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♡喘ぎの記事 (15)

じゃが 2024/07/01 19:00

大好きな上司はえっちなサキュバスでした(♡ありver.)

「大丈夫ですか? 今お水持ってくるので、ここに座っててください」

 私は彼女をリビングのローソファに座らせキッチンへ向かう。水を取り出しながら一人用の小さな冷蔵庫の中をぐるっと見回して、やっぱり何も入っていないのを確認し溜息をつく。
 普段の怠慢さがこんなところで響いてくるなんて。私が普段から自炊するような人間だったら、具合が悪くなった憧れの上司へ冷蔵庫の余りものを使って栄養のあるものでも作ってあげられた。だけど私は仕事が終われば即居酒屋へ直行か、コンビニやスーパーで弁当買って帰るタイプの人間だ。冷蔵庫の中に入れるものなんて、買ってきた酒かアイスと、普段必要な飲み物くらいしかない。

「はい、どうぞ」
「⋯⋯ありがとう」

 机の上に水の入ったコップを置くと、神崎さんはだるそうに体を持ち上げてコップの水を一気にその体へと流し込んだ。

「あの⋯⋯私、薬とか食べ物買ってくるので、神崎さんは休んでいてください。あっちが寝室です。歩けますか?」

 昔から健康優良児だった私の家にはまともな薬もない。普段からお世話になっている先輩にこんな時でもいいところを見せられなくって、ちょっと落ち込んでしまう。
 神崎さんは私の言葉に小さくうなずくと、着ているジャケットを雑に脱いだ。そして、中に着ていたブラウスのボタンを三つほど外す。先輩の白くて綺麗な素肌があらわになって、身に着けている下着、そしてそこから溢れる膨らみまでちらりと見えた。目を逸らしたけど、予想外にセクシーで真っ黒な下着が脳に焼き付いて、思わずごくりと喉が鳴る。

「行きましょう、私が支えますから」

 ぶんぶんとその美しい景色を打ち消してから、私は先輩の肩に腕を回した。よっと持ち上げると、先輩の華奢な体は簡単に持ち上がる。運動部としてやってきた自分のしっかりとした体がコンプレックスに感じることもあったけど、こういう時は力があって良かったと思える。
 神崎さんを抱えて寝室へと足を進めるが、その間も神崎さんは私にもたれながら、苦しそうに息を荒くしていた。

 この上司の名前は神崎ニアロニ。家族が海外の人らしいけど、頭がよくて日本語はぺらぺらどころか、親族一同日本人の私よりもよっぽど語彙がある。そんな彼女が私の会社へ中途入社してきたのが数年前。あまりに仕事ができるため、異例の早さで出世し私の上司となった。とはいってもそれを鼻にかけるような人でもなく、優しくて明るくて人当たりもいい、それにプラスして驚くような美貌。社内でも有名な人気社員だった。
 そんな人気者な彼女と、私は苗字が一緒だった。神崎いずほ。特に珍しくもない苗字だけど、それがきっかけで私に親しみを持ってくれた神崎さんは、私と仲良くしてくれるようになった。もちろん私も彼女が大好きで、生まれたばかりの雛のように神崎さんの後をついて回った。
 しかし最近、神崎さんはずっと具合が悪そうだった。心配しても「ただの寝不足だから大丈夫」と仕事も休まない。日に日に顔色は悪くなり、遂に今日の残業中、彼女は倒れてしまった。救急車を呼ぼうとしたけど、なぜか必死な形相で「お願いだからやめて」と言われてしまい、どうしようかと迷った挙句、自分の家へ連れてきてしまったというのがここまでの展開。

「ベッドにつきましたよ。寝てください」

 ベッドに座らせると、神崎さんは倒れるようにベッドへと寝転ぶ。そんな彼女に掛け布団をかけ、買い物に出かけようと後ろを振り向いた瞬間、か弱い力が私の服の裾を引いた。振り向くと、神崎さんがうつろな瞳をこちらに向けている。

「いか⋯⋯ないで⋯⋯」
「で、でも⋯⋯薬や食べ物とか買いに行かないと⋯⋯すぐ帰ってきますから」

 子供をあやすように言っても、神崎さんは私の服の裾を握ったまま離そうとしない。

「⋯⋯分かりました。神崎さんが眠るまで、横についていますね」

 そう言って私がベッド脇の床に座ると、神崎さんは安心したように微笑んで、そのままゆっくり目を閉じた。そして少しすると、すーすー、と規則正しい寝息が聞こえてくる。

「あっという間に寝ちゃった」

 怖いくらいに整った顔を眺める。飽きることのないその美貌は、いつまででも見ていられそうだ。しかし少し暑いのか、眠ったままの彼女が身じろいで掛け布団がずれる。すると、ボタンを開けてはだけたブラウスから覗く胸の谷間が現れて、思わず私はそれに釘付けになってしまう。
 白く膨らんだ二つの双丘が、黒いレースに包まれている。着痩せするタイプなのか、普段の姿から想像するよりも大きそう。むちっとしたそこをつついてみたい衝動に駆られるが、そんなセクハラできるわけがない。

「⋯⋯」

 心臓がどきどきと高鳴り、ごくりと喉が鳴る。そして私は無意識に、ズボンの上から自分の秘部へと手を伸ばしていた。

「っ⋯⋯」

 こんなのだめだと分かっているのに、彼女の胸から目を離せないし、そこをさする指を止めることもできない。私は声を押し殺しながら、必死に自分のクリトリスへと快感を与え続けた。

「っ、ぅ、♡」

 声が出そうになって、ぎゅっと目をつむり、耐える。一度深呼吸をして、高まった快感をいったん落ち着かせてから、私はゆっくり目を開けた。

 心臓が、止まるかと思った。
 
 閉じていたはずの神崎さんの瞼が開いていて、さっきまでのうつろな瞳はどこへ行ったのかと聞きたくなるほど、かっと見開いた目でこちらを見ている。私は恐ろしさのあまり頭が真っ白になって、指先一本、視線すらも動かすことができなかった。
 彼女はベッドからぬっと起き上がると、その白くて細長い手を蛇のように私に向かって伸ばしてきた。私は恐怖で思わず目をつむる。すると、伸びてきた手が私の後頭部へとまわり、ぐいっと引き寄せられた。

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じゃが 2024/06/10 19:00

親友に告白されて試しに付き合ったら大好きになっちゃった話2(♡なしver.)

 響子が引越していったあとの数日はあまりにも悲しくて、小春は自分の部屋に引きこもっては一日中泣き続けた。入学式も始まっていない大学は全く行く気がせず、中退してフリーターをやりながら東京で響子と暮らそうなんてことを本気で考えていた。
 しかし実際に学校が始まってしまいえばそんな甘えたことを言っていられる余裕もなく、長すぎる授業に多すぎる課題、新しい友達作りにサークル選びと、悲しんでいる暇もなく日々が過ぎていった。
 とはいえ響子への連絡は毎日欠かさず行っており、響子の方からも毎日欠かさず連絡がくる。なんだかんだ充実した毎日を過ごしていて、会えない寂しさも忙しさでだんだんと埋まっていき、毎日のメッセージのやりとりや電話で会話するだけでじゅうぶん幸せを感じることができた。
 そして大学生の長い夏休み。お互い部活やサークルがあるためずっと一緒とはいかないが、それでも今まで全く会えなかった日々を思えば贅沢に感じるほど一緒に過ごすことができた。それでも別れの日は寂しくて、また冬休みまで会えないかと思うと新幹線東京駅のホームで小春は大号泣してしまい、周りからの視線を集めることになった。響子は必死に小春をなだめながらも、新幹線が駅を出発してからメッセージで『正直、小春があんなに泣いてくれて嬉しかった』などと送ってきて、小春は再び車内でぐすぐすと涙を流すはめになった。

 傍から見れば小春の感情は完全に恋愛のそれであったが、小春自身は未だに親友と恋人の線引きが自分の中でできないでいた。
 しかし距離が離れていても、学校で様々な人と関わりあっても常に心の真ん中にいるのは響子だということで、自分の感情が恋愛の方に確実に傾いている自覚はあった。
 響子のことを胸を張って好きだと言える日がもうすぐだと思うと毎日が楽しくて仕方なかった。
 いつ自分から告白しよう。せっかくだから、付き合った日に自分から告白しなおそう。場所は響子に好きだと言われたあの教室だったらロマンチックなのではないか。小春はそんな浮かれた妄想を毎日しながら、部活の合宿で忙しいという響子と会えなくなってしまったつまらない冬休みをどうにか乗り越えた。
 そしてあっという間に年が明け、冬休みが終わり、授業が始まる。
 その頃からだった。小春が響子に違和感を持つようになったのは。

 まずは、毎日欠かさないようにしていた連絡が途絶えるようになった。だんだんと返信が遅くなり、まだおやすみも言っていないのに返信がこない。そして次の日のお昼頃、「ごめん、寝落ちしてた!」というメッセージが入る。初めは響子も疲れているのだろうと気にしていなかったのだが、その回数が増えていくとさすがの小春もイライラすることが増えてきた。

『そんなに忙しいなら連絡控えた方がいい?』

 小春にとっては嫌味のつもりだった。ごめん、と一言謝ってくれればそれでよかったはずなのに。

『そうだね。小春に申し訳ないし、その方がいいかも。ごめんね。時間がある時はこっちからちゃんと連絡する』

 このメッセージがきっかけに、響子と小春のメッセージは途絶えてしまった。時間がある時に連絡すると言ったのにそもそも連絡はこない。そして小春からもなんとなく連絡しづらく、通知のないスマホを眺めては溜息をつく毎日となった。

「小春ー。最近内緒の恋人とはどうなってんの? 前はうるさいくらい惚気てたのに、最近あんま聞かへんけど」
「え。いやー⋯⋯普通普通! 特に変わりないから話すことないねん!」

 友人には、恋人が同性であることをあえて言ったりはしていない。引かれるとまでは考えていなかったが、言っても反応に困るだろうと思って内緒にしていた。

「ふーん。冬休みは向こうが忙しくて会えへんかったんやろ? 喧嘩でもしたんちゃうん?」

 小春はいつも自分たちがラブラブで喧嘩もしたことない、と調子に乗って自慢して回っていたので友人もそれを冗談のつもりで言ったのだろうが、今の小春にはその言葉がぐさぐさと刺さってうまく返すことができない。そんな小春の様子を見て友人の涼子は何かを感じ取ったのか、「ほんまに大丈夫?」と眉をひそめた。
(言いたい⋯⋯相談して楽になりたい⋯⋯でもどこから説明すればいいんやろ⋯⋯)

「実は⋯⋯変わりないのは嘘で⋯⋯その⋯⋯」
「え、もしかしてほんまに喧嘩したん?」
「喧嘩ではないねんけど⋯⋯向こうが忙しいから、毎日の連絡はなしにしようって⋯⋯」
「まじ? まあ小春の彼氏って確か〇〇大学やもんな。レベル高いし、課題とか忙しそう。しかもサークルやなくてガチのバスケ部やろ? そりゃあ夜はスマホ触る暇もなく寝落ちやろうな」

 彼氏、という言葉に小春は引っかかったが、今はそれをぐっと飲み込む。

「そうやねんけど⋯⋯めったに会えへんのやし、メッセージくらい返してくれてもよくない? というか、好きやったら連絡したくならへんの? っ、もしかして、飽きられたとか⋯⋯」
「気持ちは分かるけどちょっと落ち着きーや。ていうか小春、恋愛の好きか分からへんとか言いながら普通にむっちゃ好きやん」
「⋯⋯そう、なんかな」
「ただの友達にそこまで切羽詰まらへんよ、普通は。知らんけど」
(響子が、好き)

 普段なら最後に疑問符がつく問いかけが、この日はなぜか妙に腑に落ちた。

「相手が他の誰かと付き合うことを想像してみたら? どう?」

 もし響子が、自分以外の人と手を繋いでいたら。そんな想像をするだけで、黒い感情が、一気に小春の中に広がっていく。

「あはは! 想像だけでそんな顔になるんやから、好きかどうか考える必要もないわ」
「え、ウチ、どんな顔してたん!?」
「鬼みたいな顔」

 涼子が両手で目を吊り上げ、口の端を大袈裟に上げて鬼のようなものの真似をする。そんな顔がおかしくて、小春は口を開けて大笑いする。

「まあ、そんな気になるんやったら会いに行ってみれば?」
「会いに?」
「そ。サプライズで。『来ちゃった♡』ってやつ。自分で言っといてなんやけど、古っ!」
「迷惑にならへんかな?」
「どうやろうな。迷惑に感じそうな相手なん?」
「うーん。たぶん、大丈夫?」
「じゃあ一か八か行ってみたら? 会って話せば案外すっきりするかもしらん。あかんかったら、一緒にスイーツビュッフェ行ってやけ食いしよー♡」
「それ自分が行きたいだけやん。行くけどー」

 小春の胸にあった暗くて重いものが、スッと軽くなるのを感じた。いつか涼子に響子を紹介したらどんな反応をするかな、と想像を膨らませていると、小春のスマホが振動する。画面を見ると、待ちに待った彼女の名前が表示されていた。急いでメッセージを見てみると、『一人暮らし始めたよ!』の文字と、響子らしく無駄な物がないスッキリとした部屋が写った写真が送信されていた。

「待って! 一人暮らし始めたって連絡来た!」
「まじで!? タイミング良すぎやろ。これはもう行くしかないやん」
「うん!」

 春子は急いで響子に住所を聞くメッセージを送り、明日の新幹線の時間を確認する。

「明日は授業お昼までやから、それから準備して新幹線乗ればいい感じの時間に着きそう!」
「明日行くん!? 行動力すご」
「だってもう、タイミング神すぎるやろ? この勢いで行かな、また色々考えちゃいそうやし」

(そうや。別に予定が会わへんくても、普通にこっちから会いに行けばよかったんや。そしたら響子が忙しくても前より会える)
 久々に響子に会える喜びで、この日の残りの授業はほとんど小春の頭に入っていない。
 にこにこと浮かれて花を飛ばしている小春の隣で、涼子は呆れ顔で溜息をついた。



 平日とはいえ東京は人が多い。小春はその人波に流されそうになりながら、乗り換えアプリを何度も確認しつつ響子の家へと向かう。
 着いた場所には小さいけれど小奇麗なマンションがあった。小春は響子に教えてもらった部屋番号の部屋へ行き、どきどきと心臓を鳴らしながらインターホンを押した。
 誰も出ない。部屋を間違えていないか確認してから、もう一度インターホンを押すがやはり応答がない。
(まだ部活かな⋯⋯。そういえば響子のスケジュールなんて全く知らんもんな)
 一度マンションを出て周りを確認する。もうすでに日は落ちており、春とはいえ夜になると少し冷える。小春は一度最寄りの駅まで戻り、そこのカフェで一息ついた。

『今日って何時頃家に帰るん?』

 とりあえずそれだけメッセージを入れて返事を待つ。
 しかし、待てども暮らせども返事はこない。返事が遅いのはいつものことだが、知らない土地で周りに知り合いもいないとなると、とたんに不安や寂しさが大きくなってくる。
 サプライズだから今日小春がここにいることを響子は知るはずもない。それは分かっているのに、既読もつかないメッセージ画面を見ていると苛立ちや悲しみが募っていく。

 しばらくうだうだと時間を潰してから時計を見ると、もう夜の十時を過ぎていた。この店も十時半には閉店するらしく、もう店内に小春以外の客はほとんどいない。メッセージアプリを確認するも、未だ既読マークもついていない。
 粘ってみたが、結局十時半になっても既読はつかず、店を出るしかなかった。行く当てもない小春は、とりあえず響子のマンションへと戻る。明るかった時間と違って、同じ道なのに夜は別の景色のように見えて、この道が合っているのかさえ分からない。小春は不安に泣きそうになりながらも、どうにか響子のマンションへとたどり着く。部屋の前にいたら不審者だと思われそうだったので、マンション前で待つことにした。メッセージを確認するがやはり既読はついていない。

「⋯⋯響子のあほ」

 スマホの画面が涙で滲んで見えなくなる。ぽたりと一粒画面に落ちた時、少し離れた場所から女性二人の話し声が聞こえてきた。その声が近づいてきて、小春ははっと顔をあげる。
(響子や)
 響子は以前会った時より、服装も雰囲気もずいぶん大人っぽくなっていた。そして隣にいる友人であろう女性も、そんな響子にぴったりのおしゃれで今時な女性。小春はとっさに、顔を見られないよう二人に背中を向けた。響子は小春に気付かなかったようで、そのまま二人でマンションの中へと入っていく。そしてしばらくすると、二人の声は部屋の鍵を閉める音とともに全く聞こえなくなった。
 小春はしばらくマンションの前で固まっていた。これから自分がどう行動したらいいかも分からない。もう一度メッセージアプリを確認しても、まだ既読はついていなかった。
(どうしようどうしようどうしよう)
 心臓がばくばくと嫌な音を立てる。
 ただの友達。きっとそうだと思いながらも、小春はなかなかそれを確認する勇気が出ない。

『今日も忙しい?』

 しかし、時間はとうに二十三時を過ぎていた。響子の家に泊まらせてもらおうと考えていたためホテルの予約もしていない。このままでは東京で野宿することになりかねない、と、震える指でメッセージを送信した。すると数分後、小春の手の中のスマホが震えた。
『ごめん! 気づかなかった!』 
『今ちょっと忙しいから返信遅れる』

 続けて来た二件のメッセージに、小春の視界がまたじわりと滲む。自分との連絡より、あの友達の方が優先だと言われたように感じた。

『どうしても今日話したい。時間作られへん?』
『どのくらい?』
『わからへん』
『十分くらいなら大丈夫』

 十分という数字に思わず乾いた笑いが出そうになるが、『わかった。じゃあ今からでええ?』と送信。『わかった』と返信がきたところで小春は覚悟を決め、マンションの中へと入った。
 響子の部屋の前に立つ。先ほどよりも、緊張は幾分かましだった。
 インターホンを押すが、すぐに応答はなかった。このインターホンはカメラが付いているから部屋の中から外を確認できるタイプだ。今部屋の中で自分の姿を確認して、疑問に顔を歪める響子の顔が容易に想像できた。
 中から足音が聞こえてくる。そして次にがちゃりと、鍵が開く音。

「小春⋯⋯?」

 ずっと会いたかった。視線が交わったのはいつぶりだろう。画面越しにお互いの顔は見ていたけど、やっぱり映像とは違う。久々に見た彼女はやはり前より大人っぽくなっていて、大学生活を満喫しているのが見ただけでも分かった。そんな彼女に対して、何も変わっていない自分が余計惨めに思えた。

「響子⋯⋯」
「こ、小春⋯⋯どうしてここに⋯⋯」

 戸惑いしかない表情。普通に考えたら予想外すぎてこの顔になるのも分かるのに、今の状況だと自分が来たらまずかったのかとでも思ってしまう。たまらなくなって目をそらすと、響子の体の隙間から写真で見たあの部屋が見えた。そしてその部屋の真ん中に、先ほど見た女性が座ったままこちらの様子をうかがっている。そして手には、コンビニでもよく売っているパッケージだけでも甘そうな缶チューハイを持っていた。

「会いに⋯⋯来た⋯⋯あかんかった⋯⋯?」
「え!? そういうわけじゃないけど、それならそうと前もって言ってくれれば――」
「だって響子、いっつも忙しい言うて返事もくれへんやん」
「そ、それは⋯⋯」
「響子の返事待ってたら、いつまでも会われへんやん!」

 我慢していた涙がまた目から零れ落ちる。大好きな人に会えて幸せなはずなのに、なぜ自分は今日こんなにも泣いているのか。それを考えれば考えるほど、また涙が流れていく。

「⋯⋯それに関してはごめん。でも小春、とりあえず中入りなよ」
「⋯⋯あの人、誰なん」
「え? ああ⋯⋯えっと、いとこだよ」
「いとこ? へえー、そうなんや」

 自分の予想以上に冷たい声が出た。友達ならまだ分かるが、いとこなんて言われても、もう少しましな嘘があるだろうとしか思えなかった。さすがの響子も、小春の声色にムッとしたようだった。

「何その言い方。あの人に失礼でしょ」
「ウチのことは放置で、あの人のことは庇うねんな」
「ねえ、小春、どうしたの? あんた今日なんかおかしいよ?」
「あのー⋯⋯二人で話したいだろうし、あたし今日は帰るよ」

 険悪な二人を見かねてか、部屋で座っていた「いとこ」の女性が立ち上がって玄関まで来た。

「そんな。もう時間も遅いし、危ないですよ」
「大丈夫だって。もう、響子ちゃんは心配性だな~。ほらあなたも、家入りな」

 我が物顔で響子の家に居座る女性、そしてそんな彼女と響子の仲良さげなやりとりを見て、小春の中で何かがぷつん、と切れた。

「小春っ!」

 気付けば小春は走り出していた。マンションを飛び出し、当てもない道をひたすら走る。しかし、運動が苦手な小春はすぐ体力が切れてしまい立ち止まる。肩で息をしながら周りを見渡すと、全く知らない景色が広がっている。
(どこや、ここ⋯⋯)
 いよいよ今日の寝床が怪しくなってきた。とりあえず漫画喫茶、もしくはビジネスホテルでも探そうとスマホの画面をつけると、響子からの着信が三件入っていた。メッセージも数件きているようだったが、ホーム画面で見られるのは『今どこ?』の一件のみ。その通知を見ていたら、また涙があふれてくる。どれだけ泣いたら気が済むんだと自分にツッコミを入れながら通知を全部消す。そして、今日の寝床を検索⋯⋯ではなく、とある場所へと電話をかけた。

『もしもしー? どうしたん?』
「⋯⋯涼子⋯⋯うぅっ」
『え、なに、泣いてんの?』

 深夜、知らない土地、恋人とは喧嘩中。そんな心細い状況で涼子の声を聞くと、一気に安心感が広がっていく。

「うわあぁぁ⋯⋯もうそっち帰りたいぃ⋯⋯⋯⋯」
『⋯⋯もしかして、喧嘩したん?』
「うん」

 電話の向こうから盛大な溜息が聞こえてくる。

『何で、って聞きたいところやけど、あんたもしかして、今外?』
「うん」
『泊まる場所は?』
「知らん⋯⋯」
『⋯⋯⋯⋯念のため聞いとくけど、自分が今どこにおるか分からへん⋯⋯ってことはないよな?』
「⋯⋯⋯⋯知らん」

 またまた盛大な溜息が聞こえてくる。

『彼氏に連絡して迎えに来てもらえ。喧嘩はその後や』
「無理。知らん女が家におった」
『はあ!? なんやそれ、気色悪っ!』

 涼子は口が良い方ではない。小春は涼子のそんなところが少し苦手だと思うところもあったが、今の状況だと自分の言いたいことを代わりに言ってくれているようですっきりする。

『うーん⋯⋯じゃあ近くで満喫かビジホ探した方がええな。スマホで検索した?』
「まだ」
『じゃあ早く』
「うん」

 涼子に指示されると、少しだけ心が落ち着いた。一度スマホから耳を離し、漫画喫茶を検索する。ここから二十五分程度あるけばあるようだった。次にビジネスホテルを検索。こちらは漫画喫茶よりも、もう少し近くにあった。

「満喫は結構歩くけど、ビジホはまあまあ近いかも」
『じゃあビジホ行こ。それまで電話繋いどくから』
「ありがとう。涼子は優しいな」
『そんなん今更や』
「早くそっち帰って、涼子とスイーツビュッフェ行きたいわ」
『それな。あの時は冗談のつもりで言ったのに、ほんまになるとは思わんかったわ』
「涼子って、優しいけど気遣いはできひんよな」
『あ、電波悪くて電話切れそう~』
「うそうそ! 冗談やって!」
「――小春!!」

 後ろから急に腕を掴まれ、小春は思わずスマホを地面へ落としてしまう。静かな夜の住宅街に、カシャン! と不快な音が響き渡った。

「やっと見つけた⋯⋯」

 おそるおそる振り返ると、息を切らしている響子と目が合う。小春にしては頑張って走ったつもりだったが、土地勘もない上に運動部の響子にはすぐに追いつかれてしまったようだ。

「なんかよく分かんないけど、とりあえずいったん家に帰って話し合おう? もう夜も遅いし」
「い、嫌⋯⋯あの人がいるとこに帰りたくない⋯⋯」
「っ⋯⋯何でそんな我儘言うの? 急に来たのはそっちじゃん!」

 響子の言葉に、小春は弾かれたように顔をあげる。響子もまずいことを言ったと思ったのか、気まずそうな顔をして「ごめん」と一言呟いた。

「⋯⋯響子の言う通りやと思うで。ウチが秘密で勝手に来たんやし。だから気にせんといて。ウチももう帰るし」
「帰るって⋯⋯もう新幹線ないでしょ? どうやって帰るの」
「響子には関係ない」

 小春がぴしっと言い切ると、辺りがしん、と静まり返る。そんな中、足元から『小春!? 大丈夫!? どうしたん!?』という涼子の声が小さく聞こえてきて、スマホを落としたままだったと思い出す。しゃがもうとしても響子は手を離してくれる様子はなく、「スマホ拾えへんから離して」と小春が言うと、響子はしぶしぶその手を離した。

「ごめん、スマホ落とした」
『もーびっくりしたやん!! 小春が誰かに襲われたかと思って⋯⋯』
「心配してくれてありがとう。そういえば涼子、明日予定空いてる? さっき言ってたビュッフェ、明日行こうや!」
『それは別にええけど⋯⋯大丈夫? 今そこ、誰かおるんちゃうん? なんか声聞こえてたけど』
「あー⋯⋯」

 小春がちらりと目線をあげると、響子が無表情で自分のことを見下ろしていた。その目は見たこともないほど冷たくて、小春の小さな背中が少しだけぞくりとした。

「その、言ってた人」
『え? 彼氏?』
「まあ⋯⋯そんな感じ」
『いやいや! 何で彼氏を前に私と話してんの! ちょっと電話切るわ、気まずいし』
「い、嫌や! お願い、切らんといて――!」

 その瞬間、小春の耳からスマホが引き抜かれる。あ、と思った時には響子が小春のスマホを耳に当て、「もしもし? 失礼ですがどちら様でしょうか?」と涼子に話しかけていた。

「ちょ、何してんの! 返して!」

 響子は小春よりも七センチほど背が高い。今日は小春もヒールを履いているのでもう少し距離は縮まっているはずだが、それでも手を伸ばしてもうまくかわされてしまう。

「私は小春の恋人です」

 声は聞こえないが、そっちこそ誰やねん、とでも聞いたのだろう。
 しかし、涼子は小春の恋人が男だと勘違いしている。響子の言葉を聞いて、混乱を極める涼子の顔が小春の頭に浮かんだ。

「いえ。私は女ですけど」
「やめて! 返して!」
「⋯⋯小春に彼氏?」

 じろりと響子が小春を見下げる。別に悪いことは何もしていないのに、その鋭い視線に小春はたじろいでしまう。

「どういうこと?」
『小春ー! どういうことなん!?』

 二人に挟まれ小春は頭を抱える。何をどこから説明したらいいのか、小春の頭ではさっぱり分からなかった。

「え、えっと⋯⋯」

 とりあえず涼子には恋人は男ではなく女だったと説明すればそれで解決する。でも響子の方は? 友達に説明するのが面倒だったから男ということを否定しなかった、なんて言って、傷つかないだろうか。そもそも今は喧嘩中で、もはや別れる、という選択すらちらついていたのに、どんな顔して説明すればいいのだろうか。
 小春がぐるぐる迷っていると、突然スマホから聞こえていた涼子の声がぶちっと途切れる。見てみると、響子が通話を終了させたようだった。

「ちょっと、何勝手に――」
「彼氏ってどういうこと?」

 凍えるような冷たい目。涼子がいなくなったことにより縋る人もいない。小春をどんどん恐怖感が支配していく。

「もしかして今日急に来たのって⋯⋯彼氏ができたから別れるって言いに来たわけじゃないよね?」
「⋯⋯え」
「初めの頃言ってたよね。もし好きな人ができても逃げずに言うって」
「そ、それは⋯⋯言ったけど⋯⋯でも違う! 彼氏なんてできてへん!」
「じゃあさっきの子?」
「へ⋯⋯」
「明日ビュッフェに行くんだよね? 東京から帰ったその日に一緒に遊ぶなんて仲いいね」

 絡まった糸はほどけるどころか、どんどん複雑に絡まっていく。小春の頭はもうパンク寸前で、何も思考できなくなっていた。

「涼子は⋯⋯ただの友達で⋯⋯」
「うん」
「大切な⋯⋯友達で⋯⋯っ」

 冷たい表情をした響子の顔が、どんどん涙で滲んでいく。小春の脳の容量が、もう限界を迎えていた。

「涼子さんが大切なの?」
「⋯⋯うん」
「すごく?」
「⋯⋯うん」
「⋯⋯私より?」
「え⋯⋯――っ!」

【 基本プラン 】プラン以上限定 支援額:200円

前回と同じく、♡喘ぎver.の方も淫語はありません。

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じゃが 2024/06/10 19:00

親友に告白されて試しに付き合ったら大好きになっちゃった話2(♡ありver.)

 響子が引越していったあとの数日はあまりにも悲しくて、小春は自分の部屋に引きこもっては一日中泣き続けた。入学式も始まっていない大学は全く行く気がせず、中退してフリーターをやりながら東京で響子と暮らそうなんてことを本気で考えていた。
 しかし実際に学校が始まってしまいえばそんな甘えたことを言っていられる余裕もなく、長すぎる授業に多すぎる課題、新しい友達作りにサークル選びと、悲しんでいる暇もなく日々が過ぎていった。
 とはいえ響子への連絡は毎日欠かさず行っており、響子の方からも毎日欠かさず連絡がくる。なんだかんだ充実した毎日を過ごしていて、会えない寂しさも忙しさでだんだんと埋まっていき、毎日のメッセージのやりとりや電話で会話するだけでじゅうぶん幸せを感じることができた。
 そして大学生の長い夏休み。お互い部活やサークルがあるためずっと一緒とはいかないが、それでも今まで全く会えなかった日々を思えば贅沢に感じるほど一緒に過ごすことができた。それでも別れの日は寂しくて、また冬休みまで会えないかと思うと新幹線東京駅のホームで小春は大号泣してしまい、周りからの視線を集めることになった。響子は必死に小春をなだめながらも、新幹線が駅を出発してからメッセージで『正直、小春があんなに泣いてくれて嬉しかった』などと送ってきて、小春は再び車内でぐすぐすと涙を流すはめになった。

 傍から見れば小春の感情は完全に恋愛のそれであったが、小春自身は未だに親友と恋人の線引きが自分の中でできないでいた。
 しかし距離が離れていても、学校で様々な人と関わりあっても常に心の真ん中にいるのは響子だということで、自分の感情が恋愛の方に確実に傾いている自覚はあった。
 響子のことを胸を張って好きだと言える日がもうすぐだと思うと毎日が楽しくて仕方なかった。
 いつ自分から告白しよう。せっかくだから、付き合った日に自分から告白しなおそう。場所は響子に好きだと言われたあの教室だったらロマンチックなのではないか。小春はそんな浮かれた妄想を毎日しながら、部活の合宿で忙しいという響子と会えなくなってしまったつまらない冬休みをどうにか乗り越えた。
 そしてあっという間に年が明け、冬休みが終わり、授業が始まる。
 その頃からだった。小春が響子に違和感を持つようになったのは。

 まずは、毎日欠かさないようにしていた連絡が途絶えるようになった。だんだんと返信が遅くなり、まだおやすみも言っていないのに返信がこない。そして次の日のお昼頃、「ごめん、寝落ちしてた!」というメッセージが入る。初めは響子も疲れているのだろうと気にしていなかったのだが、その回数が増えていくとさすがの小春もイライラすることが増えてきた。

『そんなに忙しいなら連絡控えた方がいい?』

 小春にとっては嫌味のつもりだった。ごめん、と一言謝ってくれればそれでよかったはずなのに。

『そうだね。小春に申し訳ないし、その方がいいかも。ごめんね。時間がある時はこっちからちゃんと連絡する』

 このメッセージがきっかけに、響子と小春のメッセージは途絶えてしまった。時間がある時に連絡すると言ったのにそもそも連絡はこない。そして小春からもなんとなく連絡しづらく、通知のないスマホを眺めては溜息をつく毎日となった。

「小春ー。最近内緒の恋人とはどうなってんの? 前はうるさいくらい惚気てたのに、最近あんま聞かへんけど」
「え。いやー⋯⋯普通普通! 特に変わりないから話すことないねん!」

 友人には、恋人が同性であることをあえて言ったりはしていない。引かれるとまでは考えていなかったが、言っても反応に困るだろうと思って内緒にしていた。

「ふーん。冬休みは向こうが忙しくて会えへんかったんやろ? 喧嘩でもしたんちゃうん?」

 小春はいつも自分たちがラブラブで喧嘩もしたことない、と調子に乗って自慢して回っていたので友人もそれを冗談のつもりで言ったのだろうが、今の小春にはその言葉がぐさぐさと刺さってうまく返すことができない。そんな小春の様子を見て友人の涼子は何かを感じ取ったのか、「ほんまに大丈夫?」と眉をひそめた。
(言いたい⋯⋯相談して楽になりたい⋯⋯でもどこから説明すればいいんやろ⋯⋯)

「実は⋯⋯変わりないのは嘘で⋯⋯その⋯⋯」
「え、もしかしてほんまに喧嘩したん?」
「喧嘩ではないねんけど⋯⋯向こうが忙しいから、毎日の連絡はなしにしようって⋯⋯」
「まじ? まあ小春の彼氏って確か〇〇大学やもんな。レベル高いし、課題とか忙しそう。しかもサークルやなくてガチのバスケ部やろ? そりゃあ夜はスマホ触る暇もなく寝落ちやろうな」

 彼氏、という言葉に小春は引っかかったが、今はそれをぐっと飲み込む。

「そうやねんけど⋯⋯めったに会えへんのやし、メッセージくらい返してくれてもよくない? というか、好きやったら連絡したくならへんの? っ、もしかして、飽きられたとか⋯⋯」
「気持ちは分かるけどちょっと落ち着きーや。ていうか小春、恋愛の好きか分からへんとか言いながら普通にむっちゃ好きやん」
「⋯⋯そう、なんかな」
「ただの友達にそこまで切羽詰まらへんよ、普通は。知らんけど」
(響子が、好き)

 普段なら最後に疑問符がつく問いかけが、この日はなぜか妙に腑に落ちた。

「相手が他の誰かと付き合うことを想像してみたら? どう?」

 もし響子が、自分以外の人と手を繋いでいたら。そんな想像をするだけで、黒い感情が、一気に小春の中に広がっていく。

「あはは! 想像だけでそんな顔になるんやから、好きかどうか考える必要もないわ」
「え、ウチ、どんな顔してたん!?」
「鬼みたいな顔」

 涼子が両手で目を吊り上げ、口の端を大袈裟に上げて鬼のようなものの真似をする。そんな顔がおかしくて、小春は口を開けて大笑いする。

「まあ、そんな気になるんやったら会いに行ってみれば?」
「会いに?」
「そ。サプライズで。『来ちゃった♡』ってやつ。自分で言っといてなんやけど、古っ!」
「迷惑にならへんかな?」
「どうやろうな。迷惑に感じそうな相手なん?」
「うーん。たぶん、大丈夫?」
「じゃあ一か八か行ってみたら? 会って話せば案外すっきりするかもしらん。あかんかったら、一緒にスイーツビュッフェ行ってやけ食いしよー♡」
「それ自分が行きたいだけやん。行くけどー」

 小春の胸にあった暗くて重いものが、スッと軽くなるのを感じた。いつか涼子に響子を紹介したらどんな反応をするかな、と想像を膨らませていると、小春のスマホが振動する。画面を見ると、待ちに待った彼女の名前が表示されていた。急いでメッセージを見てみると、『一人暮らし始めたよ!』の文字と、響子らしく無駄な物がないスッキリとした部屋が写った写真が送信されていた。

「待って! 一人暮らし始めたって連絡来た!」
「まじで!? タイミング良すぎやろ。これはもう行くしかないやん」
「うん!」

 春子は急いで響子に住所を聞くメッセージを送り、明日の新幹線の時間を確認する。

「明日は授業お昼までやから、それから準備して新幹線乗ればいい感じの時間に着きそう!」
「明日行くん!? 行動力すご」
「だってもう、タイミング神すぎるやろ? この勢いで行かな、また色々考えちゃいそうやし」

(そうや。別に予定が会わへんくても、普通にこっちから会いに行けばよかったんや。そしたら響子が忙しくても前より会える)
 久々に響子に会える喜びで、この日の残りの授業はほとんど小春の頭に入っていない。
 にこにこと浮かれて花を飛ばしている小春の隣で、涼子は呆れ顔で溜息をついた。



 平日とはいえ東京は人が多い。小春はその人波に流されそうになりながら、乗り換えアプリを何度も確認しつつ響子の家へと向かう。
 着いた場所には小さいけれど小奇麗なマンションがあった。小春は響子に教えてもらった部屋番号の部屋へ行き、どきどきと心臓を鳴らしながらインターホンを押した。
 誰も出ない。部屋を間違えていないか確認してから、もう一度インターホンを押すがやはり応答がない。
(まだ部活かな⋯⋯。そういえば響子のスケジュールなんて全く知らんもんな)
 一度マンションを出て周りを確認する。もうすでに日は落ちており、春とはいえ夜になると少し冷える。小春は一度最寄りの駅まで戻り、そこのカフェで一息ついた。

『今日って何時頃家に帰るん?』

 とりあえずそれだけメッセージを入れて返事を待つ。
 しかし、待てども暮らせども返事はこない。返事が遅いのはいつものことだが、知らない土地で周りに知り合いもいないとなると、とたんに不安や寂しさが大きくなってくる。
 サプライズだから今日小春がここにいることを響子は知るはずもない。それは分かっているのに、既読もつかないメッセージ画面を見ていると苛立ちや悲しみが募っていく。

 しばらくうだうだと時間を潰してから時計を見ると、もう夜の十時を過ぎていた。この店も十時半には閉店するらしく、もう店内に小春以外の客はほとんどいない。メッセージアプリを確認するも、未だ既読マークもついていない。
 粘ってみたが、結局十時半になっても既読はつかず、店を出るしかなかった。行く当てもない小春は、とりあえず響子のマンションへと戻る。明るかった時間と違って、同じ道なのに夜は別の景色のように見えて、この道が合っているのかさえ分からない。小春は不安に泣きそうになりながらも、どうにか響子のマンションへとたどり着く。部屋の前にいたら不審者だと思われそうだったので、マンション前で待つことにした。メッセージを確認するがやはり既読はついていない。

「⋯⋯響子のあほ」

 スマホの画面が涙で滲んで見えなくなる。ぽたりと一粒画面に落ちた時、少し離れた場所から女性二人の話し声が聞こえてきた。その声が近づいてきて、小春ははっと顔をあげる。
(響子や)
 響子は以前会った時より、服装も雰囲気もずいぶん大人っぽくなっていた。そして隣にいる友人であろう女性も、そんな響子にぴったりのおしゃれで今時な女性。小春はとっさに、顔を見られないよう二人に背中を向けた。響子は小春に気付かなかったようで、そのまま二人でマンションの中へと入っていく。そしてしばらくすると、二人の声は部屋の鍵を閉める音とともに全く聞こえなくなった。
 小春はしばらくマンションの前で固まっていた。これから自分がどう行動したらいいかも分からない。もう一度メッセージアプリを確認しても、まだ既読はついていなかった。
(どうしようどうしようどうしよう)
 心臓がばくばくと嫌な音を立てる。
 ただの友達。きっとそうだと思いながらも、小春はなかなかそれを確認する勇気が出ない。

『今日も忙しい?』

 しかし、時間はとうに二十三時を過ぎていた。響子の家に泊まらせてもらおうと考えていたためホテルの予約もしていない。このままでは東京で野宿することになりかねない、と、震える指でメッセージを送信した。すると数分後、小春の手の中のスマホが震えた。
『ごめん! 気づかなかった!』 
『今ちょっと忙しいから返信遅れる』

 続けて来た二件のメッセージに、小春の視界がまたじわりと滲む。自分との連絡より、あの友達の方が優先だと言われたように感じた。

『どうしても今日話したい。時間作られへん?』
『どのくらい?』
『わからへん』
『十分くらいなら大丈夫』

 十分という数字に思わず乾いた笑いが出そうになるが、『わかった。じゃあ今からでええ?』と送信。『わかった』と返信がきたところで小春は覚悟を決め、マンションの中へと入った。
 響子の部屋の前に立つ。先ほどよりも、緊張は幾分かましだった。
 インターホンを押すが、すぐに応答はなかった。このインターホンはカメラが付いているから部屋の中から外を確認できるタイプだ。今部屋の中で自分の姿を確認して、疑問に顔を歪める響子の顔が容易に想像できた。
 中から足音が聞こえてくる。そして次にがちゃりと、鍵が開く音。

「小春⋯⋯?」

 ずっと会いたかった。視線が交わったのはいつぶりだろう。画面越しにお互いの顔は見ていたけど、やっぱり映像とは違う。久々に見た彼女はやはり前より大人っぽくなっていて、大学生活を満喫しているのが見ただけでも分かった。そんな彼女に対して、何も変わっていない自分が余計惨めに思えた。

「響子⋯⋯」
「こ、小春⋯⋯どうしてここに⋯⋯」

 戸惑いしかない表情。普通に考えたら予想外すぎてこの顔になるのも分かるのに、今の状況だと自分が来たらまずかったのかとでも思ってしまう。たまらなくなって目をそらすと、響子の体の隙間から写真で見たあの部屋が見えた。そしてその部屋の真ん中に、先ほど見た女性が座ったままこちらの様子をうかがっている。そして手には、コンビニでもよく売っているパッケージだけでも甘そうな缶チューハイを持っていた。

「会いに⋯⋯来た⋯⋯あかんかった⋯⋯?」
「え!? そういうわけじゃないけど、それならそうと前もって言ってくれれば――」
「だって響子、いっつも忙しい言うて返事もくれへんやん」
「そ、それは⋯⋯」
「響子の返事待ってたら、いつまでも会われへんやん!」

 我慢していた涙がまた目から零れ落ちる。大好きな人に会えて幸せなはずなのに、なぜ自分は今日こんなにも泣いているのか。それを考えれば考えるほど、また涙が流れていく。

「⋯⋯それに関してはごめん。でも小春、とりあえず中入りなよ」
「⋯⋯あの人、誰なん」
「え? ああ⋯⋯えっと、いとこだよ」
「いとこ? へえー、そうなんや」

 自分の予想以上に冷たい声が出た。友達ならまだ分かるが、いとこなんて言われても、もう少しましな嘘があるだろうとしか思えなかった。さすがの響子も、小春の声色にムッとしたようだった。

「何その言い方。あの人に失礼でしょ」
「ウチのことは放置で、あの人のことは庇うねんな」
「ねえ、小春、どうしたの? あんた今日なんかおかしいよ?」
「あのー⋯⋯二人で話したいだろうし、あたし今日は帰るよ」

 険悪な二人を見かねてか、部屋で座っていた「いとこ」の女性が立ち上がって玄関まで来た。

「そんな。もう時間も遅いし、危ないですよ」
「大丈夫だって。もう、響子ちゃんは心配性だな~。ほらあなたも、家入りな」

 我が物顔で響子の家に居座る女性、そしてそんな彼女と響子の仲良さげなやりとりを見て、小春の中で何かがぷつん、と切れた。

「小春っ!」

 気付けば小春は走り出していた。マンションを飛び出し、当てもない道をひたすら走る。しかし、運動が苦手な小春はすぐ体力が切れてしまい立ち止まる。肩で息をしながら周りを見渡すと、全く知らない景色が広がっている。
(どこや、ここ⋯⋯)
 いよいよ今日の寝床が怪しくなってきた。とりあえず漫画喫茶、もしくはビジネスホテルでも探そうとスマホの画面をつけると、響子からの着信が三件入っていた。メッセージも数件きているようだったが、ホーム画面で見られるのは『今どこ?』の一件のみ。その通知を見ていたら、また涙があふれてくる。どれだけ泣いたら気が済むんだと自分にツッコミを入れながら通知を全部消す。そして、今日の寝床を検索⋯⋯ではなく、とある場所へと電話をかけた。

『もしもしー? どうしたん?』
「⋯⋯涼子⋯⋯うぅっ」
『え、なに、泣いてんの?』

 深夜、知らない土地、恋人とは喧嘩中。そんな心細い状況で涼子の声を聞くと、一気に安心感が広がっていく。

「うわあぁぁ⋯⋯もうそっち帰りたいぃ⋯⋯⋯⋯」
『⋯⋯もしかして、喧嘩したん?』
「うん」

 電話の向こうから盛大な溜息が聞こえてくる。

『何で、って聞きたいところやけど、あんたもしかして、今外?』
「うん」
『泊まる場所は?』
「知らん⋯⋯」
『⋯⋯⋯⋯念のため聞いとくけど、自分が今どこにおるか分からへん⋯⋯ってことはないよな?』
「⋯⋯⋯⋯知らん」

 またまた盛大な溜息が聞こえてくる。

『彼氏に連絡して迎えに来てもらえ。喧嘩はその後や』
「無理。知らん女が家におった」
『はあ!? なんやそれ、気色悪っ!』

 涼子は口が良い方ではない。小春は涼子のそんなところが少し苦手だと思うところもあったが、今の状況だと自分の言いたいことを代わりに言ってくれているようですっきりする。

『うーん⋯⋯じゃあ近くで満喫かビジホ探した方がええな。スマホで検索した?』
「まだ」
『じゃあ早く』
「うん」

 涼子に指示されると、少しだけ心が落ち着いた。一度スマホから耳を離し、漫画喫茶を検索する。ここから二十五分程度あるけばあるようだった。次にビジネスホテルを検索。こちらは漫画喫茶よりも、もう少し近くにあった。

「満喫は結構歩くけど、ビジホはまあまあ近いかも」
『じゃあビジホ行こ。それまで電話繋いどくから』
「ありがとう。涼子は優しいな」
『そんなん今更や』
「早くそっち帰って、涼子とスイーツビュッフェ行きたいわ」
『それな。あの時は冗談のつもりで言ったのに、ほんまになるとは思わんかったわ』
「涼子って、優しいけど気遣いはできひんよな」
『あ、電波悪くて電話切れそう~』
「うそうそ! 冗談やって!」
「――小春!!」

 後ろから急に腕を掴まれ、小春は思わずスマホを地面へ落としてしまう。静かな夜の住宅街に、カシャン! と不快な音が響き渡った。

「やっと見つけた⋯⋯」

 おそるおそる振り返ると、息を切らしている響子と目が合う。小春にしては頑張って走ったつもりだったが、土地勘もない上に運動部の響子にはすぐに追いつかれてしまったようだ。

「なんかよく分かんないけど、とりあえずいったん家に帰って話し合おう? もう夜も遅いし」
「い、嫌⋯⋯あの人がいるとこに帰りたくない⋯⋯」
「っ⋯⋯何でそんな我儘言うの? 急に来たのはそっちじゃん!」

 響子の言葉に、小春は弾かれたように顔をあげる。響子もまずいことを言ったと思ったのか、気まずそうな顔をして「ごめん」と一言呟いた。

「⋯⋯響子の言う通りやと思うで。ウチが秘密で勝手に来たんやし。だから気にせんといて。ウチももう帰るし」
「帰るって⋯⋯もう新幹線ないでしょ? どうやって帰るの」
「響子には関係ない」

 小春がぴしっと言い切ると、辺りがしん、と静まり返る。そんな中、足元から『小春!? 大丈夫!? どうしたん!?』という涼子の声が小さく聞こえてきて、スマホを落としたままだったと思い出す。しゃがもうとしても響子は手を離してくれる様子はなく、「スマホ拾えへんから離して」と小春が言うと、響子はしぶしぶその手を離した。

「ごめん、スマホ落とした」
『もーびっくりしたやん!! 小春が誰かに襲われたかと思って⋯⋯』
「心配してくれてありがとう。そういえば涼子、明日予定空いてる? さっき言ってたビュッフェ、明日行こうや!」
『それは別にええけど⋯⋯大丈夫? 今そこ、誰かおるんちゃうん? なんか声聞こえてたけど』
「あー⋯⋯」

 小春がちらりと目線をあげると、響子が無表情で自分のことを見下ろしていた。その目は見たこともないほど冷たくて、小春の小さな背中が少しだけぞくりとした。

「その、言ってた人」
『え? 彼氏?』
「まあ⋯⋯そんな感じ」
『いやいや! 何で彼氏を前に私と話してんの! ちょっと電話切るわ、気まずいし』
「い、嫌や! お願い、切らんといて――!」

 その瞬間、小春の耳からスマホが引き抜かれる。あ、と思った時には響子が小春のスマホを耳に当て、「もしもし? 失礼ですがどちら様でしょうか?」と涼子に話しかけていた。

「ちょ、何してんの! 返して!」

 響子は小春よりも七センチほど背が高い。今日は小春もヒールを履いているのでもう少し距離は縮まっているはずだが、それでも手を伸ばしてもうまくかわされてしまう。

「私は小春の恋人です」

 声は聞こえないが、そっちこそ誰やねん、とでも聞いたのだろう。
 しかし、涼子は小春の恋人が男だと勘違いしている。響子の言葉を聞いて、混乱を極める涼子の顔が小春の頭に浮かんだ。

「いえ。私は女ですけど」
「やめて! 返して!」
「⋯⋯小春に彼氏?」

 じろりと響子が小春を見下げる。別に悪いことは何もしていないのに、その鋭い視線に小春はたじろいでしまう。

「どういうこと?」
『小春ー! どういうことなん!?』

 二人に挟まれ小春は頭を抱える。何をどこから説明したらいいのか、小春の頭ではさっぱり分からなかった。

「え、えっと⋯⋯」

 とりあえず涼子には恋人は男ではなく女だったと説明すればそれで解決する。でも響子の方は? 友達に説明するのが面倒だったから男ということを否定しなかった、なんて言って、傷つかないだろうか。そもそも今は喧嘩中で、もはや別れる、という選択すらちらついていたのに、どんな顔して説明すればいいのだろうか。
 小春がぐるぐる迷っていると、突然スマホから聞こえていた涼子の声がぶちっと途切れる。見てみると、響子が通話を終了させたようだった。

「ちょっと、何勝手に――」
「彼氏ってどういうこと?」

 凍えるような冷たい目。涼子がいなくなったことにより縋る人もいない。小春をどんどん恐怖感が支配していく。

「もしかして今日急に来たのって⋯⋯彼氏ができたから別れるって言いに来たわけじゃないよね?」
「⋯⋯え」
「初めの頃言ってたよね。もし好きな人ができても逃げずに言うって」
「そ、それは⋯⋯言ったけど⋯⋯でも違う! 彼氏なんてできてへん!」
「じゃあさっきの子?」
「へ⋯⋯」
「明日ビュッフェに行くんだよね? 東京から帰ったその日に一緒に遊ぶなんて仲いいね」

 絡まった糸はほどけるどころか、どんどん複雑に絡まっていく。小春の頭はもうパンク寸前で、何も思考できなくなっていた。

「涼子は⋯⋯ただの友達で⋯⋯」
「うん」
「大切な⋯⋯友達で⋯⋯っ」

 冷たい表情をした響子の顔が、どんどん涙で滲んでいく。小春の脳の容量が、もう限界を迎えていた。

「涼子さんが大切なの?」
「⋯⋯うん」
「すごく?」
「⋯⋯うん」
「⋯⋯私より?」
「え⋯⋯――っ!」

【 基本プラン 】プラン以上限定 支援額:200円

前回と同じく、♡喘ぎver.の方も淫語はありません。

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じゃが 2024/05/20 19:00

引越し先のマンションで露出オナニーする話 3(♡ありver.)

 頷いた彼女を見て即座にその手を引き、マンションへ足を踏み入れた。

「部屋、二階ですよね?」

 彼女は何も言わずに頷く。手は繋いだまま無言で階段をあがり、私は踊り場で立ち止まった。そこでいったん振り返ると、身を整える暇を与えなかったので胸を丸出しのままの彼女が、気まずそうに顔を伏せている。あと数段あがれば、彼女の部屋はもうすぐのはず。それなのに、屋外というシチュエーションと彼女のはしたない格好に私は我慢ならなくなって、壁に彼女を押し付け唇を重ねた。

「んんっ⋯⋯♡」

 抵抗する素振りもない彼女は、自ら舌を出して私の唇を受け入れた。そのままお互いに舌を絡ませながら、さらけ出されたままの彼女の胸に手をやった。

「んんっ♡ ⋯⋯んぅ♡」

 もう抵抗する気は一切ないどころか、胸を揉まれながら腰をうねらせるその姿はむしろ私にもっと♡ とせがんでいるように見えた。私は胸を揉みしだきながら、時折乳首を指で弾く。そのたびに彼女は体を震わせて、キスの合間に甘い吐息をこぼした。

「ん、はぁ⋯⋯あぁ⋯⋯♡」

 唇を離すと、唾液が糸を引いた。彼女は蕩けた表情で私を見つめている。

「そんなに触ってほしいんですか?♡」

 意地悪く聞いてやると、彼女は恥ずかしそうに視線を逸らした。そんな仕草も可愛らしく、私は彼女の首筋に吸い付いた。

「あっ⋯⋯♡」

 そのまま鎖骨へと降りていき、強く吸うと赤い痕が残る。それを満足げに見つめてから、さらにその下にある勃ち上がった乳首にむしゃぶりついた。
 
「んぁっ♡ ⋯⋯んっ♡ んぅ♡」

 舌先で転がすように舐め上げると彼女は体を震わせる。反対の乳首も指で摘まんだり、押し潰したりして弄ぶ。

「んっ⋯⋯はぁ⋯⋯あぁ、ん⋯⋯♡」

 一応理性で声は抑えているようだったが、階段という場所ではその努力もむなしくいやらしい声が反響する。そして、しばらく続けると欲に染まった彼女は声を抑えきれなくなってきたので、私は一旦口を離す。唾液まみれになった彼女の胸は、てらてらと光っていてとても淫靡だった。

「声、少し抑えてください」

 小さくそう囁くと、情欲に濡れた目で彼女はこくこくと何度も頷き口を手で覆った。そして私は再び彼女の乳首を口に含みながら、手を下半身に滑らせた。

「んんっ⋯⋯♡」

 スカートをたくし上げ、割れ目をなぞる。すでに一回達しているためかそこはもう充分に濡れそぼっていて、指を動かす度にくちゃくちゃと音を立てた。

「さっきイったばかりなのに、もうこんなに濡らしてる⋯⋯♡」

 私が耳元で囁くと、彼女は恥ずかしそうに顔を背ける。その様子に興奮が高まり、私は指を一層激しく動かした。彼女の声の代わりに、よりいやらしい水音が辺りに響いている。
 しばらくすると彼女の腰ががくがくと震えだす。どうやら絶頂が近いようだ。私はそこで、いったん手を止めた。刺激がなくなった彼女は、口は手で覆ったまま、すがるような目でこちらを見つめてくる。

「⋯⋯そこに座ってください」

 私はそう言って、今上がってきたばかりの階段を指さす。彼女は私の意図がよく分かっていないようだったが、とりあえず指示に従い一番上の段に腰を下ろした。私も彼女を背後から抱きしめるように地面に座る。そして彼女の両膝をつかみ、閉じている足を大きく開いた。

「あ⋯⋯」

 下着をつけていないため、彼女のそこが思いっきり外気にさらされる。彼女はようやく、私が何をしようとしたのか気付いたようだった。

「人が来たら確実に通報されちゃって、もうここには住めなくなりますね⋯⋯♡ せいぜい誰も来ないように祈っておいてください♡ あ、でもあなたみたいな変態さんだったら、見られた方が嬉しいんですか?♡」

 言いながら彼女の大陰唇に手を滑らせ、くぱぁ♡ と開いてみる。そのまま彼女のクリトリスに指を伸ばすと、そこはすでにぷっくりと膨らんでいて愛液によってとろとろの状態になっていた。クリトリスをつまんで軽く引っ張ったり押し込んだりして刺激を与えると、膣からは大量の蜜があふれ出して私の手を濡らした。

「こんなに濡らして⋯⋯もしかして、誰かに見られるの想像して気持ちよくなっちゃいましたか?♡ ほんっと変態♡」
「っ⋯⋯♡」

 彼女は私の言葉には何も答えず、口を押えて声を我慢しながら体を震わせている。

「この時間なら、あなたみたいにゴミ捨てに来る住人もいるかもしれないですね⋯⋯」

 際限なくあふれてくる蜜を指ですくい、それをクリトリスに塗りたくる。そのままクリトリスをぬるぬると擦り上げるとクリトリスはさらにその大きさを増していく。その先端に爪を立てると、「ぁッ♡ ん!♡」と抑えきれない彼女の声が階段中に一瞬響く。
 そうやって必死に声を我慢している健気な彼女を見ていると、愛しいを通り越して不憫という感情がわいてくる。私の中の倫理観が、どんどん崩れていく。もう全てが、どうでもよくなってくる。

「⋯⋯⋯⋯そんなに見られたいなら、もう声我慢しなくてもいいですよ。辛いでしょ? 本当は色んな人にえっちな濡れ濡れおまんこ見られながらいっぱい声を出して気持ちよくなりたいのに⋯⋯かわいそう。いいですよ、もう我慢しなくて。ほら、声出して♡ お姉さんのえっちな声、いっぱい聞かせてください♡♡」

 言うと同時に彼女の中に指を突っ込んだ。先ほどすでに一度挿入しているので、遠慮なく指をぶち込んでそのまま中をかき回す。ぐちゅっ♡ じゅぽっ♡ といやらしい音が鳴り響く。その音は、姿を見ずに音だけ聞いても誰もが眉をひそめるような卑猥さだった。
 
「ん゛ん゛ーっ!!♡♡」

 彼女はダメだと言わんばかりに首を横にぶんぶんと振りながら声を我慢している。しかしその理性もあと僅かなのか、その腰は絶えず震え、体に力を入れることができないのか私に全体重を預けるようにしてもたれかかっている。

「ねぇ、声聞かせて? お姉さんの声、聞きたい」

 そう彼女の耳元で囁く。彼女は必死に我慢しているようだったが、それでも私の誘惑に揺らいでいるのか、先ほどよりも口を覆う手の力は緩み、その中からくぐもった声が聞こえてくる。
 彼女の陥落はもうすぐだと悟り、私は中に入れている指を折り曲げ、Gスポットだと思われる場所を刺激した。それと同時に反対側の手でクリトリスを擦り上げると、彼女は体をのけぞらせて階段中に響く嬌声をあげた。

「可愛い⋯⋯♡」

 ぐちゅ♡ くちゅっ♡ ぬぷっ♡♡ と、卑猥な水音に彼女の喘ぎ声が混ざって私の耳に入ってくる。

「⋯⋯あっ、⋯⋯んぁっ♡ だめぇ⋯⋯ッ♡♡♡」

 まだある程度我慢しているものの、彼女は欲に負けたようだ。足を自ら大きく広げ、おまんこを階段下に見せつけ、控えめながらも気持ちよさそうに喘いでいる。
 彼女のそんな姿を見てしまって、私はもうだめだった。性欲だけじゃない、何かよく分からない感情に強く胸を締め付けられる。頭は真っ白になって、心も体も彼女を求めてたまらなくなった。

「はあ⋯⋯可愛い⋯⋯♡ 好き⋯⋯好き好き好き⋯⋯⋯⋯♡♡♡ ねぇ、お姉さん⋯⋯こっち向いて⋯⋯お願い⋯⋯」

 彼女が首をひねってこちらを向く。その目はうつろで、もう何も考えられないんだな、というのが見て分かった。
 私は何も言わず、彼女に唇を重ねる。彼女も、特に驚くこともなくキスを受け入れた。そしてキスをしたまま、私は両方の手の動きを速めた。

「んんんっ♡♡ んぁぁ♡♡♡」

 膣からもクリトリスからもじゅぶじゅぶ♡ といやらしく下品な音が鳴る。彼女の体はびくびくと痙攣し、絶頂が近いことを知らせてくる。
 私ももう限界だった。彼女の中に入れている二本の指を、クリトリスをいじめている手を、よりいっそう激しく動かす。

「あ゛ぁッ♡♡ だぇっ♡♡ イぅ♡♡♡ イっひゃうぅ♡♡♡」

 そして次の瞬間、彼女の体が大きく跳ね指が痛いほど締め付けられたかと思うと、膣から大量の液体があふれ出す。それは流れて私の手首まで濡らし、指を抜いたと同時に噴水のように階段の下をめがけてびゅーっ♡♡ と勢いよく液体が噴出した。その姿はまさに、クジラの潮吹きのようだった。

「はぁーっ♡ はぁーっ♡」

 彼女は脱力すると、再び私に倒れ込む。潮を吹き終わったあとの余韻に浸るように時折「んっ♡ ⋯⋯ぁ♡」と声を漏らしながら体を小さく震わせている。
 このままここで余韻を楽しみたかったが、イく前の彼女の声はもうはっきりと喘いでいたので近くの部屋には聞こえているかもしれない。⋯⋯そして、私ももう我慢の限界だった。

「部屋番号、教えて」

 耳元で小さく囁くと、彼女は唇をかすかに動かして部屋番号と思われる数字を口にした。私は急いで立ち上がり、まだだるそうにしている彼女の腕を引っ張った。
 ちらりと今行為をしていた階段に目をやると、上の方は誰か水でもこぼしたか、それこそ漏らしたのかと思うほどアスファルトは黒く湿っていて、それは階段中段まで続いている。そしてその飛沫は、微量ながら一番下の段まで届いていた。

 まだ体をふらふらさせている彼女の腰を抱えながら残りの階段を上がる。服は直していないので、未だタンクトップはたくしあげられたままで、こぼれた両胸が歩くたびに揺れている。
 そして、ようやく彼女の部屋の前にたどり着く。不用心なことに、彼女は部屋の鍵を閉めていなかった。

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じゃが 2024/05/13 19:00

引越し先のマンションで露出オナニーする話 2(♡ありver.)

「なに⋯⋯あれ⋯⋯」

 これからお風呂に入ろうかと寝室へ着替えを取りに来て、まだ寝室のカーテンを閉めていなかったことに気が付いた。カーテンを閉めるために窓に寄ると、隣のマンションの一室に煌々と明かりが灯っているのが目に入った。
 今は夜の九時。カーテンも閉めずにあんなに部屋を明るくしてると中が丸見え⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

「え?」

 その部屋は下から数えて二階の部屋、私は隣のマンションの三階。しかもほぼ真向いに位置している。たぶん、私の部屋か一つ上の四階の部屋が、その部屋の中が最も見えやすい場所だと思う。
 その部屋にはセミダブルほどのベッドが置いてあり、他に家具らしきものも見当たらない。そのぽつんと置かれたベッドの上に、女性が一人、仰向けに寝転がっている。
 彼女が何をしているか理解した瞬間、私の心臓は一気に早鐘を打ちだす。そして急いで部屋の電気を消し、カーテンを閉めた。

 彼女はおそらく⋯⋯いや絶対、自慰行為をしていた。ベッドの上で仰向けになり、着ているのはパンツ一枚のみ。そして自分の胸を触り、その手は徐々に下へと伸びていた⋯⋯。
 何あれ? 変態? 露出狂? 警察に通報した方がいいのかな?
 でも、部屋で一人でするのはなんの問題もないし、カーテンを閉め忘れただけかもしれないし⋯⋯。そもそも通報って警察になんて電話するの? 向かいの人が自慰行為してるんですけど! って、電話で私が言わなきゃいけないの?
 私は頭を抱えた。でも、さっき考えたようにただカーテンを閉め忘れた可能性の方が高い。今は四月だから、引っ越してきたばかりでカーテンを買い忘れたのかもしれないし⋯⋯。
 頭の中で必死に言い訳を考えて、とりあえず今回通報するのはやめておこうという結論になった。このまましばらくすれば終わるだろうし。

 そう決めたものの、私はなかなかカーテンの前から足を動かすことができないでいた。カーテンを握ったままその手を離すこともできない。心臓のドキドキも収まらない。
 私はちらっとだけ手に握ったカーテンをめくり、視線をその部屋へと向けた。
 先ほどまで履いていたパンツは傍らに放置され、彼女は生まれたままの姿で自分を慰め続けていた。
 やばい。やっぱり変態かもしれない!
 スマホはリビング。救いを呼ぶ三桁の番号が頭に浮かんだ。けれどやっぱり私の足はその場から動かなくて、今度はカーテンを握る手も、目線も動かせなくなった。

 彼女は人目を一切気にすることなく、淫らに腰を浮かせて快感を享受している。
 私だってたまには、自慰行為くらいする。でもいくら一人でも恥ずかしくて、クリトリスを指で刺激して絶頂するくらいが精一杯だった。えっちな動画だって、見ないことはない。でも、目の前で行われているそれは動画と違って、(たぶん)プロでもなんでもない人が、ただただ自分の性欲を発散させるためだけに行われているプライベートな行為。
 彼女が気持ちよさそうに喘いでいるのが、窓越しでも分かった。

「んっ⋯⋯」

 気付けば私の手は、ズボン越しに自分のあそこをさすっていた。
 動画でもなんでもない。知らない人の自慰行為を見て興奮していた。彼女がもし変態ではなく、ただカーテンを閉め忘れただけのおっちょこちょいな人だったら⋯⋯本当に申し訳ない。
 見知らぬ人をオカズにするなんて⋯⋯。そんな罪悪感はあったが、それでもあそこをさする手を止めることはできなかった。
 彼女の手が、両足の間で激しく動き続けている。

「ふぅー⋯⋯♡ ふぅー⋯⋯♡」

 そのリズムに合わせて私の手の動きも激しさを増す。徐々にあそこが濡れはじめ、パンツとこすれてくちくちと小さな音を立てるようになっていた。
 すると、窓の向こうにいる彼女の体がひと際大きく跳ねた。と思ったら腰をがくがく揺らし、しばらくしてからどさりとベッドに沈み込んだ。
 ⋯⋯イったんだ。しかもおそらく、潮を噴きながら。丸見えと言ってもある程度距離があるのではっきりとは見えなかったが、イった瞬間の彼女のあそこからは液体が出ていたように見えた。
 ⋯⋯いいなあ。潮噴いちゃうくらい気持ち良かったんだ。私も潮、噴いてみたいな⋯⋯。

「はっ、はっ、はっ⋯⋯♡」

 私はイってぐったりした様子の彼女を見ながら、あそこを擦り続けた。そしてカーテンの中に入り込み、空いた方の手をシャツの中に差し込みブラを乱暴にたくし上げ、焦らすこともせずに人差し指と親指で乳首をこりこり♡ とこね回す。

「あうぅ♡ うぅっ⋯⋯♡」

 気持ちいい。でも、物理的にも感覚的にもまだ刺激が足りなくて興奮しきれない。
 彼女はまだぐったりとしている。そんな彼女を見ながら、もう一回シてくれないかな⋯⋯と縋るような気持ちになった。
 すると、そんな私の願いが届いたのか、彼女は自分の頭元にあった濃いピンクをした物体を手に取り、それをあそこに撫でつけだした。
 やった♡ やった♡ また始まった♡♡

 彼女はピンクの物体――おそらくバイブ――であそこをゆっくり撫で、しばらくするとそれを垂直に持ち直して自分の股に突き立てた。私はそこで我慢できなくなり、ズボンを脱いだ。シャツもたくしあげ、ずれたブラからはみ出た両胸が外気に晒される。この時、自分の姿が外から見えてるかもしれないという考えは一切頭の中になく、ただただピンク色の靄で埋め尽くされていた。

「あ、ぅっ⋯⋯♡ んん⋯⋯♡」

 一心不乱にバイブを動かす彼女を見ながら、私も乳首をこね、パンツの上からクリトリスを指の腹で潰してこすりあげた。
 気持ちいい。でも、絶頂まではまだほど遠い。いつもならこれで満足できるのに⋯⋯物足りない。
 私はパンツを脱ぎ捨て、直接クリトリスに触れた。

「は、あぁ⋯⋯♡」

 普段は、手が汚れるからという理由で下着の上から触るのが基本だった。でも今日は⋯⋯直接触れたくて仕方なかった。
 人差し指でクリトリスの包皮を剝き、中指で先端を撫でる。そして乳首も引っ搔いたり押し込んだりと好き勝手に弄り倒した。

「うぅ⋯⋯やばい⋯⋯っ⋯⋯♡」

 いつもの何倍もの快感に足ががくがくと震える。あっという間にイってしまいそうだったけど、あの彼女と一緒にイきたくて必死に我慢した。彼女は未だに、すごい勢いでバイブを抜き差ししている。

「あ~、だめ⋯⋯♡ もう⋯⋯、イっちゃ⋯⋯!♡」

 そんな姿を見ているとやっぱり我慢なんてきかなくて、私は愛液でぬるぬるになったそこをめちゃくちゃに擦りまわした。ぴちゃぴちゃと卑猥な音が静かな部屋に響く。

「あ、あっ⋯⋯!♡ あぁ⋯⋯ッ!!♡♡♡」

 私は背中をのけ反らせ、腰をかくかくと震わせて達してしまった。今までに感じたことのない快感だった。

「はぁ⋯⋯♡ はぁ⋯⋯♡」

 絶頂の余韻に浸りながらちらりと窓の外に目をやると、ちょうど彼女も全身をがくがくと震わせ深い絶頂を味わっている最中だった。ひとしきり全身を震わせた後、またどさりとベッドに沈み、息を整えている様子だ。
 私が見たのはここまで。都合よく性欲を発散させたら、ものすごい罪悪感に襲われた。お風呂に入って体を洗って、今見たこと、あったことは忘れよう。そう思いカーテンの外に出て急いで脱ぎっぱなしのパンツを拾うと、愛液で濡れたパンツから女のいやらしい匂いが鼻をかすめた。
 知らない人の自慰行為を覗き見してそれをオカズにしてしまった。
 濡らしたパンツを持って佇む自分に、罪悪感や惨めさが一気に押し寄せてきて、思わず少しだけ、泣いてしまった。



「ん、ふぅ⋯⋯♡」

 あれから二週間ほど経った。私は、あの日見た彼女のように自室のベッドの上でオナニーをしていた。もちろん、カーテンは閉めた状態で。
 あの後、ひとしきり泣いてからお風呂に入って、全部忘れようとした。でも、忘れられなかった。彼女の淫らな姿が頭にこびりついて離れなくて、結局お風呂でもオナニーをしてしまった。
 その日からなぜか性欲がすごいことになっていて、週に一日ほどだったオナニーも、今ではほぼ毎日している始末。あれだけ罪悪感があったのに、毎日カーテンを開けては彼女がまたオナニーをしていないか確認をして、カーテンが閉まったあの部屋を見て肩を落とし、妄想で自分を慰める日々。

「っあ⋯⋯イく⋯⋯っ!♡」

 甘い痺れが、体を走る。

「うぅ⋯⋯っ、うぅ⋯⋯⋯♡」

 しかし絶頂しても、クリトリスをいじめる指が止まることはない。
 全部、あの日からおかしくなってしまった。どれだけオナニーしても満足しない。あの日みたいな快感を得ることができない。
 もう嫌だ。満足できないのにオナニーばかり続けて。嫌なのに、やめることもできない。もう嫌だ⋯⋯嫌なのに⋯⋯嫌なのに気持ちいい。気持ちいい間だけは忘れられる。ずっとずっと気持ちいいままでいたい。

「あ、んん⋯⋯っ!♡♡」

 私は頭元に置いていた小型の電マを手に取る。本当は彼女が使っていたものと同じものが欲しかったけど、さすがに遠くて色以外はよく見えなかったこと、そしてクリオナしかしてこなかった私に挿入するタイプのバイブはまだ早いと思い、これを購入した。
 カチッとスイッチを入れると、強さは「弱」にも関わらず結構な振動を見せる。初めはそれすら怖かったけど、一度使ってしまえばその振動のとりこになってしまった。私はもう躊躇することなく、自分のクリトリスに電マをぐっと押し付けた。

「うああッ♡♡♡」

 この弾けるような快感がたまらない。大人のおもちゃに耐性のない私は、これだけであっという間に絶頂へと押し上げられてしまう。

「んんんっ!!♡♡ やば⋯⋯イく、イく、イくっ♡♡ ~~~ッ!!♡♡♡」

 全身がびくん、と震え、いつの間にか浮き上がっていた腰がベッドに沈む。電マをクリトリスから離しても、まだ振動があるかのようにじーん、とした感覚がする。
 電マを使いだしてから気付いたのだが、オナニーをしている時は体に異常に力が入っているらしい。それは、快感や興奮が大きければ大きいほど力が入るようで、最近運動をしていないのに謎に筋肉痛になった理由を考えて愕然とした。
 自分がどんどん変態になっている気がする。息を整えてベッドから立ち上がり、全裸のままカーテンを少しだけ開ける。部屋は暗くしてあるから、外から簡単には見えないはず。そして、いつものようになんの期待もせずに彼女の部屋に目を向ける。

「⋯⋯え」

 ここ二週間、見るたび閉まっていたカーテンが、開いていた。そしてその先に見えるベッドの上で、全裸の彼女が自分の胸を揉みながらあそこを触っていた。

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