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2023年 04月の記事 (53)

遠蛮亭 2023/04/05 06:54

23-04-05.「くろてん」小説再掲1幕2章8話

おはようございます!

まずこちら。

アーシェおかーさん、今年に入って「日輪宮」のイベ絵ばっかり描いてたのでおかーさんは久しぶり。まあまあ描けたと思いましたが、裸になったとき左腕と肩のつながりがうまくいってないのと陰毛塗り忘れでした。あとおっぱいがおかーさんにしては小さいかも。

ゲーム制作ですが、タクティカルコンバットにまた不具合が……。今回致命的ではない、はずですが、道中戦で20~30連戦すると「コモンイベントの限界超過」になってしまうようで。今の段階で気づけてまあよかったと言えばよかったのですが。ともかく昨日は4章凌○回避ルートを完成させて、これから凌○ルートです。その前に10時から役場に行く必要があるのですが。

さておいて今日もくろてん再掲、今回もよろしくお願いいたします!

黒き翼の大天使.1幕2章8話.二律背反の愛情-下

 アーシェ・ユスティニアが魔王オディナ・ウシュナハに攫われたのは、17年前、1799年の春の事。

 当時16歳のアーシェは神童と言われ、控えめに言って舞い上がっていたし、有り体に言えば驕っていた。自分の才能とウェルス神教が説く女神イーリスの教義、この二つが絶対の正義であり真実であると信じて疑わず、当然、自分を攫った魔王に心を開くことなどなかった。相手が思いの外に真摯な紳士であり、ウェルス神教の教理にある破壊と蛮勇の化身とされる魔王、その姿と大いなる齟齬があっても、アーシェはなんらの疑いなくオディナを邪悪なる魔王と断じた。

 魔王はアーシェを捕囚ではなく賓客として扱った。神族にとって魔族は討伐と殲滅の対象であり、見つかれば魔女狩りのごとく、この上なく凄惨に殺されるというのに、魔族であるオディナのほうが慈悲深く寛容な態度をとること、それすらもアーシェは神に対する下劣な魔族の媚びであるとしか見定めなかった。

 アーシェは何度もオディナを罵り、打擲(ちょうちゃく)し、自分をウェルス王都シーザリオンに返すよう要求したが、これに関してだけはオディナは頑迷なまでに拒絶した。反発し合うはずの神力と魔力、それを合わせて見せたオディナはその力を盈力(えいりょく)と呼び、世界のすべてを『運命』と『摂理』の名の下に支配する真の大悪、グロリア・ファル・イーリス、彼女を殺して世界を解き放つために、魔王と聖女の血をついだ盈力の持ち主が必要だ、そう言って、アーシェに頭を下げた。アーシェは言下に否定し、オディナを攻撃。このとき激昂したアーシェの神力波がオディナの魔王の双角、その一本をへし折ってしまう。それでもなお、オディナはアーシェに手を上げることをしなかったし、無理矢理に○すこともなかった。

 あなたに世界を支配する現実の一端を見せよう、ある日魔王はそう言ってアーシェを連れ出した。

 暗黒大陸アムドゥシアス南東の要害拠点。そこをアルティミシアから渡ってきた軍隊が襲っていた。魔神戦役の激化は新羅狼牙一行が旅立ったあとのことであり、この当時まだ人類圏の反撃は散発的なものでしかない。それでも人類の軍は数に勝って小集落を落とす。そもそもこの集落は見張り台的なものであり、実際に戦闘力をもった魔族は少なかった。

 見ていなさいと、魔王は言った。彼が介入すれば人間たちなど瞬殺であったろう、だがあえて手を出さず、アーシェに現実を見せた。

 それは略奪と放火と暴行という、この世でもっともおぞましい行為の三重奏。あのときの魔族たちが犯され、焼かれ、腹を割かれ、ほとんど抵抗できず遊び半分に殺されてゆく姿を、アーシェは一生、忘れることはない。

 そして、魔王の見せた横顔もまたアーシェの心に強い印象を残した。銀の蓬髪をたなびかせた優美なる魔王は、厳しい瞳で人間たちの行いを見ていた。ただの一挙動も見逃さないとばかり、同胞の無念を決して忘れないとばかりに。その視線には血を吐くばかりの痛みと憎しみが宿っていた。

 その結果として。

 アーシェ・ユスティニアは自ら女神イーリスに背教、魔王オディナと肌を重ねた。オディナの行為はあくまでも優しかったが、アーシェは自分を人間という咎人(とがびと)の代表と定義し、それでは咎に見合う罰ではないと逆に魔王を叱る。もっと無理矢理に犯せ、人としての尊厳を壊せ、なんなら魔物たちの慰み者に使えと要求する。オディナはあなたはもう我が后(きさき)なのだと、だから罪も咎もないのだと言いつのるも、アーシェの過剰な自責はとどまるところを知らなかった。王子ノイシュ・ウシュナハ(のちの新羅辰馬)を懐妊したアーシェは、身重の身体で人間たちにより傷を受けた魔族の兵を慰労し、彼らに身体を捧げる。聖女アーシェ・ユスティニアが魔物たちの苗床として子を生まされたという歴史的事実の真相はそういうことであり、無理矢理に彼女を犯したものはいない。ただ、アーシェが自分に課す罪科(つみとが)の自責ゆえに壊れていったのは確かであり、ノイシュ=辰馬を生んだときかなり正気が危うかったのもまた事実ではある。

 そして魔王オディナ・ウシュナハは新羅狼牙にアーシェを託すべく、ひたすらに「聖女を拐(かどわ)かし破滅させた邪悪な魔王」という悪役を演じて、殺された。魔王の双角の片方が折れていなければ、あるいは彼が本気で狼牙たちを殺すつもりであったならば、時代の流れは今の形にはなっていなかったかも知れない。

 ともかくも、魔王は滅び、聖女は勇者に救われた。おとぎ話ならば幸せな結末だが、この聖女は魔王を憎むのでなく愛していたためにおとぎ話とは趣を異にする。魔王オディナが首を取られたとき、逆上して全力の神力波、創世天主(ヤーウェ・アドナイ)を勇者に向け放ったことは歴史上絶対秘中の秘である。狼牙、ルーチェ・ユスティニア、十六夜蓮純(いざよい・はすみ)の三人になんとか取り押さえられ、蓮純の術で心の平静を取り戻したアーシェは一応はおとなしくなったものの、彼女の中には狼牙に対する憎悪が強い爪痕を残し、アカツキに凱旋するまでの1年間、勇者一向に心を許すことがなかった。妹であるルーチェに対してでさえ、そうであった。彼女にとってすがるよすがはもはや子息ノイシュしかなかった。アムドゥシアスで魔物たちの子を産み落とすこともあったが、やはり人外の魔物の仔と愛した魔王の子では違う。

 そしてアカツキ京師太宰につれられ、アーシェは狼牙の妻に迎えられる。狼牙としてはアーシェを放っておけなかったからだが、アーシェにしてみれば憎い怨敵の妻になど言語道断、笑止千万だった。舌をかんで魔王の後を追おうかとも思ったが、ノイシュがいる以上無理な相談だった。精神の不均衡を来している状況では、一人で息子を育てることも難しい。だからアーシェと狼牙の新婚生活は、本当はギスギスとした妥協の産物だったのである。少女時代の牢城雫はこの当時のアーシェから赤子の辰馬を抱かせてもらい感動したものだが、そのときアーシェの心がこうもささくれ立っていたことを知ったらどう思うか。

 さておき。

 オディナが命名したノイシュという名前を勝手に「辰馬」と変えたことにもアーシェは強い憤りを覚えたが、古ユーグ語……アムドゥシアス語。ラース・イラのユーグ語と同根だが、文法にわずかな違いがある……の名前は魔族の血筋を疑われかねないと言われれば強くも否定できなかった。結局辰馬が魔王の子であることは、広く世に知れ渡ることになるのだが。

 オディナとの思い出の一つ一つが、雪解けのように消えていくようでいやだったが、それが雪解けであるなら今度は彼女に新しい芽吹きをも齋した。1年2年が過ぎていくうち、アーシェは狼牙の優しさにもまた惹かれるようになる。そして狼牙に惹かれるアーシェは、また人類の庇護者たる自分の価値を再認識し、人間の価値観の中に戻されたことで人類のために魔族伐つべし、と考えをもとに復すに至る。

 だから託宣(たくせん)により辰馬が世界を壊す……おそらくはイーリスを害する……と出て、ウェルス神聖騎士団団長ホノリウス・センプローティス・ウェルギリウスからのコンタクトを承けると辰馬を殺さなくては……そう思いもした。世界のため=女神イーリスのためであるならばそれが正解だったが、やはり彼女にとって世界はもはや、女神の所有物ではなかった。

 だから、こう叫ぶ。

「わたしは決して、あの子を見捨てません! あの子が……あれだけ世界と同胞を愛したあの人の子が世界を壊すなんて、絶対にあるはずがない。世界を私(わたくし)しているのはイーリスさまの方です!」

 素早く、二重詠唱(ダブルキャスト)。一つの術は結晶体を破壊する神力波、もう一つは結晶体からはじき出された辰馬の霊体……むき出しの危うい魂魄に、肉の身体を与える『再創世(リ・ジェネジ)』。妹のルーチェにも、当代の聖女見習いラシケス・フィーネ・ロザリンドにもまだ使い得ない、無から有を創造する聖女の秘術!

「っと、あぶね……。かーさん、なんか考え込んでるから不安になっただろ!」
 かりそめの肉体を得て復活した辰馬は、母に向かって憎まれ口をたたく。しかしその表情の晴れやかさは、母に見捨てられずに済んだことをこの上もなく喜んでいた。

「逡巡してごめんなさい、辰馬。……でも、もう迷いはありません。縛につきなさい、竜の魔女!」

 息子に応えつつ、アーシェは聖杖をかざす。染み渡る清浄の気。焔が、イナンナが立ち上がる。アーシェの動静を見守っていた狼牙も、自分たちの三角関係に少し複雑なものはありそうながらアーシェが息子殺しの罪を犯さずにすんだことで安心して天桜を構え直す。

「ふふ……そう。歴史はそちらに流れる、か……。まあそれもいいわ。だけどここでやられてあげるわけにはいかないから……帰るまでの準備が出来るまで、少しだけ本気で相手をしてあげる!」

 竜の魔女、ニヌルタはバサリ、漆黒のマントを脱ぎ捨てた。背中から竜の巨翼を生やす。天井まで4メートルそこそこという玄室内、空を飛ぶために翼を展(ひろ)げた訳ではない。ではなんのためかといえば。

 ひぅ!

 それなんぞ神速なる哉。速さなら絶対の自信を持つ辰馬のお株を奪う、超高速。一番手近にいた辰馬の顔面を、竜鱗に覆われたかぎ爪の豪腕がわしづかみにして、一気に反対の壁面まで引きずると壁に叩きつける!

「ぐぁ……!?」

 新羅辰馬ともあろうものが、受け身もとれずまともに食らう。今の身体が仮のものでなじんでないとか、そんないいわけがどうでもいいレベルの圧倒的速さだった。腕力による上乗せダメージも、尋常ではない。一瞬頭が割れたと錯覚したほどだ。

 それでも。

 腕をつかみ、肘を支点にして下から反転、顔面めがけて蹴りを打つ。しなる鋼の鞭を思わせる蹴足(けそく)を、ニヌルタは羽虫でも払うように払いのけた。

 アーシェからベネディツィオーネ(=祝福)を受けて、狼牙と焔、イナンナが一斉に掛かる。殺さない程度に、しかし全力で。狼牙の超重力場、天桜絶禍、竜の巫女イナンナの氷爪。この狭く閉ざされた玄室でむやみと炎熱を使うわけに行かない焔は腰のホルスターから銃を抜き、早撃ち連射の妙技を見せる。

 しかしそのすべてが、通用しない。はじかれる。ニヌルタの中に潜む。圧倒的ななにものかの力によって。

 ニヌルタが腕を持ち上げ、くん、と軽くひねった。ただのそれだけ。その一挙動で発動した威力が、狼牙たち超一流の戦士を無様に這いつくばらせた。

「『祖竜』の力もだいぶなじんで来たわね……あなたたちを殺すことが目的ではなかったのだけれど、あとあと五月蠅いし。この場で始末しておくかしら?」

「まあ待て待て……おれを、忘れんなって……」

 アーシェに支えられて、立ち上がる辰馬。頭の血は治癒魔法でふさがれたが、内部に浸透した衝撃までは抜けない。足下がふらつく。

 まあ、一撃だ。それで決める。

勇を鼓して、歯を食いしばる。

「いい目ね。でも……。無理でしょ。この狭い場所であなたの大技を使うわけにはいかない。私の天地分かつ開闢の剣とおなじでね。
 そして、術がつかえない状態、フィジカル勝負では、あなたに万の一つも勝ち目もない。終わりよ。この勝負はもう詰んでるの。
 あなたはまだ勝ちの目があると信じて王将を動かし続けている、滑稽な道化に過ぎない」

「人の限界を、お前がかってに決めんな、ばかたれ」

 悪態をつきつつ、気息を整える。間合いは2間(6メートル)。辰馬の足なら一足の距離。

 たん、と床を蹴る。

 一撃、当てればなんとかなる。なんとかなるし、なんとかする!

 振りかぶらずに、ごく小さいモーションから、寸打を打ち込む。ニヌルタはそれを軽く受け止め、馬鹿にしたようにため息を……つく寸前、飛び退こうとするが襲い。

「文字通り、全身全霊だ……食らいな、シャクティ(=力)!!」

 準備も詠唱も必要ない、ただ自分の命を力に変換して、流し込み、叩きつける。盈力、その総量という点において比類ない辰馬がいざというときに使いうる、対単体の最大火力。天雷ともいうべき純然たる破壊のエネルギーは、圧倒的強者、ニヌルタ相手にも確実にダメージを与えた。問題は辰馬の命。命を触媒としている以上そこが一番大きいわけだが、今ここで出し惜しむ場合ではない。

「か……ぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~ッ!?」

 竜の断末魔ともいうべき絶叫を上げるニヌルタ。しかしなお倒れない。

 両者、離れる。

 辰馬もニヌルタも、互いに膝をつく。

 今のでやられてくんねーか……いかんな、もう一発は……たぶん無理だ……。

「本当に……最高に愉快ね、新羅辰馬……。あなたが一番の安牌だったはずなのに、まさかこんな隠し球をもってくるなんて……」

「あんたが詠唱なしで力を使ってたのを見てな。命を削ってるんだろーって気づいた。ま、おれのは自前だけど、あんたのは人のもんだよな? そーじゃなきゃあんなにボンボン、気軽に使えない」

 その言葉に、ニヌルタは薄い笑みを返して答えとする。

「それはそこにいる竜の巫女さまに聞くといいわ。そろそろ『跳べる』ようだし、じゃあね。また会いましょう」

 辰馬がどうにかしてもう一撃のシャクティを絞り出す算段を考えているうちに、ニヌルタは闇に溶けるように消えた。

 逃げた……つーか見逃してもらった、か。おれもまだまだだな、もっと強くならんと……。

 呪縛から解けた三人が立ち上がって、辰馬に寄ってくる。安心した辰馬の身体に、反動が来た。全身の気道から汗が噴き出し、膝がガクガクと震える。脳がひりつき、胸が割れ鐘をうつ。また、片膝ついたが。それでも気分は晴れやかだった。母が自分を愛してくれていた、それがわかっただけで、ほかはいらない。


……
………

「お疲れ様、ニヌルタ」

「あら、心外。そんなに疲れたように見えるかしら、わたしが?」

 かけられた声に、ニヌルタはまだ余力のある態度で答えてのける。新羅辰馬のシャクティで受けたダメージはかなり大きかったが、彼女の命にかかるダメージのほとんどは『祖竜』が肩代わりする。それでもこれだけの威力を通してくる新羅辰馬という少年の潜在能力には、驚嘆するしかないが。

「新・学生会はまだ始まったばかりだもの。早々にあなたに欠けてもらっては困るわね」

 ここは蒼月館学生会室。

 執務机に座り、色気のない縁めがねをくいと持ち上げて。学生会長、北嶺院文(ほくれいいん・あや)は静謐にほほえむ。

「それは、わたしを正規の学生会メンバーとして認めてくれる、ということかしら? それは嬉しいこと。今後ともよろしく、会長さん」

 ニヌルタもニヌルタで、底の見えない笑顔を浮かべてのける。

 文の傍らに控える栗毛の少女、当代の聖女ラケシス・フィーネ・ロザリンドは、ニヌルタという怪物にうすら寒いものを感じる。文はこの魔女を飼い慣らせるつもりのようだが、ラケシスにはそれが可能とは思えないのだった。そもそもが、男子排斥という文の思想に本気で追従する女子がどれほどいるのか。恩義から彼女を見限ることの出来ないラケシスだが、女尊男卑の管理社会に希望があるとは思えない。

 先代聖女の息子、新羅辰馬を思う。同級生であり、アーシェとのつながりがあるとはいえ、そこまで親しくはない。だが差別や格差、旧弊といったものを打破する精神には、共感するところがある。聖職者は往々にして保守的なものだが、その中にあって開明的なラケシスとしては今後辰馬のような人材にどんどん排出して欲しいところだ。神の否定という辰馬の命題に関しては、うかつなことは言えないわけだが。

………………

以上でした、それでは!

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遠蛮亭 2023/04/04 10:52

23-04-04.「日輪宮」凌○回避ルート動画

こんにちわです!

とりあえずここまで作りました、ということで「日輪宮」凌○回避ルート、4章途中まで。凌○回避ルートなのでエロはありませんが、シナリオを楽しんでいただけると幸いです。ちなみに戦闘シーン、すべて開幕砲撃スキルで敵を全滅させてますが、これは現時点で敵にスキルを持たせていないためです。勿論実際のゲームでは対抗措置として「抗火炎砲」とか「抗火炎陣」なんかを持たせます(1戦団中に一人スキル持ちがいれば、全体に効果あり)のでゲーム的に破綻することはないかと。まあ、現状道中で倒すべき敵の数が少なすぎるかも……と思っていますので、これも多少増やすかもしれません。

それでは、以上でした!

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遠蛮亭 2023/04/04 07:07

23-04-04.「くろてん」小説再掲1幕2章7話

記事が2つになってしまいましたが、ともかく「くろてん」小説再掲です。

昨日もなかなかゲーム制作が進められなかったので、今日こそ……と思っていますがどうなるやら。まあ、やれるだけ頑張ります。

黒き翼の大天使.1幕2章7話.二律背反の愛情-上

 襲撃から一夜明け。

 新羅辰馬たち一行は、太宰2等市街区、艾川沿いの道を歩いていた。かつては新羅狼牙の魔力で隠れ里とされていたこの一帯も、いまは普通にのどかな市街路である。京師太宰の一角としては街路も蒸気灯もまだ整備されておらず、総じてひなびた感じがあるのは否めないが。

「親父とかーさんに訊いてみるか」

 昨日。竜人の尋問を済ませ、大輔たちと合流した辰馬はその後寮で集まり、その座でそう結論づけた。竜種の『聖域』はウェルスの霊峰イツェムナ山脈のどこかにあるとされ、辰馬の身内でウェルスの出身者といえば真っ先に母…アーシェか叔母のルーチェである。発想の順序としては順当であったし、冒険者として先達である父母から話を聞くというのも重要だった。

 ということで。辰馬、瑞穂、雫、エーリカ、そして姿を消したサティアと、大輔、シンタ、出水はぞろぞろーっと列をなして艾川沿いの道を歩いている。

「辰馬サーン、この辺、危なくないスか? この川。氾濫したらドージョー沈んじゃいません?」

「怖いことゆーな。……まあ、実際立地的に危ないことは危ないんだが、それでも1200年間新羅の家はずっとここにあるんだから、だいじょーぶだろ」

 根拠なくそう言う辰馬ではあるが、自然がひとたび猛威をふるえば人間が大事にしてきた歴史や伝統なんてものは一瞬だ。わかってはいるつもりなのだが、人間、実際おこってしまわないと災害の怖さは身にしみない。

 やがて大きな槐(えんじゅ)の木が見えて道場の門が開ける。道場関係者(血縁者の辰馬と、門弟の雫)を先頭に、中へと入った。


……
………

「狼牙とアーシェさんなら、4、5日ばかり前に出かけたな」

 そう言ったのは、辰馬の祖父新羅牛雄(しらぎ・うしお)。古希を過ぎていながらその肉体は張り詰めた鋼のように錬磨されており、身だしなみもしっかり整えられていて実年齢より20歳は若く見える。新羅江南流中興の祖でありもと国軍中央統帥局の武芸師範もつとめた、武人としての経歴と逸話において勇者…新羅狼牙にも劣らぬ人物が孫を見遣る視線は、しかしただの好々爺かそれ以上の祖父馬鹿でしかなかった。

「そか……久々に帰ったのに入れ違いかー。んー……」
「で、なんの話じゃね? ワシにでも話してみんさい。これでも頼りになるぞ、ワシ」
「じーちゃんにねぇ……」

 祖父のことは好きだが、その実力に関してほとんど知らない辰馬としては「むう」とうならざるを得ない。無意味に話を広げるのも困る。

「いーんじゃないかな。たぁくんにとっての師範はただの孫に甘いおじーちゃんかもだけど、ホントの師範は凄いんだよ?」

それまで新羅家ご夫君の出したお茶菓子をぱくぱく食べていた雫が、助け船を出す。雫は新羅狼牙、新羅牛雄という二人の伝説から新羅江南流を相伝しているわけで、特に狼牙が魔神戦役に発った後の牛雄による指導の地獄を経験しているだけに、その言葉は金の重みをもつ。

「しず姉がわざわざ「凄い」っていうくらい? へぇ……」
「なんじゃ、疑っとるんか。あれじゃぞ、ワシの名前、武術教本に引っ張り出されたりしとるんじゃぞ? 見たことないか?」
「おれってそーいうの、あまり読まんからね。最低限の鍛錬以外、武芸ってモンにあんまり、かかわりたくないし」
「なんじゃ、そのぶんだと自主練サボっておるのか? 最低限はやっておかんといかんぞ、鍛えておかんと身体にも悪い」
「わかってるって。少しぐらいはやってる……んじゃ、じーちゃんに話すけど……」

 そして辰馬は竜人による昨日の襲撃、そして大輔たちを襲ったどこか……おそらくはウェルス神聖王国の騎士団の件を、牛雄に話した。ふんふんふむふむと聞いていた牛雄の眉間に、一本深いしわが刻まれていく。

「竜人のほうはともかく。騎士団に関しては……おそらく、だがアーシェさんかも知れん……」

「はあぁ!? なんで!?」

 あまり言いたくはないが……という風に口を開いた祖父に、辰馬は思わず強い口調でかぶせてしまう。それくらい信じたくないし、否定したい言葉だった。もし本当だとするのならば、最愛の母が自分を、殺そうとしているのだから。

「……お前が本来狼牙とアーシェさんの間の子ではないこと、承知しておるな?」
「あぁ、まあ……魔王オディナだっけ? このわけわからんくらいでかい力も、そいつの所為だって話ぐらいは……いや、それならおれを憎むのはかーさんじゃなくて、親父のほうになるはずじゃ……?」
「あの人は聖女としての最後にひとつの予言を承けておってな……自分と魔王の子が、世界を壊す……と。それでワシと狼牙も何度か、相談を受けたことがある。辰馬、お前のことを憎んでいるわけではないのだ。ただ、先代聖女の責務として、世界の安寧を揺るがす存在を放置は出来ぬと言う義務感が……」

 辰馬の耳に、祖父の言葉はむなしく響いた。それまでのすべてを否定されたような気がしていた。自分が愛情を捧げた母は、自分を殺そうとしている……その現実に向き合おうとして、たまらず胸を押さえた。胃酸が一気にせり上がってきて、耐えられず吐瀉する。

「ぅえっ! ええぇっ!!」

 頭がガンガン言った。口の中がひどく乾く。血液の流れもおかしい。そこそこの鍛錬から自らの心身を律せていると思った少年の身体は、あまりにも脆く打ちひしがれる。内側から外側へ、灼熱したハンマーで何度も何度も殴られるような苦痛。今までに感じたことのない種類の痛みに、辰馬はのたうち回り、のどをかきむしる。身も世もなく絶叫したいのを、それだけはみっともないとかろうじてこらえた。

「ご、ご主人さま、大丈夫ですか? 治癒……よりもなにか、気を楽にする方法は……」

 齋姫として何人かの心身病者を相手にした経験があり、自分自身も陵○の爪痕という病理に蝕まれた経験持ちの瑞穂がなんとか適切に処理しようとするが、こればかりはどうしようもない。出来ることと言えば気道の確保と、ベルトを緩めて締め付けを軽くすることぐらいだ。背中をなでてあげたかったが、それも厳禁。重症の状態なら、人から触れられただけのショックで意識が飛びかねない。

「サティアさま、精神状態を改善する術式は……?」
「私の精神操作は単純に他者を強○的に傀儡にするだけのものだから、心の病気とか繊細な部分を治すのは、専門外……。というか母親に裏切られた程度でこんなに動揺するもの?」

 顕現したサティアは無神経に言う。馬鹿にして言っているのではなく、本当にそのあたりがわからないらしい。直接に母の胎から産まれたわけではなく、神域、神の庭の神の繭から自然発生的に生じたサティアには、そのあたりの情動はつかみがたいのかも知れない。

「あたし、お医者さま呼んでくる!」

 雫がそう言って、道場の縁側から飛び出した。

「いや、まぁ……だいじょーぶ……うん。伊達に綜制法(そうせいほう)やってねーわ、おれも……」

 綜制法。またの名をサンマヤ法。クールマ…ガルパの法術形態で、『意(マナス)』の集中により自らを高め、最終的に宇宙の知と合一する。辰馬はまだとうてい、その高みにないが、基本の法に縋って『意』を高める。そもそもからして意識を集中する、という行為自体が身体を灼くのだが、そこをなんとかねじ伏せてやってみる。

 まずは会陰の輪(チャクラ)、四弁のムーラダーラを回す。ついで臍(へそ)の六弁、スヴァディスターナ、次が丹田(たんでん)の十弁、マニプール。

 マニプールの解放により、感情の抑制が多少は効くようになる。ついで心臓を司る十二弁の輪、アナハタ。循環を司るここを解放したことで、血液の流れを鎮静した。

 さらに意を上へ上へと進ませる。つぎは喉の輪、ヴィシュッダ。呼吸(プラーナ)の集束所の解放。息が整えられたことで、症状はだいぶ落ち着きを見せる。

「ふぃ……まず五つ解放すりゃ、なんとかなるだろ……。アジュナーとサハスラーラはまあ、開く必要はないとして……んん?」

 意識の手綱を緩めた辰馬は、突然魂が引っ張られるのを感じる。抵抗を試みるも、引く力がすさまじい。力比べは一瞬で決し、辰馬の身体から意識が抜けた。


……
………

 んぅ……? あぁ、なんか引っ張られて……どこだ、ここ?

 意識だけの状態で、あたりを見渡す。見たことのない場所だった。洞窟、というか自然のものではない。人工的に造られた迷宮、その一角の玄室。

 意識の身体を動かそうとして、すぐ壁につきあたる。なにか水晶のような結晶体の中に閉じ込められているらしい。「こんなもん……」意識的にささくれ立っていたこともあり、結晶体を破壊しようとするが、その前に声が掛かった。

「ようこそ、魔皇子」

 のぞき込むように、睥睨(へいげい)するのは。紅い髪に紅い瞳、口の端からは濡れた犬歯をのぞかせる、漆黒のマントを羽織った女。少女と言うには大人びて、女と言うにはまだ幼い年頃の、しかしまとう雰囲気は秋霜烈日。縦割れの瞳孔には覚えがあった。

「竜人たちのボスってわけか……わざわざお呼びくださりどーも。で、さっさと解放してくれないならぶっ殺して帰るけど? いまのおれ、ちょっと優しくできそーもないから」

 ほとんど問答無用で盈力の練りに入る。やけに気短になっている辰馬に、竜人の女は薄く艶然と微笑った。

「まあお待ちなさい、王子様。あなたが強いのは十分わかっているわ。正面切って戦って、勝てるとも思っていない。……わたしはあなたに、真意を確かめる機会をあげようというの」

「あ?」

「母の、聖女アーシェ…ユスティニアの裏切りに傷ついているのでしょう? 彼女が世界をとるかあなたをとるか、確かめてみたくはないかしら? ふふ、もうじき彼女がここにくるわ……あなたは黙って見届けていればいい」

「……」

 押し黙る。相手の得体の知れない迫力はさておき、母の真意を、といわれれば是非にと知りたい。なぜ自分を殺そうとしたのか、せめて納得させて欲しかった。

「交渉は成立のようね。……さて、それではいらっしゃいませ、哀れな鼠たち!」

 女が芝居がかった仕草でマントを翻す。

「ニヌルタあぁぁぁっ!!」

 青い髪、ツーサイドアップ。服装も違う。しかしそれ以外は女とうり二つの女が、上空から竜の女……ニヌルタを襲う!

 ギィッ、ン!!

 高く耳障りな金属音がして、攻撃した女の手にした短剣が壊れて落ちる。止めたのはニヌルタが展開した竜の翼。その硬度は竜鱗に劣らない。

「お久しぶり、姉さん。せっかくの再会なのに、つまらないわね、そんな攻撃」

「お前、やはり『祖竜』の血を飲んだな!?」

「ええ。これほどの力が得られるのだもの。禁じるなんて馬鹿げていると思わない、姉さん!!」

 ニヌルタが腕を振るう。呪文詠唱もなにもない、ただ練った魔力を塊にして打ち出すだけの一撃。それに対して姉と言われた女は呪文を唱えて防御結界を張り、一瞬と保たず突き破られて天井まで跳ね飛ばされる。血を吐き、倒れ、痙攣しながら立ち上がろうとするも、ダメージは一目瞭然に大きい。

「さあ、わたしをここに追い込んだのはなんのため? あなたたちの読み通り、天地分かつ開闢の剣(ウルクリムミ)はここでは使えない。ここまでお膳立てしてもまだ姿を見せてくれないなんて、アカツキの勇者と神国の聖女はずいぶんと臆病なのね?」

 ひぅっ、と火線が空気を焼く。四千度の炎を一極化した熱線の鞭は、しかしニヌルタの直前で不自然に曲げられ、霧散する。爆ぜた炎の後ろから、210センチの巨漢、明染焔が突進した。

「うらあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 術が効かないなら物理で押し込む。スマートではないが有効な方法。だが甘いと掌をかざし、焔の突進を止めようとしたニヌルタの身体を、強烈な重圧が襲う。魔王殺しの勇者…新羅狼牙の力は、時間すら歪ませる重力場。重圧と身を裂く激痛に、ニヌルタの障壁が消える。そこに焔がぶちかました。

 210センチ140キロの猛チャージ、全体重をのせたその突進の破壊力は数十トンに達する。一瞬だけ、本気でニヌルタの意識が飛んだ。焔は追撃の拳をたたき込もうとして、出来ない。女を殴る、ということに対して、彼は抵抗がある。その間隙にニヌルタは焔をはじき飛ばし、口の端の血を舐めとった。

「く……ふふっ、今のが勇者の重力場……聞きしに勝るとはこのことね……。でも、いいのかしら? このままだと、可愛い息子も一緒に死ぬことになるけれど?」

「息子? 辰馬が、来ているのか?」

「たつ……ま、が?」

 動揺し、物陰から出る狼牙と、泣きそうな顔のアーシェ。重力の戒めが解けたニヌルタは、左手に握った結晶体を見せつける(二人にはその中に辰馬の姿が見えているらしい)ようにしながら二人に苛烈な攻撃を加える。相変わらず術とも言えないような固めて放つだけの魔力波。しかしその威力がとてつもない。気を抜けば一撃で防護結界を破られる。

 って、おれは人質かよ!? くそ、こんな水晶すぐに……

 結晶を破ろうとする辰馬に、ニヌルタは声をかける。

「そこから出たら死ぬわよ。まあ、見ていなさい、あなたの母があなたを選ぶか世界を選ぶか、聞いてあげるといったでしょう? ……アーシェ…ユスティニア、あなたは息子を、魔王の継嗣ノイシュ・ウシュナハを殺したいのよね?」

「……っ!?」

 アーシェはビクッと身を震わせる。息子自身の前で、その質問に答えさせられるのはあまりにも残酷。妻が隠れて息子に刺客を放っていたことを薄々悟っていた狼牙も、痛ましい顔になる。だが今一番傷ついているのは辰馬だ。アーシェが答えないと言うことは、肯定を意味するのだから。

「……わたしは……」

 アーシェは青い顔で、しかし決然と口を開く。次の言葉を、全員が固唾をのんで待った。

………………

以上でした、それでは!

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遠蛮亭 2023/04/04 06:56

23-04-04.「くろてん」凌○イベント内容ほぼ確定!

おはようございます!

まずこれ。

辰馬くんロリバージョン。「日輪宮」5章でロリ辰馬くん登場するのでその時用です。表情差分もいくつかはつくりました。

で、まだ迷走中の「くろてん」の凌○イベですが

瑞穂
1.ヒノミヤで酷使した神御衣が破損
とあるもぐりの神官が修復できるとのこと。腕は確からしいが……
このとき、辰馬不在。瑞穂は大輔を護衛に神官のもとへ
前々から瑞穂を狙っていた神官は身体を要求
大輔、激昂して殴りかかるが、寸前で呪いを打たれて昏倒
呪いを解けるのは神官だけ、といわれて瑞穂、やむなく身体を開く
2.神官に呼び出される瑞穂、娼館へ
そこには齋姫を犯せると聞いた金持ちの老人たちが居並ぶ
瑞穂が抵抗するなら大輔の呪いを発動させると脅して逃亡を塞ぎ
自分に永遠の愛を捧げるか、さもなくば老人たちに輪○されるかを迫る神官
愛を捧げるくらいならと輪○を選ぶ瑞穂
3.前回自分を選ばなかったことに怒った神官はそれまで隠していた本来の姿を晒す
神官の正体はヒノミヤで実験体として作られたドラゴンゾンビと人間のキメラ、腐竜人だった
ゾンビとはいえ竜種の血、圧倒的な力で瑞穂を組み伏せ、○す神官
4.まだ靡かない瑞穂を暴力的に○す
殴打しながら、瑞穂の胎がボコリと盛り上がってしまう巨根責めの連打
思わず何度も潮吹きしてしまう瑞穂
5.パイフェラ奉仕
始めた当初は嫌悪感が先に立ったが竜種の強烈な遺伝子を感じてトロけてしまう
神官をイかせる頃には瑞穂は我慢できなくなり、自分から求めるようになる
6.背後から背面座位で抱きすくめられる瑞穂
媚毒薬物の投与で乳房は2倍近く膨れ上がり、揉みしだかれると母乳があふれる
乳責めされながら犯される瑞穂は自分から腰を揺すっており、
後ろから神官が顔をのぞかせるとその首に瑞穂はしどけなく腕を絡めた
7.完全に神官に参った瑞穂
泡姫のように豊満な身体をすりつけながら、片手で手コキ
神官の腐敗した顔に顔を近づけ、いとおしげに崇拝すら込めてキスをする
8.出産/竜種


1.高校生らしき不良数人にボコられるエロガキ
雫と一緒にいたシンタがカッコをつけようとして不良をボコるが、これはエロガキの罠
エロガキが雫に「二人で話したい」と物陰に連れて行き、そこで映像封石に映されたシンタの蛮勇の証拠を見せられる雫
これをバラされたくなければ、と脅され、シンタの将来を考えて逆らえない雫
シンタを返し、再び物陰に戻ると、勝ち誇ったエロガキに跪いてフェラ奉仕
2.「1」で従属後、また呼び出されて対格差立ちバック
3.エロガキから大蜘蛛、ゴライアスエルフイーターをけしかけられる
蟲嫌いの雫は怯えてしまって動けず、這い蹲らされて蜘蛛の毛深いチンポで膣を何度もシゴかれる
4.エロガキは蜘蛛を使って雫を脅しながら、執拗に○す
5.使役されていた大蜘蛛が反逆、エロガキを喰って蜘蛛人間化
会話可能なバケモノになった大蜘蛛は拙い言葉で言葉責めしながら、雫を○す
6.蜘蛛の糸にぐるぐる巻きにされて吊るされ、身動きできない状態で種付けされる雫
気が狂いそうな恐怖とそれを凌駕する快感に、雫の精神は失調する
7.蜘蛛の虜になった雫。蜘蛛人間を「くもさん」と呼び慕うように
蜘蛛チンポに顔をうずめて丹念なフェラで奉仕、
封石に自分と蜘蛛の愛の光景を撮影し、家族とかつての仲間たちに送る。
8.出産/蟲系

エーリカ
1.辰馬にプレゼントを贈りたいエーリカ
「レンタル彼女」の張り紙を見つける
恵まれない男性とお食事をするだけの簡単なお仕事、ということ
怪しみつつも即、応募
しかし客として登場したのは人間ですらない、醜悪なカエル人間だった
エーリカは逃げようとするが、バイト契約する際刻まれた「神紋」の効果で逃げられない
唇を奪われた
2.改めてレンタル彼女についての説明を受ける
神紋は6か所、唇、両胸、膣、肛門、子宮
これらを上から順に征服されるごとに男の支配力が増し、全部を征服されたとき、女性は男に完全に支配される
そんな話は聞いていないと起こるエーリカの前に、再びカエル男登場
カエル男の支配力は確実に増しており、乳房を触らせろと命ぜられてエーリカは逆らえなかった
3.前回一階では神紋が不完全だった乳房に、カエル男が再び執拗な責め
今度はパイズリを要求し、やはりエーリカは逆らうことができない
4.膣を使わせろというカエル男にエーリカは封神符を用意して対抗
しかし神紋の術式は女神グロリアの悪意の呪いであり、封神符より強い
反抗しようとしたエーリカにカエル男はオシオキと称し、ガニ股エロ蹲踞で自分から処女を捨てさせる。
5.前回の調教で抵抗心を削がれたエーリカ
次はアナルと要求されても逃げる気力もなく、バックから肛虐を受ける
6.しかしながら子宮征服による完全隷属化は耐えがたく
また呼び出されたエーリカは屈辱の全裸土下座でそれだけはと許しを乞う。
カエル男は愉快気に笑いエーリカの頭に小便をかけ踏み躙り、今回のところは解放
7.いったんの猶予を与えられてもエーリカにどうする手立てもなく、
つぎに呼び出されるとなすすべなく犯される。
激しい責めに子宮口は開き切ってしまっており、ポルチオ帯を擦られるたびエーリカは獣のように喘ぐ
このまま射精せばお前は俺のものだ、そうささやかれたエーリカは抵抗するどころかカエル男にしがみつき「射精してぇ~♡」と懇願
子宮に存分に射精され、不可視のはずの神紋がひときわ強く輝く。征服完了し、完璧にカエル男に隷属を誓う
8.出産/水棲

寝取られと異種姦を融合させて、以上のようになりました! 細かいところは今後変更ありかもですが、大枠はこれで。10枠使ってたのが8枠になったので、純愛枠を2つ増やせるようにもなりました!

では、とりあえず以上で。「くろてん」再掲は別にアップさせていただきます!

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遠蛮亭 2023/04/03 06:56

23-04-03.「くろてん」小説再掲1幕2章6話+アンケート結果

おはようございます!

まずこれを。

竜の巫女イナンナです。妹ニヌルタと違って生真面目な常識人ゆえ、逸脱した強さを得ることがなくヤられ役で終っちゃいましたが。

そして、先日のアンケートの結果ですが

寝取られオンリー 11票47%
異種間オンリー  7票30%
寝取られ・異種間半々 4票17%
その他 1票4%

と、なりました。なので「寝取られオンリー」……となるべきなのですが、コメントやメッセージもいただきまして。それでやっぱり両方あった方が良いかなと考えたイベントがこんなふう。

・瑞穂さん寝取られルート
ある神官のもとに、神御衣の修理

辰馬くん用事。このとき辰馬が推して瑞穂に同道するなら寝取られルート封鎖

辰馬くん不在の場合、大輔が同道。

薄気味悪い神官、瑞穂さんの身体を要求

大輔が激昂して殴りかかるが、寸前で呪を打たれて昏倒

大輔を助けるためには犯されるしかなかった(→寝取られルート)

・瑞穂さん異種姦ルート
太宰の町の町はずれにひっそりと住む半オーク

迫害を受けながらも性欲の強い半オークはあるとき瑞穂さんを見初める

わざと人間に迫害される姿を見せることで瑞穂さんの慈悲心をくすぐる

最初は控えめだった要求を次第にエスカレートさせていく(→異種姦ルート)

こんな感じで以下続けて5枚ずつ、それでいいのではないかなと。ちなみに瑞穂さん異種姦ルートの半オークのアイディアは雫おねーちゃん用イベントとしてメッセージでいただいたものです。この場を借りてお礼を。

昨日はかなりゲーム制作が進みました! なのですが敵が強すぎ! かなり調整しないと駄目ですね、このままでは詰みになるケースが出てきます。まあ、クエスト達成しても報告せずに戦い続けることで経験値は蓄え続けることが可能ですが。

それで、今日も「くろてん」再掲させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします!

黒き翼の大天使.1幕2章6話.盾の乙女

 しまっ……!

 防御障壁が紙切れのように裂かれるのを目に、辰馬は珍しく焦慮する。

 自分の障壁は無為に終わった。瑞穂も術の発動は間に合わないだろう。一瞬にして巨大な力を振るうとあれば創神サティアだが、日々回復に向かっているとはいえ辰馬に敗北したことで消耗した力は大きく、また肉体を顕在化させていない状態ではなにほどのこともできない。となると望みの綱はただひとつ。

 エーリカ・リスティ・ヴェスローディアは俊敏に、背負った聖盾アンドヴァラナウトの封をほどき掲げる。竜人の放つ赤と蒼の光条にも劣らぬ、白色の光輝が、日輪のごとく周囲を煌々と照らす。それは怒濤のごとく迫る赤と蒼の奔流を、いもたやすく止めてのけた。

「ふふーん、どーよ。アタシって役に立つよね、たつま!」

 フンス、と鼻息も荒く。エーリカは昂然と豊かな胸を張ってみせる。いつもなら五月蠅いよばかたれ、調子に乗るなと素っ気なく返す辰馬も、さすがに今回ばかりは本気で命を救われた。

「ああ、そーだな。お前がいてくれて助かった。……あんがとさん、エーリカ」

 珍しく、素直な感謝の念を述べる辰馬に、「きゃーっ、辰馬が、辰馬が私に『おまえがいなけりゃ駄目なんだ、結婚してくれエーリカ』って、だって!」エーリカはもじもじと身をくねらせて恥じらう。

「んなこたぁ言ってねーけど……。ま、いーや、そんじゃ今度はこっちの番だな」

 ふっ、と辰馬の姿が消える。次の瞬間、竜人のひとりの背後をとり、全力の当て身、粘勁(ねんけい=ポジショニング)、発勁(はっけい=呼吸力)、纏糸勁(てんしけい=身体運用)の三位一体を乗せた最大威力の靠法(こうほう=体当たり)をぶちかます! どう! と汽車にはね飛ばされたような轟音を立て、竜人が沈んだ。

「まず一人、と」

 とん、とんと。つま先を鳴らし、次の挙動に備える。ノーモーションで動くのが理想だが、べた足すり足では一瞬で詰めることの出来る間合いが短い。

 つーか。全開で戦えりゃあ簡単に勝負がつくんだが……。まさかこの市街地で輪転聖王(ルドラ・チャクリン)ぶっ放すわけにもいかんし、範囲で言うと天桜絶禍はさらに大きいからな。小さい便利な術とか、めんどくさがらずにとっとけばよかったか……。

 そう考えながらも動きは止めない。

 とっ!

 また、踏み込んだ。竜人の懐に入り、至近から寸勁の連打+膝蹴りで間を広げ、側頭部への回し蹴り! 基本と言えば基本のコンビネーションなのだが、一撃一撃の重さがすさまじい。速さも相まって、稲妻の威力だ。

 にも、かかわらず。

 その竜人は倒れない。竜の体力、タフネスが、新羅辰馬の技巧と打撃力をしのぐ。カウンターで、開手(かいしゅ)の貫手(ぬきて)。鋭利な爪牙の一撃はそれだけで華奢な辰馬の身体を両断しうる。

 く……こいつら……!

 竜人たちは瑞穂やエーリカには目もくれず、集団で辰馬に攻撃を絞ってきた。竜人たちは一対一ならまず負けない程度の技量だが、とにかく集団戦に熟(こな)れていて連携がうまい。辰馬の回避する先、先に次の攻撃を置いてくるのが、非常に鬱陶しい。

 ついに竜人の爪牙が辰馬をとらえ……、

 るその一刹那。光条が空を裂き、いままさに辰馬に躍りかかった竜人の肩に、矢が突き刺さる。

「ぎあぁぁぁ!?」

 身の毛もよだつ呻きをあげ、竜人は射手を睨む。その強く鋭い眼光の先、身の丈ほどもある梓弓を構えるのは神御衣(かんみそ)姿の神楽坂瑞穂。

「ご主人さまは、やらせません!」
「小娘があぁぁっ! まず貴様から殺す!」
「馬鹿者、短気を起こすな! 我々の目的は新羅辰馬を……ぶぁ!?」

 瑞穂に襲いかかる竜人を、リーダー格らしい別の竜人が叱咤する。その顔にワンパンくれて退かすと瑞穂のフォローに入ろうとする辰馬だが、間に合わない。

「ふっ!」

 とカバーリングに入ったのはエーリカ。光輝の聖盾アンドヴァラナウトを構え、竜人の爪牙を真っ向で受け止め、押し返す。

「ふふん、どーよ、ヴェスローディアの盾の乙女は。さあさあ、『聖域』の竜人ってのはこの程度? なんならまとめて掛かってきなさい! ま、いくらかかってこよーが、アタシの防御は抜けないんだけどねっ!」

 瑞穂を庇うように立ちはだかり、威勢よく見得を切るエーリカ。竜人たちは知るよしもないが、彼女の防御は若き剣聖、牢城雫ですらもそうそう崩せないほどのレベルにある。守りに徹した彼女の守備力は要塞であり、難攻不落だ。

 エーリカ・リスティ・ヴェスローディア。

 1800年、ヴェスローディア王国第四王女として、王都ヴァペンハイムに生まれる。

 幼少期から元気のいい娘で、王宮での習い事より城を抜け出して近隣の子供たちと山遊び川遊びに明け暮れるのが好きな少女だった。あまりに城を抜け出すことが多いため、侍従から手足を縛り上げられた上狭く小さな箱に押し込められるという強烈な折○(せっかん)を受けたこともあるが、彼女の行状が改められることはなかった。

 おてんば姫のチャンバラ遊びはやがて騎士への憧れとなり、師ハゲネ・グンヴォルトについて学ぶも、剣技はなかなか身にならない。かわりに受ける、守るという、盾を使っての防衛技術に関してはハゲネが舌を巻くほどの上達を見せた。この当時父王の意向で聖女としての修行に入るがいかんせん遅すぎ、聖女としての力の萌芽には至らない。それでも彼女の地位に配慮した教会から、9人の乙女の一、『盾の乙女』の称号と聖盾アンドヴァラナウトを拝領する。

 1815年昨年春、父王病卒。兄と伯父の間で後継争いが起こり、エーリカは政争に巻き込まれることを避けて父王と交友のあったアカツキ国主、梨桜帝(りおうてい)を頼ってヴェスローディアを発つ。梨桜帝は15年以上前に死んでいるわけだが、エーリカは気づかなかった。

 とりあえず継承権の象徴であるティアラといくつかの宝石、そして聖盾だけを手にヴェスローディアを出国したエーリカは行く先々で宝石を切り崩し、アカツキを目指したのだが、あまりにも気前よすぎたためにそれらはたちまち底をつきた。結局アカツキ京師太宰までたどり着けず国境付近で無銭飲食の現行犯を食らって汽車から叩き出されたエーリカは周囲を彷徨い歩いた結果行き倒れ、そこをたまたま新羅辰馬とその一行に救われる。蒼月館に運び込まれ、学食で辰馬から奢られた素うどんの味をエーリカの舌は最上級に美化して記憶しており、現在に至るもエーリカは学食では素うどんしか食べない。このときエーリカの中で新羅辰馬という存在は命を救ってくれた王子様という認定になっており、もうどうしようもなく揺るぎない。

 結局、アカツキから亡命者としての保護を受けられなかったエーリカは辰馬を追う形で蒼月館に編入。王女のたしなみとして主要9国の言語に関しては問題なく読み書きの出来るエーリカながら、アカツキで教える歴史とヴェスローディアでのそれとの齟齬(そご)、また国語、古文の言い回しなどに苦戦する。なんとかぎりぎりのラインで合格した結果として、上位に入れなかったことを悔やむより辰馬と同じクラスに入れられたことを、エーリカは心から喜んだ。

 以後辰馬の冒険に同道、随行……とはならなかったのはエーリカが貧乏だったからで、国元に連絡するわけにも行かないエーリカは現地でバイトして生活費を捻出するほかなく、当初新聞配達をしたが限界があった。そこに目をつけたのがシンタこと上杉慎太郎で、「エーリカってかわいいしおっぱいでけーし、これやったらいーじゃん」と勧めたのがグラドルの仕事だった。水着で男に媚びたポーズをとってそれを写真に撮られる、ということに最初抵抗のあったエーリカだが、新聞配達とは比べものにならない金払いの良さに「まあ、少しくらいならね。我慢我慢」と自分を納得させ、今に至る。

 というわけでここまでなかなか新羅辰馬の冒険譚に絡むことのできなかったエーリカが、ここで本領を発揮する!

 爪の猛攻、織り交ぜられる膝や蹴り、そして間断ない攻撃のなかで繰りだされる必殺『天地分かつ開闢の剣(ウルクリムミ)』。それらのことごとくを、エーリカは盾一つで受け止め、捌き、いなす。周囲に大被害を出しかねない「天地分かつ開闢の剣」に関しては、神力(修行は中途半端だったが、それなりの素養はある)の波動を聖盾に流して増幅、威力を包みこんで、外に漏れることを防いだ。

「っ……なんだあの娘は!? 新羅辰馬一党にあんな防御手段があるとは訊いてない!」

 まあ、いままでエーリカと冒険したことが、そもそも少ないからな。それが……奏功した!

 愕然とうめく竜人のリーダー。攻撃が途絶えた須臾の間に、辰馬が肉薄する。リーダーもさるもので辰馬の拳を迎撃、打ち合うも、一対一の真っ向勝負なら辰馬はそうそう負けない。3合で圧倒、5合で打ち倒した。

 残るは3人。天地分かつ開闢の剣、その絶大な威力に頼り切っていた竜人たちはその絶対性が崩れた時点で及び腰であり、そこに辰馬の拳と瑞穂の矢を見せつけられて完全に戦意を失う。算を乱して逃げ出した。

 倒れる二人の竜人のうち、より立場が高いであろうリーダの方を、辰馬は縛り上げるとまた校舎に戻る。

「こーいうことはあんまりしたくないけど。尋問させてもらうんで」

 空き教室で、いかにも気が進まないらしくムスッとした表情で言う辰馬。竜人のリーダーはどう見ても甘ちゃんな辰馬をせせら笑うが、その認識はあまりにも甘い。

「時間ねーからぱぱっと済ます。痛いけどまあ、おれは知らん」

 そう言って竜人の腕から鱗を一枚、無造作にはがすと、その傷口にナイフを突き立てた。あまりに乱雑な行いにリーダーは一瞬、呆然としたが、次の瞬間傷口を灼くナイフの痛みに悶絶する。

「さっさと答えろよー。おれは悲鳴聞いて喜ぶ趣味ないから。話してくれりゃーすぐやめるし」


……
………

 一方、朝比奈大輔、上杉慎太郎、出水秀規。

「らあぁ!」

 大輔は男の一人を首相撲に決めると、全力の膝を相手の下腹部にたたき込む。板金の鎧がベコッと凹んで、穿たれる衝撃で相手は膝をつくが、いかんとも、大輔自身も鉄板を撃ったダメージを負う。徒手空拳というスタイルが、まず身を固い甲胄によろった相手には不利であった。

 シンタも苦戦していた。シンタの技は物陰に潜んでからのバックスタブだったり相手の持ち物を盗んだり、あとは爆殺呪の短刀という呪具を持ってはいるが、これはまず6本の短刀を相手に突き立て、しかるのち7本目を刺すと同時に爆発させるというもので、神聖魔法で強化されているらしい板金鎧にはまず1本目が刺さらないので話にならない。

 出水は魔術師としてもっとも警戒されており、常時2人以上にマークされて術を使えない。そもそも出水は術士としての方向性としてはエンチャンタ(能力の付与、強化。あるいは敵についている強化や加護の無効化を得意とする)に属するところが強い……土塊に敵をのみ込ませたり、それを使って相手を窒息させるなどの技も使うがやはりバフ役。前衛がある程度機能していないと十全ではない。

 それでも彼らは善戦し、正規の騎士団員らしき刺客たちを10人以上沈めた。だがそこが限界だった。敵は大輔たちが強く抗うほどに容赦なくなっていき、最初は生かして捕らえる、と余裕を見せていてた連中が明確に「殺す」と殺意を明らかにすると、疲弊した大輔たちにどうしようもない。せめて出水の招福地澤臨法(宮代で見せた、自分と仲間に絶大な幸運を呼び込む術)が使えればまだしもだったが、この時点で出水は真っ先に沈められ、出水に力を与えている妖精、シエルもまた捕らえられている。シンタも叩き伏せられて踏みつけにされ、大輔ひとりがかろうじて気を吐いたが、その下腹に無慈悲にも刃が突き立てられた。

「邪教の妖精か。このガキたちはともかく、これは殺すか」

 大輔の腹から剣を抜いた団長……実際には小隊長でしかないが……は刃に付着した血糊を祓うと、シエルを汚いものを見る目で見つめ、唾棄するようにそう言った。ウェルスのがちがちの神学主義者にとって、異境の神や妖精はことごとく邪鬼である。

「そうですな。人間を誑かす邪鬼め、滅せよ!」

「やめておきなさい」

 大輔たちを叩き伏せ、意気軒昂な男たちにかかる玲瓏たる声。

 次の瞬間、人影が立つ。

 信じられないほどに美しい、赤毛と紫の瞳の少女。服装は白のブラウスにディアンドル、髪はシニヨンにまとめてある。

「つご……もり?」

 瀕死の状態、薄れゆく朦朧とした意識の中で、大輔が言った。私服姿だが、こんな美貌を見間違うはずもない。間違いなく2-Dの転入生…晦日美咲(つごもり…みさき)だった。

 美咲は大輔に一瞥をくれると、言葉を無視して男たちに向き直る。

「ここは退きなさい。さもなくば斬ります」

 そういう美咲が寸鉄も帯びていないのを見た男たちは、冷ややかな嘲笑を浮かべる。お嬢さんがつまらぬ義侠心で助けに出たのかもしれんが、失敗だったなと。威嚇するように剣を振り上げ……その腕が、ずるり、と落ちた。

「は? あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 ほか数十人の腕も、見えない鋭利な何かによって切り落とされる。一瞬にして場は阿鼻叫喚の坩堝と化した。

「退きなさい」

 もう一度、静かに言う。

 騎士たちは至当に相手の実力を理解した。この少女がなにをしたか、それはわからないが、間違いなくこの少女には勝てない。そう認識した瞬間に彼らの騎士としての矜持は霧散した。自分の腕を拾い上げ、われがちに逃げ出す。

「アーシェ・ユスティニアのウェルス神聖騎士団に、ニヌルタ率いる『神域』の竜種……ほかには……?」

 美咲はそうつぶやくと、意識のない大輔たちに回復魔術を施す。その神聖魔術の威力がまた、なまなかではなかった。その威力と精度は、まるで齋姫……あるいは聖女のそれに等しい。彼女は三人の傷が致命でないことを確かめると、音もなくその場を去った。

………………

以上でした、それでは!

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