかおれはおれの力でちゃんと王になってみせるから、お前らこそ黙って待ってろって話!」

「……むぅ/旦那様がそう仰られるのなら……」

 王女と女神はそれぞれ納得した風だが、内心納得していない風。これは十年も二十年もかけてらんねぇなぁ、さっさと出世せんと……新羅辰馬は心の中に、そう嘆息した。

‥‥‥………
以上でした! それでは!

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遠蛮亭 2022/09/29 15:52

22-09-29.くろてん2幕4章7話.青雲の未来

お疲れ様です!

最近体調の悪さで本腰入れることがなかなかできなかったのですが、今日は久々にじっくりとツクールを扱えました。SLGプラグインと同時に「会話」「調教」「娼館」「出産」の4プラグインを使えるかどうかというのを確認してみたのですが、1アクションではできないんですがまずコマンドを選択、しかるのち選択肢で選択という2アクションでやればできるようです。一挙動でやれないのがプレイヤー的にストレスになるかもと思いますが。あと、スキル仮組みでカブト割99とかいうわけのわかんないスキルを作ってみて、上限値80(ダメージ5倍)でキャップがあるかと思ったんですがキャップは設定で外せるのでした。レベル1の通常攻撃が一撃で20000ダメージとか出ます。やりすぎ。

夕方からは「くろてん」のほうをやるとします。2か月くらいあっちを扱ってないので、シナリオ部分だけでも一気に進めようかなと。こちらはくろてんリライトで最後まで書いてあるので、シナリオ作成は難しくないです。

今日のお絵描き。最近この人づいてる伽耶聖さん、馬姦。くろてんの次はやっぱり「二人の皇帝」をやるかなぁと思うんですが、他の時代の話も是非に書きたいのでまださっぱり確定しません。

差分、恐怖顔。

差分、痛み。

差分、なぜかここで笑顔。

差分、泣き笑い。

差分、目からハイライト消えて絶望泣き。

差分、アヘ顔1。

アヘ顔2。

ふたたびなぜか喜び顔。

おまけの全裸。服着てた方がエロい気がしますけどもね。

以上でした!

‥‥‥…………

黒き翼の大天使.2幕4章7話.青雲の未来

 それから、とくに魔族の襲来などということもなく時日は過ぎ。

 辰馬は瑞穗と穣から兵学を学び、そして長船言継が戦地から帰っているときはこの男から、実戦における卑怯卑劣で効率的な敵の殲滅法を伝授された。

 今日は京城柱天の兵舎にある、士官用の個室。兵卒が雑魚寝するタコ部屋とは違って、作りも調度もしっかりしている。ただし利用者の性格を繁栄して酒瓶があちこち転がっているし、そこらには利殖用の不正帳簿とおぼしき文書があっけらかんと散らばっているが、まあ辰馬も雫が……最近は美咲のほうか……が整頓してくれなかったら似たようなものなので、気にはならない。

 桃華《とうか》帝国虔《けん》王朝、その名将、征南将軍・呂燦《りょ・さん》の軍と交戦し敗北して帰ったという長船だが、会ってみると怪我一つしていないしやたら機嫌がいい。

「まず、敵の斥候兵を捕えたら半殺しにして轅門《えんもん》に晒すわけです。女で美人だったらその前に犯しても……あー、失礼……で、敵がこれを助けに来るでしょーが。血気に逸って。そこを烏銃《マスケット》、つーか最近はライフル銃ってモンに主流がかわりつつありますが……で一斉射撃ですよ。これがもう笑えるぐらいに当たる当たる。仲間一人くらい見捨てりゃいーのにねぇ、それが出来ないからあいつら、あそこで壊滅ですよ。ハッハ」

 いわゆる『釣り野伏』戦法だが、それを聞かされた辰馬は相変わらず、暗澹とした気分になる。なるが、聞かせろと自分から言った以上聞いたことはしっかり覚えなくては意味がない。自分で選んだ道から、途中で降りるという行動は新羅辰馬の辞書にないのだ。

「ですがまあ、その先に出てきた部隊の精強には舌を巻きましたねぇ。なんか青白っぽい外套《マント》で統一された一団だったんですが、先遣隊を撃滅して油断したこっちが今度は逆にやられかけましたわ。いや、俺はそうなる前に幻影使ってさっさと逃げましたがね」
「お前……将官なら部下に責任もてよ。見捨てて自分だけ逃げ帰るとか……」
「アホですか、兵士なんざいくらでも換えが利きますがね、優秀な将軍はそう簡単には見つからんのですよ。……大将が安易に玉砕なんか選んだら国が滅ぶんですって。少々、話しますか」
「いや、今まさに話してる最中……」
「いいから聞きなせぇ。昔あるところに一人の大将がおりました。この大将は剣術抜群、馬術も免許皆伝、そして日々水泳と鷹狩りで健康に気を遣う剛毅の君でありましたが……」
「うん」

 歴史話自体は好きな分野である。辰馬はやや前のめりになって拝聴の姿勢を取る。

「この大将がある敗戦の時、橋の前に出るわけです。近くには馬と、配下たち。さて、どうしたと思います?」
「お前の話だからなぁ……部下を見捨てて馬で橋渡った、とか? ついでに橋を落とすとか?」
「……はぁ~、わかってねぇ、わかってねぇなぁ、新羅公……。理解が乏しすぎますよアンタ……」
「そんなこたぁわかっとるわ! だから今頑張ってんだろーが」
「いや、今のは失言、本質的な気質の話ですな。その発想しか出来ないようじゃあ、今後将帥としては二流で終わりますぜ。正解は『配下の腰にしがみついて馬に乗った』ですよ」
「? は? ぇ……? その大将は馬術の免許皆伝、だよな? なんで部下にしがみつく必要が……?」
「配下たちは皆笑います。しかし橋を渡り終えた大将は言うわけです『ワシがこれだけ慎重じゃから、お前たちは安心してこの国の民たり得るのだ』と」
「ぁ……あー、なるほど。そういう話か」
「そういう話です。この大将の名前は暁不比等《あかつき・ふひと》、つまりまあ、東西戦争においてアンタのご先祖、伽耶聖を倒し、当時の今上《きんじょう》、燕熙帝《えんきてい》を弑して現在のアカツキ第2王朝を開闢させた張本人ですが。将君たるはそれほどに身を重んじなくてはならぬ、兵卒と命の重さがおなじなどと思ってはならんのです。国家のためにね……という理由付けで、俺は逃げてきたワケですが」

 まじめに語ったかと思うと、いつもの不良中年の顔でガハハと笑う。若白髪に白面、三白眼で目つきこそ悪いもののなかなか、いい男なのだが、どうにも野趣がありすぎて辰馬としては対処に困る。敵ならたたきのめせばいいのだが、この男は辰馬に好意的……というか現時点で明確に辰馬の目標を理解・把握し、それを達成させようと、そしてその暁には自分は皇帝の師父……尚父《しょうほ》となることを狙っているから、心強いというかタチ悪いというか。

 最悪、瑞穗にヘンな目向けなきゃ我慢も出来るが……。

 こちらもやや眇《すがめ》になって、胡乱げに長船を見遣る。適当に剃っただけの顎先には無精髭が残り、いーよなー、ヒゲ……とか思っていると長船は「なんすか、照れますなぁ」などと言ってくる。キモい。

 この中年が15年後、赤龍帝・新羅辰馬の宰相として豪腕を振るうことになるとは、辰馬は想ってもいない。長船にはそのビジョンはあるものの、彼とてわずか15年で達成とは思っていなかっただろう。その10年前、辰馬がアカツキ本国の危険分子と認定されて後方部隊と断絶、一部隊の孤軍で孤立させられた人生最大のピンチにおいて、「ヴェスローディアを頼れ」と言い置いてアカツキに戻った神楽坂瑞穗と交渉、瑞穗の身体を堪能するという代償と引き替えにアカツキ内部を擾乱し、同時に援軍を出した。瑞穗という女性を寝取られる形になった辰馬だがそれはヴェスローディア王国を差し出して辰馬に与えたエーリカ・リスティ・ヴェスローディアと並ぶまさしく蓋世の大功であり、それでもなお怒りにまかせて長船を処断しようとしたがそれは瑞穗に「功臣を斬れば天下の信を失います」と言われて諦めるほかなかった。後世、神楽坂瑞穗の皇后冊立がやたらに遅れ、先に子を産んだエーリカが冊立された理由の一つはこのときの不貞にある。そしてもしかしたら辰馬ともっとも絆深かった雫は、子を成せなかったゆえに皇后となれなかった。

 長船もまさか棚ぼたでまた、瑞穗を存分に泣かせられる日が来るとは思ってもいなかっただろうが、ともあれそれは10数年後。今の時点でどうもこうもないし、状況が状況でなければ辰馬は絶対に瑞穗を……雫でもエーリカでもほかの誰でも……他人に差し出したりしない。そもそも彼女らを護りたいが為に今をやっているはずが、将来背負うものが大きくなりすぎると瑞穗ひとりを護ることも、雫を妻に娶ることも出来なくなるのだから、皮肉ではあった。

「さて、今日の所はこんくらいで。桃華の追撫《ついぶ》を率いてた女がなかなか、いいもんでね。じっくり泣かせてやろうかと」
「お前その女とみれば穢す癖、どーにかしろよ。ホントキモいからな、エロ中年」
「ハハッ、そんくらいの言葉で今更どうこう変えられませんぜ!」

 さて、そんじゃ帰るか……。

「あんた」
「……?」

 やれやれと部屋を退出すると、待っていたかのように声をかけられる。女の声。勇ましい感じの、やや女性としては大柄。グラマラスで乳房は豊か……といっても瑞穗やエーリカのサイズを見慣れていると判断基準がおかしくなってくるが、とにかく肉感的かつ筋肉質な、「姐さん」タイプの女性だった。辰馬も一時期将軍(一時的に、最下級の偏将だが)だったから分かる。腕章の色が黒は大元帥で国家に唯一無二、青なら元帥、赤は将軍、白は士官で黄色は兵卒。判断するに、この女性はまだ兵卒らしい。

「なんすか?」
「あんた、最近有名な「聖女さま」よね?」

 あー、ここでそれ言うかよ、うあー……。

「まさかあの方もこんな子にまで手を出すなんて……まあ、あの方の魅力なら仕方ないのかもしれないけど……」
「?」

 なんかよくわからんことを、ぶつぶつ言う。と、思うや。キッと睨み付けてきた。

「この売女《ばいた》!」

 言うや同時に平手打ち。当然、一般兵の平手など辰馬にとってはスローモーションでしかなく、軽く手首を掴んで制圧するが……売女……あ? あぁ!?

「あんた、おれがあのアホの女だとかおもってんのか?」
「違うとは言わせないわよ、泥棒猫! その顔でなんて言ってあのひとに取り入ったか、言ってみなさいよおぉッ!」

 騒ぐ女性兵士、そして集まる一般兵たち。そして聖女の姿に場が湧くのなんの。

「あのさー、誤解だし。つーかおれ、男だから」
「男ってことにして育てられた女なんでしょ、情報誌にでっかく書いてあったわよ!」
「いや、あれは晦日がな……」
「うっさい、いいから離せ、このメ○ガキ!!」
「口悪いなー……なんか、女相手でもさすがに殴りたくなる……」
「あぁ、殴りなさいよ、軍属相手に手を上げたら、司直が黙ってないからね!」
「く……口だけじゃなく汚ぇ……えーと、今の時間帯だと、このへんか……」

 端から見えないよう、とす、と点穴。神経の叢《そう》、その血流が集中している部位に、やや強めの当て身。

「ぁ……か……?」

 正式な手順での点穴に、白目を剥いてくずおれる女性兵士。今度こそやれやれの辰馬だったが、受難はむしろここからである。なにせむくつけき、そしてウブでピュアな兵士数百人が、『聖女・新羅辰馬ちゃん』の降臨にわき上がり野太い嬌声を上げる。貞操の危機は問題なさそうだが、また辰馬の精神がごりごりと削り取られそうな予感。

「あー、あれ……今日はダメなんだなー、あのー、今日はお仕事じゃない日だからぁ、皆とはあそべないーんだぁ、ごめんね?」
「「「はははは、はいっ???」」」

道を空ける兵士たち。

 よし、これでなんとかなった!

 一瞬だけプライドを捨てた自分からは目を背け、辰馬は新羅邸へと足を向ける。その途中もあちらこちらで目撃され、声をかけられ。その都度ぶりっこアイドル美少女ムーブを強要されてなんかもう、本当に疲れる辰馬だった。

……
………
‥‥‥……

 そしていよいよ10月。蓮純から「是非聖女として出て欲しい仕事が……」とか頭を下げて嘆願されるも「うるせー!」と拒否。10月3日、新羅辰馬はいよいよ士官学校受験当日を迎える。

「そんじゃ、行ってくる」
「ほーい/行ってらっしゃいませ!/ま、頑張って」

 雫、瑞穗、エーリカに見送られ家を出る辰馬。今日の弁当は今日ばかりはと三人が美咲を押し退けて作った特別製だ。最初から味は期待してないが、自分のために頑張ってくれたのが嬉しくはある。

‥‥‥…………

「へぇ……」

 会場……と言っても通い慣れた京城の広間だが……につくと妙に感心したような声で、男が声をかけてきた。今の辰馬はベレー帽を目深に被ってサングラスをかけ、体付きもわからないようにダボダボな服にしているから「聖女さま」とは思われないはずだが、まさかこれでも気づかれるか? そう思うとまず相手の右腕、肩から先が存在しないのに気づいた。ついでに、顔半分を覆い隠す前髪。

「あれ、お前、?《かいな》?」
「あぁ……よく俺の名前なんか覚えていたな。ヒノミヤ事変、ただガラハド卿に腕を切りおとされて終わっただけの俺だが」
「いや、覚えてるって。その鬱陶しい前髪とか、忘れんだろ」
「お前は時々、ナチュラルにイラッとさせるな」
「そーかな、済まん」
「いや、それはいい……として、お前もこの道を選んだか……」
「まーいろいろあって。……? ところでお前、一個上じゃなかったっけ?」
「ダブりだ、悪いか」
「いや、悪かないけど。でも?って将校志願なんか? そんな雰囲気じゃないっつーたら失礼か……」
「いや、それは構わん。実際俺が狙うのは将校ではなく、近衛だからな。将軍ではなく、将軍や宰相を護る盾になる……と、いうのも実のところ、金のためだが」
「あれ、貧乏?」
「あぁ。もともと特待だったが、片腕になってそれが取り消されてな。必死に鍛え直してそこそこ持ち直しはしたものの、自分でも以前ほどの腕はないと痛感しているし、仕方がない」
「ふーん……勁風館《けいふうかん》の教師どもは見る目がねーな。お前、あの戦いで確か、将校首を9つ、上げてるはず。これは古今の戦役に見ても……それを申上しなかったおれのミスか、すまん」
「いや、構わん。特待のままだったら、鍛え直す根性も湧かなかったかもしれんしな」
「なら、いーけど……んじゃ、とりあえず兵科としては別か」
「おう。まあ、あの戦役を価値に導いた実質的功労者を、まさかアカツキという国が捨てることはないだろうよ、安心していけ」
「おう。そっちもな。おれが将軍になったら近衛になってもらうわ」

………………

 それから一月。

「合格通知、届きました!」

 ポストを開けた瑞穗が、声も限りに叫ぶ。新羅邸全体から、祝福の声が一斉に上がった。

「やったっスね、辰馬サン! これで将来は将軍さまだぁ!」
「ばーか。新羅さんの目標はそんなもんじゃねえ。王様だろうが」
「ま、この国に王様、というのはまあ、皇籍以外いないわけでゴザルが……」
「あれ、たしか辰馬サン皇籍じゃん? だってゆかちゃんと……いや、現王家の直系じゃねーと無理か。今の王室の並びからして、覇城家だって王にはなれてないんだもんな」
「たぶん、そーでゴザル。今の家格に加えてよっぽど高い功績……魔王殺しとか……を上げれば、国も無視できなくなるのでゴザろうが……実のところあの狼牙さんですら商工会役員なんかでゴザルからなぁ……」
「親父はなんか、爵位とかいらんて断ったらしい。だから一応、そういう話は来るみたい」
「はーん、じゃ、カノーセーとしてはありって事でスか!?」
「そーいうこった! 来年からはとりあえず、傭兵として雇うから。ひきつづきついてこいやお前らぁ!」
「「「おおーっ!!」」」

 威勢良く上がる咆哮。

 彼らはまだ知らない。後世自分達が反逆者の汚名を着せられ、しかるのち現行王家を放伐《ほうばつ》して新たな国を建てること、その元勲となることを。この当時彼らはまだ若く幼く、ただただ無邪気に自分達のリーダーが達成したささやかな成功をたたえるのみであり。青雲の未来、その染みひとつない美しさを疑うことがなかった。

………………
以上でした、それでは!

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遠蛮亭 2022/09/29 06:41

22-09-29.くろてん2幕4章6話.次代を担うもの

おはようございます!

月から水曜まで死ぬほど体調悪かったですが、生まれたての小鹿並みに足がプルプルしてましたがどうやら今日は回復したようです。これでまた頑張れます! まあ、普段どんだけ体調悪かろうが、痛かろうが苦しかろうが怠かろうが仕事量減らさないんで、特別変わることはないんですけどね。今日は「日之宮の齋王」を進めるか、それとも「くろてん」をやっておくか。システム的にはほぼ同根、シナリオが違うだけの作品なのでスキルとかは片方作っておけば流用できるのですよね、だからそれは楽。祖帝シーザリオンを主役にした「金色の竜帝」だとスキルの大半をイタリア語に変換するのでそこでちょっと手間がかかりますが。さっさと通常戦闘の敵に「騎乗」スキルを使わせたり、それを射撃して「転落」させたりしたいです。齋王のほうでは「発情」させるスキル「愛撫」、「陶酔」させるスキル「キス」、「挿入」スキルで「酩酊」させて「射精」スキルで「絶頂」させるとかやりたいですが、セクハラ系スキルって種族:女だけにしか使えないという制限ができないのですよね。男相手に挿入できたりするのでちょっと困るところです。とはいえこれ以上お金はかけられないので、現状ウチのキモはタクティカルコンバットシステムと出産システム、娼館システムだけで満足しないといけません。あとは競合しないプラグインを使わせていただいてどうにか。

昨日描いた伽耶聖さん。辰馬くんのご先祖。1200年前のアカツキ東西戦争における大英雄ですが、キリッとしてるのは兵士たちの前でだけで身内や腹心の前ではおっとりしてやや気弱な性格だったひとです。キャラのイメージとしては敗者側の帝に仕える忠臣ということで楠木正成。辰馬くんとは血縁関係ということで目の形を同じにしてるんですが、目の色違うと同じとかわからんとおかんに言われました。半脱ぎ。これで通常イベントに使えそうな気がしてますが、もうちょっとエロくしないとダメかな…とも。

飛鳥井漣。おなじく伽耶聖主人公の「二人の皇帝」の登場人物。聖さんの軍学の師匠の娘の子であり、才能も人格も下衆で聖さんを狙う中年。自分の姪とかに思える相手を犯したいと考えるあたりからしてゴミですが、こういうタイプが破滅しないのがウチの作風。

北嶺院羅綺。くろてんにおける北嶺院文さんのご先祖。1816年当時のアカツキでは三大公家の一角で国内最高権力の一角を占める北嶺院家ですが、628年当時は貴族に列せられたばかりでなりふり構わず武功を上げようとする野心家。髪型が和風というより中華風、鎧も和風には見えませんが。

‥‥‥‥………
黒き翼の大天使.2幕4章.次代を担うもの
「100万弊(1000万円)とかなぁ……」

 ぶつぶつと呟いた。宰相から求められた100万弊。辰馬の職業的ランクと依頼達成能力からすれば、不可能ではない。一仕事で5~10万弊を叩き出す辰馬なら、10~20のクエストを達成させることでなんとか……ではあるが。

 そんな毎日忙しく働きたくねーんだわ。おれ、もともと怠けモンよ? なんか世間的にそこんとこ忘れられてるけども。

 呟きつつ、焼き鳥屋の店先で串焼きを2,3本買おうとしたら美咲《みさき》にぺし、と。財布を出しかけた腕をはたかれる。

「今、無駄遣いはできないはずでしょう? いい機会です、新羅邸の家財、わたしが管理することにしましょう」
「は……え……?」

 まさか冗談だろうと思って見返すと、赤紫の瞳はどこまでも本気。逆らうと怖そうと思った時点で辰馬の負けであり、財布どころか家の抵当権利書とか、ふだん持ち歩いている限りのすべての財源を奪われる。

 まあ……いーか。確かにおれは使いすぎるからな……。

「でも実際、毎日勤労は無理だぞ? そんな楽な仕事でもないんだから」
「軍人になるなら毎日もっとハードですよ?」

 すでに半分は軍属でもある美咲が言うと説得力が桁違いだ。ぐうの音も出ず、辰馬はボディに重いのをもらったようにお腹を押さえてたじろぐ。今それ言われるとやる気削がれるやんか、とは思うが向こうに悪気がない以上、こちらとしては反駁《はんばく》もできない。

「じゃあ、あたしたぁくんにお小遣いあげる係ー」
「あ、では牢城先生にこのぶんをお預けしておきますが……くれぐれも無駄遣いのないように」
「はーい♪ いやいや、あたしがいてよかったねぇ、たぁくん?」
「あー……そーな……」

 もともとおれの金なんじゃなかったっけなーとか思う。いや、もし辰馬が彼女ら……いわゆる愛妾、あるいは最近ではレズ仲間と認識されていたりもする……に対して小遣いのかけらも渡していなかったのなら、それで構わなかったのだが。各人の稼ぎは個々人ごとに分配の上、さらに家主である辰馬は被扶養者である愛妾たちに大枚《たいまい》渡しているのである。92万石持ってたけど部下に石をあげすぎて自分には10万石もなかったどこぞの大名かよ、とか思うも、なんだかんだ言えば角が立つ。結局、黙るのが最善手。

「よしよし。じゃあ今日は100弊あげよー。お菓子でも買ってお食べ?」
「ん、まぁ……あんがと」

 雫と辰馬、普段通り変わらないように見えるにもかかわらず、瑞穗とエーリカ、そしてサティアは敏感に気づく。どうにも、ここ近々の10日前後で、二人の関係をさらに縮めるなにかがあったのではないかと。雫の側は大差なく、一時期あった遠慮が抜けて元に戻った程度だが。明らかに辰馬の態度が変わっている。雫に向ける瞳の優しさが、本当の姉か……これは瑞穗たち的に極めて言いたくないが……愛しい嫁を見るそれになっている。おかげで、美咲への雫の嫉妬が終わると今度は、雫への瑞穗とエーリカ、およびサティア……はまあ、陪神・従属神なので並び立ちたいとか言う野心はないかもしれないが……の嫉視が刺さるようになる。皆で仲良く辰馬を押し倒して辰馬を玩具にしてご満悦ではあっても、やはり彼女らの心情として辰馬の特別になりたいのは間違いがない。かつてハーレムですねぇとシンタあたりに言われて「ばかたれ、どこがだよ。おれはな、そーいう不誠実なやろーが一番嫌いだ」と言った自分が今の辰馬を見たら絶望し失望し舌を噛むのだろうなぁ、とか考えて、将来もこいつら全員養うわけだよ。王様になるって事は、そんだけじゃなく国の民全員に責任を持つって事で……やー、大変だ……。

 実際辰馬が選んで通るであろう道は遙か遠く険しい。だがまずは10月の入学試験(入学自体は来年4月)と、その前に今回の借金返済を済ませなければならない。

「……その、寡聞にしてよく知らないんですが、お金って、自然と勝手に入ってくるものでは、ないんでしょうか?」

 一行最大の世間知らず、神楽坂瑞穗《かぐらざか・みずほ》はやや無知を羞じるように頬を赤らめ、首をすくめて上目遣いに聞いてきた。可愛い。可愛いがやはり世間知らずなお姫様育ちの言う事であり、それを一番、現実主義的に「ハッ!」と斬り捨てたのはエーリカ。政治経済に長じたヴェスローディアの姫は、心底あきれ果てたと言わんばかりに大長嘆し、そして

「あのね瑞穗。お金ってのは使えば減るし、使うと減るから価値が出るの。いくら使っても減らないお金なんて、信用なくしてあっさり価値暴落しちゃうわよ」
「皆がいっぱいお金を持っていては、いけないのですか?」
「だからー……のーたりん! だいたいねー、あんた自分でお金稼いだことないでしょ、絶対。わたしがグラビアの仕事4時間拘束されてもらえるお給金、いくらだと思ってんの!?」
「え……100万弊、くらい……?」
「のーたりん! そんなにもらえてたらわたしはとっくにお金貯めてヴェスローディアの王権獲りに戻ってるわよ! 実際はこんなもん」

 懐……露出の関係でサティアより小さく見られがちだが、実際は辰馬の細君たちの中で瑞穗に次いで大きい……から封筒を取り出し、す、と瑞穗に渡す。

「……え、こんな……ですか……4時間で?」
「そーよー。大変なんだって。その4時間、スケベな脂ぎったオッサンカメラマンの指図でずっと緊張したポーズとり続けて、したくもない媚び笑顔顔にはり付けて。ホント大変なんだから」
「はぁ~……大変なんですね、エーリカさま……」
「やっと分かった? 苦労知らずのお姫様?」

 まあ、エーリカが苦労してるのは身から出た錆というか、国から飛び出すときに持ち出した宝石が相当数あったはずなのに先々考えず切り崩したから、なのだが、本人は言わないし多分言う必要もないだろう。今のエーリカの経済感覚は、2年前とは比較にならないレベルに成長し、覚醒している。かつて2000年以上前、祖帝シーザリオンが大陸を統一するよりさらに前。桃華帝国において圧政から立ち上がり謙帝国を創った(現在の王朝は虔)女帝・姚碧霽《よう・へきしょう》。彼女には三人の功臣がいたと言うが、そのうち最も功高し、とされたのは兵站事務というもっとも地味な任にあったもと小役人の女性だったという。エーリカはおそらく、その名宰相に並ぶほどの政治力を17才の若さですでに備えつつある。あと必要なのは経験だけだろう。

「と……いうことは……」

 瑞穗は辰馬を見て、ものすごく可哀想に顔を青ざめさせる。言いたいことは、イヤになるほど分かる。たぶん辰馬の稼ぎも雀の涙で、自分達を養うのにこれまで凄い無理をしていたのでは? と思われているに違いない。

 いや、おれの稼ぎは……ここで言うもんじゃねーけどまあ、そんな泣き顔されるほど悪くないはず……つーか今までちゃんと養ってきたやろーが! どいつもこいつも極端やんなぁ!

 また、ちょいちょい心中に南方方言が迸る。少々イラッ♪ とはしたもののまあ、むしろ心配されずにあれ買ってこれ買って言われたらねだられるままに買ってあげてしまうダメな自分を自覚している辰馬としては、心配されてる方がマシか……という気分に落ち着きもした。

「まあアレじゃないかな? たぁくんがテレビで「きゃぴる~ん?」ってやれば100万弊くらいすぐだよ」
「ははははは、面白いことを仰いますな、おねーさん」

 雫の「これしかないっしょ!」と言わんばかりの言葉に、親愛の瞳が一気に醒めた。冷たく酷薄な魔王の瞳になって、頬と耳と額の肉をぴきぴきと引きつらせる。姉なる魔王クズノハが紅蓮の焔なら、辰馬の金銀黒白の光は凍気をまとう。ときに夏場近く、梅雨も過ぎてじんわり汗かくイヤな時期。ちょうど涼しくなった雫はむしろ「あー、これちょうどいいわー」であり、辰馬はくそうとやむなく牙をひっこめる。

 ……しず姉、いつかしばく。

 そう願ってしばけた試しは一度もないのだが、ともかく毎度のようにそう誓う辰馬だった。そういうじゃれあいが瑞穗やエーリカにはできず、「羨ましい……」ということになる。本人、かなり本気で雫の対応にイラついているのだが、見た目的に仲むつまじく移るものらしい。

「まぁなんか割のいい仕事を、蓮っさんから貰うとするか……」

 ……

「『聖女さまディナーショー』50万弊、『聖女さま握手会』30万弊、『聖女さま個人撮影会』100万弊……ほかにもいろいろありますが、まぁ、なんだ……大人気ですね、辰馬くん」
「苦笑いしてんじゃねーよばかたれ、おれが承けるはずねー仕事ばっか出しやがって!」
「いや、高額の仕事となると本当に他にないんです。ここのところ、魔王復活で魔物たちの跳梁が已んだ……実のところ、統制を取り戻してより危険度は増したんですが、一般の目には平和になったと映りがちになるでしょう? だから、高額の討伐任務が正直、減っていまして」
「……、……、……聖女サマならウチに他3人おりますが?」

 神楽坂瑞穗=齋姫、エーリカ=盾の乙女、美咲=人造聖女。という超豪華布陣であり、見目麗しきも比類なし、なのだが、辰馬の必死の空とぼけに、蓮純は無慈悲にかぶりを振る。

「残念ながら、今回の依頼は『聖女・新羅辰馬さんに直でお願いします』というものばかりでしてね。一応、神楽坂猊下に講演の依頼が……6万弊でありますが」
「あ、はい。わたしそれやります! アルバイト、というやつですよね! 頑張ってお役に立ちますから、辰馬さまも頑張って下さい!」
「あ……おー。ぇ……? 今のって、おれ、承けたパターン?」
「そこまで詐欺めいたことはしませんが……。なんにせよこの『聖女さま案件』を承けないことには、100万弊達成は難しいでしょうね。他に仕事がない」

 業務再開からすぐに事業緊縮とあって、蓮純はやや憔悴しているようにも見える。だがその瞳にしっかりと充実した覇気が乗っているのは、やはり新興宗教的エステサロンなんぞに寝取られかけた妻がちゃんと戻ってきてくれたからか。前より愛妻が深くなっ気がする。

「おばさんは?」
「修行中です。やはり、彼女がキミに一番似ていますね。負けたままでいられないらしく……が、やはりこれから先の時代を拓く役目は、キミたち新しい世代に委ねられるべきと思います……。なにより私が、ルーチェを危険にさらすことに我慢できないので」
「あーね……うん、わかるわ。ま、おばさんの仇はおれが取るとして……仕方ねーからこれにすっか、ディナーショー。テキトーに皆と話して間ァ保たせるのって結構大変そーだが……とはいえ握手会じゃ金額的に足らんし個人撮影会とか聞いただけで吐く」
「キミは気分を悪くするとすぐ吐きますね…。そんなかわいらしい顔なのに」
「顔のことゆーな。今ナイーブになってんだよ。このまま30過ぎても40になっても髭が生えないとかだったらどーしよーって」
「たぶん、生えませんよ」
「へ?」
「狼牙も生えないし、ルーチェもアーシェさんも体質……遺伝というらしいですが……それで体毛が薄いらしい。なのでキミもまず、髭は無理だと思います」
「えー……」

 すごく、落胆。今はまだ幼年期が抜けてないからの女顔だったり高めの声だったりで、いずれは渋くてかっこいいオッサンになるのだ、と夢見ていた辰馬としては、その期待と希望と幻想を金属バットで粉砕された気分でそれこそ吐きそうになる。

「いーじゃん、たぁくんに髭が生えたりしたらそれはもはやたぁくんではないのだよ?」「そんなわけあるか、おれはおれだ」
「いや、ヒゲなんか生やしたらあたしはたぁくんと縁を切る!」
「そこまでかよ。そんなに童顔女顔が好きか?」
「そりゃあもー、大好き!」
「……、……、はぁ、もーいいわ、なんか、どーでもいい……」

 雫の言葉に何処までも深く沈む泥濘の中の石ころみたいな気分にされてしまった辰馬だが、まあ、女役で現状を打破できるなら安いもの。物事うじうじするのはやめにすると決めた!

………………

 そんなこんなで。

「みーんなー、今日は辰馬のディナーショーに集まってくれて、ありがとー? 定員80人なのに何万名人もの応募があったって聞いて、辰馬ちょー感激だよぉ♪ ホントにみんな愛してるーっ?」

 いやホント、おれはなにをやってるんだと頭の中の冷静な部分が警鐘を奏でるが、今、恥を感じたらそれこそ終わりである。やるとなったらとことんやってやる。エーリカと雫による演技指導による堂に入った演技……途中からもう、自分でも演技なのか本心なのか分からなくなってきたが……は大いに観客を沸かせた。ディナーショーでありライブとかコンサートではないのに、観客の騒ぎ方はまさにそちらの方向性。世界一の吟唱《ぎんしょう》詩人やロックミュージシャンがこの場に来たとして、ここまでの盛り上がりを勝ち得ることが出来るかどうか。

「それじゃあ、みなさんが食事の間ぁ、歌いますねー♪ ベン・E・ウォングの……」

 と、辰馬は歌い、踊る。新羅江南流で鍛えた体幹があってダンスはキレッキレ、それだけで十分に「魅せる」力があるのを、辰馬はわざと足腰を上下に揺らして……本来、辰馬くらい体幹がしっかりしているとまず、自分から見せに行かないとスカートの中なんて翻らないのだが……パンツをちらりとさりげにのぞかせてみせる。大半がさもしい男である辰馬ファンたちは盛大に鼻血をぶちまけ、女性ファンも蕩けた瞳で魅了されきって失神するという凄惨な現場が出現したが、ともかくもディナーショーは超・大成功を収めた。

 ふぅ……いやもー。今度こそ。今度こそこれで、女装はやんねぇ!

 強く心に誓う辰馬ながら、果たしてどうなるやら。そして50万+瑞穗をはじめとした他のみなのバイト(ゆかでさえ宛名書きのバイトでわずかなりと貢献した)で、なんとか100万達成。宰相の顔面に札束を叩きつけ、そしてようやくこれで、10月に控える入試に向けて憂いはなくなった。

‥‥‥…………
以上でした、それでは!
 

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遠蛮亭 2022/09/28 14:06

22-09-28.日之宮の齋王.5.借刀殺人

おつかれさまです!

かろうじて、なんとか「日之宮の齋王」第5話を書き上げることができました。今回スカトロありなのでお気を付けください。遠蛮は純愛も好きですが、鬼畜なら触手と異種姦とボテ腹出産、そしてスカトロが好き。ついでにソフトリョナで女の子ボコボコにするのも好きです。

それでは。

………………
日之宮の齋王.5.借刀殺人

兵力の逐次投入は下策の愚策。軍隊軌道の要訣を知る神楽坂相模が、兵力の出し惜しみをすることは当然ない。相模は初手で400人の戦巫女を前線に出し、神力波で敵兵や天然・自然のバリケードを薙ぎ払い進む。

兵力で勝るとはいえ、こちらに戦巫女がいない以上苦戦は予想してしかるべき。とはいえ前線の激突であっさり打ち負かされ、長船言継は端正なひげ面を不愉快気にゆがめた。すぐさま第二陣を出し、崖上や林の中に布陣することで迎撃を整えようとするが、戦巫女たちが声をそろえて大規模詠唱を唱え、大規模神術の一撃を叩きつけると地形効果が意味をなさないような大ダメージを一方的に強いられる。戦巫女たちは齋姫・神楽坂瑞穂が呪装機人・長船言継に敗北し凌○されたという言葉に瞋りの炎を燃やしており、その怒りを正当に相模が誘導して敵へと叩きつけることで言継たちはたちまち戦線をガタガタにされてしまう。

「ち…瑞穂、まだかよ!?」
 本陣まで肉薄されて、言継はわずかに焦慮。しかしまだ奥の手を切ったわけではなく、この状況は敵を誘引したということもできないことはない。体内にある封神符を全力で発動させれば、ある一定以下の神力は無力。突然力を封ぜられた戦巫女たちは不安と恐怖に慄然とする。そこに言継は全軍突撃の号令をかけた。

 相模は戦巫女たちが言継の手勢を支えているところに、側面から衝突。紫宸殿からの言継勢は数こそ多いがならず者であって精強な奥津城産の精兵たちに当たりがたい。言継の特殊能力、玄斗の武勇、長谷部の機略、それらがあっても覆すことは困難であった。

‥‥‥…………
それよりやや前、神楽坂瑞穂は3000を率いて日奈沢の沼島領に入った。「みずほちゃん! 無事!?」沼島寧々はすかさず予備兵5000で境内に出て瑞穂を迎える。瑞穂の左右に佇立する豚面人身の巨鬼になぜ瑞穂がこんな妖鬼を従えるのか訝りはするものの、心配していた妹分が戻った喜びで寧々の思考は停止する。

「すいません、沼島さん…」
 頭を下げる瑞穂、心配をおかけしてすみませんということだろうと考えた寧々は「いーのいーの」と答えるが、しかし次の瞬間、瑞穂左右の豚鬼に両腕を掴まれて激痛に呻く。この2匹は第一世代の能力に欠ける并封ではなく、瑞穂の胎で錬金的に生み出された第5世代の并封。力量技量とも、ただの妖鬼ではない。「…っ、く!」力の流れに逆らわず、身体を引いて合気で拘束を抜けようとする寧々。しかし妖鬼の速さはそれを大きく凌駕し、寧々が身じろぎした瞬間、下腹に狂猛な拳の一撃をドフゥ! と叩き込んだ。

「ぎゃぶぅ…ッ!?」
 あえなく吹っ飛ぶ寧々に、危機として馬乗りになる2匹の并封。寧々は禁を破って瞳に神力を集め、神眼の力を解放する。その瞬間、瑞穂が懐から懐紙を取り出してかざし、神力を込めた。

すべてを支配して従わせるはずの眼光は放たれる前に、力を失う。瑞穂が手にしているのは神術使いにとって最凶の呪具【封神符】のコピーであり、コピーゆえに力は弱いが瑞穂の神力により増幅されることで寧々の力は完封できてしまう。

「な…なん、で…?」
 并封に巨乳をもまれながら、発動しない力にそう呟くしかできない寧々。2匹の并封の一匹は寧々の巫女服をはだけて巨乳をむき出しにさせ、白乳を揉みながら逸物を谷間に挟ませる。もう一匹は寧々の足を開かせ、紅いミニスカートの中に頭を突っ込むとショーツ越しに股間を舐めまわした。

「あっあぁぁ~~~っ♡」
 并封の技巧は経験の少ない寧々の太刀打ちできるようなものではなかった。男根が胸の谷間をズリュ、と前後して鼻腔に届く臭気が、さらに股間をびちゅびちゃと執拗に舐め上げる長く分厚い舌の感覚が、寧々の感覚をたちまちに蕩かす。母親、瑞穂の身体を何度も使って女の扱いをたっぷり予習した并封に、寧々はまったく手も足もでない。

 三軍も師を奪うべし。瑞穂は寧々を制して指揮を失った日奈沢予備兵たちを自らの兵で屈服させる。巫女兵はことごとく凌○し、一生絶対逆らえないくらいのトラウマを植え付けた。瑞穂は罪悪感に押しつぶされそうになるが、自責に苛まれている暇はない。女からあぶれた兵士はニタニタ笑いながら自分たちの指揮官である瑞穂に歩み寄り、どうみてもドスケベ衣装である神御衣の胸元や股間に手を差し入れ、撫でまわし、揉みしだき、息を吹きかけ、あま噛みする。自分は長船言継様の専用便器と定義している瑞穂は「やめてください…」と男たちを引きはがそうとするが、兵士たちは瑞穂を5,6回ひっぱたくと無理矢理にショーツをズリ下ろし、ガニ股立ちバックで犯し、正面からは121㎝をもみ、両手にそれぞれ自慢の逸物を握らせて手コキさせる。

「えらそーに指揮官ぶってんじゃねーぞ、エロ豚! テメェなんかおれたちが前衛で戦ってやらなきゃなんにもできねぇーんだからな!」
「あうぅっ…は、はいっ…、そ、その、とおりです…。偉そうにして、大変申し訳ありません…っ、あぁっ、ああ…」
 瑞穂は負け犬として男たちに逆らえないが、言継を裏切ってしまっているという感覚が心を哀しみに沈ませる。なんのかんので一度使って、そのあとバケモノとも交配させたような瑞穂に対して言継が大した執着を持っているわけもないのだが。

 ずぶ、じゅくっ、すぼっ、ぱちゅん!
 ぢゅぶ、ぢゅぶ、ずぶっ、ばぽっ、どぷ!
 バコ、バコッ、バココッ、ズコォ!

「ああああああっ♡」
 瑞穂の心持など完全に無視して自分たちの快感を求める男たちに、瑞穂はまったくもって道具扱いで犯される。いっそ飽きて捨てられたいところだが、名器…とはいえ入り口や膣が食いちぎるほどにキツイというわけではなく、膣内が無数のぬめついた舌で舐めしゃぶってくるような絶妙の気持ちよさ、つまりミミズ千匹…である瑞穂を簡単に手放すバカはそうはいない。適当に日奈沢兵を犯した男たちは続々と瑞穂の周囲に集結し、変わりばんこで齋姫の少女を○す。

 足を広げてクンニ責めされていた寧々も、いつのまにやら四つん這いにされて并封の剛直をねじ込まれていた。

「ぁっぎいぃ…!?」
 明るく派手なアイドル巫女、ということで枕営業を疑われたりもする寧々だが、れっきとした処女である。いや、すでに貫かれて「処女であった」というべきだが。膣から身体を真っ二つに裂くような激痛に寧々は呻き悶え、并封は実母・瑞穂ほどではないがなかなかの具合の牝穴に興奮して「ゲォッ、グッグ!」と耳障りに喉を鳴らした。

 寧々は瞳を閉じて痛みに耐えるが、その顎をくいっと持ち上げてもう一匹の并封が可憐な唇に巨根をねじ入れる。辛うじて平静で保とうとした心は口と喉を激しく犯されて激震し動揺し、「んぐうぅっ、んぶうぅ~~~っ!?」思わずくぐもった悲鳴を上げてしまう寧々。

‥‥‥………
 その後、1時間をかけて并封や兵士たちは瑞穂と寧々を徹底的に輪○した。さらに2時間目まで突入しようとしたが、瑞穂の立場としてはこれ以上犯されてやるわけには絶対に行かない。ここで支配して傘下に咥えた日奈沢勢を率い、苦戦しているであろう言継をすくなわなければならない。言継を苦戦せしめているのは義父・相模であるが、瑞穂にとって自分を女にしてくださった言継とただ幼児の自分を拾い養っただけの相模では比較にもならない。

 かくて瑞穂が戦巫女の顔になり、相模の後背を衝くべく軍を動かしたのは言継と相模の決戦が始まったそのころ。瑞穂が発揮するカリスマに無頼の兵士たちも有無を言わせず従わされ、怒涛の勢いで突撃を開始。沼島寧々の身柄は全裸にロープで手足を縛られ、引きずられて陣に連れていかれた。

‥‥‥………
 相模の側面突撃、絶妙なポジショニングとこちらの弱点を的確に見抜いての突撃は一撃ごとに確実に兵力を削ってくる。

「ちくしょーが! このオレが純粋な用兵勝負で…」
 こちらがなにか手を打って陣形を変えたり間諜をはなったりという手は封殺されるし、400人の戦巫女はともかくそれ以外に封神結界は影響しない。端的に言って、言継は圧倒されており打つ手がなかった。徐々に後退して防衛陣をとるつもりではあるが、防御力より相模の攻撃力が上回る。

「瑞穂のヤろぉ、あの雌、間に合わねーかよ!?」

 勝敗決す。そう思われた瞬間に。

 ズガフッ! と後背から強烈に打撃されて相模の軍がかしぐ。相模が一瞬、混乱した。ここに登場するのは沼島寧々の予備兵であり、敵ではなく味方のはず。にもかかわらず登場したのはあきらかな敵で、その衝撃力からして指揮官の攻撃力は相当に高いことがうかがえる。相模は敵将の用兵に良く知ったものを感じたが、まさか瑞穂が、とその可能性に蓋をした。瑞穂は凌○されて言継の幕舎につながれているはずであり、ここで言継の武将になどなっているはずがない。正しくはなっていてほしくなかった。

瑞穂は口の中で神に捧げる神讃の祝詞を唱え、自身の内包する3柱の神のうち二つを解放。まず周囲にあるひとびとの心を読む「サトリ」で回避・防衛のルートを読み、そこにすかさずヒノミヤの守護神、豊饒火神「ホノアカ」の力を帯びた神焔をサトリで読んだルートに沿ってホーミングさせる。敵を最悪の地形に追いやって炎を爆発させ、敵の弱い場所を目掛けて爆発させ、それを一陣二陣ではなく五月雨の如き連射で叩き込む。瑞穂としては長船さまを殺すわけにはぜったいに行かず、彼を救うためなら多少の無理をしてこんな猛攻も繰り出した。

「これはまずい…撤退、退くぞ!」
数分前まであと一歩で言継を殺せるはずだった相模は敵援軍の予想外の強さにすぐさま撤退を決めた。自分の根拠地に戻ることができないというのは痛いが。もと神楽坂派で先日、神月派に投じた鷺宮蒼依の領地鹿ヶ谷に向けて落ちる。

九死に一生を得た形の言継だが、瑞穂にお褒めの言葉の一言もなかった。むしろ瑞穂がぐずぐずしていたためにあれだけ苦戦したのだといって瑞穂を怒り、罵った。鬱憤晴らしとばかり瑞穂をたっぷり凌○し、兵士たちにも開放。尻穴にローションを流し込まれ執拗な愛撫でたっぷりほぐされた瑞穂は兵士たちの見守る中大脱糞ショーを披露させられ、寧々を調教してしな垂れかからせた言継は瑞穂を踏みつけて唾を吐きかけたが、いちど形成された瑞穂の愛情と信頼は寸毫の揺らぎもなかった。

‥‥‥…………
以上でした、それでは!

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