インディーゲーム制作サークルの「紡」です。
12月です。Amazonでセール中の「Echo Show 5」を買ってしまいました……。枕元に置いて寝ながら見るのにぴったりサイズですね。Prime Videoだけでなく、Huluも見れたら最強だった。アレクサ、Youtubeでさくらみこを検索して!
さて、今回は毛色を変え、現在制作中ゲームの世界観を知ってもらうためにも、ショートストーリーを掲載します。
ゲームはノベルではないので、シナリオ上 細かい文章は端折っています。ゲーム内では画面やイラスト、BGMなどである程度の補間ができますが、日々記事をご覧になってくださる皆さんに向け、イメージボードならぬイメージストーリーをお送りします。
※イラストは僕が描いたので下手ですがご了承ください。
※ゲームのイラストは僕じゃないので5億倍良くなります。
或る園芸部員の何でもない日
とある山中にある大きな湖の畔の町。その町の女の子が通う中学校が、伊仲乃女子学園中学校である。
昔はこの地方の豪族であったり、権力者の娘などが通う“お嬢様学校”の側面が強かったが、現在では大分薄れ……といっても、比較的裕福層ではあるものの、庶民の学生の方が多い。
とはいえ、今でも挨拶は「ごきげんよう」だったり、学校内外構わず男子禁制などの名残はあり、周辺の男子にとって高嶺の花なのは変わらずだ。
乙葉つむぎは、そんな女学園の一年生。ちょっとぼんやりしたところがあるが、優しく明るい気質で友達は多い。しかし、なにより自然が大好きで、この年になってもオシャレや町遊びに目覚めることもなく、草花を育てたり、散歩と称して山に入っては動植物や虫の観察を好むため、一人でいることの方が多いのを両親は少し心配している。
まぁ、人や動植物にも優しく、健やかに育っているのは幸いだろう。
そんなつむぎが所属している部活が園芸部。その名の通り、学校の敷地内でガーデニングや家庭菜園などが楽しめる! との触れ込みだが、実態は学校内の花壇を計画に沿って維持したり、教室に飾る花の補充であったりと、学校側の些事を頼まれることも多い。
園芸というものは趣味で手の回る範囲でやる分にはとても楽しいが、仕事にするとこれほど大変なものも無い。当初は十数人いた部員も、一人また一人と部活に顔を出さなくなり……今では実質つむぎのみが活動している。
周りから見ると『逃げ遅れて可哀そう』といった感じだが、当のつむぎは好き勝手に花壇を弄れるこの環境を結構 気に入っていた。
放課後になると、つむぎは友達と挨拶をそこそこに、校庭の花壇へ向かう。先日、植えたチューリップが、色とりどりの花をつけ始めたのだが、その中に少し元気が無い花があり、気になっていたのだ。
「……あの子、大丈夫かな。水が足らなかったのかも」
チューリップを見てみる。アブラムシ等の被害は無いようだ。花壇の土を触り湿り気を確認する。表面が少し乾いていた。「チューリップの生育期はたっぷりの水が必要」と図鑑に書いてあった。これでは足りてないのだろう。
つむぎは校舎裏にある物置に向かった。物置にはスコップやジョウロ、鍬、肥料など園芸部の備品がしまってある。部室は無いのだが、物置が部室替わりという感じだ。
鍵はつむぎが預かっている。ほぼ、つむぎしか使う人がいないので、先生が鍵を預けてくれた。それだけ信用があるということでもある。
つむぎは物置からジョウロとスコップを手に取り、わたわたと校庭の花壇へ舞い戻っていった。
たっぷりと水をやると、チューリップもどことなく嬉しそうに水を弾いていた。園芸はこういうのが難しい。何せ相手はモノを言ってくれないし、すぐに影響が出ることもない。影響が出たころにはもう手遅れ……なんてこともあり得る。しかし、手間をかけた分、答えてくれることもつむぎは知っている。現状、できることは多くないが、注意深く見守ろうと決めていた。
眉間にしわを寄せ、じーっと見ていると、ふと目の前を横切ってつむぎの手に天道虫が止まった。益虫である天道虫は幸運のシンボルでもある。つむぎは顔を和らげ、天道虫を花に戻してあげた。
「ごきげんよーう! つむぎちゃーん。一緒に帰ろー?」
遠くから友達がこちらに手を振り、つむぎを呼んだ。今日できることはそんなに無いだろう。つむぎも手を振り返しながら……
「道具しまってくるから、ちょっと待ってて~!」
そうして、また校舎裏の物置へわたわたと走っていったのだった。
いかがでしたか? 本当に何でもない日のストーリーですが、ちょっとでも世界観を感じていただけたら嬉しいです。
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