SugarSalt 2023/06/10 18:00

修学旅行で女子風呂覗きを密告したら、美少女3人と同じ部屋になった件

「なあ、女子たち、全クラス同時に入るらしいぞ」
「まじか、ってことは博士のプランが通れば……」
「ああ、全員の裸が拝めるってわけだ」
「うひょ~、そりゃあ楽しみだな」
「だな。うちの女子、人数は少ないけど、代わりにめちゃくちゃレベル高いからな」
「おい、こっちこい! こっからならバレずに覗けるぞ!」
「まじか! さすが博士だな!」
「おうよ! なんてったって先週、この旅館に事前調査に来たからな! 大浴場の構造はバッチリ把握済みだ! ここからなら絶対にバレることはない!」
「うおおおっ!!! さすが博士! エロにかける情熱がちげぇ!」
 
 修学旅行の夜、大浴場内ではそんな品のない会話が広げられていた。盛り上がっている方を向くと、そこには、「博士」と言われる男子の周りに集まり、女湯との柵の前にたむろするクラスメイト――というか僕以外全員いるのではないか――の姿があった。

 正直、ここまでは推測できた。うちの学校というか、このクラスだけかもしれないが、女子に関する想いを変な方向に拗らせた男子が多すぎる。もともと男子校だったのが、昨今の少子化の影響を受け、僕たちの学年から共学になったのだ。そのおかげで30人いるクラスのうち、女子はたったの3人だけ。学年全体を見ても20人ほどしか女子がおらず、そのことが彼らを拗らせた原因の一つだろう。

 そして、それに拍車をかけているのが博士の存在である。その口から繰り出される多彩な性知識と圧倒的なカリスマでオタクからヤンキーまで全ての男子から絶大な信頼を置かれている彼がいるのなら、クラスメイトが覗きを行うくらい容易に想像できる。なんてったって女子の盗撮が横行しているクラスなのだ、覗きの一つぐらいするだろう。
 
「しかし、せっかく安全に覗けるっていうのに、久遠はしないんだよな」
「ああ、あんな男の風上にもおけない奴のことは放っておけ。そんなことより、最終確認をするぞ」
「まっ、それはそうだな。博士が「お話」してくれたって言ってたし、問題はないか」
 
 と、一人で考え事をしていると、男子の一部が僕、久遠悠(くどうゆう)の方を向き、そんな勝手なことを言ってくる。全く、不能だの枯れてるだのよくも言ってくれたな。だって当然だろう。バレた時のことを考えると、とてもじゃないがやる気にはなれない。

 そりゃあ僕だって健全な高校男子だ。拝めるものならクラスメイトの女子の裸体を拝みたいさ。だが、もし覗きがバレたら、この修学旅行がおじゃんになるだけでなく、ただでさえ少ない女子から「あいつは覗きをした」というレッテルを貼られ、高校生の間ずっと女子から嫌悪の視線を向けられることになるだろう。そうしたら、もう学校生活は終わりだ。色あせた退屈な生活になってしまうのは確実だろう。こんな感じで、その場のノリと今後の高校生活を天秤にかけたら、取るのは当然後者の方だ。

 それに、これは個人的な問題だが、ズルして裸を拝もうという態度が気に食わない。女の裸を拝みたいなら、ヌードが掲載されている雑誌を買うなり、ネットで検索をかければすぐに見つかるだろう。あんな性欲で動いている猿みたいな奴らなら、そんなこと知らないはずがないだろうに。まあ、こんな考えをしているからクラスの男子とはソリが合わず、友達はクラスにあまり居ないのだが、まあそれは別の話だ。
 
「後は女子が来るのを待つだけだな……」
「女子が入ってくるのは俺たちが入った15分後だから……もう少しだな」
「よし、みんな! 女子の声がしたら黙るんだぞ!」
「おう!」
 
 直接反論する気になれず、頭の中で論理を組み立てていると、いつの間にか博士が旗頭となって、男子達が妙な結束力を見せ、女湯の覗きに対して全力になっていた。普段は互いに殴り合っているような連中なのに、どうしてこういう時だけ仲良しなのか。
 でも、実を言うと気持ちはわからないでもない。何せうちの学校にはリスクを犯してでも、その裸体を拝みたい女子が3人もいるのだから。
 
「でさ~、今日ね、アタシの目の前でね、いきなりズルってカトセンのカツラがすっ飛んでったの! もう見た瞬間笑っちゃって、カトセンにばれてその場ですっごい怒られちゃったわ~!」
「もう、それは有栖の自業自得でしょ」
「え~、そりゃないよはーちゃん。だってしょうがないじゃん~! いきなりずれたんだよ。一気にズルって! はーちゃんも見たら絶対笑っちゃうって」
「そういうことを気にしてる人もいるんだから、無闇に笑うものではないのよ」
「まあまあ、有栖ちゃんも遥ちゃんも落ち着いて。言い争いなんてしてないで、お風呂入ろう?」
「それもそうだね~。てかめっちゃ広いじゃん! アタシこんなでっかい風呂久しぶり~!」
「ちょっと有栖、走らないの!」
 
 
 と、壁の向こう側から楽しく世間話をする声が聞こえてきた。その瞬間、あれだけ騒がしかった男子たちが一斉に口を閉じ、柵に耳を近づけ、その声がする方へ全意識を集中させているようだった。あまりにも全員が同じ格好をしているものだから、おかしくて少し笑ってしまった。けれど、今女湯にいるのが我がクラスが誇る3人の美女なのだから、そうなるのも無理はない。

 まずは最初に教員のカツラが取れた話をしていたのが佐藤有栖(さとうありす)さん。肩まで伸ばした髪を金色にして、いつも生活指導の教員から怒られている、いわゆるギャルというやつだ。見た目も文句のつけようがないほど可愛いのだが、男子の人気を集めているのはやはりその距離感である。好奇心がとても高く、気になることはなんでもすぐに知りたい性格のようで、相手の事情お構いなしに質問を繰り出してくることがよくあるのだ。かくいう僕も、読んでいた本についての質問をいきなり食らったことがある。しかも、こちらが思春期の男子であることを知ってか知らずか、平気で身体を密着させてくるので、制服越しでもわかるその大きな胸が当たって、ドギマギした男子は少なくない。もちろん僕も経験済みだ。その日はその感触がずっと背中に残って、何も手がつかなくなるほどだった。

 次にその佐藤さんと話していたのが船堀遥(ふなぼりはるか)さん。長い黒髪とキリッとした目が印象的な子である。見た目に違わずとても真面目で、定期テストでは常に学年一位を取り続けている秀才である。実のところ、僕は船堀さんに好意を抱いでいる。その真面目さと、誰かに頼られたら丁寧に対応するその姿勢がとても尊敬できるし、時たま見せる優しい笑顔が普段の印象ととてもギャップがあって、気がついたら恋に落ちていた。だが、彼女には同じクラスに両片思いの状態にある別の男子がおり、彼女と恋人関係になるのは事実上不可能である。この事実を知った時は一晩中泣いた。

 そして最後に、その二人の仲裁に入っていたのが宮崎穂乃果(みやざきほのか)さん。短めで茶色がかった黒髪と、その身に纏うほんわかとした雰囲気が特徴的な子である。彼女を端的に表現するなら、男子が「あの子の可愛さを知っているのは僕だけなんだ」と感じるタイプである。誰にも壁を作らず、優しく接している様子は、多くの勘違い男子を生み出しているようだ。実際、うちのクラスの男子の半分くらいは彼女が一番好きだという。僕自身も、彼女と話す前に船堀さんに惚れていなかったらすぐに落ちていた自信がある。そういう点で、彼女はある意味魔性の女の子と言えるかもしれない。

 3人の声に続いて他の女子の声も聞こえてくる。やはり、男子のいう通り女子の入浴時間になったらしい。
 
「ふ~、極楽極楽~! 今日1日の疲れが取れてくよ~」
「ね~、バスも長かったし、結構身体凝っちゃったよね」
「だねぇ~、……で・も、ほのっちの身体が凝るのは、こっちにも原因があるでしょ~? そりゃっ! ……おおっ、これはすごい……!」
「っわっ。ちょっ、ちょっと有栖ちゃん。いきなり胸揉むのやめてよ~」
「穂乃果のいう通りです。有栖、いくら同性だからってそれはやりすぎです!」
「は~い。は~ちゃんがそこまでいうならやめま~す」
「全く、有栖はそういうとこが治ればもっと……」
「なので、次はは~ちゃんのお胸を揉んじゃいま~す!」
「ひゃぁっ、ちょっ、いきなり、な、なんてことするのよ!」
「は~ちゃんはもっと柔らかくなるべきだよ~。いつもぷんぷん怒ってないでさ、もっとフランクにいこ、フランクに、ねっ?」
「それとこれとは話が別……やぁっ!」
「おおっ……! これは……! ほのっちと負けず劣らずのおっぱいですな……!」
「ちょっ、ちょっと有栖、いい加減に……!」
「あっ、ちょっ、手を出すのは反則っ、いてっ、ごめんごめんってば!」
 
 
「……なあ、これ、やばいな」
「ああ、正直もう勃起が止まらん。えっちすぎる」
「諸君、まだ早いぞ。我々はこれからその女子の裸体を見るのだ。ここらで満足してたら先が持たんぞ……!」
「っとそうだった。わかったよ博士」
「それでいい。よし、それじゃあ作戦開始だ!」
 
 博士の合図とともに、一斉に男子が散らばって、大きな足場のようなものを組み始めた。どうやらそれに登って覗きをするようだ。あれだけ大がかりなものを作っているのに音が一切しないところに、ねじれた雄の性欲を感じてドン引きするとともに、若干の感心を抱いた。

 それよりも、先ほどの女子3人の会話。あれの破壊力が凄まじかった。悔しいが、先ほどの彼と同じように僕も勃起してしまった。これはしばらく治らないだろう。十分に温泉は堪能したし、バレないうちにそろそろ上がることにする。

 夢中に覗きの準備をする男子を横目に脱衣所に移動する。部外者の僕のことなど全く気にしてない様子だったので、正直助かった。浴衣に着替えながら、これからどうするかを思案する。素直に覗きのことを密告するのでも良いが、風呂に入る前、博士に『お前が覗きをしないのは勝手だ。しかし、お前も男であるならこのことを他言するなよ。したら、どうなるかわかってるよな』と半分脅しのようなことを言われたのだ。彼のカリスマがあれば、僕を秘密裏に暴行することやいじめにまで発展させるのは容易だろう。そのリスクを犯してまで密告するのは気が引ける。

 かといって、このまま彼女たちの裸体があの猿どもに晒されてしまうのはどこかおかしい気がする。うーむ、どうすれば……。
 
「おっ、風呂上がりか。どうだ、温泉は満喫できたか?」
「あっ、先生。こんばんは。はい、とても良かったですよ」
「そうか。それはよかった」
 
 着替え終わり、風呂から出たところでばったり担任の先生と遭遇した。今覗きのことを打ち明けてしまえば、この瞬間は楽になれる。けど、学校に戻ったら地獄が……
 
「どうした? せっかくの風呂上がりなのに、そんな思い詰めた顔して。何か悩み事なら話してみろ」
「あっ……その……」
「もしかして、風呂で何かあったのか?」
「えっ、いや、そういうわけじゃ……」
「そうか……わかった。なんかあったらちゃんと言うんだぞ」
 
 そう言って、立ち去ろうとする先生。ここで言わなかったら確実に言うタイミングがない。どうする、どうする……!
 
「あの、先生っ……!」
「ん? どうした?」
「実は……」
 
 
 ————
 
 
「ああああっ、やってしまった……!」
 先生に密告した後、部屋に帰った僕は、そこで一人頭を抱える。勢いで言ってしまったために、後悔の念が時間の経過とともにふつふつと湧き上がってくる。こんなことなら、あのまま言わなければよかった……

 結局あの後、風呂に突撃した先生によって、覗きをしていた連中はみな捕まった。幸い未遂だったらしいが、僕の目測通り、僕以外のクラスメイト全員が関与していたらしい。現在は全員ロビーで正座させられており、事の顛末を教えてくれた担任によると、事を重くみた教師陣の判断によって、明日の朝、全員強○送還されるとの事だ。

 それは置いといて、問題なのは今後の身の振り方だ。博士は比喩抜きで僕以外の男子全員から慕われている。なので、博士が捕まった直接の原因である僕は、そいつら全員から恨みを買うことになってしまった。実際、他クラスの面識が多少あったやつから「許さない」の一言がメッセージで送られてきた。
 これから本当にどうしようか……
 
(コンコンっ)
「久遠くん、いる?」
 
 突然の来客にドアを開けると、そこには風呂上がりで髪の濡れた宮崎さん、船堀さん、佐藤さんの3人が、何か言いたげな様子で立っていた。
 
「えっと……どうしたの?」
「助けてくれてありがとう!」
「先生から覗きを未然に防げたのは貴方のお陰と聞いたわ」
「いや~、覗かれてたら絶対トラウマものだからさ、本当によくやってくれたよ。ありがとねっ!」
 
 困惑している僕を見て、3人はそれぞれ感謝の言葉を伝える。
 
「いやまあ、僕としても気に食わなかったからさ。当然の事をしたまでだよ」
「それでもだよ! あのまま覗かれてたらどうなってたことか……」
「あんな奴らに肌を晒すなんて絶対にごめんだわ」
「まっ、そ~いうわけで、アタシたちは相当感謝してるわけよ。素直に受け取っときなっ!」
「あだっ!」
 
 照れ隠しでカッコつけてしまったが、向こうは覗かれなかったのが相当嬉しかったようだ。佐藤さんにも謙遜すんなと叩かれてしまった。彼女たちのためになったなら、今後の人間関係を全部犠牲にして、告発した甲斐があるというものだ。
 
「あ、そうだったわ。久遠君、先生が呼んでいたわ。夕食が終わったら私たち四人で201号室まで来て欲しいそうよ」
「ああ、わかった。ありがとう」
「あっ、ちょっと待ってっ!」
「んっ、どうかしたか。……!」
 
 先生のもとへ行こうとした矢先に呼び止められ、振り向くと同時に頬に何か柔らかいものが当たる。慌てて離れると、そこには頬を少し赤めながら、にんまりと笑みを浮かべている佐藤さんが立っていた。
 
「これが感謝の気持ちだからっ!」
「それじゃあ、また後で」
「じゃ、じゃあね!」
「あっ、ちょっ」
 
 こちらの返答を待つことなく、やることは終わったとばかりに3人はすぐ向こうへ行ってしまった。やはり、これは、勘違いではなく……。改めて今起こったことを認識し、佐藤さんよろしく顔が赤くなるのを感じる。どうやら火照った体はまだ冷めてくれないらしい。
 
————
 
 あれからしばらくして、夕食の時間になった。例の覗きの件で、30人いたクラスメイトはたったの4人になってしまったため、食事をするテーブルが一つしかなく、必然的に彼女らと同卓になってしまった。当然、他のクラスの衆目を集め――男子の視線には恨みと嫉妬がこもっていた――食事に全く集中できなかった。会話もなく、淡々と食べ進める4人の姿は、さぞ奇妙に見えただろう。
 
 そんなこんなで何とか夕食の時間を乗り切り、僕たち4人は担任の待つ201号室に向かった。大方明日以降についての話だろうと思っていたが、実際は予想とは大きく異なることを、そして今後の生活にまで影響を及ぼす重大な出来事のきっかけになることを、この時の僕はまだ知らない。
 

————
 
 
「えっ! 先生、どういうことですか!?」
「どうもこうも、言葉の通りだよ。こいつには君たち3人と同室になってもらう」
 
 先生からの連絡を聞き、船堀さんが大きな声で疑問を呈す。黙ってはいたが、僕も同じ気持ちだ。僕にはメリットしかないが、そのような自体になった理由がわからず、頭の中はクエスチョンマークでいっぱいである。
 
「覗きの件を知った旅館の女将さんから、『男子生徒さんには部屋を貸さなくてもいいですよね』と言われてしまってな。まあ覗きをした奴らには、ロビーなり大広間なりを借りて、そこに正座でもさせておけばいいんだが、問題は久遠の処遇だ」
「女将さんに久遠のことを話す前に、部屋を閉められてしまってな。このままだと久遠も覗きをした奴らと同じ扱いをしなくてはならなくなる。そんなのはどう考えてもおかしいから、何とか空いている部屋を探したんだ。教員の部屋も考えたが、どこも定員オーバーで、唯一空きがあったのが、元々4人部屋に3人だったお前たちの部屋だったんだよ」
「事情はわかりましたが、それとこれとは話が違います! もし私たちに何かあったら……」
 
 船堀さんの意見ももっともだ。彼女たちは今日覗かれそうになっているのだ。異性に対し敏感になるのは至極真っ当な反応だと思う。
 
「まっ、でも問題ないんじゃね~? アタシはそれでいいよ~」
「ちょっと有栖! あなたなんてこと……」
「だってさ、久遠ってアタシたちを覗きから守ってくれたんでしょ~? そんな人がはーちゃんの言う「何か」なんてしないと思うな~」
「だけど……」
「遥ちゃん、私も先生の言う事に賛成だよ」
「穂乃果まで……」
「わたしたちのことを覗きから守ってくれたのに、その覗こうとした人たちと同じ扱いなんてかわいそうだよ」
 
 だが、佐藤さんと宮崎さんは僕のことを相当信頼してくれているようだ。特に反論もなく、僕が部屋に来ることに同意する。仲のいい二人が賛成した事に船堀さんは相当驚いていたが、すぐさま平静を取り戻し、自身の考えを述べた
 
「……わかったよ。二人がそこまで言うなら私も腹を括るわ。だけど、万が一、何かあったらすぐに先生に通報するからね」
「もちろん。当然だよ。……先生、多大な配慮、ありがとうございます」
「いいってことよ! 正しいことをした奴が報われないなんてことがあってはならないからな! あ、後、女子と男子を同じ部屋にするのはバレたら結構まずいから、このことは他言無用な」
「わかりました」
 
 忠告を聞きながら、直前の先生の言葉に少しジーンときてしまった。僕がしたことを肯定され、頭の中の後悔の念が少し晴れるのを感じる。やはり、先生という人はすごいんだなぁ。言葉のパワーが違う。
 
「そうそう、ゆ~くんは間違ったことなんてしてないんだから!」
「ゆ、ゆ~くん?」
「あれ、ゆ~くんの名前って悠じゃなかったっけ?」
「いや、あってるけどさ……」
「でしょ~! だからゆ~くん。これからよろしくね!」
「こちらこそよろしく」
 
 そう言って、佐藤さんは右手を差し出してきた。もちろん、そのまま握り返して握手をする。見た目通り、快活な性格は見ていてるだけで気分が良くなる。できればさっきのキスの件について聞きたかったが、どうもそういう空気ではなさそうだ。
 
「……まあ先ほどはああ言ったけれど、貴方のことは信頼してるわ。短い間だけど、よろしくお願いね」
「……うん、こちらこそ」
 
 船堀さんが言い終わるとぺこりとお辞儀をするので、僕も合わせて礼をし返す。やはり流石というか、こちらが酷く言われたのを気にしている可能性を考慮して、こうやって言葉をかけられる彼女はすごい。すぐに気配りができる彼女の姿を見て、自分の好意を再認識する。
 
「あはは、なんだか大変な事になっちゃったね」
「確かに。どうしてこんな事になったんだか」
「さっき先生も言ってたけど、久遠くんが正しいことをしたからじゃないかな。私も久遠くんが先生に言ってくれたの知った時、すっごく嬉しかったよ」
「そ、そうかな……」
「そうだよ。それに、久遠くんってあんまり知られてないけどさ、いっつもさりげなく人助けしてるよね。例えばこないだ……」
 
 変なスイッチが入ったのか、宮崎さんが僕の人助けについて語り始める。船堀さんが止めるまでノンストップで語り続けるものだから、少し恥ずかしくなってきた。
 それにしても、僕の修学旅行は女子3人との同室という漫画みたいな展開になるなんて想像もしていなかった。衝撃的なことだが、これからの旅行のことを考えると胸が弾まずにはいられない。そんなある種の幸せな気持ちを感じながら、先生の部屋を出た。
 
 
————
 
 
「おいっす~。待ってたよ~。荷物はあっちにおいてね~。近くの布団がキミのだから」
「あ、ああ、ありがとう」
 
 荷物を取りに行くために一旦元の部屋に戻った——荷物は部屋の前に置いてあった——あと、改めて彼女たちの部屋にやって来ると、佐藤さんが暖かく出迎えてくれた。普段見ることのないラフな格好にどきっとしつつ、指示に従って荷物を置きながら、部屋内を見渡す。僕が先程までいた部屋と間取りは同じではあるが、雰囲気がどこか異なっており、女子の部屋というだけで、こんなに違うものなのかと内心とても驚いた。
 
「そういや、船堀さんと宮崎さんは?」
「は〜ちゃんは先生のとこいってて、ほのっちは今水買いに行ってるよ。ほのっちはすぐ帰ってくると思うけど……あっ、戻ってきたかも」
「有栖ちゃん、みんなの分買ってきたけど……あっ、久遠くん、いらっしゃい。さっきはごめんね。ちょっと熱くなっちゃったんだ。あっ、よかったらこれ飲む?」
「う、うん。ありがとう。もらうよ」
 
 宮崎さんが差し出してきた水を受け取る。ひんやりとした感触が気持ちいい。それにしても、宮崎さんに普段の行動をあんなに見られていただなんて思いもしなかった。僕の中では当たり前になっていてなんとも感じないが、人から褒められるのはやはり照れるものだ。
 
「有栖、穂乃果、点呼行ってきたわよ。……あら久遠君。もう来てたのね」
「どうも、お邪魔してます」
「あら、そんな畏まらなくてもいいのに。貴方が何かしない限りは私も仲良くしたいわ」
「ねぇねぇ、だったらさ、みんな揃ったし、ゆ~くんと仲良くなる意味も込めて、トランプでもしようよ~」
「ダメよ、明日も早いんだから。もう寝るわよ」
「え~、いいじゃんいいじゃん! まだまだ夜はこれからだよ~!」
「貴方一番夜弱いのに何言ってるのよ。ほらさっさと布団入る」
「も~、は~ちゃんのケチ~」
 
 二人の話を聞いて時計を見ると、あと5分で就寝時間というところだった。一旦そういうことを意識すると、どうにも眠くなってくる。見ると宮崎さんはすでに布団に入ってスマホを見ていた。そういうことなら僕もそうさせてもらおう。
 
「あ~! ゆ~くんも寝ちゃうの~?」
「ほら、久遠君も寝るんだから、有栖も寝ましょう」
「ぶ~! ……もう、わかったよ~。今日は寝る。けど、明日は遊ぶからね!」
「はいはい」
 
 佐藤さんと船堀さんの方も話がついたみたいだし、僕も本格的に寝るとしよう。布団を肩まで掛け、目を閉じていると、部屋の誰かが電気を消したみたいで一気に視界が暗くなる。今日はいろいろあったし、かなり疲れた。これならすぐ眠れそうだ。
 
 
————
 
 
 シコシコ……シコシコ……
 
「こんなので本当に気持ちいいのかな?」
「大丈夫だって。こうすると男の人は気持ちいいってネットに書いてあったから」
 
 ん……? なんだか下半身がやけに涼しいような……それに、ずっごく気持ちいい……え、気持ちいい?
 寝ている時、感じることのない感情を抱き、下半身の方に目をやる。するとそこには僕のペニスを握って、上下にしごく宮崎さんの姿と、それを見る佐藤さんの姿があった。
 
「えっ!? 二人とも何して……」
「しっ! おっきな声出さないで! は~ちゃん起きちゃうから!」
 
 驚く僕の口を佐藤さんが指で塞ぐ。辺りを確認すると、船堀さんは綺麗な寝息を立てて寝ていた。起きていないことを確認した佐藤さんは、潜めた声で語り始めた。
 
「これはね、今日のお礼なの」
「お、お礼?」
「そっ、覗きから守ってくれたゆ~くんにどうやったらお礼できるかって、ほのっちと二人で考えてさ、それで夜○いしにきたわけ」
「だからって、こんなこと、好きでもない人に……」
「アタシもほのっちも、ゆ~くんのこと好きだよ。もちろん恋愛的な意味でね」
「えっ!?」
 
 突然の告白に頭がくらくらする。宮崎さんに関してはもしかしたらと考えていたが、まさか佐藤さんまでそうだったとは。
 
「そうだよ。ずっと久遠くんのこと好きだったんだからね。そうでもなきゃ、熱く語れるくらい君のこと見てないよ」
「そ~そ~、君のことはほのっちからずっと聞いてて、『いい奴なんだな~』ぐらいには思ってたけど、今日のやつで、一気に惚れちゃった。顔も悪くないしね。というか、そもそも好きじゃなかったらキスなんてしないでしょ」
「だからね、久遠くんにはこのまま夜○いを受け入れてほしいな~なんて思ってたりして」
「けど……」
「『据え膳食らわぬは男の恥』だよ。それに、久遠くんは勇気を出してこんなことしてる女の子を否定するようなかっこ悪い奴なの?」
「……わかったよ」
 
 二人の熱烈なお願いに遂に屈してしまった。正直な話、部屋の一件を聞いた時にこういう展開になってほしいとは頭の片隅で思ったが、まさか本当になるとは。こんなのエロ漫画の世界じゃないか。現実味の無さに浸る僕をよそに、二人はいそいそと動き始めた。
 
 
————  
 
 
 じゃあ、私たちがたっくさん気持ちよくしてあげるからね~♥ ほのっち、さっき言った通りにね。
 
 うん、わかったよ。……それじゃあ久遠くん、横、失礼するね♡
 
 にしし~♥ アタシも反対側に失礼して、っと、これで準備は完了だね♥
 
 それじゃあ、始めていくね♡ 最初は有栖ちゃんの手コキだよ♡ 有栖ちゃん、まだ経験はないけどお兄ちゃんが隠し持ってるエロ本とかでたくさん勉強したんだって♡
 
 こうやって、指で輪っかを作って……この出っ張ってる部分を擦ると、気持ちいいんだよね~♥ ほらほら、気持ちいいですか~♥ どこか痒いとこはないですか~♥ ははっ、なんてね♥
 
 ふ~っ♡ もう、いくら有栖ちゃんの手コキが気持ちいいからって、わたしのこと忘れないでよね♡ 今、ちんちんにだけ意識向けてたでしょ♡ そんな悪い子には、えいっ♡ もっと抱きついちゃうよ♡
 
 ははっ、ほのっちがおっぱい押しつけられた瞬間にめちゃくちゃビクッとした♥ ほのっちのおっぱい、もちもちで気持ちいいでしょ~♥ ほのっちってね、めちゃくちゃ肌ケアしっかりしてるから、触り心地も最高なんだよ~♥
 
 ほら、触って……♡ ひゃんっ♡ も、もう、触り方えっちすぎだよ~♡ 私は逃げないから……やんっ♡
 
 アタシのも揉んでいいよ~♥ ほのっちのみたいな柔らかさはないけど、その分ハリがあるし、何よりほのっちのよりおっきいからね~♥ 揉み心地は負けてないはずだよ♥
 
 そうなんだよね♡ わたしもさっき教えてもらったんだけど、私のが86センチのFカップなんだけど、有栖ちゃんのおっぱい、いったいいくつだと思う?♡
 
 ちょっと耳貸してね♥ アタシの胸のサイズは……
 
 
 
 94センチのGカップ、だよ♥
 
 
 
 どうかな。驚いた?♥ あはっ、ゆ~くんってば、目がエロオヤジみたいにギラギラしてるよ♥ 街中でアタシたちをよく見てくるおじさんたちとおんなじ目になってる♥ きゃ~、怖~い♥ 襲われちゃう~♥
 
 襲われてるのは久遠くんだけどね♡ うわ~、脇から手回して、横から揉みしだいてる……どう、有栖ちゃんのおっぱい、気持ちいいかな? ♡
 
 ほのっち、この表情を見れば一目瞭然じゃない? 気持ちよくなってない人がこんな幸せそうな顔しないって♥
 
 それもそうだよね♡ 有栖ちゃんのおっぱい、ほんとおっきいよね♡ 久遠くんの手からはみ出しちゃってるよ♡ 有栖ちゃんのおっぱい、学年で一番おっきいんだよ♡ さっきお風呂で見た時に他の女の子と見比べたけど、有栖ちゃんよりおっきい子はいなかったな♡
 
 そういうほのっちも、学年だとかなり大きい方だよね♥ だって、風呂にぷかぷか浮いてたくらいもん♥
 
 ちょっと、それ恥ずかしかったんから言わないでって言ったじゃん♡
 
 え~、でもゆ~くんには大好評みたいだよ♥ ほら、見てよ♥ ここ、さっきよりもバキバキになってる♥ おっぱい押し当てた時くらいからどんどん硬くなってて、ほのっちのおっぱいが浮かんだ話をした時に、鉄みたいに硬くなったんだよ♥
 
 ほんとに? それならいいけど……♡ それよりさ、久遠くん、なんだか辛そうだよ♡
 
 あっ、もしかして、もう我慢できないんじゃない?♥ さっきから腰がヘコヘコしちゃっているし♥ でもしょうがないよね♥ 学校で一番おっきいおっぱいと二番目におっきいおっぱい、両手で揉み比べしてるんだもん♥ そりゃあ、我慢できなくなっちゃうよね♥
 
 そうだよ♡ 我慢しなくていいからね♡ 好きなタイミングでぴゅっぴゅしちゃおうね♡ ちゃんと気持ちよく射精できるように、わたしも手伝ってあげるよ♡
 
 あ~、ほのっちもしごくのいいね~♥ 恋人繋ぎで快感は二倍かな♥ 即席の手オナホに射精しちゃおうね♥
 
 ほら、ちんちんしごかれながら、わたしたちのおっぱいの話を聞いて溜め込んだ精液、ぜ~んぶ吐き出しちゃお♡ はい、ど~ぞ♡
 
 びゅるるるっ♡ どっぴゅるるるっ♡
 
 うわ……すっごいね♥ ドクドクしてるのがこっちに伝わってくるよ♥
 
 最後までちゃんと吐き出すまで、シコシコ続けてあげるからね♡
 
 ……よし、全部出し切れたかな♥ 射精お疲れ様♥ 最後にお掃除してあげるからね~♥ あ~む♥ じゅむっ♥ じゅるるるるるる……っ♥ じゅぱっ♥ はい綺麗になったよ♥
 
 うんうん、勢いのあるすっごくかっこいい射精だったよ♡ さ、次は何しようか……あっ。
 
 ん~、どうしたのほのっち、って、げっ。
 
 穂乃果、有栖。久遠君の布団でいったい何をしているのですか?

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