投稿記事

2021年 05月の記事 (3)

Wedge White 2021/05/09 23:27

夜寝坊


「んっ……ふぁぁっ…………。うーん、今日もよく寝たぁ……。おはよ~……って、あれ?」
 いつものように夜、目覚めてリビングへ向かおうとすると、部屋は真っ暗……窓の外が暗いのは当たり前だけど、部屋の中まで暗いということは、これは……。
「深夜の2時?うぅー……悠君、寝ちゃったんだ。桐も……」
「すぅー……すー…………」
「すっごい深く寝てる……。桐、朝からずーっと家事を頑張ってるんだもんね。前は人間じゃないから寝なくても大丈夫ー、って言ってたのに。……頑張り屋さんだなぁ、桐も、悠君も。私も見習わなくちゃ」
 私は優しく、桐の頭を撫でてあげて。それから、桐だけじゃ悠君に悪いから、彼の頭もなでなでしてあげる。
 二人とも、本当に可愛い……私にできた、吸血鬼としての“魂のつながり”がない新しい家族、と思ってていいのかな。
「うーん、でも、これからどうしよっかなぁ。二人を起こしたら悪いし、だからと言ってこれから二度寝するには、目が冴え過ぎちゃってるし……」
 そう呟いて、苦笑いする。
 夕方過ぎぐらいに起きれた時は、二人が寝るまで一緒におしゃべりして、その後は一人で遊んでるんだけど、今日は桐たちとおしゃべりできなかったから……ちょっと寂しくて、手持ち無沙汰。
 こういう夜は……外に遊びに行くのもなんだか気が乗らないから、しばらく二人の寝顔を見ていることにした。
 私は夜目が利く……というか、基本的に夜に生きている吸血鬼なんだから、暗闇でも物が見えるのは当然なんだけど、お陰で二人の睡眠を邪魔することなく、寝顔を堪能することができた。
 悠君の寝顔は、ちょっと年齢よりも幼く見えて、寝顔はまるで赤ちゃんみたい、と言ったら怒っちゃうのかな。
 だけど、普段の表情からもそうだけど、彼が優しくて純粋な男の子だということはよくわかる。彼ぐらいの歳で、いい意味で世間擦れしていない……そんな純朴な子はすごく貴重だと思う。だからこそ、私も……彼に惹かれたのかな。
 頭を撫でるだけじゃ、物足りなかったから、軽く頬にも触れてみる。
 男の子らしい、余計な肉の付いていない、さらっとした質感。気持ちいい柔らかさはないけど、ずっと触っていたい。そう感じる。
「悠君。きっと君は吸血鬼になりたがらないし、桐もそれを許さないよね。……それがちょっとだけ残念。だって、君の首筋に噛みつけないもん。……でも、キスするぐらい、いいかな?」
 なんて……彼が寝ている間に、不意打ちをするようにキスしたりはしないけど。そんなことを考えてしまう。
 私、これでも一応、惚れっぽいつもりはないんだけどね。でも、彼は特別。すごく……私にとって魅力的な男性だから。
「――ね、桐。まだ出会ってそれほど長くはないって言ってたけど、あなたが今まで、悠君の純朴さを守ってくれてたんだよね。――羨ましいなぁ。私が先に出会ってたら、めいっぱい誘惑して、吸血鬼にしちゃってたのに」
 なんて笑いながら、改めて桐の頭を撫でる。
 私と同じように、ずっと幼い姿の桐の寝顔は、小さな女の子そのものだった。ただ、私と違うのは、私が元々は人間で、若い頃の体を無理やり保たせているだけだということ。その点、桐は初めから子どもとして生まれ、そもそも成長する、老いるといった“機能”がないという点にある。
 人間にはありえないことだけど、彼女は人間ではないのだから仕方がない。……私からすると、正直、妬ましいかな。だって、私は人間をやめちゃったんだもん。自分からそれを望んだとはいえ。
「えい、えいっ。ほっぺぷにぷにだ~」
 人差し指でほっぺたをつつくと、柔らかく沈み込んで、適度な反発を返してくれる。本当、子どものほっぺただ。
 食べちゃいたいぐらい可愛い、というのはこういうことを言うんだろう、と思いつつ、私が言うとそれがたとえ話にならなそうだから、本人には言えないな、と思った。
「でも本当、桐は立派だなぁ。私、家事とか全然できないもん。やろうとしなかった、が正しいんだけどね。……私、人間やめた割と直後辺りから、人間らしい生活っていうのをやめちゃったんだよね。なんだかバカらしくなっちゃって。……でも、桐は初めから人間じゃないのに、人間の生活をきちんとしていて、すごいな。かっこいいよ、桐」
 本人が起きている時は、こういうこと言ったらすごい照れそうだし、信じてもらえなさそうだから言わない。
 ……ううん、私にも照れがあるというか、一応は年下の子をこんなに褒めるなんて、ちょっと悔しくてできないんだろうな。だから、これは……桐が寝ている今だからこそ言えること。
「二人とも、いい夢見てね。私はー……そうだなぁ」
 私は、本を一冊、手に取った。私はあり余る時間を主に本を読んで過ごしている。
 生きれば生きるほど、未読の本は増えていくから、人が本を書くという文化を捨てない限り、私が読むべき本はいくらでもある。
「気が向いたら、私も本を書いてみてもいいかな。論文とかはいくらでも書いてるけどね。そういうのじゃない……ある青年と女の子の物語、とか」
 どことなく似ている二人の寝顔を見ながら、そんな冗談を誰に言うでもなく、言ってみたりした。

フォロワー以上限定無料

無料のプランです 一部、こちら以上の会員様向けの記事がございます

無料

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

Wedge White 2021/05/06 23:07

もしもの準備


「桐、ただいま!」
「ん、おかえり。連休明けの学校じゃが、だらけておった訳ではないのだろうな~?」
「だ、大丈夫だよ。そもそも学生にとって連休が歯抜けだったりするのは普通のことだし」
「ふふっ、そうかそうか。ちゃんと頑張ってきたのならよし、じゃ」
 大学から帰ってきた悠を桐は優しく迎え入れる。
 ただ、玄関の前にいくつかのゴミ袋が出ていたことに悠は違和感を覚えていた。
「もしかして掃除してたのか?」
「うむ。連休の後だからこそ、物の整理をしておくべきと思ってな。悠は本当、物を捨てるということができんからなぁ。何が悲しくてお菓子の空箱をあんなに置いておくのじゃ。用途もないと言うに」
「いやぁ……はっはっはっ」
「全て始末しておいたからな。後、古い雑誌もそこにまとめておいたから、置いておきたいものがあるなら、自分で取っていくんじゃぞ」
「はーい」
「もちろん、全部置いておきたい!はナシじゃからな?」
「ぎくっ…………」
「悠~?」
 桐は笑顔で詰め寄ってくる。
 見た目は幼いがしっかり“お母さん”をしている彼女に、悠はいつまでも頭が上がらない。
 そして正に本当のお母さんとして、彼が疲れて帰ってくるのを見越してお風呂の準備をしてくれていて、お風呂から出た頃には夕食を出してくれるのだから、大学生の一人暮らしが彼女のお陰で健康的なものになったのは言うまでもないだろう。
 ただ、家に“お母さん”がいるということは、当然そういった問題も起きる訳で。
「ん……?」
 テーブルの上に小さな紙の箱が置かれているのに気づいた。
 厚みもなく、ちょっとしたお菓子か何かが入っていそうな箱だが、そのパッケージに「0.05mm」という文字が書かれていることに気づき、思わず頭を抱えてしまった。
「き、桐……?」
「うむ、本の山の中に埋もれておったぞ。かわいそうに箱もひしゃげてしまっていてのぅ。物は大切に扱うんじゃぞ~」
「う、うん……」
 しかし、桐は平然とそんなことを言う。
「(桐、コンドームのことを知らないのかな……?)」
 非常に長い時間を生きる彼女だが、最近はあまり人間社会との関わりもなかったし、特に性的な知識というのは人間を外側から見ているだけでは中々得られないだろう。彼女の常識の中にコンドームが存在していなかったとしても、あまり不思議なことではない。
 そう思い、お風呂に向かおうとした悠だったが。
「のう、悠。失礼じゃが、それを使うアテがあるのか?」
「えっ!?」
「じゃから、コンドームを使う相手じゃ。妾が知る限りでは、そなたに彼女ができた素振りはないんじゃが」
「え、ええっと、桐さんはコンドームをご存知で……?」
 恐る恐る聞いてみると、彼女は溜め息をつく。
「当然じゃ。初めて知った時は、なるほど人は考えたものだ、と感心したぐらいじゃ。避妊はもちろん、性病も予防できると言うし、物が物ゆえにあまり大々的に取り上げられることはないが、偉大な発明の一つじゃろう」
「そっか……。いやまあ、確かに俺には必要ない物なんだけどさ。なんとなく買っておきたかったって言うか。……その、桐に色々と教えてもらって、俺も男としての自覚、みたいなものが生まれてきたみたいな……」
「なるほどのう」
 そう言う桐は、にやにやと興味深そうに笑っている。
「うぅ……絶対、そういう風に茶化されると思ったから言わなかったんだよ」
「いやいや、妾は茶化しておらんぞ。むしろ、我が子の成長を喜んでおるのじゃ」
「成長、ねぇ」
「うむ。喜ばしいことじゃ。とはいえ悠よ、見たところ全く封も開いてなかったようじゃが、試してみることもなかったのか?」
「あ、うん……なんかやっぱり、ちょっと照れくさい感じがして」
 そこまで言うと、遂に桐は吹き出してしまった。
「やっぱりバカにしてるだろ!?」
「いやいや、すまない。あんまりにそなたが可愛いから、思わず母性が爆発してしまったのじゃ」
「大爆笑っていう形で爆発する母性、嫌だな!?」
「仕方がないじゃろう、そなたがあんまりに可愛いのじゃから。……のう、悠よ。では妾相手に試してみてはどうじゃ?もちろん、知っての通りに妾は人との間に子を成せんのだから、避妊の必要はない。また、人の病気にもかからないから、性病の心配もないとなれば、付けてする必要はないじゃろう。しかし、一度もゴムを使ったことのない人間が、いざ使うとなって手間取っていては、格好が付かんからのう。とりあえずの予行練習をしておくのは大事じゃろう」
「え、えぇっ……」
 珍しく桐から求めてきたことに、悠は思わず胸が高鳴る。
 いつもはもっとこう、悠の方からどうしても我慢できないから!と桐にお願いをして、彼女が「しょうがないのう」と笑って相手をしてくれるのがこの二人の性交渉というものだった。
 だが、こんなにも積極的に桐が求めてくるのは不思議で……自然とモノも大きくなってしまう。
「ふふっ、もう準備はできたようじゃな。妾もちょうど、夕食の準備は終わったところじゃ。お風呂に入る前にして、一緒に入ろうか」
「う、うんっ……!じゃあ、お願いします……!」
 なぜか悠はかしこまってしまい、不思議な緊張をしながら下半身をさらけ出す。
 既に勃起したモノがピーンと勃ってしまい、改めてそれをまじまじと桐に見られるのがなんだか照れ臭かった。
「今更恥ずかしがるような関係かのう?」
「で、でもさ……」
「ほれ、早く付けてみるのじゃ。自分でやらんと勉強にならんじゃろう?」
「うん……」
 悠は慣れない手付きでコンドームを取り出すと、思ったよりもコンパクトにまとまっているそれを自分のモノに被せてみた。
「そーれ、一気じゃ。伸びるから安心じゃぞ?」
「わ、わかった……よいしょっ!」
 コンドームはむにーん、と伸びていって、すっぽりと彼のモノを覆い隠す。ライトな水色のコンドームで、なんだか出来上がったモノはソーダ味のアイスキャンディーのような雰囲気すらあった。
「さて、準備をしてもらったところ悪いのじゃが、妾としては割とその姿でお腹いっぱいとはいえ、全く体は出来上がっておらんのじゃ。……じゃから、わかっておるな?」
「うん……じゃあ、今日はさ」
「うん?」
「桐のおっぱい、吸わせてもらっていいかな?」
「うわっ……」
「えぇっ!?」
 なぜか思いっきり桐はジト目で睨んでくる。
「いや、もっとこう、てっとり早く濡らして挿入するかと思ってな……。いや、もちろん乳首も感じるんじゃぞ?しかし、こう、妾としてはいまひとつ盛り上がりに欠けるというか……」
「そ、そっか。ごめん」
「むぅっ……妾こそ、すまぬ。別に悠がおっぱい好きということはわかっておるのじゃ。……妾の小さなものも、それなりには愛してくれていることもな」
「それなりなんかじゃないよ。二次元は巨乳だけど、三次元は桐のも全然好きだから!というか、三次元は他はエアプだし!」
「それを断言されるのもそれなりに寂しいものなのじゃが……まあよい。ほれ、好きに吸ってくれてよいぞ?」
「うんっ……!んちゅぅっ、じゅるちゅううっ!!」
「んっ……!」
 話している内に上下ともに裸になった桐が、前屈みになって膨らみの乏しい胸を突き出してくる。
 悠はそれにすがりつくように、自分も身を屈めてむしゃぶり付いた。
「じゅるずるぅうううっ!ちゅぱっ、ちゅっ、ちゅるじゅるぅうううっ!!じゅるっ!ずるっ……!ちゅっ、ちゅれるぅうっ!!」
「んっ、ふぁああっ……!もう、がっつき過ぎじゃ……!そんなに下品に音を立てて吸われてはっ……はふぅっ!妾も、しっかり感じてしまうじゃろう……!んっ、んあぁあああっ!?」
「桐っ……ちゅるっ、ちゅぷるっ、ちゅるじゅるううううっ!」
「ふっ、んふぁああっ……!!」
 桐は激しく身をよじり、快楽から逃れようとするような卑猥なダンスを踊る。
 そうしている内に、膣口からはたらり、と愛液が溢れ落ちてきていて、彼女の体が発情してきているのがわかる。
「ちゅぷちゅううっ!ちゅっ、ちゅっるっ!ちゅずっ……ずるるううううっ!!!」
「ふっ、んぁあああっ!!もっと、もっと、じゃぁっ……!!」
「んむうぅううううっ!!!」
 反射的に桐は、悠の後頭部の腕を回して胸へと彼の口を押し付ける。
 悠も小さく可愛らしい乳首を激しくねぶり、跡が残るほどに熱烈なキスをして、感じさせた。
「んんっ……!ふっ、んぁああっ……!!」
 そして、桐は控えめな声を上げて、下半身をガクガクと痙攣させる。
「桐、イッたんだ」
「んっ、あぁっ……前戯で、しっかりイかせる必要もないと言うに……」
「でも、求めてきたのは桐の方なんだし……」
「ええい、言い訳するでないわ」
「ごめんなさい……」
 ぷんぷんと怒る桐は、しかし顔が真っ赤で、軽く泣き出してしまっていた。
「(桐、大人ぶるところが可愛いよな……。いや、すごい大人なんだけど)」
 愛する“家族”の愛らしい面にほんわかとしつつ、悠は彼女の股間にコンドーム越しのモノを押し当てる。
「んっ……久しぶり、じゃな……」
「うん……挿れるぞ……!」
「うむっ……ふぅっ!?んぁああっ……!!!」
 ずぷりっ、と水音を立てながらモノが入ってくる。
「ふっ、くぁああああっ!!!」
 相変わらず、桐の中は狭く、しかしながら伸縮性はあって、ぐっぽりと悠のモノを咥え込んでくれる。
 そして、膣壁全体を使ってぎゅうぎゅうとモノを刺激するものだから、あっという間にイッてしまいそうになってしまう。
「うっ、くっ、ううっ……!やっぱり桐の中、最高っ……!」
「ふっ、んんっ……!コンドーム越しでも、しっかり感じるのか……?」
「うっ、くぅっ!もちろんっ……!桐の気持ちよさは、こんなゴム越しになっても変わらないって!」
「はっ、ふぅうううっ!!!そ、そうかっ……。妾もっ……んっ、ふぁああっ!!そなたのを、しっかりと感じられるぞっ……!」
 久しぶりの挿入だったこともあってか、桐はピクピクと痙攣しつつ、必死に快楽の波に耐えているみたいだ。
 年上として、悠をリードしなければならないという意識があるから、みっともなく喘いでいけないと我慢しているらしい。そんな姿がまたいじらしくて。
「桐、もっと動くからっ……!」
「う、うむっ……!んっっ!?ひっ、ふっ、んぁああああっ……!!!やぁっ!!そ、そんな激しく動いちゃっ……!はっ、あくぅうううんっ!!」
 悠はしっかりと彼女の腰を掴み、腰を引いては打ち付けていく。
 ずるるぅううっ!と肉をかき分けて挿入していく感覚があまりにも心地よく、改めてオナニーなどとは比べ物にならないほど心地よいと感動してしまう。
「はっ、はっ、はぁっ……!!」
「ひふぅううっ……!はくっ、んっ、んぁあああっ……!!!あっ、あぁっ……!!!ふっ、ふぁああああっ……!!!」
 そして、一心不乱に腰を打ち付ければ、それによって快感を断続的に与え続けられる桐が、普段の落ち着いた彼女からは想像できないほど、卑猥に顔を蕩けさせて感じている。
 その事実がまた、気分を盛り上げて……。
「ふっ、ふぅっ……!」
「ひふぅうううんっ!あっ、やっ、いひゃああああっ……!!!あっ、あっ、あぁっ……!イくっ……!!!ひくぅううっ!!!あっ、あぁぁぁんんっ!!な、何度だって、イッひぇっ……!!!あっ、あぁぁぁああああんんっ!!!」
「うっ、ぐぅうううっ!!!」
 更に奥まで激しく突いてしまうと、桐はもう絶頂に歯止めが利かなくなって、膣内は常に振動し続け、その細かなバイブレーションが悠にもまた絶頂感を与えてしまう。
「うぅっ、くっ、出るっ……!!」
「ひぁああああっ!!!あっ、あぁっ……!中で、ビクビクっ……!ひっ、んぁああああああんんっ!!!!」
 遂に快楽が弾ける――しかし、精液はコンドームの中に出されるため、桐の小さな膣内を満たすことはなく、コンドームの先端を膨れ上がらせるだけだった。
「はぁっ、はぁっ……うぅっ……」
「んっ、ふぁぁっ……なんだか、そなたがイッたというのに、中に精液が広がらないのは不思議な感じじゃな……」
「うんっ……じゃあ、抜くから……」
「うむ。ただし、中にゴムだけ残ってしまわんようにな?」
「あ、そっか……」
 彼女の指摘を受けて、ゆっくりと慎重にモノを引き抜くと、コンドームが抜けてしまうこともなく、奇麗に引き抜くことができた。
 そして、コンドームの先端に思ったよりも多くの精液が溜まっているのが見える。
「こんなに出たんだ……」
「ふふっ、ティッシュに出した精液は見ているじゃろう?」
「いやぁ……やっぱり、本番で出す量は違うよ」
「そうか。……よし、ではそのコンドームは妾に渡してくれんか?」
「えっ?」
 悠は桐の言葉の真意がわからないながらも、言われるがままにする。
「では、んっ……じゅるるぅううっ……!」
「っ!?」
 桐はコンドームを咥えると、その中の精液を口の中へとぶちまけて……それを咀嚼し始めた。
「んじゅるっ……ちゅるっ、ちゅれるぅっ、ちゅぱっ、ちゅるぅううっ!!んじゅるっ、ちゅぱっ、じゅっ……ごくんっ……。けぷっ……」
「き、桐……」
「ふふっ、せっかくの精液なのじゃ、このまま捨ててしまってはもったいないじゃろう?」
「で、でも……」
 彼女の痴態を見ていて、悠のモノは再び、元の大きさを取り戻してしまっていた。
「んっ……今度はナマで、二回戦かのう?」
「う、うん、お願いしますっ……!」
 結局、お風呂に入るのはずるずると遅くなってしまい、夕食も予定よりかなり遅れてしまったのだった。

フォロワー以上限定無料

作品のあとがき的な裏話です

無料

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

Wedge White 2021/05/05 22:21

那由他のひめごと 0話

 こんにちは!
 予告通り、今月から有料のプラン加入者様を対象とした作品の更新を始めていきたいかと思います
 今回は連載小説の準備的なお話になります。なので、本来ならば有料プラン向けとなるR18のお話に関しても、無料会員の方でもご覧いただける形になります


お話について

 本作「那由他のひめごと」は、親によってがんじがらめにされ、恵まれているように見えるけれども、自由がなくて自分の未来を悲観しているお嬢様が、アブノーマルな世界を知って、「自分なりの幸せ」を手に入れていく、というお話になります
 この自分なりという部分が肝であり、彼女が得られる幸せや希望というものは、外から見ればとても幸せとは思えないそれであり、破滅的に感じられることだと思います
 しかし、抑圧されていたお嬢様である彼女からすれば、それこそが幸せ。快楽である。と感じられる訳で、言ってしまえばメリーバッドエンド的な終わり方をする作品になるとは思います
 でも、そんな題材だからこそ感じられるエロさを目指していきたいと思います

 また、本作の舞台の一つとして「見学店」というものがあります
 大人なお店としては、少し変わったタイプのお店かと思いますが、がっつりとした性行為をする店ではないからこそのものを表現していきたいかと思います



キャラ紹介

 随時更新予定ですが、現状は主人公一人となります

四条那由(しじょう なゆ)


活動名:ゆな
誕生日:6月13日
身長:158cm
体重:48kg
スリーサイズ:86(E)・57・85

学年一の美人とも言われる、名門四条家の令嬢
成績優秀で運動神経も抜群。そして誰にでも優しく思いやりがあり、器の広い性格
ただ、本人としてはそんな完璧な存在である自分につまらなさを感じていて、将来も有望、何もしていなくても名家の子息と結婚し、一生遊んで暮らせることがほとんど確定している未来のこともまた、つまらなく感じている
そのため、秘密の趣味を持っており、新たに変わったバイトをするようになった



本編



新しい目覚め



 四条那由は学校一の才女と言われる誰もの憧れである。
 名門、四条家に生まれた彼女は昔から特に努力をしなくても成績優秀、運動神経にも優れ、一般的な人がする努力や苦労を知らず、当たり前のことを当たり前にしているだけでその優れた才能を開花させていった。
 容姿にも優れ、他の生徒と変わらない制服を着ていても目を引き、本当の美しさの前には豪奢な衣装で着飾ることなど無意味であるということを証明してしまっている。
 本来ならば、そんな完璧な人間はひがまれ、疎まれるものかもしれないが、彼女を本気で嫌う人間はほとんどいないと言えた。
「斉藤さん、私も日直の仕事、手伝うわ。私はゴミ捨てに行くから、黒板ふきをしていて」
「えっ、いいの……?別に下に行く用事とかないんでしょ?」
「いいのよ。黙ってあなたが頑張っているのを見ているだけ、なんて性に合わないもの」
 那由は笑顔でそう言うと、めんどくささと、ゴミを扱うということもあって、日直の仕事の中でも特に嫌われているであろうゴミ捨てを代わりに引き受ける。
 そして、その帰りには。
「先生。その器具、生物実験室までですよね。お手伝いします」
「四条さん。いいんですか?」
「はい。どうせ、このまま教室に戻るところでしたから」
 新人の生物教師を手伝い、教室に戻ったのはチャイムが鳴るギリギリ。
 きちんと遅くなった理由を日直の斉藤に伝え、彼女が気に病んでしまわないようにケアもする。
「(今日も楽しい……充実した日々)」
 お嬢様だから、と自分を特別扱いすることを求めるのではなく、むしろ率先して雑用を引き受ける。
 見た目や成績で敵わないから、とその性格をけなそうとする生徒も、そんな彼女の完璧さを目の当たりにしてしまうと、何も言うことができなくなってしまって、結果として彼女は誰もに愛されることになっていった。
 それに、彼女のこういった行動は何も人気取りのためではない。
 テスト勉強や部活に青春の時間を費やす同級生たちとは違い、彼女は勉強をする必要がなく、部活にも入っていない代わりに、家に帰ればすぐに花道や茶道、習字に日本舞踊。令嬢としての様々な勉強を課されていた。
 その全てが那由は得意だったが、全ては花嫁修業の一環であり、彼女の人生は名家に嫁ぐことを前提に構成されたものであった。
 幼い頃から、それが宿命であると言い聞かされ、自分でもそれを受け入れたつもりだった。しかし……。
「(私は“貢ぎ物”じゃないわ)」
 自分は自分の家がより長く栄えるための道具。……そんな人生を受け入れられるほど、彼女はしおらしい女性ではなかった。
 学校で積極的に行動を起こすのは、学校でいる時間だけ、自分が普通の女の子として過ごすことができるから。
 そして、家での勉強が終わると彼女は自室で明日、着ていくための制服を着込んで姿見の前に立った。
「私は、私の人生を生きるわ。それがたとえ、今の間だけの、人から見ればちっぽけなものだったとしても」
 那由にも、味方はいた。小森というお手伝いさん、いわゆるメイドだった。
 彼女に頼んで那由は、何着かの親には絶対に買ってもらえない服を手に入れている。制服姿をスマホのカメラに収めた後、那由はその内の一着、異常なほどに薄く、中が透けて見える看護師の服に袖を通した。
 当然、普通に病院で使われているような物ではない。コスプレ――それも性的なものを前提としたことに使われる、パートナーの興奮を煽るためのコスチュームだった。
「はぁっ、はぁっ……やっぱり、すごく、いいっ……」
 そんな淫猥な。名家の令嬢が着るのに相応しくない。着てはいけない、そんな服を身にまとうと、それだけで那由は心が躍った。
 普通では絶対に存在しない、今、自分だけが知っている自分。
 服は体に密着し、そのスタイルが強調されて、豪奢な黒い下着の色が透けて見える。
 もしもこれで外を歩けば、卑猥な女だと罵られる。欲望に滾った男に見つかれば、犯されてしまうかもしれない。
 ……そんな想像が、彼女を興奮させる。
「少しだけ……少しだけ、ね?」
 那由は自分自身にそう言い聞かせ、卑猥な自分の姿を写真に収めた。
 顔は隠して、特定につながるような背景も映さず。彼女はいつも通りに完璧に、自分の艶姿を撮影していく。
 そして、その写真データを。
「見てっ……みんな、私の姿っ…………」
 SNSにアップする。すると、すぐに反応が増えていく。1つや2つではなく、一気に数百という規模で。
 その事実に彼女の体は熱くなり、股間はジュンッ、と疼いてしまった。
 背徳的な、常軌を逸した……しかし、彼女が彼女としての人生を楽しめる時間。
 それがこのコスプレ自撮りと、その反応を眺めるほんのひとときだった。

 だが、歪んだ形の欲望の発散を知った彼女の望みは、よりエスカレートしていく。
 聡明な彼女は当然、そのことも理解していたはずなのに、己を律することなどできなかった。……するつもりも、なかったのだろう。



「ねぇ、小森さん……。私、今軽蔑されてるわよね?」
「軽蔑、ね……それをされたからどうだって言うの?なゆ」
「…………あなたにまで嫌われたら私、生きていけないから」
「バーカ。私があんたのことを嫌いになる訳ないでしょ。……エッチな服を着たいって言われた時は、そりゃあ驚いたけどさ。あんたが自分の気持ちを見せてくれて……嬉しかったんだから」
 自室に小森だけを招き、那由は体を震わせていた。
 幼い頃から自分の世話をしてくれているメイドである彼女は、那由が唯一、本心を見せられる相手。また同時に、失ったら替えの利かない大切な人でもあった。
 そんな彼女に、とんでもないお願いをしてしまった。その罪の意識と後悔が、那由を泣き出す一歩手前に追い込んでしまっている。――自分で言ったことなのに。
「あんたがこういうことを言い出すとは思ってたもの、お店の目星は付けてるわ。安全で、なおかつあんたが楽しめるようなお店」
「小森さん…………」
「当然、もしもがあったら、あんたも勘当されるかもしれないし、とりあえず私はクビ……というか、最悪、命まで奪われかねないわね。でもさ、自分が納得できることをやればいいと思うんだよ。私……じゃなかった、友達も昼間は普通に働いて、夜は水商売してるけどね」
「小森さん、その建前はいいって」
「何度も言ってるけど、この部屋、盗聴器とかないよね?過保護な親ってそういうの付けたりするみたいだし」
「大丈夫よ、お父様は。……私に道具としての振る舞い以上を求めてないから」
 そう悲しく笑うと、那由は小森が新しく用意してくれた衣装を抱きしめた。卑猥なバニースーツだったが、彼女はこういった衣装に頼ることしかできない。
 当然、小森も彼女が正道を進んでいるとは思っていなかった。だが、メイドをしているとはいえ、小森からすれば金持ちの世界の常識というのは異常だ。そんな異常な環境に生きてきた彼女が、同じく一般人からすれば異常な道に進もうとしている。……マイナスとマイナスをかけ合わせれば、プラス。歪んでいても、破滅的だったとしても。彼女が前を向けているのなら、それは間違いではないのだろう、と考えていた。
「ね、なゆ。その服、早速だけど着て見せてよ。当然、普通のブラなんかできないからね、このニップレスを付けるのよ」
「う、うんっ……。お店でも基本、付けるのよね?」
「そうそう。それを剥がすのもパフォーマンスだけどね」
「パフォーマンス…………」
 ゾクゾクッ、と那由の体が震える。
 これから彼女がするのは、ただ自撮りをSNSに上げるだけではなく、生の人の前で、痴態を披露する――見学店というところで働くことだった。
 言葉やハートマークではない、生の男――場合によっては女の、息を呑む音や、見入る姿。場合によっては、オナニーする姿。それらをイメージすると、それだけで胸が高鳴る。
「ねぇ、小森さん。私……おかしいわよね」
「全部が全部、おかしいのよ。あんたを取り巻く全てがね。もちろん、私を含めて、だけど」
「ふふっ……そっか」
 そう笑う那由は、心から嬉しそうだった。

フォロワー以上限定無料

R18部分になります。次回以降は「支援プラン」以上での公開となります

無料

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

記事を検索