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つむぎ絵日記の記事 (2)

紡 -TUMUGI- 2021/12/06 18:15

乙葉家の朝

インディーゲーム制作サークルの「」です。
お蕎麦が好きです。味や風味も勿論好きですが、あの「蕎麦を手繰っている」という粋な感じも良いですね。日本酒と最後に蕎麦湯があるとなお良し。しかし、粋に囚われると寒い日でももり蕎麦で食べることに……いや、もり蕎麦が一番好きなんですけどね……。

さて、本日はショートストーリーをお届けします。つむぎちゃんの朝の風景を描いています。少しでも世界観を感じていただければ幸いです。
※今回はイラスト担当に挿絵を描いてもらったので可愛いつむぎちゃんです!

乙葉家の朝

つむぎ~

遠くから声が聞こえる。心地よい、ほっとする声。朝が来た。
レースのカーテンへ木洩れ日が差し、外では木々を揺らす風と小鳥のさえずりがシンフォニーを奏でる……なんて、とっても詩的ですてき。
温かな布団を頭まで被り、うつらうつらとするこの時間が私は好き。

つむぎ~起きないと~」「ワンワン!
「あ~、菊次郎さん~」「ワン!」
ぼふん! 「はぅ!」

布団のうえに毛玉が乗っかってきた。ポメラニアンの菊次郎さんだ。朝、私が起きないでいると、こうやって布団のうえにダイブしてくる。お利口さんな目覚まし兼家族。私は毎朝、この「ファーボール・ダイブ」により夢うつつの時間から引き戻される。

「おはよう~お寝坊さん。今日もお髪が跳ねまわってるわね」
「おはよぉ~おかあさん、菊次郎さん」

膝に乗ってる菊次郎さんを撫でながら、寝ぼけ眼でお母さんに挨拶をする。寝相は悪くないと思うのだけども、なぜか朝は必ず寝ぐせだらけ。そんな私の髪を、お母さんが優しく梳いてくれる。それが気持ち良くて、また眠りの淵でおっとっととバランスを取ってる私を、菊次郎さんのしっぽフリフリで応援してくれていた。ぺしぺし。

「はい、終わり~つむぎ、歯を磨いてらっしゃい」
「はぁ~い」

菊次郎さんを下に置いて、ふらふらとした足取りで洗面所へ向かう。菊次郎さんも小走りでついてきた。リビングでニュースを見ているお父さんに声をかける。

「おはよ~おとうさん」
「おはよう、つむぎ」


洗面所で私用の黄色の歯ブラシを取り、歯磨き粉をたっぷりつけてぐしぐしと歯を磨く。うがいをしたら顔を洗って、前髪で小さい三つ編みを作り、お花の髪留めでパチン。後ろ髪をサイドでまとめる。小学生の頃は髪をまとめて無かったが、友達のさよちゃんが「いつまでもそんなんじゃダメよ!」と、お花の髪留めをくれ、髪の編み方を教えてくれたので、毎日練習することにしてる。
お母さんが着替えの制服を持ってきてくれた。セーラー服に袖を通し、身支度完了。

さて、そろそろ菊次郎さんが待ち疲れている。お散歩に出かけよう。玄関でリードを取って、菊次郎さんの首輪に取り付けてると、ちぎれんばかりにしっぽをフリフリしていた。かわいい。でも、もうちょっとだけ待ってね。
玄関から出て、小さな庭に回り、育てているネモフィラとマリーゴールドの様子を見る。うん、元気に咲いてる。庭から窓越しにお母さんたちに声をかけ、菊次郎さん待望のお散歩へ出かけた。

朝の町はまだ人通りも少なく気持ち良い。私の住んでいるこの町は湖が近く、この時期はまだ風もちょっぴり冷たいけど、お散歩には丁度良い。
私と菊次郎さんは道端のお花や、葉っぱについてるイモ虫なんかを見つけては立ち止まり、観察しながらゆっくりお散歩をする。菊次郎さんにとっては自分の縄張りを荒らすモノがないか、威厳を持ってパトロールも兼ねている。今日も縄張りは平和だったようだ。近所を一時間ほど回ったら、朝のお散歩は終わり。

「ただいま~」
「おかえりなさい~今日のご飯は目玉焼きトーストよ~」

最高である。菊次郎さんの足を拭いて、手洗いうがいをして食卓に着く。ちょうど焼けた厚切りトーストと目玉焼き、トマトサラダ、牛乳が運ばれてくる。菊次郎さんにもご飯が運ばれてきて、一緒にいただきますをした。
ゴハンも好きだけどパンも好き。パリパリのトーストにたっぷりバター、目玉焼きは黄身だけを残して食べて、最後に黄身をひと飲みにするのが好き。ちょっぴりお行儀悪いかしら。

残さず食べてごちそうさま。お腹いっぱいだけどお皿を片して、そろそろ学校に行く時間。菊次郎さんを一撫でしたら自分の部屋に戻り、カバンを取って玄関へ。

(学校に行ったら花壇の様子を見ないとな~)
「いってきま~す」
「いってらっしゃい、気を付けてね~」
「ワンワン!」

今日もすてきな日になればいいな~。


乙葉家の家族構成は父母娘犬の3人と1匹、仲良し家族です。つむぎちゃんは比較的大人しくて、ぽやーっとしてますが、内心では色々と考えてますね。

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紡 -TUMUGI- 2021/12/01 18:15

或る園芸部員の何でもない日

インディーゲーム制作サークルの「」です。
12月です。Amazonでセール中の「Echo Show 5」を買ってしまいました……。枕元に置いて寝ながら見るのにぴったりサイズですね。Prime Videoだけでなく、Huluも見れたら最強だった。アレクサ、Youtubeでさくらみこを検索して!

さて、今回は毛色を変え、現在制作中ゲームの世界観を知ってもらうためにも、ショートストーリーを掲載します。
ゲームはノベルではないので、シナリオ上 細かい文章は端折っています。ゲーム内では画面やイラスト、BGMなどである程度の補間ができますが、日々記事をご覧になってくださる皆さんに向け、イメージボードならぬイメージストーリーをお送りします。

※イラストは僕が描いたので下手ですがご了承ください。
※ゲームのイラストは僕じゃないので5億倍良くなります。

或る園芸部員の何でもない日

とある山中にある大きな湖の畔の町。その町の女の子が通う中学校が、伊仲乃女子学園中学校である。
昔はこの地方の豪族であったり、権力者の娘などが通う“お嬢様学校”の側面が強かったが、現在では大分薄れ……といっても、比較的裕福層ではあるものの、庶民の学生の方が多い。
とはいえ、今でも挨拶は「ごきげんよう」だったり、学校内外構わず男子禁制などの名残はあり、周辺の男子にとって高嶺の花なのは変わらずだ。

乙葉つむぎは、そんな女学園の一年生。ちょっとぼんやりしたところがあるが、優しく明るい気質で友達は多い。しかし、なにより自然が大好きで、この年になってもオシャレや町遊びに目覚めることもなく、草花を育てたり、散歩と称して山に入っては動植物や虫の観察を好むため、一人でいることの方が多いのを両親は少し心配している。
まぁ、人や動植物にも優しく、健やかに育っているのは幸いだろう。

そんなつむぎが所属している部活が園芸部。その名の通り、学校の敷地内でガーデニングや家庭菜園などが楽しめる! との触れ込みだが、実態は学校内の花壇を計画に沿って維持したり、教室に飾る花の補充であったりと、学校側の些事を頼まれることも多い。
園芸というものは趣味で手の回る範囲でやる分にはとても楽しいが、仕事にするとこれほど大変なものも無い。当初は十数人いた部員も、一人また一人と部活に顔を出さなくなり……今では実質つむぎのみが活動している。
周りから見ると『逃げ遅れて可哀そう』といった感じだが、当のつむぎは好き勝手に花壇を弄れるこの環境を結構 気に入っていた。

放課後になると、つむぎは友達と挨拶をそこそこに、校庭の花壇へ向かう。先日、植えたチューリップが、色とりどりの花をつけ始めたのだが、その中に少し元気が無い花があり、気になっていたのだ。

「……あの子、大丈夫かな。水が足らなかったのかも」

チューリップを見てみる。アブラムシ等の被害は無いようだ。花壇の土を触り湿り気を確認する。表面が少し乾いていた。「チューリップの生育期はたっぷりの水が必要」と図鑑に書いてあった。これでは足りてないのだろう。
つむぎは校舎裏にある物置に向かった。物置にはスコップやジョウロ、鍬、肥料など園芸部の備品がしまってある。部室は無いのだが、物置が部室替わりという感じだ。
鍵はつむぎが預かっている。ほぼ、つむぎしか使う人がいないので、先生が鍵を預けてくれた。それだけ信用があるということでもある。

つむぎは物置からジョウロとスコップを手に取り、わたわたと校庭の花壇へ舞い戻っていった。
たっぷりと水をやると、チューリップもどことなく嬉しそうに水を弾いていた。園芸はこういうのが難しい。何せ相手はモノを言ってくれないし、すぐに影響が出ることもない。影響が出たころにはもう手遅れ……なんてこともあり得る。しかし、手間をかけた分、答えてくれることもつむぎは知っている。現状、できることは多くないが、注意深く見守ろうと決めていた。


眉間にしわを寄せ、じーっと見ていると、ふと目の前を横切ってつむぎの手に天道虫が止まった。益虫である天道虫は幸運のシンボルでもある。つむぎは顔を和らげ、天道虫を花に戻してあげた。

「ごきげんよーう! つむぎちゃーん。一緒に帰ろー?」

遠くから友達がこちらに手を振り、つむぎを呼んだ。今日できることはそんなに無いだろう。つむぎも手を振り返しながら……

「道具しまってくるから、ちょっと待ってて~!」

そうして、また校舎裏の物置へわたわたと走っていったのだった。


いかがでしたか? 本当に何でもない日のストーリーですが、ちょっとでも世界観を感じていただけたら嬉しいです。

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