【ネタバレ注意】HappyFaceシリーズについてのアレコレ
無事にHappyFaceシリーズを完結させられてホッとしています。
個人的にはかなり気に入っているストーリーなので、完結記念としてHappyFaceシリーズのことを語りたいと思います。
これ以降がっつりネタバレですので、ネタバレが苦手な方はご注意ください。
まず、HappyFaceシリーズ全体を通しての主人公は幸孝となります。
そしてシリーズ各話の主人公は
「ぼくはピエロ」→幸孝
「ずっといっしょ」→直子
となっています。
HappyFaceシリーズ全体を通してやりたかったことは、各話ではメリーバッドエンド。
しかし、作品全体ではバッドエンドのストーリー構成にするということでした。
各話の主人公の視点のみで見ると
「ぼくはピエロ」では、幸孝は好きな人を追いかけ死によって直子から解放される話
「ずっといっしょ」では、直子は死んでもずっと幸孝と一緒にいられる話
というストーリーになっています。
各話の終わり方を見ると、それぞれの主人公にとってはハッピーエンドのように見えるメリーバッドエンド形式になっています。
しかし、HappyFaceシリーズ全体の主人公は幸孝なので、幸孝にとってはバッドエンドとなります。
死んで梓と一緒にいられると思ったら、実は梓の幽霊は直子が化けていただけで梓は死んでいません。
梓が事件後どうなっているのかは総集編のオマケ漫画で少し見せている通り、遺灰が入ったペンダントのおかげで運がいいのか悪いのか、梓は生き残っています。
HappyFaceという作品は絶望がテーマなので、最後まで徹底して希望がありません。
この手の鬱漫画が好きなので、各話ともラストシーンを描くのが非常に楽しかったです。
お次にシリーズを通して伏線を張った、ラストシーンの答え合わせのようなお話をします。
☆直子が梓に化けているという伏線について
直子が梓に化けていることは「ぼくはピエロ」で描写があります。
右から順に、直子の抽象的な笑顔、その笑顔の仮面をもった梓のミニキャラ、最後に梓の幽霊(幻)の左足に傷がある
梓の幽霊の左足の傷はこの飛び込むシーンでのみ確認できるようにしています。
「ずっといっしょ」でも直子の抽象的な笑顔を意図的にいれており、この笑顔=直子という印象付けを行いました。
「ずっといっしょ」で直子の死後、幸孝の後頭部やダンスの様子などのシーンがあるのは、直子が幽霊としての自我を覚醒してから見ている光景です。
直子が梓に化けたのは、確実に自分の側で幸孝を殺したかったから。
自分を殺した後に幸孝がなんらかの方法で自殺すると考えた直子は、自分の知らないところで幸孝に死んでほしくなかった。
直子は梓を殺したと思っており、先に死んでいる梓のところには絶対に幸孝を行かせたくなかったので、確実に幸孝を手に入れるために梓に化けたのでした。
盗聴器が幸孝が持っているバッグのピエロのぬいぐるみに仕込まれているのは、結構分かりやすく描写していました。
「ぼくはピエロ」であのぬいぐるみが出てくるコマは結構あります。
☆作中では語られていない登場人物の詳細設定
◆幸孝
幸孝が遊園地でピエロと出会ったのは、両親がまだ離婚をする前の幸せな時期です。
その後幸孝の実母の浮気が発覚し離婚、実母は浮気相手に捨てられ自殺します。
実父は浮気した母の血をひく幸孝を嫌悪しており、再婚相手の娘である直子を溺愛。
実母が死んだので仕方なく幸孝を引き取りますが、実父と義母は幸孝に冷たく当たっていました。
そんな中、幸孝に優しくしてくれる直子と少しずつ仲良くなっていきますが、
幸孝とずっと一緒にいるために直子は幸孝のせいに見せかけて歩道橋から落ち大けがを負います。
それ以来実父と義母の当たりはさらに冷たくなり、直子が側にいないときは幸孝に暴言ばかり言うように。
この事件以降、幸孝は笑顔の仮面をかぶるようになり、直子に尽くすようになりました。
しかし梓との仲を深めていくうちに直子の異常な感情に気が付き、高校の卒業式の日に梓と駆け落ちしようとします。
結局駆け落ちを察知していた直子に阻止され、幸孝は全てをあきらめ直子と生活。
実父と義母は幸孝が直子の生活の補助をすることを当たり前と思っており、二人の生活になんの疑問も抱きませんでした。
「笑顔は皆を幸せにする魔法」という言葉と、憧れていたピエロの仕事の時間だけが幸孝の心の支えでしたが、結局直子に全て壊されてしまったのでした。
◆直子
直子は非常に頭がよく、特にネットワークやプログラムなどの知識と技能に秀でています。
義父と実母も直子が賢い子なのを知っているので、溺愛して育てました。
欲しがるものは何でも与え、直子のわがままは幸孝に関することだけだったので、すべて直子の言う通りになるように環境を整えました。
直子が幸孝に女としての感情を持っていることを親は知っていましたが、直子は高校生の頃からネットを使って稼いでおり、親にもお金を渡していました。
幸孝と二人暮らしをする時も、一切連絡をしてこないことを条件に親へ多額の仕送りを続けています。
自分たちが最低限生活できる資金と親への仕送り分だけ稼ぐようにし、幸孝を観察(監視)する時間をたくさんとれるようにしていました。
◆梓
梓はシングルマザーに育てられていました。父親は誰かは分かりません。
母親は男好きで相手がころころと変わっていましたが、小学生の頃に若いヒモ男と同棲。
中学生になった梓はヒモ男に性的虐○を受けていましたが、男に脅されて母親に伝えられずにいました。
偶然梓とヒモ男がセックスしている場面を母親が発見するのですが、母親は梓が男を誘惑したのだと決めつけ梓を暴行。
その後必死に勉強して学費免除の寮付きの高校に進学し、バイトをしてお金をためていました。
高校生になって幸孝と会う頻度は少なくなりましたが、二人で遠い場所に逃げようと約束し、梓は必死に勉強とバイトを頑張っていました。
結局駆け落ちは直子によって阻止され、しばらく梓は落ち込んでいましたが、就職先で出会った男性と結婚。
全てを知ったうえで自分を愛していると言ってくれた男性との結婚は、梓の心の傷を徐々に癒していきました。
幸孝への初恋は思い出となり、愛する夫との間に息子も生まれ幸せに暮らしていましたが…夫が事故死してしまいます。
急な夫の死に悲しんでいると、息子も体調を崩し詳しく検査をすると難病であることが発覚。
幸孝がバイトをしている病院に入院したことは偶然で、ピエロの姿をしている幸孝を見たときは本当に驚いています。
その後幸孝の現状を聞き、恋心ではなく単純に幸孝を助けたいと思った梓は、幸孝の力になれないか考えていました。
息子がこのまま生きてくれるなら幸孝に関わることは危険なためしない、けれど一人になった時はもうどうなってもいいので幸孝を助ける行動をする。
幸孝を直子から離そうとすれば、自分もきっと無事では済まないことは分かっていました。
何も失うものがない梓は直子に殺されても構わなかったのです。
夫も息子も亡くし、生きている理由が梓にはなかった。
けれど、夫と息子の遺灰が入ったペンダントは梓を守った…。
さて、彼女は運が良かったのでしょうか?
以上がHappyFaceの詳細設定となります。
初恋の人である梓にも実はかなり重い設定がしてありました。
あくまで幸孝と直子を中心とした話なので、梓を作中で深堀することができなかったのが少し残念ではあります。
長々と語りましたが、HappyFaceはとても気に入っている作品です。
鬱漫画が好きな方にこの絶望ストーリーを読んでいただけると嬉しいです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!