遠蛮亭 2023/03/22 07:10

23-03-22.「くろてん」小説再掲1幕1章4話

おはようございます!

まずはアンケート結果。

フミハウ/1票/3%
ルーチェさん/3票/10%
ラケシス/4票/13%
初音/6票/20%
フィーリアママ/7票/23%
アーシェおかーさん/9票/30%

ということで、広輪さまに描いていただくのはアーシェおかーさんで決定、ということになりました。フィーリアママと競りましたが、やっぱりおっぱいの差、でしょうか。
他ヒロインもお願いしたいところではありますが、お金がありませんしそれに広輪さまの余力的にも88枚が限度です。メインヒロインのイベント減らすせば不可能ではありませんが、そうするとゲームを薄くしてしまうのでやっぱり無理、ということでやむなし。

アンケートご参加ありがとうございました! ということで続いてはくろてん再掲です。

黒き翼の大天使.1幕1章4話.手折られる花-下

神月五十六の、神楽坂相模に対する憧憬と憎悪、その思いは50年以上前、少年時代までさかのぼる。

五十六は玄道三宗家の末席、神月家の嫡子として生まれた。

『呪術の神月』の当主たるべく育てられた五十六には優れた才能があった。神官としての学識と霊力、そして呪具の扱いに関して、比類なかった。彼は自分を選ばれた天才であると任じ、優れた人間は劣った人間を支配し、導いてやるのだという思想に浸った。

それが瓦解したのは1761年、五十六14歳の時。五十六は神楽坂家の次期当主、神楽坂相模という『本物の天才』と出会う。当初五十六は相模に張り合おうとしたが、相模の才能はあまりにも隔絶していたため、すぐに競争を放棄した。五十六は相模の中に理想の指導者の姿を見て、彼を王としてその補弼の宰相となることを望んだが、五十六にとっての不幸は相模が自分の思想に共鳴しなかったことである。相模の考えは友愛と協調であり、他者を支配する選民思想とは全く、相容れなかった。ために両者は親友として交友を続けながら、相手を理解しえぬままに数十年を過ごす。

五十六は相模と神楽坂の血族を越えるべく、自分の血を濃くすることに邁進、三宗家の次席でありながら勢力的に落ち目となっていた神威(かむたけ)家の娘・皐月を妻に迎え、嫡男・戒理(かいり)、次子・伊緒(いお)をもうける。戒理は五十六を満足させるだけの才能を満たさなかったため愛情をそそがれることがなかったが、伊緒は才能優れ、五十六の期待を受けた。

改めて神威の養子に出された伊緒は、ちょうど『魔神戦役』のおり、細君との間に一子・那琴をもうける。この那琴が非常に優秀な素養……聖女の資質……をもっていたために五十六は狂喜乱舞した。相模には子がなかったために家を保つためには養子を迎えるほかなく、五十六は出来損ないの戒理の子を神楽坂に入れて三宗家と12神官家を支配する算段になっていたが那琴が6才のとき相模は貧民街区でスリをしていた一人の少女を『英気あり』と養子に迎えた。これが瑞穂である。

瑞穂はオドオドした少女だった。スリをして日々の糧を稼いでいたというからどれほどにふてぶてしい娘かと思えば、滑稽なほどに人の顔色をうががい、日々を怯えて過ごす子どもだった。

にもかかわらず。

五十六は初対面にして瑞穂に圧倒され、絶望的な敗北感にうちひしがれる。

それほどに瑞穂の神力の内在量……潜力は凄まじかった。顕力に関しては修行を積んでいないために顕在化した力のほうはまだ未開花だったが、開花したときどれほどのものになるのか想像もつかない。幼くしてすでに現人神といってしまっていいほどの、絶大すぎる力だった。

五十六はそれまでにまして那琴を厳しく鍛えた。那琴も瑞穂に負けまいと必死に応えたが、やはりあまりの才能の差は埋めることができなかった。日に日に、瑞穂と那琴の間の神力差は顕著なものとなっていった。そして1616年春1月、瑞穗はヒノミヤの神官・大神官による評議会においてほぼ満場一致、15歳にして齋姫に就任する。

もはや尋常の手段で瑞穂を押さえること……つまり相模を制すること……は不可能と知った五十六は、非常の手段に訴える。どんな手を使っても神楽坂を絶やせと磐座穣に命じ、命じられた穣は神楽坂家の使用人を買収して相模の食事に毒を混入させる。相模が死なず、昏睡したことに五十六は穣を叱責したが、穣にとってはそれすら想定内。相模だけでなく瑞穂もまとめて葬るためには、瑞穂にこちらをあえて嗅ぎ回らせる必要があった。

…………
そして穣の読み通りに。

瑞穂はこうして五十六の前に倒れ伏し、そして惨めに敗北宣言している。

「ふふ、かははははははっ! こんなに胸がすくことがあるとは思わなんだ! 惨めよなぁ、瑞穂! そら、もっと卑屈な命乞いを聞かせてみよ! ワシを満足させてみよ、死にたくなければ斎姫の誇りも、矜恃も、人としての尊厳も、すべて捨て去れ! つまらんプライドにすがるようなら殺す!」
五十六は歓喜し、喜悦し、哄笑し、動けない瑞穂に近づくと脚底を頭に、背中に打ち下ろした。69歳の老人とはいえただの老人の踏みつけではない。日々鍛錬を欠かさない、武道練達の69歳である。その足刀は本気ならば氷柱を断ち割れるほどのものであり、それがわかるだけに瑞穂の恐怖のほどは凄まじい。瑞穂の意志は早々にヘシ折れ、およそ人としての誇りがかけらでも残っていれば口にするのをはばかられるような、惨めきわまりない媚び諂(へつら)いの言葉を、瑞穂は息の続く限り並べ立てた。

それからの時間は瑞穂にとって悪夢そのものだった。命と誇りを天秤にかけた結果、命を選んだ……もし相模の命という人質がなければすこしは気概を見せたかも知れないが、反抗すれば相模を殺されるかもという恐れは瑞穗の心から一切の抵抗力を奪った……。瑞穂は、五十六に命ぜられるまま自ら裸踊りを披露させられ、五十六たちにじっくり、たっぷりと嬲られた上、69歳の老人の肉竿で貫かれ、15年守ってきた処女を無惨に奪われた。泣くことすら許されず、笑え、と命ぜられて激痛の中で笑顔を作らせられ、そして膣内に出してくださいと懇願すらさせられて無責任な射精を何度も何度も受けた。

五十六は自分が終わると先手集の連中に瑞穂を犯させた。長船が、兼定が、長谷部が、一度に瑞穂を陵虐した。一番瑞穗に執着したのは長船で、この男は何巡も何巡も、繰り返しやってきては瑞穗を犯した。穢れを知らなかった少女の身体はたちまちに汚辱にまみれ、秘豆と秘壺はたちまちすりきれて赤く腫れあがった。瑞穂は泣き狂い許しを請うたが、それは男たちの獣欲をあおるだけの効果しかなかった。

それから1週間にわたり、瑞穂は五十六とその配下の神官戦士数千人による陵○を受けた。その中には人間ですらない、五十六の式として使役される、醜悪な鬼の姿すらあった。

………………
16日。

「ぁ……う……くぁ……ぅ……」
すっかり憔悴した瑞穂は、男たちの飽くことない欲をひたすらにぶちまけられる道具としてのみ、生きることを許されていた。五十六にしてみれば約束は守った、ということだろう。命は助けてやったのだから、詭弁的だが約束は破っていない。

また新しい男がやってきて、瑞穂の中に無造作に肉竿を入れた。巨大な肉こぶに内側を刮がれるような激痛に瑞穂はたまらず甲高い喘ぎを上げるも、それは男を喜ばせることにしかなかず、男は大喜びで腰を打ち付けてくる。また穢される、数日にしてそのことに抵抗すら少なくなってしまった自分にどうしようもない嫌悪感を覚えるも、しかし死を選ぶことが出来るような狂性に身を任せることも出来ない。1時間ほどして、男が「うっ」とうめいて射精していく帰り際、こう言った。

「お前の親父、処刑されたぜぇ……生きたまま寸刻みだ。くく、かわいそうになぁ、大逆人の罪人娘は、哀れ贖罪(しょくざい)のために性処理便器に……ぅおぉぉ!?」
男の瞳が、恐怖に見開かれる。

上位存在と人間のつながりを阻害する、牢屋の封神の力場。これがある以上、瑞穂はただの惨めな小娘でしかないはずだった。

それが、今瑞穂が身のうちから放つ力は。

顕力、ではなかった。

自分の中にある潜力を直接、引き出して使っている。変換もしていないし、上位存在への「奉納」もしていない。

今の瑞穂は巫女ではなかった。

現人神。人でありながら、神であるもの。

瑞穗の本来持つ三つの力、一つは女神ホノアカに由来する、炎による破壊と再生の力。また一つはサトリ神に由来する、心を読む力。そしてもう一つ。それが今発現しつつあるもの。

トキジク。

それすなわち時間を操る力。瑞穗の無意識の意思が、この牢屋一帯の時間を瞬間にして数千年分、強○的に進ませる!

轟っ!!

光の暴嵐。瑞穗に突き入れた最後の男は、ひからびるどころか砂のような微細な粒子に溶けて消滅した。周囲一帯の空間も、それまでの重厚荘厳は霧散、廃墟の遺跡ででもあるように朽ち果てた。人も建物も、時間という圧倒的で人知の及ばぬ力の前に、おかまいなしで消し飛ばされた。かくて解き放たれた瑞穂は、うつろな瞳に涙を浮かべ、転移魔術を発現して虚空に消えた。

知らせを聞きつけ、遷を護衛に牢屋に駆けつけた五十六は現場の惨状に愕然とし、報復に震えた。甘かった。神楽坂家への溜飲を下げるためとはいえ、神楽坂瑞穗という娘は生かしておくべきではなかったと、後悔するも遅い。

「計画を速めるぞ。あの娘が戻ってくるより先に、この国を掌握する……瑞穂よ、お前の居場所はもはや、この国にはない……!」
遷と穣に命じて、ついで遠く彼方にいるであろう瑞穂に向け、呟く。この呟きに込められた宣言が、アカツキを震撼させることになる一大クーデター事件「ヒノミヤ事変」の始まりだった。

………………
気がつくと瑞穂は洞窟の中にいて、山賊にのし掛かられていた。先ほどまであった全能感は、今は消失している。やに下がった笑みを浮かべ巨大な乳房を揉み捏ねてくる山賊たちを見上げて、瑞穂は恐怖よりむしろうんざりしたものを感じた。

また、同じ目に……
 
もう絶望すら感じないほどに慣れてしまっている。どうとでもしてくださいと思った。望まぬ行為、だがもう嫌悪感すらわかない。瑞穂の心には世界への絶望と、五十六への濁った憎悪だけが残り、ほかはなにもなかった。

神月五十六……お義父さまの仇……。かならず、殺します、貴方だけは許さない……力が、要ります。あの男と、ヒノミヤを覆す力が……。

男の愛撫にまったく反応せず、思案している瑞穂。男はなんとか瑞穂に声を上げさせようとして、無駄な努力と悟ったのか諦めて挿入してくる。数日で1000人以上を受け入れ、なお処女と変わらぬ瑞穂の具合に、男は法悦にとろけた顔に成り、瑞穂を立たせて背を壁に押しつけると腰を使い始めた。

それと同時に。

「邪魔すんよー」
透明に澄んだ、中性的な、高いが甲高くはないハスキーボイスが、場に響いた。山窟の入り口に、四人ほどの人影があるのを、瑞穂は見た。

先頭に立つのは164,5センチ、銀髪緋眼の、おそらくは少年? だった。疑問符がつくのはあまりにもその容姿が美しいからだ。緑と茶色基調の法衣めいた学生服のような衣装を纏ったその少年は、髪型がショートで、目つきと顔立ちがやや精悍……というか勝ち気な感じであるために男だろう、と思ったものの、あの顔立ちだと女でも十分に通る。それも絶世の美女として。

赤い瞳は魔族の血を引く証明だが、どうにも怖くない。ぼんやり、ぽやーとした雰囲気があり、どうにも、山賊に挑もうというふうに見えない。

「な、んだぁお前らはあぁっ!?」
山賊の一人が、驚きと畏怖と陶酔が入り交じったような声を上げた。威嚇するように腕を振り上げ……その身体が、ぽーんと水平に吹っ飛んで岩壁にたたきつけられ、ごろんと頽《くずお》れる。

なんだ、どうしたと洞内のそこかしこから集まる山賊たち。その数100人近く。それに対する4人、絶体絶命のはずだが、誰一人として焦ったふうがない。

美貌の少年は「はぁーっ」とため息をつくと、まとめて五色の璞《たま》で束ねて横に垂らした髪の房をかるくいじりながら、口を開く。

「そーいうテンプレ通りのザコ台詞いらんから。ま、いーや。今月の食費のためにとりあえずやられろ。……んじゃー、行くぞ-、お前ら」
「応ッ! つーか辰馬サンが一番やる気なさそーなんすけど」
「まあ、新羅さんだからな……」
「いつものことでござるよ! 賊ども、とくと見よ我が忍法!」
「いやお前のって法術じゃん」
「違う! 忍術でゴザル!」
「それもどーでもいーわ。キビキビやれー、ちゃっちゃのぱっぱで終わらせるぞー」
脱線しかかる仲間たちを美少年が統率して、

そして

………………
100人の山賊は、4人の猛者によって、あっけなく壊滅した。

忍者と名乗る小太りメガネの少年は、仲間たちのいうとおり魔法使いだった。土の精霊と交感するらしく、泥で相手の足を絡め取ったり、口をふさいで窒息させるという戦い方を好んだ。接戦を挑むと肩に止まる小精霊がぽう、と飛んで、相手の目に魔術の砂礫をふりかける。これにひるんだ相手に、小デブメガネは容赦なく金的を喰らわした。

銀髪美少年を「辰馬サン」と喚んだ赤髪ロン毛、長身痩躯の少年は、おそらくシーフ。素早い動きで敵を幻惑し、巧みなヒット&アウェイを決める。素早く敵の背後に回って、影に潜んでからの一撃《バックスタブ》も得意技だった。

同じく「新羅さん」とよんだ短髪の少年、こちらは小柄だが、長身のロン毛より筋肉質で、逞しい。肩幅と胸板は3割増しといったところか。いかにも「武道家」の風情で、薄打の技に長けた。見た目からしてパワー型だが見た目以上にパワーはすさまじく、壁に当たった拳を痛めるどころか壁のほうをぶちこわしていく。

そして真打ち、銀髪の美少年は……彼に関して瑞穂はよくわからない。腰に二本の短刀を差してはいるがそれを抜かず、蹴足を主体とした体術……強烈な蹴りで敵の関節を一撃に外して制圧するというすさまじいもの……で戦い、なおかつ、瑞穂自身が身に秘めている上位古神に匹敵するか、それ以上の「なにか」を感じさせる。しかしながら一番不可解なのはその力の質が霊力とも神力とも、魔力ですらないことだ。あえて表現するなら極限まで高められた神力と魔力とを掛け合わせたような、次元の違う力。この力を要所でちょいちょいとふるうだけで、山賊たちは次から次にゴロッゴロと倒れていく。そして少年は潜力の内循環機構を完成させているようで、適宜力を使いながらまったく疲労の色も見えない。

戦い終わって。

「あー、こらひどいな……。だいじょーぶか、アンタ?」
美少年はそう言って、とりあえず、と瑞穂に自分の上着をかぶせる。

「え、なんで隠しちゃうんスか、辰馬サン?」
「いや、隠すだろ普通。お互い困るだろーが」
「いや、オレぁ全然困らんっつーか」
「ん。わかった、しばらく黙ってろな♪ 殺すぞ」
「……はい……」
「で、あんたは……? どこの、誰さん?」
「……わたしは、神楽坂瑞穗……ヒノミヤの神官長・神楽坂相模の娘です……」

これが。

新羅辰馬と神楽坂瑞穂。

のちの赤竜帝国皇帝と皇妃の、運命の出会いであった。

………………
以上でした、それでは!

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