ユウ/1518 2024/08/11 22:46

【お礼・小説】年下彼氏の爪が伸びていたのでご褒美をあげることになりました

こんばんは、ユウです。

Ci-enのフォロワー様500↑のお礼として、
なんでも許しちゃだめだよ?せんぱい
のその後のお話を公開します。
お礼のご挨拶は改めて。
小説はこちらの記事の続きからご覧ください🌸

ありがとうございました!!

ユウ


【登場人物】
・千輝 裕佑(ちぎら ゆうすけ)
新卒入社一年半のあなたの後輩。明るく人懐っこくてみんなに好かれるタイプ。
教育係であるせんぱい(あなた)には特別懐いている。
せんぱいのことが大好きで暴走気味な猛アピール(本編)の末お付き合い中。

好きなもの:せんぱい、ハンバーグ、鰤の照り焼き
苦手なもの:ピーマン、にんじん、しいたけ(ただしせんぱいが作る料理はその限りではない)

・せんぱい(ヒロイン/あなた)
初めてできた念願の後輩がとにかく可愛くてついつい甘やかしてしまう。
尊敬される先輩でいたくて毎日の仕事もお弁当作りも頑張っている。
千輝くん限定でちょろくなってしまう。

好きなもの:りんご、プリン、可愛い後輩
苦手なもの:千輝くんのお願いを断ること


*******



 ――由々しき事態だ。
 千輝くんが、……可愛くない。

 いや、可愛くないというと語弊がある。千輝くんはいつだって可愛い。可愛いんだけど、ちょっとだけその可愛さに翳りがさしてしまっている。

 つまり何が言いたいかというと、連日連夜の残業のせいで、千輝くんが疲れ切っている。それはもう、いつもの千輝くんとは別人のような雰囲気を纏うほどに。
 いつもはきらきら輝いている瞳も疲労のせいだろうか、心なしか澱んでしまっているように見える。

 元々の業務に加えて、先輩の産休と、別の先輩の急な入院に伴う長期のお休み、極めつけに今週納期の仕事のトラブル。
 いろんなことが重なったせいで、先月くらいから目が回るような忙しさで、会社のみんなが疲れ切っていた。特に千輝くんは引き継いだ仕事が大変なものが多かったせいで早出や残業を繰り返していて、昼休憩も満足にとれていない。ずっと作っていたお弁当も食べられなかったら申し訳ないから落ち着くまでの間は大丈夫、としょんぼりしながら断られてしまったほどだ。
 わたしは一足先にピークを抜けられたけど、千輝くんは会社の中でも最後まで仕事が残っていたから、いまや疲れ切っているのが見るだけでわかるし、すこしやつれてしまったような気がする。

 ここ最近は千輝くんとお昼の休憩を一緒にとれないのはもちろん、それ以外だって一緒に過ごせる時間はほとんどなくて。
 でも大変そうな千輝くんを見ていたら寂しい、なんて思えなかった。
 わたしがお手伝いできたらよかったのに、仕事の管轄が違うせいで大したお手伝いもしてあげられないのが歯がゆい。
 ……でも、それも今日までの話。

 千輝くんが抱えていたいちばん大きな仕事は今日のお昼に決着がついて、引継ぎの仕事も急なものはなくなって、晴れて明日はお休み。やっと千輝くんが羽を伸ばして疲れを癒すことができる。だから、ごはんとかお風呂とかぜんぶわたしが用意して、千輝くんにはゆっくりしてもらえたらって……わたしの家に、お招きしたんだけど。

「えぇっと、千輝くん……?」

 お風呂に入ってもらってる間にご飯の準備して、お風呂からあがった千輝くんと一緒にご飯食べて……というところまでは、予定通りだったんだけど。

「んんん~……」

 洗いものがちょうど終わったタイミングで、後ろから千輝くんにがっしりと抱きつかれて。そのままずるずるとベッドまで引きずられて、ごろりとベッドに並んで寝転がった。千輝くんはわたしを後ろから抱え込んだまま、ぐりぐりと首筋に頭を押しつけて、ぴたりと動きを止めてしまった。
 さっきまで久しぶりのせんぱいのご飯美味しい〜って喜んでくれてたんだけど、疲れすぎて限界きちゃったのかな。

「千輝くんもう眠い? 疲れたもんね、もう寝ちゃおっか」
「んんー……やだ……」
「やなの? でも眠いでしょ?」
「だって……せんぱいと一緒にいられんの、久しぶり、だもん……」

 いつもよりとろとろの甘い喋り方になってる千輝くんが可愛くて、胸がきゅうっと締め付けられる。後ろから抱きつかれてるから表情までは見えないけど、思わず肩のあたりに手を伸ばして手探りで撫でた髪の毛の、さらさらの指通りが心地好い。

「ねー……せんぱい、おれ頑張ったよね? えらい?」
「うん、えらいえらい。大変だったねぇ、みんなも千輝くんのことすごいっていっぱい褒めてたよ」
「……せんぱいは?」

 頭を撫でていた手のひらに、もっと褒めて、ってぐりぐりと頭突きするみたいに頭をすり寄せられて、それがあんまりにも可愛くて思わず笑ってしまった。上半身を捩って千輝くんに触れやすいようにして、ゆっくりとさらさらの髪の上に指を滑らせる。
 ただの先輩後輩じゃなくなってからも、折に触れてこうして差し出される頭を丁寧に撫でて髪を梳いてあげることは、わたしにとっても立派に癒しの時間になっていた。

「……ふふ、もちろんわたしも。まだ一年半くらいなのに、すっかり頼もしくなってくれて鼻が高いよ」
「へへー、やったぁ……せんぱいに褒められちゃった」

 ふにゃりと微笑んだ千輝くんが目尻を蕩けさせる。ここ最近疲れが滲む表情ばかり目にしていたから、少し気が抜けたところを見せてくれてほっと胸をなでおろした。
 それじゃあ、土日はお出かけの予定はないし、千輝くんも眠そうだし、ちょっと早いけど今日はこのまま一緒に寝ちゃおうかな……なんて、呑気に思っていたのに。
 不意に、ぴくん、と肩が跳ねてしまった。
 だって――部屋着にしてるワンピースの裾をたくし上げた千輝くんの手のひらが、服の中に入り込んで……太ももの上を、滑るから。

「んっ、……もう、千輝くん……っ」
「んん、なぁに……?」

 千輝くんの声はとろとろに溶けていて、眠いんだなってすぐにわかるのに。素肌の上を滑る手のひらは止まらなくて、大きくワンピースを捲りあげながらわたしの身体を撫であげて、下着越しの胸を包み込んだ。
 下着と皮膚の隙間に差し込まれた指が、もにもにと膨らみを揉みこむ。感触を楽しむような拙い触れ方なのに、後ろから抱きしめた状態でそうされると……ちょっと前までのお昼休憩の時のこと、思い出してしまって。反射みたいに吐息が色めいてしまうのを誤魔化したくて、わざとらしくひとつ咳払いして。腕の中で身を捩って、千輝くんへと向き直る。

「……もー、だめだよ、ちゃんと寝よ?」
「えー、やぁだ……」
「っあ、ちょっ……」

 体勢を変えたことで胸から離れた手が、するりと背中を撫でる。向かい合って抱きしめてくれる腕が、服の中を徒に蠢いて……ぷつ、とブラのホックが、外されて。その瞬間、開放感に包まれた胸が否応なしに状況を伝えてくる。慌てて距離を取ろうとしても抱きしめられた状態では少しも動けなかった。

「千輝くんっ、だめだってば……!」
「……なんで? せんぱいおれに触られるのやなの? おれはずっとせんぱいに触れないのさみしくて、はやく仕事終わらせてせんぱいを思いっきりぎゅーしていっぱい触りたいって、そればっかりだったのに」

 唇を尖らせた千輝くんの目の下には、くっきりと隈が刻まれている。絶対に疲れきってるはずの千輝くんに休んでほしい気持ちはあるのに。至近距離で千輝くんの眉が下がっていくのを見てしまえばもう何も言えなくなってしまう。

「……せんぱいは、さみしくないんだ」

 千輝くんの伏せた睫毛と、ぽつりと小さく落とされた言葉が、震えている。
 さみしくないかって、そんなの…………そんなの、考えないようにしてた、だけで。

「……わたしだって、……さみしかったよ……?」

 きゅう、と心臓が締めつけられた拍子に、思わず本音が溢れ落ちた。
 だって、忙しい千輝くんにそんな我儘言ったって迷惑だと思ったから。わたしが言えばきっと千輝くんはそれを叶えようとしてくれてしまうから、だから、……一緒にいたい、なんて言って負担になりたくなかったから、気づかないように、してたのに。

「っ、ほんとに⁉」

 がばっ、と身を起こした千輝くんの瞳は――久しぶりに、きらきらと瞬いていた。

「せんぱいほんと? せんぱいもおれといちゃいちゃしたいって思ってた?」
「ぉ、……おもってた、よ……」

 気づかないように、してたのに。千輝くんに促されて言葉にしただけで一気に自覚してしまう。さみしかった、いっぱい触ってほしい、……もっと、くっついていたい。わたしの身体にゆるく巻きついた腕にもっと力を篭めて、ぎゅっと抱きしめてくれたら、なんて……休んでほしい気持ちとは真逆の願望に、気づいてしまう。

「ふふ、そっかぁ……♡……ね、せんぱい、さみしい思いさせてごめんね? その分いまからいっぱいいちゃいちゃしよ……♡」

 千輝くんにはわたしの考えてること、ぜんぶばれちゃってるのかもしれない。だって考えてた通りに、ぎゅっと抱きしめてくれるから。
 千輝くんの提案はすっごく魅力的で、すぐにでも頷いてしまいたかったけれど。今日千輝くんをお招きしたのはお疲れの千輝くんを癒したかったからで、だから千輝くんにはしっかり寝て疲れをとってもらいたい。だから、がまん、しないと……。

「……ぅ、でも……千輝くんつかれてるでしょ、ちゃんとお休みしてほしいし……いまはゆっくり寝て、土日にいっぱい……その、……いちゃいちゃ、しよ……?」
「やぁだ、いまする……せんぱい可愛すぎて眠気も疲れも吹っ飛んだし……そもそもさぁ、」

 甘ったるい声で駄々をこねられて胸の内がじんわりと幸せで満ちていく感覚に浸っていたら――ごりっ、と、太ももに硬いものがぶつかった。

「っ、」
「……せんぱいのせいで、もうこんなんなっちゃった」
「っな、なん……っ」

 なんで、って言おうとしたのに動揺してうまく言葉にならない。だって、服越しなのに押し付けられるものの熱が伝わってくるから。なんで千輝くんの、こんなに熱くなってるの……♡

「んー……疲れてたのも、あるんだけどさぁ……せんぱいがさみしがってくれたの、うれしすぎて」

 ふにゃ、と笑う千輝くんの笑顔と、太ももに押し付けられたままの熱のギャップにくらくらする。

「……ね、だから……しよ……?」

 ただでさえ千輝くんのお願いを断ったりなんてできないのに、千輝くんの可愛い笑顔と台詞つきとあってはもう太刀打ちできるわけがなくて。千輝くんはわかってるんだろうか、うう、と唸るわたしを楽しそうに見つめている。

「……千輝くん、ほんとに、からだ、しんどくない?」
「へーき、せんぱいとえっちできないほうがしんどいもん」

 明け透けな言葉に、かぁっ、と頬に熱が集まる。わたしの悪足掻きを一蹴する千輝くんの言葉はいつだって素直で、そんなところを可愛いって思ってるからこそ、ストレートなおねだりはいつだって叶えてあげたくなってしまう。だから、ちゃんと休んでほしいって、ほんとに思ってるのに――あっさり、負けてしまった。

「……えっと、…………千輝くんが、大丈夫なら…………」

 そう呟いて、肯いた途端。
 覆い被さる千輝くんに下から掬い上げるように唇を奪われて、ワンピースの裾を、一気に胸の上までたくし上げられた。

「ちゅうっ♡っん、……ふは、ありがと、せんぱいだぁいすき……♡あー……っむ♡♡んっ、ちゅ♡♡ちゅうぅっ♡♡♡ちゅぷ……♡」
「ふぁ、あっ♡♡千輝く、んっ♡♡ んむっ♡♡んぅ♡っは……っ♡♡っあ、やうぅっ♡♡♡」

 最初から舌を絡めあう深い口づけに溺れないようについていくだけで必死なのに、空気に晒された皮膚の上を千輝くんの手のひらが滑って胸へと辿り着き、びくりと腰が跳ねる。だって、このあと何されるのか――何度も繰り返した経験則で、わかってしまうから。

「せんぱいのおっぱいふにふに〜♡柔らかくてすべすべで……いつ触っても気持ちいい……♡」
「っぁ、ん……っ♡」

 千輝くんの大きな手のひらに包まれた胸が、指の形に合わせて形を変える。手のひら全体で包んで柔らかく揉みしだかれて、中心に寄せるように潰されて、持ち上げて揺らされて。いつものように色んな触り方をされながら、膨らみを確かめるように指先が曲線をなぞって……胸の先端へと、辿り着いた。

「……乳首すぐ硬くしちゃうとこも可愛くてだーいすき……♡」
「っや、うぅ♡っぁん♡♡んっ、だってぇ……っ♡」

 そこは千輝くんのお気に入りのひとつで、お付き合いを始めてから……その前からではあったけど、いつも丹念に愛されていたから、初めの頃よりずっと感じるようになってしまっていて。まだ直接触れられてもいなかったというのに、既につんと尖って主張していた。

「……ね、せんぱい……どうされたい?」
「ふぇっ、え……っ?」
「せんぱいのー、可愛い乳首…… ♡どうやって触られるのがすき?」
「あ、ぅう……っ♡」
「教えてくれたら、せんぱいがしてほしいこと、いーっぱいしてあげる……♡」

 いっぱい、って言葉に、いつも千輝くんがたくさんしてくれることを生々しく思い出してしまって、ごくりと喉が鳴る。こんなの……期待、してるの……ばればれで、恥ずかしい……♡
 でも、千輝くんはからかったりするわけじゃなくて、ただ質問してるだけで……お願いしたらほんとに、いっぱい、してくれるんだろうな、って。わかってしまうからこそ、その誘惑に、抗えなくて。浅ましい期待がそのまま引き攣ったような音に変わって、喉を震わせた。

「あ、の……」
「うん?」
「…………先っぽ、……かりかりって、して……♡」
「……ん、さっきからぷっくり膨らんでおねだりしてくれてるもんね♡いいよ、いーっぱいかりかりしてあげる……♡」

 かりかりかりっ♡
 言い終わるやいなや、目尻を蕩けさせた千輝くんの爪が、胸の先端を引っ掻いて――そのまま何度も、上下に弾かれて♡

「ふあぁぁっ♡♡ぁ、あぁんっ♡♡んぅ、ん、んっ♡んぅ、や、ぅー……っ♡♡♡」

 かりかり♡かりかりかりかりっ♡♡
 千輝くんが動かしてるのは指先だけで、指の腹と爪が順番にぶつかってるだけなのに。
 何度も何度も爪を往復されて、ばちばちっ♡って、頭の中まで白く弾ける。

「ぅあっ♡あっ♡♡ちぎらくんっ♡んっう♡♡ふぁ、あんっ♡♡それぇ、ずっとしたら、ぁっ♡♡」
「ん〜、きもちいい? せんぱいおっぱいだけで気持ちよくなるのも上手だもんね♡いいよぉ、一回イって♡せんぱいの可愛い顔見せて……ッ♡」

 かりかりかり♡♡ぴん、ぴんっ♡♡ぐにぃっ♡♡

「っふ♡♡ぅうぅっ♡♡ぁう♡っん、ぅ♡♡う♡や、あぁぁ……ッ♡♡♡」

 爪の先で引っ掻いて、弾かれて、鼓膜に直接吐息を流し込まれて――我慢なんてする暇もなく、あっという間に目の前が白く染まった。

「っはぁ、ん……っ♡♡」

 達した後の倦怠感に任せて四肢をシーツに沈ませる。身体のほとんどがまだ余韻に浸っていて、大きく息を吐き出してもなお、体内に溜まった熱がぐるぐると渦巻くような感覚が長引いている。
 久しぶりだったからかな、いっつもより千輝くんの爪ぶつかったらびりびりして……♡……かりかり、されるの……♡

「ふふ、せーんぱい……♡気持ちよかったねぇ……♡」
「っぅ、ん……っ♡♡」

 ――きもちいい♡って。
 頭の中を埋め尽くしてた言葉の輪郭を、千輝くんの甘くてちょっとだけ掠れた声が、まるでわたしの頭の中を読んでるみたいに正確になぞる。
 熱を帯びた吐息と声に、ふる、と身体が小さく震えて、頭のなかがじわりと痺れた。
 さっきイったばっかりなのに、今は何もされてないはずなのに。千輝くんの声で言葉にされるだけで、体内を渦巻く快感が何倍にも増幅されたように錯覚する。
 気持ちいい♡♡きもちいいよぉ……♡♡

「っひ♡んん……ッ♡♡」
「あー……せんぱいかわいー……♡かおとろっとろだよ♡ふふ、久しぶりだから気持ちいいのはやいねぇ……♡」
「んっ♡っはぁ、ん……っ♡♡」
「せんぱいイったばっかりだけど……ね、ここ……せんぱいの大好きなとこも、触らせて?」

 お話してる間は休憩……ということにももちろんならなくて、千輝くんの指先が胸を離れて腰のラインをなぞり、太ももの上を撫でて……足の間へと、滑り込んだ。

「ひんっ♡♡ぁ、そこ……っ♡」
「もうおれ最近ずっとせんぱい不足でさぁ、仕事中もせんぱいに触りたいって……可愛い声聞いて、おれのせいでとろとろになったせんぱいのこの表情見たいってずーっと思ってたんだよ……お昼も、帰ってからもずっとせんぱいといちゃいちゃできないのしんどかったぁ……」
「はふ、……っん♡はぁ……っぁ、あ……っ♡」

 迷いなく中心へと辿りついた指先が、すりすり、布地越しに泥濘の上を行ったり来たりしてこすりあげる。さっきイったから濡れて滲みちゃってるかも……って思ったけど、指が動くたびにぴりぴりと静電気みたいな刺激が走って、思考が散らされてしまう。

 すりすり、すりすり♡

「ぁっ、んぅ……っ♡♡」
「あ〜……♡やっとここ可愛がって……やっと、せんぱいのこと……とろとろにしてあげられるね……♡」
「きゃうぅ♡♡っぁ、ん♡♡ふあぁ……ッ♡♡」

 ここ、って。はっきりわからせるために、薄い布越しの泥濘をぐぅっ♡と押し込まれて、自分では抑えられないくらい甘ったるく染まった鳴き声が勝手に零れる。

 ぐっ♡♡ぐっ♡♡ぐぅっっ♡♡

 指が撫で上げる範囲がだんだん広くなって、……少し上の突起まで、一緒になぞりあげて。指先がぶつかった瞬間、熱っぽい吐息が洩れる。
 下着越しのそこに狙いを定めたみたいに、布越しに感じる指の熱が、すり、と突起の周りに円を描く。いつもそうされるように、……さっきまでの、乳首と、同じように。爪の先でかりかり♡引っ掻かれるんだって、身体が期待に震えた瞬間――ぴた、と指が止まった。

「あ……」
「んっ、ぁ……ちぎら、くん……?」

 固まってしまった千輝くんにおそるおそる呼びかけてみても、千輝くんは手元へと視線を下げたまま微動だにしない。
 すっかり千輝くんの指に嬲られるのを期待していた花芽が、直前で焦らされてぷくりと尖り、置いてけぼりにされて、下着の中でじくじくと疼いている。
 はふ、と熱い吐息とともに洩れた千輝くんの名前を呼ぶ声は、勝手に媚びるような鼻にかかった声になってしまっていた。
 今まで途中でやめられたことなんてなかったから――なんでやめちゃうの♡って、からだが焦れちゃってる……♡

「……ちぎら、くん……っ♡」
「……あ、せんぱい……」

 待ちきれなくて――はやく、触ってほしくて。甘えた声のまま縋りついたら、やっと千輝くんがこちらを向いてくれた。だけどお手本のように八の字を描いたその表情を見て、状況も忘れてきゅう、と胸が苦しくなる。
 はやく、千輝くんに、触ってほしい。でも千輝くんのそんな表情を見てしまったらわたしは放っておけるわけがなくて。だから、快感を期待しすぎて浅くなった息のまま、なんとか言葉を絞り出す。だって、千輝くんが困っているなら、わたしにできること、なんでもしてあげたいから。そう考えるのがもう、癖みたいになっちゃってるから。

「……ど、したの……っ?」
「あー……んん、……忘れてたんだけど、……おれ忙しくなってから爪の手入れちゃんとできてなくて、いま結構伸びちゃってて……」
「? うん、そうだね……?」

 眉を下げてちょっぴり唇を突き出した千輝くんが、そう言って目の前に自分の爪を翳してくる。確かにちょっと長めかもしれないけど、千輝くんはいつも通り清潔にしてるから特に気にならないと思うんだけど。どうしてそんなに残念そうにしてるんだろう――なんて、状況も忘れて不思議に思っていたら。

「ごめんね、さっきの……乳首かりかりしたの、痛くなかった?」
「いっ、……だ、だいじょうぶ、だよ……! ……んっ」

 ……さっきかりかりされたとき、いっつもよりぴりぴりしたの、爪のびてたからだったんだ。……なんて、納得してしまうことが恥ずかしい、けど。
 労わるみたいに乳首のまわりを千輝くんの指の腹がすり、となぞって、ぴくんと身体が震えた。

「ほんと? 無理してない? おれ、すっかり忘れていつも通りしちゃってたから……」

 すりすり、慰めるみたいな優しい動きで指先が往復して、そのたびにあからさまに身体が反応してしまう。でも千輝くんは心配してくれてるだけなんだし、いつも通りにしてないと……。

「ぅ、ううん、えっと……いたくないし、……きもち、よかった……から……っ」
「ほんと? せんぱいに痛いこととかしたくないから、喜んでくれてたならよかったぁ…… ♡……ね、せんぱいこれすき……?」
「ん、ぅん……っ♡す、き……っ♡」

 すりすり♡千輝くんの指が敏感すぎる乳首を撫でてくれるだけで頭の中がぱちぱちと弾ける。何にも考えられなくなるせいで考えてることがぜんぶそのまま口から溢れおちちゃって……わたしいま、……すっごく、恥ずかしいこと、言っちゃってる……♡
 ぼやけた頭ですらちゃんと自覚できてしまう、その事実がたまらなく恥ずかしくて、身体を縮こまらせていたけど。

「ふふ、よかったぁ♡…………あ、でも……」
「……ど、したの……?」

 途中でぴたりと言葉を止めた千輝くんがふにゃりと眉を下げて、泣いちゃわないかな、って余計な心配したせいでそんなのすぐにどうでもよくなってしまった。千輝くんも大人の男のひとだし、簡単に泣いたりしないって、わかってるんだけど。
 ……でも。視線を合わせた先の、千輝くんは。
 悩ましげに眉を寄せて……とんでもない言葉を、口にした。

「…………これじゃあ、せんぱいのナカちゃんと慣らせない……」
「っ、え、ぁ……っ」

 予想もしていなかった言葉に、咄嗟に返す言葉が浮かばずに口篭っていたら。

「んん…………ねぇ、せんぱい、……おれのお願い、きいてくれる……?」

 ――千輝くんの声は甘くて、話し方も柔らかくて。だから、いつも甘えてくるときと同じ、無邪気な表情を浮かべていると、思っていたのに。
 天井を背にした千輝くんは、うっそりと瞳を細め、艶のある表情を、浮かべていて――ぞわっ、と背筋に震えが走った。

「……あのね、」
「んぅ……っ♡」

 耳朶に、唇の温もりが触れる。
 甘ったるい声が、鼓膜を擽った。

「…………せんぱいのまんこ、おれのちんこがすんなり入るくらいまで……自分で、とろとろに解してほしいなぁ……♡」
「っひ、え……っ?」

 明け透けすぎる言葉とともに、脳を直接撫で上げるみたいに、熱い吐息を吹き込まれて。ぞくぞくっ♡と腰が震える。

 ――いま、なんて……?

「……えっ、で、でも……っ」

 甘えるように覗き込んでくる千輝くんはすごく可愛いはずなのに、発言にギャップがありすぎる。いつもの可愛い千輝くんとは結びつかないくらい、……えっちなこと、言われて、頭のなかがすっかり混乱してしまっていた。

「だってこの爪じゃせんぱいのまんことろとろにしてあげられないし……いっつもはもっと短く整えてるんだよ? せんぱいに触れるのに傷つけたくないし、おれのせいで痛い思いさせるとか有り得ないし……」
「っひ、あぅ、……っ♡」

 伸びた爪の先をほんの少し皮膚に触れさせながら、つう、と背筋をなぞられて、腰がぴくんと跳ねた。

「……それとも、せんぱいはおれとするのやだ? おれとしたくない……?」
「そんなこと……っ」

 しょんぼりと眉を下げる千輝くんの表情を見た瞬間、反射的に否定していた。いやなわけない、してほしい。でも、千輝くんに続きをしてもらうためには、つまり……。

「じゃあ、おれのかわりに……おれとえっちするための準備、してくれる? ほんとはね、ぜんぶおれがしてあげたいんだけど、今日はできないから…………ね? せんぱい、お願い」
「っぁ、ぅ……っ」

 自分でそんなこと、恥ずかしい、のに。
 眉を下げて、心做しか潤んだ千輝くんの瞳に見つめられたら否定の言葉が砂のようにさらさらと崩れてしまう。
 いつだってそう。千輝くんにお願いされたらまず、どうしたらそのお願いを叶えてあげられるかな? って考えるのがもう習慣になっている。阻むものが自分の事情だけだったら、それを調整したら叶えてあげられるんだな、って思ってしまう。そもそも普段の千輝くんのお願いは早く帰って一緒にふたりきりで過ごしたい、みたいな些細で可愛らしいお願いばかりで、急ぎじゃない仕事を明日に回すとか、一人で行くつもりだった買い物にちょっとだけ付き合ってもらってから一緒に帰ったりとか、その程度で叶えてあげられるものばかりだった。

 いまの千輝くんのお願いを阻むのは――わたしの、恥ずかしいって気持ち、だけで。
 それなら、すぐに叶えてあげられるんだ、って気づいてしまったら、それ以上はもう無理だった。
 だってそもそもわたしに、千輝くんのお願いを断るなんてできるわけないんだから。

「……わ、わかった……す、する……っ」
「やったぁ、せんぱいだいすき♡♡」

 震えた声は随分小さくなってしまったけど、千輝くんにはちゃんと聞こえたらしい。ぎゅう、と強く抱きしめられて、そのまま抱き起こされ、支えられながらベッドの端に腰掛ける。

「……じゃあせんぱい、服脱ごっか……♡」
「ん……っ」

 ベッドの下に座り込んだ千輝くんに見上げられて、すっかり着崩れたワンピースの裾を握りしめた。恥ずかしくて俯いたままなのに、千輝くんに見られてるって、気づいた皮膚がざわざわとさざめいている。あとは掴んだ裾を持ち上げてワンピースを脱ぐだけなのに手を動かせないでいたら、「ふふ、おれに脱がせてほしいの?」ってくすくす笑われて頬にかぁっと熱が集まった。

「これからもっとすごいことしてもらうのに、せんぱいほんとかわいー……いいよ、お手伝いしたげる。ほら、ばんざーい……ん、ちょっとだけ腰浮かせて?」

 真っ赤になってるであろう顔を隠したかったけど、千輝くんに促されるまま手を挙げたらあっという間にまずはワンピースが、次いで腕に引っかかっているだけだったブラも取り払われた。するりと太ももを撫でた指先が下からパンツと太ももの隙間へと滑り込み、薄い生地を伸ばしながらずり下ろされて、わたしが一糸纏わぬ姿にされてしまうのは一瞬の出来事だった。
 正面に座った千輝くんの手のひらが、わたしの足を割るように太ももの隙間を滑って、びくりと震えた。

「や、だめ、見えちゃう……っ」
「だぁめ、隠さないで。せんぱいがおれとえっちするための準備するとこ、ちゃんと見せて……♡」

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