遠蛮亭 2023/03/28 06:36

23-03-28.「くろてん」小説再掲1幕1章10話

おはようございます!

昨日は病院だったので疲れて帰ってきたのですが、そのまま倒れることもなく作業ができました! 3章通常ルートの続きをちょこっとですが。で、自分の描く牛頭天王がどうにもボスキャラっぽくない。なので描き直してみました。

上が古い方、下が新規に描いたものです。体躯が細マッチョすぎたのをだいぶ重厚にできたかと思います。あと瞳の中に黒目描いてたのをなくして、白目だけに。黒目があるとなんだかコミカルなイメージがでてしまうので。服装は花郎徒っぽくと思いましたけどもあんまりおしゃれでないのは画力の限界。あと権威の象徴的に太刀は持たせておきたかった、とそんなところです。あとは耳を髪の毛に見立てて邪馬台人っぽくとか。これでだいぶボスっぽい雰囲気にはなったんじゃないかなーと思いますが、もう一回ぐらい描き直すかもしれません。服が緑だと蒼月館学生服とかぶってしまうとかあるので、服の色だけでも変えた方が良いかも。

で、「日輪宮」のシナリオは順調に進んでいます。続いてまずは3章エロシーンですが、これは瑞穂さんの敗北、逃亡、引き分けで竿役を分岐させる予定。というかタクティカルコンバットは分岐のさせ方がこの3種と勝利の場合の4種類しかとれないのでした……。それが済んだら4章、一度は退けた長船の逆襲と、5章はヒノミヤ脱出です!

そしてここから「くろてん」の話ですが、非常に秀逸なアイディアを下さるフォロワー様がいらっしゃいまして。とくにエーリカ凌○ルートのイベントでシナリオを変更したくなったのですがそうするとイラストの発注も変更しなくては……となります。ここが悩みどころだったのですが、広輪さまにご相談したところ「立ち絵が完成するまでは変更大丈夫ですよー」ということでありがたい限り! 助かりました。なのでフォロワー様のシナリオアイディアを採用させていただきたく思います!

それでは本日もくろてん再掲、本日もよろしくお願いいたします!

黒き翼の大天使.1幕1章10話.予言

「辰馬サン、ケツ触らせて!」
「あ゛ァ!?」

シンタの第一声に、疲労困憊の辰馬は瞬時に元気を取り戻して顔面蹴りを繰り出す。

「げぶ!?」
「なに言ってんだお前は。殺すぞ」
「いや、だってデブオタが触りほーだいって……」
「申し訳ないでゴザル主様。まあ、このサルも少しは頑張ったんで、多少のご褒美があればと……」
「なんでおれがケツさわらせなきゃなんねーんだよ……。ケツ触りたけりゃ彼女でも作れお前。おれと違ってそこそこいい男なんだからなんとでもなるだろ?」
「ぁ゛あ゛!?」
「……なんだよ?」
「正気っスか辰馬サン!?『おれと違って』って、あんたほどいい男ほかにいないでしょーが!!」
「おれは女顔だからな-、男として見られん……お前みたいなアホにばっかもてるし……で、大輔はどーした?」
「あぁ、あれは裏切りモンです。ちくしょーが!」
「?」
「あのアホぁ早雪ちゃんと……、くああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!!」
「??」
「誰が裏切りモンだよ、バカ」
そう言いながら遅れてやってきた大輔には、少女が付き添っていた。長尾早雪。女神サティアより神使をその身に降ろされ、望まぬ暴虐をふるった少女。牢城雫に敗れたことで解放された彼女は、神使としての翼も神威も失い、本来の姿を取り戻している。派手さはないが素朴な美少女であり、大輔を見上げる視線には明確な好意が込められていた。

「みなさん、この度はご迷惑をおかけしました、村長の娘として、この通りお詫びいたします」
「頭さげることないですよ、長尾さん。新羅さんはそーいうの嫌いですし、それに貴方だって被害者でしょーが。今までずっと操られて、今だって体力的に無理してんじゃないですか?」
「そんなことは……、っ」
「ん、無理してるらしいな。大輔、休ましてやれ……とその前に、ちょっと耳」
「はい?」
辰馬は大輔をちょい、と呼んで、その耳に村長の死を告げる。宮代=御社から力を吸い上げるための触媒として、村長長尾氏は生かさず殺さずの状態で命だけ長らえされられていたが、辰馬が発見したときもうどうしようもなかった。宇佐見たちのケースは操られている間魂をサティアの傀儡である精霊のものに換えられていたために損耗が少なかったが、長尾村長の場合は完璧に手遅れだった。

「というわけで、あの娘に言うかどうかはおまえに任す」
「え、そーいうの俺、苦手ですよ?」
「お前が言わないでどーすんだよ、彼氏! いーから任すぞ」
「ふぁー、疲れた……。さっきの黒い光の柱、あれたぁくんだよね?」
やや遅れて、雫もやってくる。輪転聖王《ルドラ・チャクリン》の光を見たらしい。

「ああ、あれでおれもひとまず開眼ってとこかな。まあ、親父とかおばさんには、まだ勝てそうもないけど」
「やはは、謙虚なこというねー、たぁくんは。あれ見たら狼牙さんもルーチェおねーちゃんも驚くと思うよ?」
「ならいーが。さて……この村にギルドの支局はないらしーんだよな。この女神、太宰の蓮華洞まで連れてくか……」
「ちょっと待てい!」
「ん?」
異界化から解かれた長尾邸の周りには、村の衆、老若の男が集まっていた。

「その女にどんだけ俺たちが苦しめられたか、報復してやらねぇと気が済まねぇ!」
一人の男が言うと、ほかのみんなも「そうだ、そうだ」と唱和した。

「……報復ねぇ、具体的に、なにすんの?」
「復讐だ! 男衆全員で犯して、村門に磔にしてやる!」
「あ゛ぁ!?」
「なんだ、庇い立てする気か!この女を倒してくれたことには感謝するが、邪魔するならお前たちもただでは済まさんぞ!」
「ふざけんなよ、おれはそーいう、やられたらやりかえすとか大嫌いで……」
「たぁくん、まずいよ。殺すわけにいかないでしょ?」
雫が辰馬の袖をちょいちょいと引くも、辰馬はぼんやりした表情にサティアと戦っていたときより烈しい怒りを浮かべていた。この村人たちの他力本願と身勝手ぶりに、どうしようもなく怒りがこみ上げた。

「うるせー。なんなら一般人だろうと殺す。なんだ、報復だとか復讐だとか。理屈つけて女抱きたいだけだろーが。つまらんこといってんじゃねーぞ、ばかたれどもが!」
言って、ふんじばって放置していたサティアを抱き起こすと腰を引き寄せる。

「こいつはおれのもんにする!手ェ出すやつは殺す。度胸があるヤツはかかってこい、一瞬で塵にしてやる」
便宜的にそう言ったのだが、自分の腕の中でサティアが頬を赤らめ、胸板に顔を埋めたことに辰馬はまったく気づかない。さきほどの輪転聖王を見せつけられたからには、村人たちも辰馬に対して徹底的に高圧的には出られない。辰馬たちは感謝されるどころか恨みがましい目で睨まれながら、宮代を後にした。

………………
その後、太宰に帰る汽車の中。
「あー、くそが!なぁーにが報復だ、ばかたれ、ばかたれ、ばかちんが!」
「たぁくん、静かに。汽車の中だからね」
「だってなぁ……あんなこと言われると、自分がなんのために戦ったのかわからんくなる……ほんとに人間って守る価値あんのかな……」
「それはたぁくんが決めることだけど。まあ一面だけ見て決めてちゃ駄目じゃないかな」
「ん……まぁそーか……で、サティア? お前さっきからなんで黙ってんの?」
「はゃ!? は、はひ……あの……新羅……さん、いえ、さま?」
「? なんだよ?」
「わたしのことを『おれのもの』と……、あれは……」、
「あ……」
気づいた雫が、可愛い弟分を巡るライバル増加になんともいえない顔になる。

うっぎゃああぁー! もともとあたしとエーリカちゃんだけだったのに、ここ数日でみずほちゃんにこの娘までとか、どーすんのよ! ううー、でもたぁくんのやることに指図はしたくないし……。困ったなあ-……。

雫の懊悩(おうのう)はさておき。辰馬はサティアの言葉に特段の動揺を見せることもなく、平然と答えた。

「あぁ、あれはその場しのぎだ。別に拘束するつもりとかねーし。とりあえず罪を償ったらどこへ行くなり好きにすればいい。まあ、数年は牢屋暮らしになると思うけど、そこらへんは自業自得って事で」
「そ……そう、ですか……」
なんか残念そうに縮こまるサティアに怪訝な視線を向けるも、辰馬は消耗と汽車の揺れに眠気を誘われ、眠りに落ちた。

………………
密偵のメイド少女、晦日美咲《つごもり・みさき》は、京城柱天の宰相の執務室にいた。筆頭宰相本田馨綋《ほんだ・きよつな》は孫のような美咲に優しい目を向けるが、それはそれとして持ち上がった問題に眉根を険しくするという器用な表情を見せる。

「先ほど、宮代の方角で発した光の柱は?」
「確認しました。宮代で、魔王継嗣、新羅辰馬が覚醒したものとみられます」
宰相の問いに、やはりそうか、と思う。というより、あれだけ巨大な力を見せつけられて、宰相ともあろうものが手を打たないわけにはいかないだろう。

「魔王と聖女の子、か。蓮純の友人と言うことでこれまで放置してはいたが、あれほどの力を見せつけられてはほったらかしというわけにもいかん。猛獣には縄をかけておく必要があろう」
「それで、内偵を?」
「ひとまず、そういうことだ。幸い、お前とあれは同い年。おなじ学園に転入するとて、特に問題ない」

宰相はそう言うと、少女に数枚の書類を渡す。

表紙には【魔王継嗣(まおうけいし)・新羅辰馬】と記され、数十枚に及ぶプロフィールが記されていた。馨綋個人としての知り合い……馨綋の古い上官が辰馬の祖父・牛雄……でもあり、く、ところどころ宰相自らの手で注釈が入っていた。仕事が細かい。

「晦日美咲(つごもり・みさき)、ご下命確かに拝命いたしました。では」

美咲は書類を受け取り、軽く目を通すと、そう言って場を辞す。

宰相・本田馨綋は執務机に座り直すと、顳顬(こめかみ)を軽く解した。

「聖女アーシェ・ユスティニアの予言……あれが、辰馬が世界を壊すことがなければ、それが一番よいのだがな……」

………………

以上でした、それでは!

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