ORTF-3Dを安い値段でどうにかする。
そんなマイクアレイがある。
アイリスオーヤマのシーリングライトに似てますね1
いままでこういう空間の音、幅Xと距離Yと高さZの軸情報をもった、いわゆる音のRAW現像むけのフォーマットを収録するためのマイクとしてはAmbisonicsやらダブルMS+Zなどがあったが、こまったことにこっちのほうが再現性が良い。そんなフォーマット。
Ambisonicsマイクというものが未だに "品質は上がったとはいえ所詮" であるMEMSマイクに頼らざるを得ない発展途上というかで、あんまり鑑賞用といった感じの音ではない。うちのZylia先生も16chまで対応するにも関わらずマイク単品としてみればちょっと古いiPhoneの内蔵マイクみたいな音だ。
あと、普通に良い音のコンデンサマイクを使って収録する場合は面積の事情でせいぜい8chくらいまでで、16だとか25chだとかの膨大なチャンネルが必要になる高次アンビソニックスの場合は面積問題もそうだし、更に電源やi/oの問題もあったりで現実的ではない。
で、OTF3Dはちょうどそういう用途向けにより都合が良いというか、高次アンビソニックスまたはチャンネルベースサラウンドに都合よくコンバートできるわけで、7.1.2でもAuro3Dでもステレオでもバイノーラルでもたやすくアップダウンミックスがいけるのだが、一番の魅力は音質(すぐれた定位感)にある。
丁度いいサンプルがあったのでおいておく。
https://www.boomlibrary.com/blog/why-we-dont-use-ambisonic-microphones-even-for-vr/
うーん、聞く限りでは非常に定位がはっきりしておりまして、よろしいんじゃないですか?
このようにちょうど、バイノーラルマイクを立てたときみたいな再現性をもった音を収録することができる。そしてバイノーラルマイクを立てて収録したものではなし得ない操作ができる。 グリグリ回せる。
つまるところキャラが喋ってるのが右から聞こえるので、じゃあ波打ち際の音は左…の、そのちょっと下向きにしましょうかみたいなことが可能である。
メリットを箇条書きにすると
・回せる。素材として可塑性。
・チャンネルベースのわかりやすいフォーマットである
・バイノーラルデコード時の再現性が今の所ほかフォーマットよりも高い。
・次数の高いアンビソニックスに比べてファイルサイズが軽量である
・フィールドレコに適する比較的軽量かつコンパクトなリグ
・いかようにも使いまわし可能なリグ
・音質的に評価されているようなマイクが使用可能
デメリットとしては
・たけーんだよ!
・なんだかんだいって運用には変換を挟まねばいけないのでそれなりの知識がいる。
・ぶっちゃけバイノーラルマイクほか、ソレ用のマイク立てたほうがカロリー消費が低いケースがいっぱい想定される
・マイク故障リスクの上昇、かける8
・なんだかんだいって中央定位がイマイチ現象である中抜けはする
※たけーんだよ!
一本24万のマイクが8本に専用設計の繋げばすぐ使えるキットに風防や雨除けがついたものではあるので妥当ではあるけれど
しくみ
上下向きになった4つのORTFというか、左下・右下・左上・右上になった4つのXYというアレイ。なのでクアッドXYとかクアッドORTFとかそんな風にも呼べる。
これをこういう感じにバーチャルスピーカーを設置
またはこんなかんじ
正方形の部屋に自分が立っていて、4隅にスピーカーが設置されおり、その中をぐるぐる回るイメージでやればよい。
ステレオにしたい場合は単純に後ろ側2つと上向きのチャンネルを殺してLRにするかL+hL・R+hRにするとかそういうことをすればおおよそのケースで問題ないだろう。(XYっぽくダイヤフラム位置が重ねてあるならば)
たけーんだよ問題の解決
さて、品質の保証されたSchoepsは200万円以上するのでそうやすやすと買えたものではない…ゆえに自前でこのリグを用意しなくてはならないので色んなフォーラムや情報サイトをめぐる。
・スーパーカーディオイドペンシルマイク
思ったよりも銘柄がない。これってこんなに市場に欠乏してるものなんかい?みたいな感想。大体においてさらに狭角なハイパーカーディオイドのほうが需要があるらしく、どこを見てもハイパーだらけである。
が、Bayerdynamic MC950というマイクが実に適格っぽいのでこれにしようかと思う。
https://europe.beyerdynamic.com/mc-950.html
これをフィールドレコに使用している人がいるのかどうか調べたところ、ProToolsのコラムサイトでちゃんとクアッド実用されており、あろうことかいい音なのでこれにしよう。
https://www.pro-tools-expert.com/home-page/2016/5/28/sunday-sound-effects-round-up-undertone-soundbits
問題点があるならば結構消費電力があること。
一本あたま4.8mA
これが8本ともなるとけっこうバッテリを食う、つまり電池の入れ替えをせずにどれだけの時間録音できるかが短くなる。
まあでもEarthworksなんかに比べれば半分くらいなもんなのでそこまでヤバくもないかも。
※参考 いろんなマイクの消費電流。
https://www.sounddevices.com/phantom-powering-basics/
1本 5万円。8本で40万円。
・マイク固定具
マイクをブーム棒の先に固定して設置するためのもの。
ちょうどそんなふうな議題でやりとりされていたスレッドがあり、
https://gearspace.com/board/low-end-theory/1335637-3d-ortf-budget.html
https://gearspace.com/board/remote-possibilities-in-location-recording-amp-production/858062-double-ortf-quad-installation.html#post9291007
この赤いよだれボールのような物はなんだろうと思って調べてたら
Twitter教えてもらった。
https://www.manfrotto.com/jp-ja/dado-kit-6-rods-msy0580a/
1個にするか、2個にして2階建てよだれボールにするかはケースバイケースだろう
2つで1.72万円
・マイク固定具 for XY
さっき書いたとおりクアッドXYである。
90度をキープして固定できるホルダがあるかないか調べたらあった。
https://www.soundonsound.com/reviews/wilkinson-audio-mic-clips
ありがたいことに日本円対応。
https://wilkinsonaudio.com/collections/microphone-clips/products/xy-clip
4つで8800円
これがあれば2階建てよだれボールにする必要はないが、掲げて使うという取り回しのさいに2階建てとコイツとでどっちがより強度が高いかということが問題。
・マイク固定具 for ORTF
XYとしてセットしたマイクをこんどは上下向きにORTFにする
5年使っているがまだ大丈夫なRODEのマイクバー2個なんかでもよさそうだが、ホルダが掴む場所が上記のXYホルダを噛ませてしまった場合、余るのか問題がある。
これに関して言えばすでにうちに大量にあるためにいらんな。
まとめ
とりあえずこれをこさえたら青木ヶ原樹海を再訪しよーかなと思います。
◆4個のXYが上下向きみたいなセットアップ
◆40+1.72+0.88の42.6万円
200万円以上が1/5以下になったあたりはよいのだがやっぱりまだそうやすやすと買える値段ではない。
セットアップについてはウィルキンソンオーディオというやたらうまいジンジャーエールみたいな名前のメーカーのXYホルダを利用してよだれボール1個ですますか、よだれボール2個を連結して、それぞれウデを4本伸ばしてそこに1マイク用のホルダを装着して8本ウデのセットアップにするかについては悩み中。
どっちも似たような金がかかるし、さっきも書いたけどおそらくは自分でブームポールを掲げるか、スタンドで定点に固定するかでケースバイケースのように思う。
でまあ、流石に現時点では買わない。
クラファン?あいにく自分は人気を換金する生活を送ってこなかったゆえにあんまり希望はないし、出資者に何を渡せばいいのだろうみたいな考えもある。
ああ…こんなふうに欲しい物が出てくるならばもっとみんなに刺さるようなテーマで作品作りゃよかったな!
【オホ声】【KU100】とかつけて。
でももし、そういうことをやったところで今頃自分は 「200万かよーたけーよふざけんなよ(妥当だけどさあ)」 みたいに同じことを言ってると思うのでまあ、そこはひきこもごも。