無名@憑依空間 2024/07/15 16:02

★無料★<入れ替わり>深夜のコンビニ大騒動③~騒動終結~(完)

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「ーーーねぇ…」
麻美(ギャル)が、強盗(正太郎)に声を掛けるー。

「ーー川上さー…いや、違うかー…えっと…ギャルのお客さんだったかな」
強盗(正太郎)が、コンビニのカウンター付近で麻美(ギャル)との
会話に応じる。

もう10回ぐらい入れ替わりを繰り返したが、
未だに元に戻ることはできずー。

さすがに何度も何度もぶつかって疲れていたし、
正太郎の身体になった麻美が、”ちょっとトイレに行きたくなってるんで…”と、
トイレに向かったため、”一旦休憩”となっていたー。

シャッターが閉まったままの状態のコンビニー

今は深夜の時間帯で、そもそも元から客は少ない時間帯だったが、
さっき何回か電話もかかってきているし、
もしかしたら”開いているはずのコンビニのシャッターが閉まっている”
ことで、誰かが通報した可能性もあるー。

いずれにせよ、明るくなる前までに、この状況をなんとかしないといけないー

「ーーこの女のこと、好きなの?」
麻美(ギャル)が笑いながら言うー。

「ーーえ…」
顔を赤らめる強盗(正太郎)ー

「ーだって、さっきから視線を感じるし…
 なんか、妙にこの子のこと心配してる感じじゃん?」
麻美(ギャル)の普段とは違う口調にドキドキしてしまいながら
強盗(正太郎)は「お、同じバイト先の後輩の子だから、心配するのは
当たり前ですよ」と、目を逸らしながら呟いたー。

「ーほんと~に?」
身体を密着させてくる麻美(ギャル)ー

「ーねぇねぇ、あたしとヤらない?」
麻美(ギャル)が麻美の身体でとんでもない言葉を口にするー

「ーほら、この子の胸、触っちゃいなよ」
麻美(ギャル)はニヤニヤしながら言うー。

”ギャルに揶揄われているー”
そう感じた強盗(正太郎)は「ひ、人の身体でそんなこと
言っちゃだめですよ!」と、慌てて麻美(ギャル)から
離れたー

「ーな~んだ、つまんないの!」
不満そうな麻美(ギャル)ー

「ーってか、あんた臭い!離れて!」
麻美(ギャル)が、ホームレス(強盗)に向かって叫ぶー。

「ーーチッ!俺だって好きで臭くなってんじゃねぇんだよ!
 この身体のおっさんに言いやがれ!」
ホームレス(強盗)は悪態をつきながら、少し離れたおつまみ売り場の
方に移動していくー

その様子をギャルになったホームレスは、
舌打ちをしながら見つめていたー。

カウンターには、強盗が持ってきてそのままになっている
銃が置かれているー。

「ーーーーーーー」
ギャル(ホームレス)は、静かにそれを見つめるー。

トイレから正太郎(麻美)が出てくると、
「ーじゃあ、もう一度ー」と、強盗(正太郎)が呟いたー。

5人は頷くと、そのまま再びぶつかりあって
入れ替わろうとするー

「ーというか、なんで俺たち、ぶつかると入れ替わるんだよ?」
ホームレス(強盗)が言うと、
「ーあたしに聞かれてもわかるわけないじゃん!」と、麻美(ギャル)が
返事をするー。

強盗(正太郎)は「確かになんでこんな…」と、表情を曇らせるー。

”ぶつかった拍子に何らかのはずみで偶然入れ替わってしまった”
とは言えー、
ぶつかるたびに毎回毎回、都合よく入れ替わっているのは、何故ー?

「まぁいいさー、とっとと元に戻ろうぜ」
ホームレス(強盗)が言うー。

ぶつかる準備をしながら、
ホームレス(強盗)は周囲を見渡すー

”あの店員の言う通りー
 他のやつの身体を持ち逃げしてもー 
 ”個人情報”がすべてわかっちまってるから、
 どうせすぐに捕まっちまうー
 
 かと言って、俺の身体に戻ってもー
 コンビニに長居しすぎたし、顔も晒されちまってるー。

 くそっー”

”どうにかする方法はないか”
そんな風に思いながらも、ホームレス(強盗)は
”とにかく早いところ自分の身体に戻り、逃亡する”のが
一番だと考えていたー。

再びぶつかる5人ー。

すぐに起き上がる正太郎ー。
今後は”ギャル”の身体になっていたー
先ほど漏らしてしまったからか、ショートパンツの下の感触が
随分と嫌な感じで、シャワーに入りたいー

「ーーは~~~!?またこのゴミ!?」
ホームレス(ギャル)が叫ぶー
先ほどから、ホームレスの身体になるたびに、
ホームレス(ギャル)は怒りの形相で叫んでいるー

「ーーチッ」
正太郎(強盗)が舌打ちをするー。
強盗が中に入ると、その身体は
一転して険しい表情になるため、すぐに分かるー

「ーーー!わたし…!」
麻美が驚いた様子で叫ぶー

「ーわたし…元に戻ってる!」
とー

「ーーえ!?ホントに?」
ギャル(正太郎)が叫ぶと、
麻美は「え、、っと…真泉さんですか?」とギャルの中身が
正太郎だと確認してから「はい!」と嬉しそうに頷いたー

”よしー”
正太郎はそう思ったー。

あとは4人で入れ替わりを続けてー
元に戻った人から離脱していけばー
いずれーー

「ーーどいつもこいつも、俺を馬鹿にしやがって!!!」

ーー!?!?

ギャル(正太郎)が突如、コンビニに響いた怒声に驚いて顔を上げると、
そこには強盗の身体になったホームレスが、銃を握りしめて、
正太郎(強盗)や、ギャル(正太郎)、ホームレス(ギャル)に銃を向けていたー。

「ー俺だって好きでホームレスになったんじゃねぇ!」

カウンターに置かれたままだった強盗の銃を持ちながら
叫ぶ強盗(ホームレス)

「おい!テメェ!やめろ!」
思わず叫ぶ正太郎(強盗)ー

”自分の身体”で勝手に人殺しされてはたまらないー
強盗の男は金をとるつもりだったが
人殺しまでするつもりはなく、脅し目的で持ってきただけだー。

”意味がない殺し”は、しないのだー

「うるせぇぇ!俺だって…!俺だってなぁ!
 みんなしてくせぇくせぇくせぇくせぇ言いやがって!

 俺だってエロ本読みてぇんだよ!」

大声で叫ぶ強盗(ホームレス)は
銃を向けてーー

「ーやめて!!!!!!!!!!」
正太郎(強盗)に銃を向けた強盗(ホームレス)に突進する麻美ー

麻美が一番、強盗(ホームレス)の近くにいたため、
咄嗟の判断で、強盗(ホームレス)に麻美は飛び込んだのだー

天井に向かって発砲されるー

「ーーおい!やめろ!」
ギャル(正太郎)も、すぐに強盗(ホームレス)に駆け寄るー。

麻美が必死にしがみついているが、このままでは麻美が撃たれてしまうー。

「ーマジでやめなって!」
ホームレス(ギャル)が、そう言いながら駆け寄るー

「ー俺の身体を勝手に傷つけるんじゃねぇぞ!」
正太郎(強盗)も駆け寄りー

5人は再び乱闘状態にー

「ーーはなせ…!
 俺は…!俺は……!好きでホームレスなんか…
 離せ!全員、全員殺してやる!」

必死に叫ぶ強盗(ホームレス)が銃を麻美の方に向けたー

「やめろ~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
ギャル(正太郎)は大声で叫ぶー
強盗(ホームレス)に強烈な頭突きをお見舞いするー

乱闘状態になる5人ー

そしてー

「ーーーがっ…」

再び”入れ替わり”が起きたー

だがーー

「ーーお、、、おいおいおい…」
正太郎は、思わず唖然としながら叫んだー。

自分の身体に久しぶりに戻ってくることができた正太郎ー

しかしー

「ーー嘘だろ…?おいっ!!おいっ!」
正太郎が強盗の男に駆け寄るー

強盗は、先ほどの乱闘で、コンビニのカウンターに強く頭を打ち付けてー
頭から血を流し、目を見開いたまま、倒れ込んでいたー

「ーーちょっ…おい!救急車…!」
正太郎がそう叫ぶと、
「ーーあ、、あたしが呼ぶ…」と麻美(ギャル)が言い放ったー。

”まだ、全員元に戻っていないー”

正太郎は偶然、元に戻れたが
麻美は再び入れ替わってしまっていたー

いやー

正太郎はハッとするー。
頭から血を流して倒れ込んでいる強盗ー。

まさかー
この中にー

「ーー!」
正太郎は、ギャルとホームレスの身体のほうを見つめたー。

「ーーー…うへへへへ」
ギャルはニヤニヤしながら胸を揉んでいるー
中身はおそらくホームレスー

「…どうしよう…」
ホームレスは、戸惑いながら周囲を見渡しているー
中身は、麻美ー。

「ーーーー」
血を流す強盗のほうを見て、
正太郎は、不謹慎にも少し”安心”してしまったー

強盗の中身は強盗ー。
もし、さっきの乱闘で強盗が頭を打ち付けた際の入れ替わりがー
”自分”や”麻美”だったらー

大変なことになっていたかもしれないー

そんな風に思ったからだー。

救急車を呼び終えた麻美(ギャル)は、”5分ぐらいだって”と説明するー

「もう時間が…」
ホームレス(麻美)が不安そうに周囲を見つめるー。
救急車が到着すれば”ぶつかり合って入れ替わる”なんてことを
やってる場合じゃなくなる可能性が高いー

正太郎は叫んだー

「あと3人だからー
 救急車が到着する前に、みんな元の身体にー!」

とー。

正太郎と強盗は既に元の身体に戻っているー。
3人の組み合わせなら、あと何回か入れ替われば、戻れるはずー。

強盗は頭を打ち付けて頭から血を流したままー
正太郎は強盗の様子を心配しながらもー
残りの3人の様子も心配するー

三人がぶつかり合うー。

そしてー

「ーーーやった!!!やったああああああああああああ!」
ギャルが叫ぶー
ギャルは無事に元の身体に戻れたようだー。

最初は酔っぱらっていたギャルの身体も
一連の騒動の間に、すっかり酔いは醒めた様子ー。

お漏らししてしまっている部分を気にしながら
「ーあたしの身体で漏らしたやつ、誰だっけ?」と
怒りの形相で呟くー。

救急車の音が聞こえてきたー

「ーーうへへへへへ…」
麻美の身体で胸を揉むホームレスー

ホームレスの身体になった麻美が不安そうに
ホームレスのほうを見つめるー

「ーー俺が、身体を返すと思うか?」
ニヤリと笑うホームレス(麻美)ー

正太郎は”くそっ…”と思うー。

自分がホームレスの立場だったらー?
やっぱり、この状況で麻美に身体を返すなんて
しないだろうー

そんな風に思っていたその時だったー

「ーーあ~~!面倒くさい!いいから早くあんたも戻りな!」
ギャルが、麻美(ホームレス)の頭を掴んでー
ホームレスになって戸惑う麻美の方に、突き飛ばしたー

「ーーあぁあああああああああ!?!?」
麻美(ホームレス)が悲鳴をあげながら、ホームレス(麻美)に激突するとー

二人は無事に元に戻ったのだったー

「ーーーあ…」
麻美が自分の両手を見つめて微笑むー。

「ーーーあぁあああああ!」
ホームレスが泣きながら自分の手を両手に叩きつけるー

そして、救急車は到着したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あれから2週間が経過したー。

強盗は、結局助からなかったー。
状況の説明に相当てこずり、疑われもしたものの、
結局、コンビニ強盗が銃を持ってたのは事実でー
強盗の死は”事故”ということになったー

正太郎は、今日もコンビニでバイトを続けているー。

ホームレスは、噂によれば、あの直後、別の痴○事件を
起こして逮捕されたようだったー
事件の該当者や、警察も知らないことだったが
身体が入れ替わっていたのは、ホームレスの身体に原因があったー。
異常なまでに不潔な生活を送っていた彼は、
身体の中で、通常では起きない反応が起きて、入れ替わりを引き起こしていたのだー

とは言えー、
既に警察に逮捕され、身体をすっかり洗われている今ー
その現象について、明らかになることはないー。

ギャルはあの騒動の直後、平然と混乱するコンビニで
コンドームを買って「あたしは楽しかった」と言いながら
立ち去って行ったー
あの図々しさがあれば、どこでもやっていけるだろうー。

そして、麻美はー
コンビニのバイトをやめてしまったー。
強盗にホームレス、しかも入れ替わりー
さすがにトラウマになってしまいー
翌日、バイトをやめるという連絡を店長にしてきたのだー
店長も”とても申し訳なさそうにしていた”と、
麻美の退職を快諾したー。

「ーーはぁ~あ…
 俺の癒しが…」

正太郎は、寂しそうに今日もバイトを続けるのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー」

「ーーーーーーー」

「ーーーーククク」
自宅で、麻美は濃い口紅を塗り終えると、
太ももに手を触れて、静かに微笑んだー

あの時ー
頭を打ち付けて死んだ”強盗”の中身は
”強盗”じゃないー

起き上がって、”自分の身体”が頭から血を流しているのを見た彼はー

咄嗟に”麻美のフリ”をしたー

他の3人の中身が
正太郎・ホームレス・ギャルであることをすぐに察知した彼はー

”ここで俺が女のフリをすれば”と思い立ったー

案の定ー
残りの3人は頭から血を流している強盗の中身が、強盗自身だと誤解したー

あの身体の中には、麻美がいたというのにー

「ーーククク バカなやつらだぜー」

”俺の身体が死んだ”のは偶然だったー
でも、そのおかげでー

自然な形でバイトをやめることもできたしー

「ーーーこれからは俺が女子大生ライフを代わりに送ってやるよー」
麻美(強盗)は邪悪な笑みを浮かべて、静かに笑い出したー

おわり

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コメント

私の作品の中では比較的珍しい集団入れ替わりの
お話でした~!☆
(小説だと分かりにくくなっちゃうのであまり書かないのデス…!)

お読み下さりありがとうございました~~!!!

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