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リギングの記事 (26)

下着用リグ

下着用リグ

モデルの用途を考える

 今回の話は3Dキャラクターのモデルをゲームでリアルタイムに動かしたり、VRチャットなどでアバターとして利用する際にはあまり関係ない話です。今作っているモデルはプリレンダリングのアダルト動画のために使用するという明確な目的があるので、多少リグの構造が複雑になろうともエロ要素のために必要と思われるギミックは片っ端から盛り込んでいます。

下着を臀部の形にフィットさせ、かつアクティブに動かすためのリグ

 肌に密着した下着の変形は(こだわりはじめると)かなり難しくて、特に股関節と臀部の脂肪の変形を下着に適切に伝えるのは胴体側のボーンだけでは不可能に近いです。仮にシェイプキーを併用したとしても限界がありますし、シュリンクラップモディファイアもあくまで補助でしかありません。そこで下着には胴体とは別にアーマチュアを割り当てて、個別に動かせるようにしました。
(使用例)パンツの食い込みを直しているポーズ


ボーン構成

 パンツのボーンは操作ボーン、メカニカルヘルパー(MHボーン)、変形ボーン3本で1セットになっており、それぞれのセットが繋がる構造になっています。親子関係は操作ボーン>MHボーン>変形ボーンとなっており、操作ボーンを動かすと連動して変形ボーンまでが動くようになります。

操作ボーンとMHボーン

親子関係は操作ボーン(親)>MHボーン(子)。
MHボーンはコンストレイントなどを割り当てるボーンで普段は非表示にしておきます(ボーンレイヤーを分けておくと良い)。

MHボーンと変形ボーン

親子関係はMHボーン(親)>変形ボーン(子)。変形ボーンはMHボーンと大きさ向きを揃え、同じ位置に配置します。
変形のチェックをマークし、ウェイトペイント時以外は非表示にしておきます。

ボーンの配置

 3本1セットのボーンを複数セット用意しMHボーンのテールの位置に繋がるように配置します(ボーンの接続はオフのままで良い)。


ポーズモードでMHボーンに減衰トラックとストレッチのコンストレイントをつけます。

こうすることでMHボーンは両端の操作ボーンを動かして操作することができるようになります。

 このボーンセットを複数用意してぐるっと一周繋げたのがこちらのショーツのリグです。またこのボーン構造は瞼や唇などにも使用することができるので、リグの基本構造の一つとして覚えておいて損はないです。


レンダリング結果

パンツの足ぐり部分にぐるっとボーンを仕込んでおり、尻肉に合わせて微調整が可能ですので、パンツの食い込みの表現やクロッチ部分をずらすことなども可能です。


上図に対して左尻の足ぐりを食い込み気味に、右尻の足ぐりを引っ張り気味に微調整したもの

クロッチの幅を自由に変更


クロッチずらし

胴体貫通の対策 〜シュリンクラップモディファイアの補助的利用〜

 リグを入れたことでショーツのウェストと足ぐり部分の位置はボーンで調整可能になりましたがそれ以外にも面の部分がまだ残っています。面の部分の胴体貫通はウェイト塗りとボーンだけでは抑えきれません。またシェイプキーで対応しようにも限界がありますし、何よりもシェイプキーにはメッシュデータの運用が難しくなるという欠点があります。そこで胴体の貫通対策としてシュリンクラップモディファイアを使います。ゲームエンジンやMMDなどの外部利用はできなくなりますが、冒頭に書いた通りblender内での動画作成を目的としているので、便利なモディファイアはどんどん使っていきます。

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アナルビーズにもリグを入れてみた

アナルビーズのリグ

アナルビーズにボーンを入れて動かす


 アナルビーズのメッシュデータ自体はかなり前に作ってあったのですが、今回はそれを動かすために実験的にボーンを入れてみました。

 ちなみに今まではどのようにしてアナルビーズを動かしていたかというと、カーブモディファイアを使ってあらかじめ編集モードで形を作っておいたカーブデータに沿わせていました。ポーズや構図を変えるたびにカーブデータを編集モードで編集しなければならないため手間がかかり、またカーブデータを直接編集するが故に手戻りが発生したときの再現性に難がありました。しかしその一方で思った形に変形させやすいという大きなメリットもありました。

テストショット

 ボーン入りアナルビーズを使って何枚かレンダリングしてみました。










ボーンを入れてみた感想

 ボーンを入れるだけではなく実際にそれを動かすとなると、どのようなリグを組むかが重要になります。より簡単な方法で自由度の高い変形をさせられるようなリグを組まなければなりません。ポーズ付にしろモーション付にしろ流石にアナルビーズの節の数だけ存在するボーンを一本一本FKで動かすのは手間なので、今回は一番末端のボーンにIKをつけて動かせるようにしています。しかし分かってはいたことですがこのような鞭のような構造のモデルを単純な一つのIKで動かすのは無理がありました。自由度の高い変形というには程遠く動画でのモーション付には使えなさそうってのが正直なところです。

 アナルビーズを動かす際は、片側がフリーの場合は物理演算、固定されている場合は今まで通りカーブモディファイアを使うのが正解かもしれません。

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上腕二頭筋を動かすリグ

上腕二頭筋を動かすリグ

YouTubeに動画を投稿しました。

解説:
 上腕二頭筋を前腕の動きと連動させる際によく使われるのが、トランスフォーム変換を使う方法です。具体的には上腕二頭筋のボーンにトランスフォーム変換をつけ前腕の角度変化を上腕二頭筋ボーンの位置情報へ変換する方法です。(ex. 前腕が90度動いたら上腕二頭筋をX軸方向に2cm、Y方向へ1cm動かす)

 しかし、この方法では身長の違うモデルにリグを移植する際に移動距離のパラメータも忘れずに変更する必要がでてきます。このように位置情報を直接使用する方法は(身長の違う)モデルに移植する際にパラメータ変更が必要となり、単純に移植性がよくありません(直し忘れるリスクもあります)。一つのリグを他のモデルでも使い回すことを考えると、できれば使用するパラメータは割合か角度情報のみに統一しておくのが好ましいです。

 そこで、今回とった方法では上腕二頭筋ボーンにはトランスフォーム変換ではなく影響度を落とした角度コピーをつけています。もちろんコピー元は前腕です。さらにそのままMHボーンにデフォームボーンを繋げるとデフォームボーンのテールの移動距離が長くなるのでさらに肘をトラックするボーンを一つ噛ませてから、その子としてデフォームボーンを繋げるという構造にしました。

 この方法では、上腕二頭筋の盛り上がり量は回転コピーの影響度のみで調整できます。またモデルに合わせてアーマチュア全体のスケールを変更しても上腕二頭筋が盛り上がる割合は変わりません。これならば他のモデルへ移植する際に個々のパラメータを変更し忘れるというリスクも回避できます。

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人体のリグ 〜肩・腕ボーン構成図〜(リンク用)

肩・腕のボーン構成図


肩と腕のボーンの親子関係は上図のようになっています。
(2021.3.19図を入れ替え)
系統図を書く良いツールがなかったので手書きです。

なお、
□で囲ったボーン名:操作ボーン
DFボーン名:デフォームボーン
黒字(英語表記):実際にblenderで使用するボーン名(※デフォームボーンは省略していますが、親のMHボーンのMHをDFに変えた名前が入ります)

(2021.3.19追記)
凡例
青色:操作ボーン
緑色:メカニカルヘルパー
赤色:デフォームボーン

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リグのチュートリアル動画(4) 〜人体と同じ動きをする肩と腕のリグ〜

人体と同じ動きをする肩と腕のリグ

動画を公開しました。解説無しの撮って出し動画です。
【試作】人体と同じ動きをする肩・腕のリグ(4) 〜大胸筋との連動〜【テスト中】

動画の内容は肩と腕の新リグの試作版の紹介です。
上腕操作ボーンを動かすと、同時に肩甲骨、鎖骨、大胸筋(乳房)、三角筋が連動します。

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