ご主人様捨てないでください! サンプル
【屋敷のご主人様×淫魔】
暗い夜をしくしくと泣きながら、歩き回る者が一人いる。
ここは隣町へ続く街道沿いにある森の中だ。
艶やかでしっとりとした髪の毛に一切の乱れはない。しかしそれに反するように足元は傷だらけだ。それもそのはず、娘は素足で歩いているからだ。娘の名はフィーという。
もう長い時間歩き回っているせいかフィーの足は土で汚れ、細かい傷が付いている。
痛みを感じているはずなのに、娘はそれでも歩みを止めなかった。
「ご主人様ぁ……どこに行ったんですか」
聞く者が思わず同情してしまうような、か細く弱々しい声だった。
「こんなところから人の声がするぞ」
その時フィーの前方から男の声と共にカンテラの明りがちらちらと揺れた。
娘の沈んでいた顔がぱっと明るくなって、カンテラの明りへと視線を向ける。
「ご主人様⁉」
裸足であるにも関わらずパタパタと早足で駆け付けたフィーだったが、それが求めていた主人の顔ではないことが分かるとすぐにまた泣き出しそうな表情に戻ってしまった。
男は年の頃が三十代ほどの、街道を行く旅人だった。隣町へと向かう途中だ。
「あの……、フィーのご主人様を見ませんでしたか?」
フィーは知らない者に声を掛けるのが恐ろしくてたまらないといった様子だが、それよりも主人に会いたい一心で思い切って口を開いた。
「ご主人様を探しているのかい? 君は使用人なのかな?」
「そう…なのかな。よく分かりません。フィーはお手伝いしたいけど、いつも失敗ばかりしちゃうから。『鈍臭い』っていつもみんなに怒られちゃいます」
「ふうん、でもご主人様って呼んでるということは使用人なんだろう?」
「フィーの住んでいるお屋敷ではみんなご主人様のことを『ご主人様』って呼んでます。だからフィーもそう呼ぶようにしてます」
その言葉は要領を得ないものだったが、男は娘が使用人の類なのだろうと判断した。
「それで、そのご主人様が屋敷からいなくなってしまったのかい?」
「うん、そうです。昨日の夜も、その前の夜ももうずっとお屋敷に戻って来なくて……」
ぽろぽろとフィーの瞳から涙が零れ落ちた。その涙を見ていた男の喉が息を呑んで上下する。
「どこに行ったのか分からないの……。だから、ご主人様と初めて会った森に探しに来ました。ここでなら会えるかもしれないから」
暗闇の中に儚げでか細く佇む姿は男の庇護欲……いや、劣情を刺激した。
「君に告げずにどこかに行ってしまったとしたら、もう戻って来ない可能性もあるだろう。どうだ、俺と一緒に来るか?」
ぽろんと自然に口からその言葉が飛び出てしまい、男は驚く。しかしこの案は悪くないように思えた。
娘の主人が何日も屋敷に戻っていないというのなら、この娘を連れ去ったとしても追手はかからないのだろうと思ったのだ。それにこの娘はぼんやりとしているので、旅の足手まといになるようだったら適当にいい思いをした後で、どこかに置き去りにしたっていい。
しかし男の思いに反して娘は首を横に振った。
「フィーはご主人様と一緒にいたいです。もう少しここで探します」
考えるそぶりもなくあっさりと断られてしまったことで、男の心には執着心が芽生える。何としてでもこの娘を連れ去ってやろうと。
「そうは言っても、君は捨てられてしまったに違いないよ。ご主人様はもう戻って来ないだろうね」
「そんなぁ……」
意地悪く告げられた男の言葉をすっかりと信じ込んで、力なく地面へと座り込み、フィーは頭を項垂れさせた。
「可哀想に、足もこんなに傷だらけになって。見せてごらん?」
男の手が傷だらけになったフィーの素足に触れる。傷があるとはいえ元は白く滑らかだ。しっとりとした肌触りに指を滑らせて男は嘆息する。
見る者の目を惹きつける美しい顔といい、浮世離れした雰囲気といい、この娘は人間などではなく精霊の類なのではないかと思った。
もしかしたら屋敷の主人に飼われている愛玩ペットのようなもの。それなら娘が使用人かどうか分からないという言葉にも辻褄が合う。
もしも娘が精霊なのだとしたら、人間と体の造りがどう違うものなのだろう。男はそれが確かめたくて仕方なくなった。足の裏から足首にかけて手の平を滑らせていくと、娘の体がびくびくと震えた。
「あ……っ、何ですか……?」
驚いて足を引いて逃げ出そうとするので、男はしっかりと娘の足首を掴まえる。
「怪我をしていないか見るだけだよ。暗くて良く見えないから少し触らせてもらうよ。体の力を抜いて」
男の口調が穏やかだったせいか、娘の体から緊張が抜ける。
「ありがとう。親切なんですね」
ふわりとフィーが柔らかく笑う。もうすっかり警戒されていないことを知ると男の手の動きは大胆になる。
「足の裏はひどい怪我だ。念のため体の方も見せてもらうよ」
フィーの着ている白いローブの裾から男が手を入れて太腿を撫でさする。そこで男は驚いた。ゆったりとしたローブの下には下着の類が見当たらなかったからだ。
ローブの裾を捲り上げるとふっくらと膨らんだ胸、下半身の薄いピンク色の割れ目までもが顕わになる。
「そんなところまで怪我してません……」
フィーは恥ずかしそうに顔を俯かせるが、男は咎められなかったことをいいことに誘い込まれるように割れ目へと指を伸ばした。
「暗いから怪我をしていることに気付いてない可能性もある。痛かったら言うんだよ」
つぷ、と男の指が一本膣穴に沈み込む。ピク、と娘の体が震えるが痛みを訴えることは無い。
「これは痛くないかい?」
「痛くないです。でも……」
「でも?」
中はとても狭いが指を二本に増やしても恥ずかしそうにしているだけで顔が苦痛に歪むことがないので、生娘ではないと男は思った。増やした指で浅い部分を幾度か擦り上げると、ぬるぬると内部がぬかるんできた。
フィーの頬に赤みが差し、その手が男の服をぎゅっと掴む。
「気持ちいいのかい?」
「う…ん、その部分を擦られると気持ちが良くて……頭がふわふわします」
色事など何も知らないような清らかな雰囲気であるのに、思いの外経験を積んでいるようだ。
ご主人様とやらに体を開かれたのだろうか。下着を身に着けていなかったことといい、この体の反応といい、男の脳裏に好色な中年男の姿が浮かび上がった。フィーはその男にいいように扱われていたのかもしれない。
しかしその気持ちは分からなくもない。
自分とて先程出会ったばかりのフィーが手に入れたくてたまらなくなっている。誰が通りかかるかも分からない街道沿いの森の中で事に及ぼうとしているなんて、普段の自分ならば明らかにおかしいと思うはずなのに……。
毎日傍に居る彼女の主人が耐え切れず手を出してしまうのはある意味当然だ。
その時、フィーがまたぽろぽろと泣き出した。
「フィーはご主人様が大好きだけど、お屋敷の人は、フィーはご主人様にはふさわしくないって言ってました。だからきっと、ご主人様はいなくなってしまったんです。フィーはやっぱり捨てられたんですね……」
男は納得した。フィーは屋敷の主人の使用人兼愛人のような立場にいるのかもしれない。屋敷の者達の反対にあった主人はフィーを捨てて、ほとぼりが冷めるまでどこかへ去った、その線が濃厚になってきた。
「ああ、可哀想にフィー。俺ならお前を捨てることなどないのに。ご主人の代わりに俺が慰めてやろうな」
何だか放っておけないフィーの雰囲気がそうさせるのか、男の頭の中からは足手まといになるようなら置いて行けばいいという考えはすっかりと消え去って、何が何でも連れて行きたいという考えにとって代わっていた。
頭が少々鈍くても素直で愛嬌があって見目麗しい。それに何よりも吸い付いてくるような瑞々しい肌がいい。旅が楽しくなりそうだ。
男はフィーの体に覆いかぶさって地面へと押し倒す。娘の中に差し込んでいたままの指を浅く出し入れしてやる。それからもう片方の手で胸の膨らみを揉みしだく。
「ん、あ……っ♡」
快感を素直に拾い上げるらしいフィーはそれだけで体をくねらせる。
「ああ、いい反応だ。可愛いな、フィー。ほら、イキなさい」
「あっ♡ あっ♡♡!」
乳首を捏ねながら、指を蜜壺の奥へ押し込んでやるとフィーはゆるく達した。膣奥からとろとろと愛液が流れ出して、フィーの息は上がり、口から嬌声が零れ落ちた。
「あ…ご主人……様? 戻って来てくれたんですか?」
熱に浮かされたようにぼんやりするフィーは、男のことを主人だと思い込んでいるようだ。
ふわふわと幸せそうに笑う。
男にはそれが何だか面白くなくて「君のご主人様ではないよ」と意地悪く言い放つ。その瞬間、快楽でぼんやりしていたフィーは我に返って体を震わせた。
「あ、あ、いや……っ、ご主人様ぁ……っ」
足をバタバタ動かして逃げ出そうとする。しかし男が指を引き抜くと、赤く色づいた肉の穴が物欲しげにくぱくぱと収縮した。
「こんなに物欲しそうにして。今更駄目だなどと言わないでくれ! ご主人に捨てられた君を慰められるのは俺だけだ」
逃げ出そうとしたフィーの体を上から押さえつける。そしてズボンから取り出した陰茎をぐ、と膣口に押し当てた瞬間
「捨ててねえよ‼」
怒号がどこからか飛んできて、男の体は一瞬でフィーのもとから弾き飛ばされた。一体何が起きたのかと混乱する男の腹がさらに靴の踵で踏みつけられる。
旅人の男は顔を青ざめさせながら、腹を踏みつけたまま自分を見下ろしてくる男を見上げた。
「おい、その汚いもんさっさと仕舞いな。黒焦げにされたくなけりゃな」
若獅子を思わせるような精悍な顔立ちには堪え切れない怒りの感情が乗っている。
下手な行動を取れば殺される、そのことだけは分かった。
旅人の男は言われた通り慌ててズボンを引き上げた。
「あ、あんたは……?」
「オズウェル・バルドだ」
先程の言葉から察するに彼がフィーの主人なのだろう。フィーに下着を付けさせないという先入観からてっきり好色な中年男だと思っていたが、とんでもない勘違いだった。
旅人である自分ですら聞いたことがある。オズウェル・バルドといえば有名な宮廷魔道士だ。その上現在はバルド家の若き当主だという。
自分はとんでもない人物の愛人に手を出してしまったらしい。
→ご主人様お仕置きルートへ続く。
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