イラストにショートノベルをつけました。
Gが出ても動揺しない
ある休日、部活の終わりに私はサトウを職員室へ呼び出した。
他の運動部は練習試合や大会で出払っており、同じ部の生徒達はそそくさと帰ってしまったため職員室のある南校舎には私とサトウの2人しかいなかった。
「なんですか?このあと塾あるんですけど」
面倒くさそうに着いてきた彼は断りもせず空いてる職員の椅子に腰をかけた。
サトウは最近部活動に身が入っていない。
最初にする筋トレや走り込みは必ず回数をごまかし、最後にやる紅白戦でも積極性が完全に欠けていた。
もうワンランク上の学校を目指すため部活から勉強の方に軸足を移そうと考えているのかと思い担任に尋ねてみたが、むしろ成績は下降気味だと言う。
何か悩んでいるなら先生協力するから、と言うやいなやサトウから意外な言葉を浴びせられた。
「先生、ウチの部の顧問やめてくれませんか」
驚く私に彼は胸の内を明かしてくれた。
女性のカラダに興味を持った彼は、身近にいる大人の女であるワタシのことを寝ても覚めても考えているのだと言う。
そのせいで勉強にも部活にも身が入らず、それならばこの悶々とした気持ちの原因であるワタシとなるだけ離れたいと顧問からの退任を願い出たらしい。
嫌われているのでは無いという事実にホッとはしたが、いかんせん顧問は一部員のそんな理由でやめられるものではない。
「なんだよ!協力するって言ったじゃねえかよ!」
激昂する彼をなだめるも、それならこっちが部活やめてやると言い出す始末。
なにか良い案を考えよう、誰でも悩むことなんだからと一旦落ち着かせる。
「じゃあさ・・先生のハダカ見せてよ」
うつむいていたためサトウの表情は見えなかったが、ワタシには本気の願いに聞こえた。
しかし教員が職員室で、しかも生徒の前で全裸になるなんてなれるわけがない。
下着姿までなら、汗かいたジャージを着替えるから・・とサトウと自分の気持ちを納得させファスナーを下ろす。
「先生意外と可愛い感じのブラ選ぶんだね」
いつのまにか近づいていたサトウの手を払おうとするも、脱ぎかけたジャージのせいで腕が動かせない。
サトウの手でするりとズボンを脱がされる。
「やっぱスゲーよ先生。想像より何倍も良いカラダしてる」
そう発したサトウは、ワタシが最も毛嫌いするタイプのスケベな中年オヤジと同じ目をしていた。
「いやぁ今日ダルかったけど部活来てよかったぁ」
こんなことなら顧問なんか辞めてやれば良かった、と圧倒的な後悔に打ちのめされながらも一刻も早く服を着ようとサトウから自分のバッグに視線を移した瞬間
パシャッ
やられた
振り返ったワタシにサトウは何度もシャッターを切った。
慌ててコイツに飛びかかりケータイを奪って・・という行動に出たくなかった。
ゴキブリに絶叫するような不恰好な姿をゴキブリ野郎に見せるわけにはいかない。
静かなトーンでどういうつもりか尋ねる。
「そんなの後で見返すに決まってんじゃん」
ヘラヘラと答えながらも様々な角度でシャッターを切る。
「あとさぁ先生結構人気あるから、買ってくれる奴もいるかも」
勝手にすれば良い、こんなクソ野郎のことを心配してたかと思うと自分が情けなくなってくる。
舐め回すように写真を撮り続けていたサトウが背後に回る。
「はーいじゃあ勝手にしまーす」
ホックに手がかかったと思うとあっという間にブラが床に落ちる。
「きれいなピンクだね、センセイ」
動じない、動じない、そう強く心掛ける。
なのにゴミ野郎の手がショーツにかかった時、カラダがビクンと大きく揺らぐ。
なによりそれをコイツに見透かされているのが癪にさわる。
「毛が薄めだったのは予想通り」
ありとあらゆる角度から、ありとあらゆる距離から、サトウはワタシのハダカを記録した。
「安心して、誰にも見せないから。オレだけの宝物。
今度さあ家庭訪問に来てよ。そしたら写真全部消すから」
ニヤニヤと微笑しながら職員室を出ていくサトウ。
気の済むまで写真を撮られたワタシにアイツの要求を断る選択肢はなかった・・・