母の浮気/76
母からしてみれば、がんばっている息子を微笑ましくて見ているのだろう。慈愛に満ちた目が、しかし、軽くだけとろんとしているのを見た良太は、次の瞬間、
ーーああっ、出るっ!
母のできるだけ奥まで、肉棒を挿入しきるようにして、きっかり5回のピストン運動で、射精を果たした。
「おおっ!」
つい声を上げてしまうような快感である。どぴゅどぴゅどぴゅっ、と欲望を吐き出した良太は、体中のエネルギーが抜き取られるような虚脱感を得て、そのまま、母の体へと、自らのそれを重ねた。
母が軽く抱くようにしてくれるのが分かる。母の胸に抱かれた少年は、いつまででもこうしていてもらいたい気持ちになった。ほとんど間を置かずに、二度射精をした良太は、体力を失ったけれど、少しすれば、まだまだできそうな気がした。
外からはひっきりなしに虫の鳴き声がして、秋の風情である。気温は涼しいくらいだけれど、動いたせいで、良太は汗を掻いていた。少しして、顔を上げると、やはり母の笑顔がある。
「まだ、できそう?」
母が誘うような声である。
良太は、うなずいた。最高で、5回連続でオナニーしたことがある。オナニーでさえそうなのであれば、セックスの場合は、もっとできなければウソだった。
「若いのね……ふふ」
母は嬉しそうに笑った。
今さらなことながら、母には息子とすることに対する罪悪感はまったく無いのだろうか。夫以外の男とすることに対して無いことは、十二分に分かっているが、相手は息子なのである。多少は、感情の揺れがあってもいいものだと思うけれど、そういうものは見えなかった。もちろん、その方がありがたいと言えばありがたい。嫌がる母を無理やりなんてことは、いくら何でも嫌である。
「でも、二回シて、ちょっと落ち着いた?」
「うん」
「よかった。随分、溜まってたの?」
母はストレートなことを言ってきた。つながったままでいると、正直な気持ちになった良太は、
「そんなに溜まってたわけじゃないよ」
と答えた。
「そうなんだ。じゃあ、溜まってたから、つい、お母さんにムラムラしてっていうわけじゃないのね?」
「違うよ」
「じゃあ……どうして?」
「母さんのことが好きだからだよ」
良太は、自分の口からするりと言葉が出てくるのを認めた。恥ずかしいことを簡単に言えたのは、つながっていることによって生まれた素直さゆえか、あるいは、同じことかもしれないが、すでにこの上なく恥ずかしいことをしているからだろうか。
「好きだから、母さんとシたいと思ったんだ」
「ああ、良太……」
母は感動したような吐息を漏らすと、息子の顔を抱き寄せて、キスをした。