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取材リポートの記事 (9)

whisp 2022/09/20 23:03

『北海道録音取材記 ~Day5 鳴かない羊を鳴かせるために。キーワードはベエベエベエベエ!』

【重要】

Lose解散に伴い、わたくし(進行豹)が扱う全年齢のコンテンツ
(「レイルロオドの短いお話』や『レイルロオド・マニアックス』等)は、

『レヱル・ロマネスクnote』
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へと全面移行いたします。

9月いっぱいを移行準備期間とし、上記の全年齢記事は、
ci-en/fantiaにも平行してアップしていく予定ですが、
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ので、そうした記事群をお読みくださる方におかれましてはぜひ、
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みなさんこんばんわ。レヱル・ロマネスクシリーズの原案、シリーズ構成を勤めます、進行豹です。

取材4日夕方までに重要録音のほぼすべてをクリアできたわたくしと町田さん。
https://note.com/railroma/n/n040164c52e17


しかし、最後に残されたひとつ。
「羊の鳴き声」ばかりは、どう工夫しても録音することが叶いません。

しかし、幸いにして今夜のお宿、ファームイントント様の
そしてその母体である松山農場様の
http://matsuyama-farm.com/
オーナーさんからは
「録音に関してできることがあれば協力します」
との旨のお言葉を、取材許可申請のときに頂戴しておりましたので――

空前絶後、非常に美味しい、今まで食べてきたジンギスカンの概念を変える、
まったく臭みなんてもののない羊肉――
『ホゲット肉』の、一人あたり300グラムもあるジンギスカン中心のお夕食をいただきながら、
わたくしたちは、オーナーさんに

「羊をなんとか鳴かせていただけないでしょうか?」

とお願いしました。

「生き物なので鳴くかどうかの保証はできませんが、やってみましょう」

との旨のお返事を頂戴し。安心して眠りに落ちて迎えた朝。
取材最終日=5日目の朝は、生まれてはじめて聞く呼びかけに、起こされる朝となりました。

「ベエベエベエベエ!」

(音源はnoteでご確認ください)

早く、低く、勢いのよいその呼びかけ――
かなり独特のその呼びかけは、『羊たちを呼びよせるためのもの』
らしいのです。

……羊といえば、めー、めー、と、むしろ甲高い声で鳴く印象がございます。

(なのにその呼び声?)

と、わたくしの脳裏に浮かんだクエスチョンマークはしかし、一瞬にしてエクスクラメーションマークへと変貌を遂げます。

実際に羊が集まっている! のです。

そして集まった羊たちを前に、オーナーさんが餌のバケツを掲げると――

「メーーーー」
「メエエエーーーーー」

と、羊たちが鳴き始めるではありませんか。

(音源はnoteでご確認ください)

――聞いた瞬間、ベエベエベエベエがベエベエベエベエである理由をわたくし、理解しました。

ここにいる羊たちの声は非常に野太い――中年男性そっくりのものであるのだ、と。

「中年男性声優さん30人を集めたら、羊の群れの鳴き声を完全再現できますね」

思わず浮かんだアホな空想を町田さんに伝えたところ、それきっかけでございましょうか?
特別に、羊小屋も見学させていただけることとなりました。

「めーー」
「めえーーーーー」
「めいっ」

(音源はnoteでご確認ください)

……にぎやかで、野太い。
なかなかレアな音環境にレコーダーをまわしっぱなしにしながら、羊の育成について、オーナーさんにお話をお伺いいたします。

・日本の羊の毛は、刈っても商売にならない。ニュージーランドウールとかが量・質・価格で圧倒している

・ので、うちで育てている羊は食肉用

・その辺の大きな羊が、もうすぐ食肉用として出荷されるこたち

――とのことです。

昨日の素晴らしく美味しいジンギスカンは、この子たちの一個前の先輩たちのお肉だったのだな、
と思うと、あらためて食への感謝が湧いてきます。

ちなみに、松山農場さんで食肉にされる羊の肉は「ホゲット肉」と呼ばれる、
生後12~24ヶ月のものだそうです。

12ヶ月未満がラム。
24ヶ月以上がマトン。

その中間となるホゲット肉は、ラムの柔らかさ、マトンの深みの両方の長所をバランスよく備えたお肉だそうです。

実際現地でいただいたホゲット肉は素晴らしく美味しかったので、もしもご興味ある方は、ぜひ!
松山農場さんのオンラインショップ
http://matsuyama-farm.com/?page_id=32

で、そのお味を確かめてみてください。


わたくしもつい先日オンラインショップがあることに気づき購入したので、
通販肉も実食したら、ツイッターかなにかで、リポートさせていただきます。


さてさて。

羊たちの鳴き声という、最終重要録音物の録音を終え。
たっぷりとお話をお伺いすると、帰りの飛行機までにはあまり時間が残されていません。

空港前の帰り道にあった、当麻鍾乳洞は残念ながら洞内放送が流れっぱなしで録音不適。
空港付近の公園も、航空機や自動車の音が入り込んでしまって録音不適で――。

最後のボーナストラックを録音することこそ残念でしたが、
同行くださった町田勇哉さん
https://twitter.com/machida0614
のおかげで、必要十分な録れ高を確保することもできる録音取材となったことは、本当に幸いだったと感じております。


町田さんが、そしてわたくしがどのような音を録ったものか。

その一番美味しいところは、
『蓄音レヱルシリーズ』
https://www.dlsite.com/home/fsr/=/keyword_work_name/"蓄音レヱル"

のような、バイノーラル/ASMRコンテンツとして、みなさまのお耳にお届けできるときがやってくることかと存じますので、
どうぞのんびりめにご期待、お待ちいただけますと幸いです。

と、いったところで、2022/09月に実施いたしました、北海道録音取材の取材リポートを終わります。

最後までお読みくださり、まことにありがとうございました!






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も行えるように整えられました。

ぜひご参加ご検討ください。


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『羊飼いすずしろ』


(あらすじ)
羊飼いの少女を演じることになったすずしろ。
純朴で穏やかなイメージに浸り、軽快な演技を重ねていたところ、
思わぬところで音響監督からのリテイクがかかるのでした。


(登場レイルロオド紹介)

「すずしろ」(万岡鉄道C12 67専用レイルロオド)


<出身> 旧帝鉄出身 製造は陽立製作所傘戸

<所属路線> 万岡鉄道 万岡線 (霜館駅~持木駅)

<能力・性格> ごくごく平凡なC12レイルロオドとして製造され、ごくごく平凡だが堅実な乗務を重ねていた。
九洲で4年ほど走った後、鎌石を経て蒼森に転属したが、ここで一大転機が訪れる。
THK(帝政放送協会)の朝の連続ドラマ小説の主役機に、すずしろのC12 67が抜擢され、
蒼森を北開道に見立てたドラマ、『すずしろ』の放送が開始されたのである。
主人公である機関士に忠実につかえる健気なレイルロオド『すずしろ』は当初、人間の女優が演じていたのだが、その女優の急病により、急遽本物のレイルロオド、すずしろ本人が代役を務めることになった。
女優の演技の鉄道監修を務めていたすずしろの様子をみていた監督が「演れる」と判断しての大抜擢に、すずしろの秘められていた才能が開花。見事に最終回までの代役を務めきる。
それにより、南のハチロク、東のラン、北のすずしろ――と評されるほどの大人気レイルロオドの座へとまつりあげられる。
本人はスター気質では全くないのだが、とにかく演技力が素晴らしいので、もとめられるまま、ドラマの中の『すずしろ』像をファンの前では演じつづけている。
本質的には水回りのお掃除が大好きなあまり、給水装置工事主任技術者ならびに下水道排水設備工事責任技術者を独学で取得してしまうような、ややマニアックを性格そしているのだが、同時に、見かけによらず恐ろしく肝が座っていて、逆境に強い。
ので、レイルロオドたちが集まるような場では(その人気もあいまって)リーダー役を期待されることも多く。そしてすずしろは、役ならばどんなものでも、見事に演じきってみせる。

【 シルバー会員 】プラン以上限定 支援額:500円

『羊飼いすずしろ』

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whisp 2022/09/20 00:44

『北海道録音取材記 ~Day4 トロッコ王国美深。松山湿原と十六滝とハイドロフォン~』

【重要】

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みなさんこんばんわ。レヱル・ロマネスクシリーズの原案、シリーズ構成を勤めます、進行豹です。

台風一過の取材三日目
https://note.com/railroma/n/n2dbc632e6941

は、晴天のもと、多くの録れ高を得ることが叶いました。

しかしながら、重要録音目標のひとつとしていた「天人峡 羽衣の滝」では、
その立地条件により、滝壺に水中マイク――ハイドロフォン――を沈めての録音を行うことができませんでした。

ので、本日の取材の大目的はふたつとなります。

1: 「トロッコ王国美深で、トロッコの音を録音する」

2: 「美深の十六滝のいずれか条件の良いところで、滝の音を録音する」

です。


この1、2とも『現場の耳に聞こえている音を、ヘッドホン/イヤホンからの再生時にできるだけ再現するため』に、
複数のマイクを併用しての録音を行うことがほぼほぼ必須となってきます。

なんとなれば。

「現場で耳で聞いている音」は、『視覚や嗅覚や触覚の影響を大きく受けて補強されている”音”だからなのです』


これを簡単な実験で実証してみようかと思います。

まず、この音をお聞きください。

(音源はnoteでご確認ください)


――何の音に聞こえますか?

いままでの話の流れから、「トロッコ関係の音」と思われた方も多いかもしれません。


では次に、この画像を見ながら、同じ音をもう一度聞いてみてください。


――今度は完全に、「コーヒーミルでコーヒー豆を挽く音」にしか聞こえなくなったのではないかと想像します。

まして、「現場」では、惹かれるごとに香り立つコーヒー豆の香りや、ミルで豆をつぶす感触が、
『コーヒーミルで豆を挽く音』を強調するのです。

このすべてを、音声コンテンツで――
目を閉じて、布団の中で、ヘッドホン/イヤホンだけの音をたよりに、同じように感じてもらうことは、
ほぼほぼ不可能となってきます。

ので、基本的には「セリフで音を補強」します。

ヒロイン 「お疲れだよね? 待ってて、いまとびっきりに美味しいコーヒー淹れたげるから」

……この台詞のあとに上記の音がきて「トロッコ関係の音?」と感じる人は、相当レアとなりましょう。

この「補強」の効果をさらに高め「ああ、コーヒーミルの音だ」ではなく「コーヒーミルの音、心地よいな」と感じていただくそのために、
複数マイクを使った多重録音と、編集してくださるエンジニアさんのミキシングとが、ものをいってくるわけです。


前置きが長くなってしまいましたが、トロッコ王国美深では、
「ステレオマイク」と「コンタクトマイク(接触マイク)」を併用し、トロッコの音を録音します。

コンタクトマイクについてはこちらの記事
https://note.com/railroma/n/n9bce721263a4

で踏み込んで説明しておりますので、もし未読の方はぜひご一読ください。


録音対象、トロッコ王国美深のトロッコは、このような感じのものです
(動画)

――片道5km。往復10kmにも及ぶ廃線跡を、エンジンつきの、
『自分で運転できる』トロッコで駆け抜けることができる。

鉄道マニアではなくてもテンションが跳ね上がること間違い無しの、
これはすばらしい体験です。

そうして全長10kmの長さというのは
『録音可能時間の長さ』を同時に担保してくれます。

わたくしが「いやっほう!」と運転に夢中になる最中、
町田さんがステレオマイクとコンタクトマイクとを併用し、
さまざまにセッティングを調整しながら、どのような音を録音くださったか。

それはおそらくいずれかのとき、
『レヱル・ロマネスク』関連の音声コンテンツ等にて
みなさまのお耳に届けることが叶うのではないかと想像いたしておりますので――
どうぞその日をのんびり目にご期待いただけますと幸いです。


トロッコ王国美深での録音を成功させ。
次に向かいました土地は、
「松山湿原」となります。
https://www.bifuka-kankou.com/attractions/matsuyamashitugen/

湿原の音。
それも標高797メートルに位置する、日本有数の高層湿原の音というのは、
いかなるものでございましょうか?

お宿の方から
「同じく北海道の高層湿原である浮島湿原では2年くらい前に女性単独ハイキング客が熊にやられている」
https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-nd783213b1b40

という情報をいただいていたので、
熊よけの大きな鐘を鳴り響かせた上、熊鈴ふりふり慎重に慎重に、片道30分の登山道を登り切り。

やがて訪れた湿原は――

無音。

旭岳につづいて二度目の「高地独特の無音環境」下にありました。

鳥は鳴かず、虫も鳴かず、さらにはガスの噴出音もありません。
湿原中にある池も、水の流れる音さえたてず――さすがにこれは、手も足もでません。

けれど松山湿原の近くには、仁宇布の冷水――そして十六滝たちが待っています。

気を取り直してまずは仁宇布の冷水のここちよいを録音し。

そして十六滝をいくつかめぐり、『新緑の滝』にて、滝壺の音をハイドロフォンで録音することに成功し。

そこまでで日も落ちかけたので、今夜のお宿、

『ファームイントント』
http://matsuyama-farm.com/?page_id=24

さんへと到着します。

ファームイントントさんでの録音目標は
『羊たちの鳴き声』

オーナーさんからも事前に、協力をいただけるとのお言葉をいただいております。

しかしわたくしと町田さんとでいくら待っても、マイクの方に追い込んだりの工夫をしてみても。
羊は全く鳴きません。


のでわれわれが反対に、夕食の席でオーナーさんに泣きついて。

結果、ファームイントントさんの素晴らしさを、骨の髄まで理解させていただけることとなるのです。


(続く)








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『れいなonトロッコ!』


(あらすじ)
自分で運転できる、エンジンつきトロッコへの乗車を体験させてもらえたれいな。
嬉しくて、楽しくて。トロッコに関する思い出が、次々飛び出してくるのです。


(登場レイルロオド紹介)


「れいな」(御一夜鉄道キハ07s専用レイルロオド)


<出身> 日ノ本(ひのもと) 河崎車輌製

<所属路線> 御一夜鉄道 湯医線(御一夜温泉駅~湯医駅)

<能力・性格>  硬上鉱山鉄道の自社発注機としてつくられた、旧帝鉄キハ07同型機の
第二号レイルロオド。 おっとりふんわり、全てを受容し、どんなことにでも楽しみやうれしさを見つけ出す、天使のような性格をしている。
足元が弱く、いねむり癖があるという致命的欠陥を抱えていたたが、右田双鉄との出会いによって解消された。
マスターである雛衣ポーレットのことが大好き。

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『れいなonトロッコ!』

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whisp 2022/09/18 23:46

『2022年09月北海道録音取材記 ~Day3 旭岳。熊よけ鈴と噴気孔~』

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台風接近による風雨に、終始苦しめられ続けた取材二日目。
https://note.com/railroma/n/n9bce721263a4

疲労困憊の一夜が開けた頭上に広がるのは、北海道に来てはじめての青空――
台風一過の晴天でした。

わたくしと録音技術者の町田さんとが、どれほど安堵したことか――
とても言葉では言い表せません。

なんとなれば、三日目以降の取材目標スポットには、
悪天候ではアタックし難い数多くの山野――
文字通りのフィールドが含まれているからです。

昨日までの録れ高不足を補うためにも、我々は早朝からの行動を開始いたしました。

昨夜の泊地は占冠。
メインとなる取材地は、天人峡と、大雪山系 旭岳。
行き道にはちょうど有名な観光地である「青い池」があるとのことで、立ち寄ってみることにします。

青い池はなるほど、大変に美しく。
けれど有名観光地だけあり、人が多く、録音に適している感じではありません。

それでも池周辺を丹念にあるいたところ、美瑛川と合流している地点を発見しましたので、その流れ込みの音が周辺環境音とまじるようにと、録音します。

録音しつつ検索すると、青い池の「青」は、アルミニウムを含んだ地下水が混ざることで、太陽に光を散乱させることにより、短い波長=青となり、我々の目に届いて表出するもの――なのだそうです。

そのアルミニウムの発生源は、「白ひげの滝」というスポットらしく、これも近所にございますので、訪れ、録音いたします。

と、なりますと。白ひげの滝と青い池との間を流れる美瑛川の中にも、「青い川」とでも言うべき箇所があるかもしれません。

グーグルマップをにらみつつ、目星をつけた橋のたもとから川面におりてみますと――

ビンゴです。
見事な青に流れる水。

これもきっちり録音し、青い池、白ひげの滝、ブルーリバーと――
揃えて『青の交響曲』とでも呼びたくなるような、同じ水でありながら、それぞれ魅力のポイントが異なる音源を取り揃えることができました。

大変に幸先のよいスタートとを切ることができましたので、
その勢いで天人峡、羽衣の滝へと目指します。

ここは「寂れた観光地」そのもので、
駐車場など完備されているものの、周辺のホテルは廃業しているものがほとんどとなっているようです。

しかし、滝までのアクセスルートはきっちりと維持整備されており、
駐車場からのほんの数分を歩くだけで、滝見台へとた取り付くことができました。

のですが!
アクセスよく整備されている分、滝壺付近への接近がとても困難、というシチュエーションでもありました。

それはつまりは、写真撮影には好適。録音難易度は高い、と言い換えても差し支えないでしょう。

幸いにして人通りも車通りもほとんどないため、離れたところからの滝音の録音はできたのですが――
離れたところから録る滝音は、
「落水が滝壺の水面に当たる音」でしかありません。

それはほとんど、ホワイトノイズのように聞こえてしまうのです。

そうなることを防ぐため、
『滝音を立体的に録音するためのマイク』――
すなわち水中マイク・ハイドロフォンも我々は用意してきたのですが、
本日この場所、羽衣の滝で使用するのは厳しそうです。

ので、それは後日に、別の滝にて仕切り直すことと決定し、
羽衣の滝を離れます。

羽衣の滝から少しもどってべつのルートで山の方に向かっていくと、
そこにはすぐに、旭岳ロープウェイが待っています。

ロープウェイの駐車場は有料。
少し離れた公共施設、旭岳ビジターセンターの駐車場は無料とのことで、
旭岳ビジターセンターに駐車し、関連の情報を探します。

https://www.asahidake-vc-2291.jp/【ヒグマ関連情報】/

ヒグマ関連情報を確認するに、結構ちょいちょい、ヒグマそのものや糞が目撃されているようです。


人にとってもクマにとっても不幸な事故を防止するため、
ロープウェイの売店で、熊避けの鈴を購入します。

アクセサリーでもお土産でもなく、実用品。
ここから先に踏み入るためには、ほとんど必須の装備品なのです。

何故かといえば、基本的にクマは、人間との遭遇を避けようとしてくれるそうだから。
人とクマとの遭遇事故は、双方が気づかずばったり、という出会い頭が多いため、
それを防止するために「熊鈴で現在地を知らせる」ことは、大変に有効だというお話です。

しかし、例外があります。
餌付けやゴミの不法投棄で「人間は美味しい餌をもっている」と――
あるいは最悪「人間は美味しい餌だ」と学習してしまっているクマがいる場合、
現在地を知らせることは、大変危険な行為になりかねません。

ので、北海道の山野に踏み入る前には必ず、
『ビジターセンターや地元の自治体、その関連のホームページ、あるいは地元に精通したガイドさん等に、
ヒグマの出没情報を確認しておく』ことが極めて重要な行為になります。

幸いにして旭岳では、熊よけ鈴が逆効果となったような事例は近年確認されていないようです。


ので大安心して熊よけの鈴をカロカロ鳴らしつつロープウェイに乗り。
降り立ったそこはもう国立公園――大雪山系、旭岳の中腹です。

旭岳の山の生き物たちの声は、環境庁が選んだ「音100選」のひとつにあげられているのですけれど――
驚くほどの無音です。

鳥も、獣も、虫の声さえ聞こえません。

跳ね返ってくる山もまわりに存在しないためでしょうか?
手を叩いても反響さえも返ってきません。

「静寂を録音してきました」

――非常に詩的なフレーズですが、実際的にそこにあるのは、無音のみです。

これはまずいと散策路を歩きはじめても、聞こえてくるのは他の観光客たちの足音と、そして熊鈴の音だけです。

しかし

「進行さん、なにか聞こえてきませんか?」

と、不意に町田さんが足を止めます。

耳をすませばシューシューと、なにかが確かに聞こえてきます。

「あれですかね?」

指差す先には噴煙です。
噴煙の音――その上、周囲はほとんど無音。

当初のお目当てとは全く違ってきましたけれど、録らないわけには参りません。
噴気孔からの火山ガス――

(音源はnoteでご確認ください)

――まるでジェットエンジンの音のようです。

大自然の驚異におののき、感謝して。
粛々と山を下りれば、日暮れまでにはもう少し時間がありそうな気配です。

初日二日目の録れ高不足を補うべく、
癒やしそのもの、『旭岳水源地』の湧水の音を録音し。
返す刀で『東川町親水公園の水車の音』を録音し。

かくてとっぷり日が暮れたので、開いてる唯一の飲食店、焼肉屋さんで夕食を終え、
宿にもどって明日の取材準備をします。

今回の取材の大目標のひとつである
「滝の音の立体的な録音」

それを可能にする条件は、ハイドロフォン――水中マイクを有効活用できる滝壺を持つ滝をみつけること。
取材4日めに向かう美深には、『十六滝』と呼ばれる滝があるそうですので――
https://www.bifuka-kankou.com/attractions/niupu/

――そのいずれかできっと叶うと、そう信じつつ、やがて眠りに落ちるのです。

(つづく)




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『紅と熊鈴』


(あらすじ)
北開道のおみやげに、熊鈴をもらった紅。
りんりんりんと鳴らすうち、振り鐘への憧れがむくむくと湧いてくるのです。


(登場レイルロオド紹介)

「紅」(旧南颯鉄道キハ100形キハ101専用レイルロオド)


<出身>  日ノ本 河崎車両製 (キハ07準同型車)

<所属路線> 肥颯みかん鉄道(八ツ城駅→千内駅)

<能力・性格> もともと優れた気動車であるキハ07形唯一の弱点、足回りの弱さを改造した南颯鉄道キハ100形は実に優れた気動車であり、そのトップナンバーレイルロオドである紅も、車両性能にふさわしい優れた性能と、燃え盛る火のようなプライドと自信を持っている。紅から見れば旧時代の遺物である蒸気機関車や蒸気動車、架線等の大型設備が必要な電車などは全て気動車より劣ったものと心底から思い込んでおり、『気動車こそが鉄路の女王』と心底から信じ込んでいる。そのため、極めつけの負けず嫌いで努力家。
愛社精神も極めて強く、自分の恥はみかん鉄道の恥だと考えている。
足回り補強の代償としてわずかに失われてしまった加速性能、最高速度をコンプレックスとしており、スピード勝負は徹底的に回避して、勝てる勝負だけを挑み続ける慎重さあわせもっている
口調、行動ともにボーイッシュ。というかやや乱暴。
そこが風貌とマッチして、地元の乗客からは大変な人気を博している。
ハチロクやランや汽子のような全国区の人気を誇るレイルロオドとなり、みかん鉄道の定期外旅客収入の増加につなげたいと熱心に望み、改善努力を頑張ってもいる。

【 シルバー会員 】プラン以上限定 支援額:500円

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whisp 2022/09/17 23:24

『2022年09月北海道録音取材記 ~Day2 接触マイクと転車台。クマ牧場のヒトのオリ~』

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【重要】

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せっかくの北海道取材にもかかわらず、台風の影響で刻一刻と強まっていく雨と風。
https://editor.note.com/notes/n7fa1226b032f/edit/


そんなさなか、わたくしと録音技術者の町田さんとは、ニセコ駅前鉄道遺産群
https://www.town.niseko.lg.jp/arishima_museum/niseko_cultural_heritage/

にお伺いいたしました。


なんとなれば、2019年に開催されたクラウドファンディングで
https://readyfor.jp/projects/nisekoexpress

わたくし、
『【転車台の手回し体験付き】有島記念館学芸員による鉄道遺産案内』
がリターンとなる支援を行っていたからです。

とはいえプロジェクト終了から3年も経ってしまっております。
コロナうんぬんがあったとはいえ、権利が失効していたとしても文句はいえないところです。


「今からでも大丈夫ですか?」
「録音・撮影も可能でしょうか?」

――その問い合わせに快くOKをいただきまして赴きましたニセコ駅前では、
9600形蒸気機関車、9643が前照灯を輝かせ、有島記念館の学芸員さんとともに我々を迎えてくれました。

ご挨拶をして、早速、録音・撮影のセッティングです。
どんどん強まる風の中、町田さんはコンタクトマイクの取付箇所を丹念にテストしています。


コンタクトマイク――
それは文字通り、録音対象物へとコンタクト=接触させて録音をするマイクです。

もっとも頻繁に使用されるのは「弦楽器の胴へと接触させる」という用法において。

弦楽器の胴=弦の響きを共鳴させ増幅しながら振動をする部分に貼り付け、その振動を拾うことにより、
不要な雑音を極力入れずに録音をする――そういうことが可能となってくる、マイクなのです。


転車台は、何十トンもある巨大な鉄の塊です。
風がどれほど強かろうと、風によって揺らされてしまうことはほぼほぼ想定できません。

転車台が、まわり、動く、その響き=振動。
強風の中それを拾うためには、コンタクトマイクはおそらく最善の選択肢のひとつとなってくるわけです。


言葉で説明してもイマイチ伝わりづらいかとおもうので、よろしければコンタクトマイクの威力を、そのお耳で確かめてみてください。


音源は、「旭岳ロープウェイ」で録音したもの。


ステレオマイクでの録音音源

(音源はnoteでご確認ください)

では、車内放送などががっつり入ってしまっていますが、スピーカーがゴンドラそのものを揺らさない作りになっていたため、
コンタクトマイクを用いた録音音源

(音源はnoteでご確認ください)

では、純粋にロープウェイのゴンドラとロープとが立てる音だけを拾うことに成功しています。


しかし、コンタクトマイクは万能ではありません。


ヘッドホン/イヤホンでお聞きいただけばあるいはお伝えできるかもとも思いますが、左右どちらからも、完全に同じ音しかなっていません。

そう。
その特性上、コンタクトマイクは空気中の音の広がりを拾うことはできず。
つまり、モノラル録音しかできないのです。


ので、ステレオマイク、コンタクトマイクどちらの録音もそれぞれ変わらず重要であり。
ときにはそれらをいい感じにミキシングして「現場の耳で聞こえている音」をできうる限り再現しようとすることもあるそうです。

例えるのなら、コンタクトマイクの音をドラムス。
ステレオマイクの音は、ボーカルやギターといった感じでしょうか?

それぞれ別撮りして混ぜることで「ライブの臨場感」を伝えるのと同じことを、環境音でもまた試みるものだそうなのです。

わたくしはただ録るだけですが、環境音、実に奥が深い世界です。


というわけで。
コンタクトマイクのセッティングがいい感じになるのを待ちまして、いよいよ手回し転車体験、開始です。


この転車台は、1957年――昭和32年から新得機関区で使われてきたもの。
その名を「すてー20形転車台」というそうです。
本来であれば転車は電動――二輪式電動牽引機によって回転させられるものですが、今回はそのモーター軸にハンドルを取り付け、
そのハンドルをぐるぐる回転させることでの、手動転車を行わせていただきます。

ちなみに、このリターンの実施はなんとわたくしが最初の一人。
つまり、関係者以外では世界ではじめて、旧新得機関庫転車台を手動でまわした男がわたくしになるわけです。

かかる栄誉に打ち震えながらハンドルを回す手は、
ほどなくして、筋肉疲労に打ち震えるようになります。

とにもかくにも
単純! 
肉体!
労働!
なのです。

「ガレー船を漕がされる奴○の気持ちがわかります」

とのわたくしの率直極まる感想に、学芸員さんも

「はじめて回した時、私も全く同じことを考えました」

と笑ってくださいました。

ともかくは1周の転車を――と当初は考えていたのですが、それをすると何時間かかるものかもわからず。
15分ほど回して、15分ほど逆回転させ、最初の位置に戻してレールをロックして――

もって、わたくしの手回し転車台体験は完了いたしました。



大変に楽しく、大変にキツかった時間を終えると、風雨はどんどん強まっていきます。

室内体験などで音がでるものを予約できればよかったのですが、
台風接近&直近予約となってしまうこともあり、それは叶わず。

やむなく「屋根があって、その音をかき消せる程度に音源からの音が激しそうなもの」という候補地を探しに探して、
登別は地獄谷の間欠泉とその周辺を撮影取材いたしました。

そうする間にも雨はどんどん強くなり。
屋内設備があるという、「登別クマ牧場」に、我々は移動してみることにしました。


登別クマ牧場の屋内施設。
それは「ヒトのオリ」と呼ばれる、地下からクマの第一牧場を見学できる施設です。

ヒトのオリは周囲をぐるりクマたちに囲まれたガラス張りで、
そのあちこちに、鉄のパイプが通っています。

そして入り口には、コインロッカー。
100円を入れて鍵を回すと、とうもろこしやふすまなどをコロコロとしたボール形のクッキー状にまとめた、クマの餌を購入できます。

鉄のパイプはスライド/ピストン式。
注射器のような構造になっています。

パイプ内側のスライダーを引き出し、引き出してできた隙間にクマの餌をいれ、スライダーを押し込むことでクマの餌をパイプの向こうに移動させると!

スライダーの向こう側で口を開けてまっているクマが、餌をぺろりと食べてくれるというわけです。


クマは案外賢いらしく、それぞれ「ここに餌を入れろ!」とばかりにやれ爪でガラスを引っ掻いて、やれうおううおうと鳴き声をあげ、
それぞれのパイプに取り付いています。

パイプは伝声管の役割も果たし、クマの鳴き声をダイレクトにこちらに伝えてもくれますので――

録音を町田さんにおまかせし、わたくしはひたすら、クマへの餌やりを繰り返し続けました。

あちらのクマへ、こちらのクマへ――どれほど給餌を続けたでしょう?

いつのまにやってきていた係員さんが「そろそろ閉園の時間です」と我々につげ――

もって、Day2の録音取材はその幕を閉じました。

台風の影響での悪条件の中、できる限りは尽くした感もございますが、やはり録れ高は不安です。

「台風抜けたらがんばりましょう」と町田さんと近いあい、開いてるお店で夕食を食べ、お宿について――

疲労困憊のわたくしは、深い眠りに落ちるのでした。



(つづく)





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【メンバーシップ限定記事のご案内】

『レヱル・ロマネスクnote』メンバーシップ
『御一夜鉄道サポーターズクラブ』
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にご参加いただきますと、
今回の取材内容を下敷きにした、以下のあらすじのショートストーリーをお楽しみいただくことができます。

また、メンバーシップ限定の掲示板では、
『自己紹介』
をお楽しみいただけるようになりました!

ぜひご参加ご検討ください!


///


『ハチロクとクマと給炭と』


(あらすじ)
視察の合間、クマ牧場へと遊びに来たハチロク。
ヒト牧場なる地下施設で、クマへと餌を与え続けるマスターの勇姿に、
ふっとひとつの連想をしてしまうのです。


(登場レイルロオド紹介)

「ハチロク」(旧帝鉄8620形御一夜鉄道8620専用レイルロオド)

<出身> 日ノ本(ひのもと/日本)帝鉄レイルロオド工機部 旺宮工場

<所属路線> 御一夜鉄道 大畑線(御一夜温泉駅~早戸駅)

<能力・性格>  旧帝鉄初の国産大量生産蒸気機関車のトップナンバーレイルロオドとして製造された、気品、能力ともに卓越していたレイルロオド。
反面、他者を無意識に見下すような一面や、挫折・失敗に対する脆さもあわせもってしまっていたのだが、運命のマスター、 右田双鉄との出会いによって、いわゆる「人間的な丸み」を帯びるように成長した。
さまざまな苦難を越えたいまのハチロクは、全国的な(一般の人たちからの)人気においてはランに一歩を譲るものの、レイルロオドや鉄道関係者たちからは、『レイルロオドの鑑』として一目も二目も置かれる存在になっている。
かといって増長することもなく、他のレイルロオドたちの良さを引き出し、お互いに刺激しあい成長しあうことができれば――との思いで、今回のレイルロオドサミットに臨んでいる。
流石に製造100年に近づき、性能面では後継機たちに見劣りするようになってきたが、性格――というか人格面では、ほぼ円熟に近い状態を迎えている。
指導者・司会進行役としては、まさに理想的な存在だが、所用あってその役をすずしろに委任することとなる。

【 シルバー会員 】プラン以上限定 支援額:500円

「ハチロクとクマと給炭と」

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whisp 2022/09/15 22:37

『2022/09 北海道録音取材記 Day1 : 馬車鉄道と台風襲来』+「かにこの馬車鉄道」

///

【重要】

Lose解散に伴い、わたくし(進行豹)が扱う全年齢のコンテンツ
(「レイルロオドの短いお話』や『レイルロオド・マニアックス』等)は、

『レヱル・ロマネスクnote』
https://note.com/railroma

へと全面移行いたします。

9月いっぱいを移行準備期間とし、上記の全年齢記事は、
ci-en/fantiaにも平行してアップしていく予定ですが、
移行準備期間終了後はnoteのみでの掲載となっていきます。

ので、そうした記事群をお読みくださる方におかれましてはぜひ、
noteのメンバーシップ

『御一夜鉄道サポーターズクラブ』
https://note.com/railroma/membership/join

へのご参加をいただけますと幸いです。


///


(以下、noteからの転載)

////////////

こんばんわ。
レヱル・ロマネスクシリーズの原案、シリーズ構成を務めます、進行豹です。

先日は、『レヱル・ロマネスクnote』

レヱル・ロマネスクnote|note
鉄道が滅びかけている世界を舞台にした復興への物語『レヱル・ロマネスク』関連の情報や、制作や設定ににかかわるあれこれ、ショー
note.com
開設へのたくさんのリアクションをまことにありがとうございました。

また、まだ1記事もあがっていないのに、メンバーシップ
『御一夜鉄道サポーターズクラブ』へのご参加を多数いただけましたことにも、深く感謝いたしております。

御一夜鉄道サポーターズクラブ|レヱル・ロマネスクnote
レヱル・ロマネスクを使った活動に興味がある方、一緒に活動したい方、支援したい方向けのクラブです。
note.com
ご期待、ご応援にお応えできますよう、本日よりメンバーシップ限定記事もあげてまいりますので、どうぞお楽しみください。


さて。
本日からの数日間は、先日までわたくしが、
サウンドクリエイターの町田勇哉さん https://twitter.com/machida0614
にご同行いただき赴いておりました、北海道録音撮影取材の取材記を掲載してまいります。

録音取材の目的。
それは、『蓄音レヱル』シリーズのような


『現地収録の環境音と、バイノーラル録音で臨場感をもつ声優さんのボイスとで織りなされる、癒やしのASMR/バイノーラルボイスコンテンツ』で使用するための、高音質の環境音を収録することです。

その様子や、困難を感じた点、工夫した点などを取材記という形にまとめ。

そうして、取材記で触れた事柄をネタ元にした、『レイルロオドの短いお話』を、メンバーシップ限定記事として公開していきたいなぁ、と考えております。

それぞれの記事を独立でお楽しみいただけるものとすると同時に、両方をお読みいただくことにより「取材されたことは、こういうふうに物語化される」という点もお楽しみいただけるかもと感じています。その辺にご興味お有りの方には、ぜひチェックいただけますと幸いです。

それでは、まずは取材記から書き始めてまいりましょう。

わたくしは羽田、町田さんは関空から。



画像
ポケモンジェットにあたりました!


それぞれのフライトでたどり着いた『新千歳空港』が、今回の北海道取材のスタート地点となりました。



■ 2022/09/15 北海道取材記  Day1 新千歳→札幌→小樽→岩内 ■

空港で町田さんと合流するなり向かうはレンタカー屋さんです。
北海道で、公共交通機関だけで移動しようとすれば、膨大な乗り継ぎ待ち時間が発生してしまうため、複数箇所を回るのであれば、レンタカーが必須となるためです。

経費を少しでも削減するため、「おまかせプラン」的なものでのレンタルを申し込んでいたところ、
「トヨタ ヤリス」という車が配車されました。

多分、大当たりの類です。

気をよくした我々は、早速ハンドルを握って、第一目的地である札幌郊外――
『北海道開拓の村』 https://www.kaitaku.or.jp/
へと向かいます。

なんとなれば、開拓の村には馬車鉄道が走っているからです。

事前に取材許諾を申請しておりましたので、担当くださった方にご挨拶して、いざや入村。

歴史的建造物の数々を横目にしながら、馬車鉄道のダイヤを確認いたします。

すると、40分強の待ち時間が発生することとなったので、開拓の村の食道で、味噌ラーメンといももちとをいただき、早めの昼食といたしました。

画像
そして再び馬車鉄道駅へ向かいますと、馬と御者さんとが準備をしているではないですか!

画像
北海道開拓の村の馬
「この子は北海道和種ですか?」

わたくしが質問すると、御者さんが嬉しげに振り向いてくださいます。

「北海道和種とブルトンの混血さ」

――北海道和種とはいわゆる『どさんこ』。
かつて青森から海を渡って人間に連れてこられた在来種、「南部馬」が、北海道の気候に適応していったとされる馬たちです。
南部馬は残念ながら絶滅してしまいましたので、北海道和種がいまでは在来種として扱われるようになっています。

そして、ブルトンとは「重種」。ソリや荷車を引くために品種改良されていった、超大型馬の一種です。
北海道開拓のために輸入されてきたブルトン、ペルシュロン、ベルジャンなどの重種の馬たちが混血していってうまれたのが「ばん馬」となります。

開拓の役割を終えたばん場たちは、今ではばんえい競馬

【公式】ばんえい十勝/馬の一発逆転ライブショー
世界で唯一の競馬【ばんえい十勝】オフィシャルホームページ。馬券購入、ライブ映像、騎手情報、馬券購入方法、レース協賛等、ばん
banei-keiba.or.jp
に活躍の舞台をうつしています。

つまり、開拓の村の馬車鉄道を惹く馬さんは、どさんことばん馬、北海道を代表する2つの馬の特徴を兼ね備えているこであるともいえましょう。

これはテンションがあがります。

しかし、取材の主目的は録音――馬車鉄道にまつわるさまざまな音を収録することです。

荒くなりそうな息を抑えて、浮き立つかかとを床につけ、
いざ、レコーダーをまわします。

……往路は馬車内、復路は馬車外からの録音を完了し、
次なる取材目的地、『小樽 青の洞窟観光船』を
目指そうとした矢先、携帯の着信音が鳴り響きます。

「もしもし?」

――聞こえてきたのは残念な知らせでした。

取材初日、9/5の午後にはもう、北海道に台風が接近しており。
https://tenki.jp/forecaster/hmochida/2022/09/05/19324.html

その影響で、観光船の運休が決まってしまったのです。

――こういう場合は、観光船協会みたいなところが一斉運休を決めるパターンがほとんどなような気がします。
もしもそうなら、一箇所がダメなら全部ダメとなっている筈です。

筈なのですが、藁にもすがる思い出片っ端から観光船業者さんに電話をかけますと、なんと!

……どの業者さんでも運休、ということを確定させることがかなってしまいました。

となれば、青の洞窟観光船は諦めるしかありません。

ぽつぽつ雨もふりはじめ、風の勢いも強くなり、録音的には「最悪」としかいいようがない環境になってまいります。

なんとなれば。

雨がマイクにあたる「ぼっ、ぼっ」という音を編集で除去することは極めてむつかしいらしく。
風がマイクにあたってぼわぼわ音をたててしまえば、目標となる音はかき消されてしまうからです。

ので。

代替の録音取材をするならば、『屋内』の他にありません。

ググってググってそのあげく、小樽、天狗山ロープウェイに乗って録音し、小樽の夕景(雨)をおっさんふたりで眺めてまたロープウェイで下山して。

画像
「これはどうにもならん」

ということで、予定を早めて本日のお宿へと向かいます。

宿は岩内。
「いわない高原ホテル」

やすらぎと癒しの宿 いわない高原ホテル 【公式サイト】
いわない高原ホテルは、日本海と積丹半島を一望出来る北海道岩内町の高原にある、源泉かけ流しの温泉を満喫できるホテル。広大な2
www.iwanai-h.com

ここは写真撮影、SNS等での紹介大歓迎と館内に張り紙してあるお宿であり。
かつ、個室温泉露天風呂を貸し切りできるお宿でもあるのです!

画像
そこで早速貸切温泉を堪能し、いざや、夕食にでかけます。

しかし……
台風の影響か、単に終業が早いのか、開いているお店がほとんど見受けられません。
唯一見つかったのは、ラーメン屋さん。

かくてわたくしと町田さんは、

昼:味噌ラーメン 

画像


夜:味噌ラーメン

画像

と、北海道グルメを満喫しまくり! もって、取材初日を終えるのでした。



晴れてくれ。
そして風も止んでくれ。

そう祈りつつ、岩内の夜は更けていきます……

(続く)



【メンバーシップ限定記事のご案内】
『レヱル・ロマネスクnote』メンバーシップ
『御一夜鉄道サポーターズクラブ』

御一夜鉄道サポーターズクラブ|レヱル・ロマネスクnote
レヱル・ロマネスクを使った活動に興味がある方、一緒に活動したい方、支援したい方向けのクラブです。
note.com
にご参加いただきますと、
以下のあらすじのショートストーリーをお楽しみいただくことができます。

また、メンバーシップ限定の掲示板も本日より機能が開放され、
『こんなメンバーシップ特典がほしい!』
という投稿をお楽しみいただけるようになっております。

ぜひご参加ご検討ください!


///

『かにこと馬車鉄道』
https://note.com/railroma/n/nedb64705b639

(あらすじ)

馬車鉄道にはじめて乗車したかにこは、馬の賢さに感心します。
「レールを外れてもいけるのに、きっちりとレールの上を走ってる」
それを来たマスターは、「レイルロオドも同じでは?」と疑問を投げかけるのです。

(登場レイルロオド紹介)

「かにこ」(北開道鉄道C11形蒸気機関車C11 202専用レイルロオド)

画像
<出身> 陽立(ひたち)製作所 傘戸(かさど)

<所属路線> 北海道鉄道 箱館線 (札歩路駅~小樽駅間)

<能力・性格>
配備車両がカニ目(前照灯ふたつが並列に、カニの目のように配置されている)であったため、『かにこ』とつけたれた自分の名前が嫌いで嫌いでしかたなかった──それゆえの無口・無愛想が常態となってしまった不器用レイルロオド。
とはいえ職務面では極めて器用かつ勉強熱心で、整備・保線がどうしてもいきとどかず振動に苦しめられるのが常の北開道の客車たちを、非常に快適に・揺動少なく牽引しつづけ。
最終的には大廃線後、ズタボロになってしまった北開道の鉄路を支える唯一のドル箱観光路線、札歩路-小樽を結ぶSL観光列車『SLコロポックル号』の牽引機関車レイルロオドになった。
観光客からの人気も高いが、完全に身に染み付いた無口・無愛想が崩れることは、やはり殆ど無い。

【 シルバー会員 】プラン以上限定 支援額:500円

「かにこと馬車鉄道」

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