灰色 2024/07/06 08:08

魔法陣グルグルの世界観、優しくて純粋だからこそ分かり難い説

前回、胸糞って私嫌いなんだ! って書いたんだけど、それでも気付いた事がある。

胸糞悪い設定……というか「展開」「書き方」って、読む側も書く側も頭を使わなくて良い、スナック菓子みたいに消費が出来るって事に! ごめん、露悪的な書き方しちゃったね。まぁ、滅茶苦茶分かり易く表現が出来るって事よ。書く側もぶっちゃけ書き易いし、インパクトは出るし、読む側も考えずに感覚で受け取れてしまうのだよね。

魔法陣グルグルを例に出すと、ミグミグ族って実は差別を受けては居るんだけど、作中でそれっぽい描写が一切出て来ないのよ。ぶっちゃけ、普通の作家なら1話の時点でククリちゃんが村の子供達に悪口言われてる位は書くと思うのよね。その書き方だとしても、まだ優しくて柔らかい方だと思う。

でも、グルグルの世界だとククリちゃんは引き籠っていて、友達が居なかった……くらいしか書かれないし、オババだって外で遊ばせてやれない事を心苦しく思っているし、皆ククリちゃんに対して優しいから、差別がある事が分からないのよね。正直、あのククリちゃんを魔法陣の外で踊れるようにしてあげたいとニケが決意するシーンで、やっと薄ら分かった位だった。ていうか、それすら薄らだった。だって、ククリちゃんの周囲の人達、ククリちゃんに対して優しいから(2回目)。

実は最初ニケがククリちゃんを連れ出してくれた王子様ってのも、良く分かって無かったんだよね……言っちゃ何だけど、別にククリちゃんは監禁されていた訳でも何でも無かったから。それが衛藤さんの優しい部分、例え設定がそうだとしても女の子を酷い目に遭わせたくは無いという優しさだと理解した上で、ククリちゃんを「酷い立場」に置いてしまった方が絶対に「分かり易く」はなるんだよね。

ドアマットヒロインが大嫌いだと言った口で、何言ってんだ? という話ではあるんだけど、ククリちゃんがドアマットヒロイン的な書き方がされていたなら、魔法陣グルグルの本来伝えたい構造は、もっとストレートに分かり易く伝わる物になっていただろうなって思うんだけど、そんな書かれ方をしているグルグル何て読みたくは無いので、この胸糞要素を一切書きたく無いからこそ、伝わり難く複雑になっているっていうのが、グルグルの魅力というか、衛藤さんしか書けない持ち味だと思ってる。

しかし、魔物が怖ろしい物だって前提すら、ちょっと薄れているのが凄いよね。シュギ村が魔物に襲われた時すら、全員犬にするだけで殺したりとかしてないし、犬と化してる姿も普通に可愛いし、オレンジのフード被った奴等も顔が可愛くて愛嬌があるから、皆可愛らしいな~って感覚になっちゃって、アラハビカが理想郷! ってちゃんと言われてるのに「えっ、最初から魔物達は愛嬌があって、可愛かったじゃん!」みたいな気持ちになってしまったから……。

悪意みたいなのを書くのが、苦手なんだろうなって思う、衛藤さん。それとメルヘンが合わさると最強なんだが、一般的にウケないってのは、悲しいかな凄く良く分かってしまう。皆、ゴシップというか刺激があってアクが強い物が好きだし、大体は「そういう部分」ばかりがピックアップされるからね……。

正直、グルグル2は本筋があるのか無いのか良く分からないから、何がどうなって終わるのか全然予想が付かないんだけど、ニケとククリちゃんが、進展無いのにイチャイチャしている様をのんびり見続けたいって層には、ドストライクだと思う。絵本を読む気持ちで楽しめば良いのだ……絵も可愛いし……。

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