足裏モデル募集します! お試しコースから上級コースまで。ハードなチャレンジには謝礼を弾みます
※本小説は「実録‼ 足裏○問女子は実在した‼」でインタビューを受けてくれた「Fさん」をモデルとして登場させた妄想小説です。Fさんには許可を得ておりますが、内容はすべてフィクションです。
裸足フェチビデオを撮影するためモデル募集を行ったところ、「Fちゃん」から直ちに応募が! 二泊三日の足裏○問フルコースにより、Fちゃんの身も心も、もちろん足の裏もズタボロにします!!
一、足裏モデル募集します!
数年前に何気なく買っていた仮想通貨を売却したら、通帳の預金欄にバカみたいな数字が並んでしまいました。こんなあぶく銭を大事にしていたら、私の人生は狂ってしまうと感じたので、このお金は潔く趣味に費やすことに決め、SNSでこんな告知を行ってみました。
「足裏モデルを募集します。20代女性。動画を撮影し、販売します。裸足で外を歩いてもらったり、もっと過激なこともやってもらうかも……? 内容次第で謝礼は弾みます」
実は私は女の子の裸足や足の裏が大好きなのです。数年前、女子大に通っていた頃は寮住いをしていましたが、寮の中では女の子の足裏が見放題で、私にとっては天国みたいな空間でした。でも、さらに好きなのが女の子が裸足で外を歩いたりする姿で、大学で空手サークルに入ったのも「週2で公園で練習をする」という、ただそれだけに惹かれてのことでした。私はずいぶん邪な大学生活を過ごしていたと言わざるを得ません。
その上、女の子が足裏の苦痛も味わっていれば、なお最高で、サークルに入りたての新入生が「なんで外で靴履いちゃいけないんですかぁ」なんて泣き言を漏らしながら、砂利の散った道の上をひぃひぃ言いながら裸足で走り込みしている姿に、私は内心すごく興奮していました。真夏日にアスファルトが焼けていたり、真冬日に雪が積もっていたりすると興奮はひとしおで、もちろん私自身の足裏も熱いし寒かったんですけど、そんなこと本当にどうでも良くって、他の子たちが苦痛に顔を歪めながら裸足で走る姿を脳裏に焼き付けていました。
話を戻しまして……。今回の告知では3つのコースを用意しました。
1つ目は「お気軽お試しプラン」。単に裸足で外を歩いてもらうだけのもので、日当はそれなりです。
2つ目は「チャレンジプラン」。裸足で外を歩いてもらうのに加えて、画鋲の上を歩いてもらったり、足の裏にタバコを押し付けてもらったり……。いくつかのチャレンジの中から一つを選んで実行してもらうコースです。こちらを選ぶと日当もドンと弾みます。当日、怖くなったら辞めてもらっても構いませんが、その場合、日当は「お気軽プラン」のものになるのでガクンと落ちます。
で、3つ目が「玄人プラン」。火渡りや足裏への焼印など、本格的なチャレンジの一覧を用意しました。どれでも好きなチャレンジを選んで応募することができるし、どのチャレンジにもかなり高額の成功報酬を提示しています。1つと言わず複数選んで頂いても構いません。ただし、これに応募した場合、当日になって辞めるのは厳禁としました。
……まあ、実際のところ、「お気軽プラン」に一人でも二人でも応募があれば御の字かな、と思っていました。だから、告知したその日のうちに「玄人プラン」に応募があったことには驚きましたし、しかも、「希望するチャレンジ一覧」に冗談みたいな数のチェックが入れられてたことには、さらにびっくりさせられたのです。
二、面接
「そんなの、もちろん私の足の裏をメチャクチャにして欲しいからだよ」
喫茶店に現れた彼女ーー仮に「Fちゃん」としますーーに応募動機を尋ねると、Fちゃんは平然とこんなことを言いました。
二十代前半と思しきFちゃんは、涼し気な薄青のワンピース姿で、足下は素足にサンダル。席に着くや否やサンダルは脱ぎ捨てて、今は白いつま先をテーブルの下でぶらぶらと遊ばせていました。
「実はさ、こういうチャンス、待ってたんだよね」
とFちゃん。
応募を見て、私がまず疑ったのはイタズラの類でした。しかし、実際に彼女が面接に来たことで、それはひとまず否定されました。次に疑ったのは、彼女には実は莫大な借金があって、誰かに強いられて応募させられたのではないか、ということだったのですが……。
「私もね、あなたと同じ。女の子が足の裏を痛めつけられるのに興奮しちゃうし、そういう動画見るのも大好き」
Fちゃんはエヘヘと笑いながら、そう言うのです。
「でも、あなたと違うのは、私は自分の足の裏をボロボロにされたいんだよね。それに、そんな私の可哀想な足の裏を見て他の人にも興奮して欲しいし……。だから、機会があったら、モデルとか絶対やってみたいなって……。でもさ、海外だとそういうコンテンツとかモデルの募集とか結構あるけど、日本だと全然ないじゃん?」
それからも彼女は足裏○問の魅力を滔々と語ってくれました。足裏○問系のビデオクリップを探すのが趣味だとか、自分で自分の足の裏を○問したこともあるとか。そういった話を聞く限り、彼女は明らかに同じ穴のムジナなのです。私との面接中も目をキラキラと輝かせており、お金のために嫌々ながら……といった悲壮感は全く感じさせませんでした。
「ねえ、これも見てよ」
と言って、彼女はpixivを開き、ある作品を見せてきます。これはFちゃんが前に好事家の人からインタビューを受けた時のものだそうです。というか、私もこのインタビュー記事は知っていたので、目の前の人が「あのFちゃん」なのかと、内心ちょっと衝撃を受けていました。「Fちゃんのような子が応募してくれないかな」という期待を抱いて募集した面もあったのです。
なので、私はすっかり前のめりになって、じゃあ、今回の撮影、本当にやってくれるんですね、と改めて尋ねました。するとFちゃんは、カバンから何枚かの書類を取り出しながら、「いいけど、条件があるの」と切り出します。
「こういうのって、後で事件とかになっちゃいけないから、契約書をね、しっかり作ってきたの」
キッチリと作り込まれた契約書が私の目の前に並びました。書面の堅苦しい言葉使いに辟易としながら流し読みしていると、「ちゃんと読んでね」とFちゃんに釘を刺されてしまいます。
すると、確かに、見過ごせない一節が飛び込んできました。「契約履行の義務」という項目です。Fちゃんがそれを指差します。
「ここ、大事なところだから、分かりやすく説明するね。まず、契約書にお互いがサインした後、私が身勝手な事情や理由で、この撮影をキャンセルした場合は、私があなたに違約金を支払います」
違約金の額として莫大な数字が並んでいます。こんなお金をFちゃんは払えるのでしょうか?
「で、もう一つ。撮影を開始後、あなたが撮影を完遂できなかった場合は、逆に私に違約金を支払ってもらいます」
こちらにもとんでもない数字が並んでいます。こんな額の違約金を支払わされたら、私のあぶく銭も消し飛んで破産してしまいます。
「つまりね、条件っていうのは」
Fちゃんは印刷してきた「チャレンジ一覧表」を取り出して机の上に並べました。ほとんどの項目にチェックが入っています。
「ここにある足裏○問を全部、私にキチンと味わわせること。私が泣いて許しを請おうが、死ぬ程に苦しもうが、絶対に許さずに最後まで全部やりきること。できる?」
私は一瞬、返答に詰まってしまいました。確かに、女の子が足の裏をボロクソにされて苦しむ姿は見たいです。見たくてたまらないです。でも、これ程の内容となると……。しかも、それを確実に最後まで履行しなければならないと言われると、私の方にも覚悟が求められてしまいます。けれど、目の前のチャレンジ一覧は……あまりに魅力的に私の目に映っていて……。
この機会を逃したら、二度とこんなチャンスは回ってこないことを私は知っていたのです。
三、焼印
「すごい! 素敵!」
目の前に現れた小洒落たペンションを見た瞬間、助手席に座るFちゃんが明るい声を出して喜びました。
あの喫茶店での面接から二週間後ーー。
私はレンタカーを走らせて、海沿いの貸ペンションへとFちゃんを招いたのです。後部座席には十分な量の食料と、様々な機材が詰め込まれています。
私達が訪れた貸ペンションは洋風建築で、年季こそ入っているものの、白く綺麗に塗られた外観が真夏日の日光の下でキラキラと輝いています。すぐ目の前は海で、打ち寄せる波音と蝉の声だけが辺りに響きます。
この一帯は交通の便が甚だ悪いためか、他に家は一軒もなく、現地の住民もめったに立ち寄りません。「ほとんど人が来ない閑静な貸しペンション」を探した結果、私が見つけ出した物件でした。つまり、Fちゃんがどれだけ泣き叫び、悲鳴を上げようと、誰にも聞こえないということです。
「ここで三日間、過ごすんだね」
車から一緒に荷物を下ろしながら、ワンピース姿のFちゃんが嬉しそうに言いました。家の中に入ってみると、掃除も行き届いており、内装もよく整っています。
今回、Fちゃんからリクエストされたチャレンジ一覧を真面目に検討したみた結果、全メニューを味わってもらうには最低三日は必要だという結論に達し、二泊三日での○問旅行を企画したのです。なお、Fちゃんには言っていませんが、ペンションは五日分予約しているため、三日で終わらなければ延長します。
一通りの荷物を運び入れた後、Fちゃんにサンダルを脱いでもらい、私はFちゃんの目の前で、車のキーと彼女の靴をまとめて金庫に入れて、鍵を掛けました。最寄りの駅やバス停まで、とても歩いていける距離ではないので、これで彼女は全メニューを味わい尽くすまで絶対にここから逃げられません。「Fちゃん、全部終わるまで、三日間ずっと裸足ね」と私が告げて、Fちゃんが素直にコクンと頷きます。
さて、時間は午前十一時。昼食まではまだ少し時間があるので、今回予定されている八つの○問メニューのうち、早速一つ目を味わってもらうことにします。
部屋の各所にビデオカメラを設置し、部屋のクーラーもガンガンに稼働させます。それと換気扇を回して、七輪に炭を入れ、火を付けます。なかなかうまくいかないので、Fちゃんにも団扇を渡して火起こしを手伝ってもらいました。二人で七輪を囲んで、汗だくになりながら悪戦苦闘しているうちに、ようやく炭に火が回ってきたので、頃合いを見計らって、私は持参した器具を七輪の中へと突っ込みます。
それは二種類の焼きごてでした。木の柄が付いた三十cmほどの小さな焼きごてで、一つは「足裏」、もう一つには「○問」の文字が書かれています。今回のために注文したオーダーメイド品でした。それらを七輪の中へ突っ込んだまま、私とFちゃんはドキドキしながら焼印が熱されるのを待ちます。
「じゃあ、きちんと焼印を押せたら契約成立ということで」
と、私が言うと、Fちゃんは汗ばんだ顔に笑顔を浮かべて頷きます。
違約金の支払いに関して、私からも逆に条件を付けさせてもらったのです。まず最初に、Fちゃんには自分の両足裏の土踏まずに、自分の手で焼印を押して貰います。それを立派に達成できたなら、契約は成立ということで、お互いに履行の義務が発生します。彼女が本気で足裏をメチャクチャにしたいのかどうか、確認するためでした。
「えへへ、ドキドキするね」
Fちゃんは赤く熱されていく焼きごてをキラキラした目で見つめています。
そろそろ十分でしょうか。七輪から取り出した「足裏」の焼きごてをFちゃんに手渡すと、彼女は頬を上気させながら、あぐらを組みました。今は真っ白で傷一つ無い、小さくて可愛らしい左足裏を私の前に晒してくれます。こんな愛らしい足の裏が三日間の○問で一体どんなことになってしまうのでしょうか。
「十秒、数えてね」
と、私。Fちゃんはウンと頷いて、左足裏の土踏まずの上へと焼きごてを構えました。
「じゃあ、どうぞ。焼いていいよ」
「うん」
うん、と頷いたFちゃんですが、その手は動きません。左足裏の土踏まずに狙いを付けたまま、そのまま停止しています。微動だにしません。
「どうぞ、遠慮しないで。焼きごて、しっかり焼けてるから、大丈夫だよ」
「うん……」
「Fちゃん、足の裏、メチャクチャにしたかったんだよね? ほら、大火傷できるよ。Fちゃん、最初だけ頑張ったら、あとは私が責任持って足の裏ボロクソにしてあげるから」
私が急かしてもFちゃんは動きません。Fちゃんの息がだんだん荒くなってきます。顔にも脂汗が浮かび始めます。焼きごてを持つ両手がブルブルと震え出しますが、それでも手は動きません……。
「いったん、置こうか」
「うん……」
Fちゃんは七輪の中へと焼きごてを戻して、それから過呼吸気味になっていた呼吸を落ち着かせるべく、何度か深呼吸をしました。
実は私は、正直、この時点で半ば諦め、半ばホッとしていました。Fちゃんの提出してきたチャレンジ一覧はそれは無茶苦茶なものだったし、あれを全部やりきることに私としても少なからぬ恐れを感じていたからです。Fちゃんのセルフ焼印は見てみたかったので残念でしたが、まあFちゃんには、代わりにちょっとしたチャレンジをやってもらって、後は一緒にペンションで三日遊ぶだけでもいっか、という気持ちに、ほとんどなりかけていたのです。ところが……
突然、Fちゃんの手がガッと焼きごてを掴みました。
「……!」
そして、次の瞬間には彼女の左足の土踏まずに、焼きごてが力いっぱい押し込まれていたのです。
「いち、にッ、さん、し、ご、ごッ!」
小さな足の裏でジュウと肉の焦げる音がして、焼きごてを押さえるFちゃんの両手がぶるぶると震え出します。足裏から濁った灰色の煙が立ち上り肉の焦げる臭いが立ち込めますが、それでも彼女は目をキツく結んでカウントを続けました。
「ろくッ、し、しちッ、はちッ、きゅ、キュウ! じゅッ!」
ひいッと悲鳴を上げながらも、義務を果たしたFちゃんは手の中の焼印を七輪の中へと戻しました。それから、
「あ、あああッ、あ、あッ!」
左足裏の土踏まずを両手で必死に押さえて、座ったまま火傷の痛みに堪え続けます。固く結んだ両目から溢れ出した涙が顎を伝って、左足のくるぶしのあたりにポタポタと落ちていきます。
「痛ぃ……痛いっ、痛い痛いッ!」
全身を震わせながら必死に痛みに耐えている彼女を見ていると、私はさっきまでの気後れなんかどこかに吹き飛んでしまい、すっかり興奮して、七輪に刺さっているもう一本の焼きごてを彼女に差し出しました。
「Fちゃん、おかわりどうぞ。右足の裏にも、ほら!」
彼女は酷く震える手で焼きごてをなんとか受け取ります。
「ひッ……ひぃッ、ひッ」
あぐらの足を組み替えて、右足の裏を上にして晒します。こちらの足裏は当然ながら真っ白で綺麗なままです。Fちゃんはその土踏まずに焼きごての狙いを定めますが、今度も手は動きません。当然です。実際にその痛みを知った今、この破滅的行為を体が全力で拒否しているのでしょう。
「Fちゃん、気合い入れて。焼印、足の裏に押し付けて。あんまり愚図愚図してたら、やる気がないと見なして失格にしちゃうよ」
「や、やだっ! やだっっ!!」
Fちゃんは嫌がる体を無理強いして、足裏へと焼きごてをじょじょに近付けていきます。
「ひッ、ひいい」
情けない悲鳴を漏らしながら、酷く震える手で、ようやく焼印を白い足裏に押し付けます。ジュウ……と焼印が小さな音を立てた後、「きゃああッ!」と大きな悲鳴を上げてFちゃんは体をガクガクと震えさせました。
「手を放しちゃダメ! 早く十秒数えて!」
「いっ、い、いちィツ!」
「頑張って!」
もう私の中から、さっきまでの躊躇いなど吹き飛んでいました。彼女に酷いことをしなければならないという恐れよりも、彼女にむごたらしい○問ができる楽しみやワクワク感の方が遥かに勝っていたのです。
なんとか十秒を数え終えたFちゃんは、手から焼きごてを取り落して、悲鳴を上げながら転がって苦しみ出します。危ない! 私は焼きごてをすぐに拾って七輪へ戻しました。彼女の身体に一切傷を付けないことも契約書に盛り込まれているのです。もちろん、足の裏以外の話ですが。
そのまま数分以上に渡って、Fちゃんは転がったまま、丸まって、足を強く握って、泣き続けました。「どんどん……どんどん、痛みが、酷くなって……」と彼女は涙声で言います。私は彼女を優しく抱きしめて、「頑張ったね、よく頑張ったね」と耳元で囁きました。
「Fちゃん、おめでと。ちゃんと両足裏に焼印押せたね。これで契約成立だよ」
「う、うん!」
「あとは私が責任を持って、Fちゃんの足の裏ズタボロにしてあげるから。三日間、足の裏に関しては私に絶対服従。全メニュー残さず味わってもらうからね」
「はぃ」
「Fちゃん、足を伸ばして座って」
「はぃ……」
Fちゃんが唇を噛み締めながら、私の命令どおりに座って、足裏を揃えてこちらに向けてくれました。私はビデオカメラを手に取り、彼女の足裏を接写撮影します。両足の土踏まずには「足裏」「○問」の文字が綺麗に刻まれて、赤黄色く変色し、その周囲は赤く腫れ上がっています。とはいえ、この4文字が綺麗に読み取れるのも今だけでしょう。
なにせ、これからFちゃんの足裏にはさらにむごたらしい○問が幾重にも重ねられていくのですから。
四、火渡り
ダイニングテーブルを挟んで、私とFちゃんはペスカトーレロッソのスパゲティを啜っていました。と言っても、レトルトですが。私がサッと作ったものです。焼印後はひどく泣き喚いていたFちゃんですが、今はもう落ち着いており、スパゲティを少しずつ口にしています。
足の裏はどう? と私が尋ねると、
「まだメチャクチャ痛い……ていうか、どんどん痛くなってるね」
とFちゃん。冷房はガンガン効かせているのに、彼女の顔には脂汗がずっと浮かんでいます。足裏の痛みはいわゆる灼熱感というやつでしょう。通常の怪我とは違い、火傷はこれがあるので耐え難い痛みになります。すぐに流水で冷やせば多少はマシになりますが、今回は彼女の足裏を痛めつけるための三日間なので、そういった処置は一切する気がありません。
なお、今回の全メニューを味わってもらえば、Fちゃんの足の裏には一生消えない傷が無数に刻まれることになるはずですが、Fちゃんは「記念だからいいよ」とのことで気にしていないようです。
「ちょっと熱っぽいかも」
とFちゃんが言うので熱を測ってみたら、確かに三十七度を少しだけ超えていました。火傷は患部の痛み以外にも様々な症状を引き起こします。じきに頭痛や腹痛、筋肉痛、吐き気なども襲ってくることでしょう。とはいえ、熱が出ようが嘔吐しようが、そんなことは関係なく、Fちゃんの処刑は粛々と執行していくだけです。なにせ、もう契約は成立したのだから、私としても今更止めることはできません。Fちゃんにしても、そんなことどうでもいいから足の裏をグチャグチャにして欲しいと思っているに決まっています。
スパゲティを食べ終わったFちゃんは右足の裏を椅子の上に乗せて、そこに刻印された火傷を見つめながらニヤニヤしています。足の裏の大火傷が嬉しくてたまらないといった様子です。その姿があまりに可愛らしかったので、
「ねえ……Fちゃんは、どうして自分の足の裏をボロクソにしたいの?」
と私は尋ねてみます。Fちゃんは、「だって、私の足の裏、かわいいじゃん」とサラリと言います。
「こんな可愛い足の裏がさ。めちゃくちゃ酷いことされて、グチャグチャのズタズタになって、見た瞬間に吐き気がするような、世界で一番おぞましい最悪の足の裏になったら、すごい興奮しない?」
「する」
私も即答します。そんなFちゃんの足の裏、見たいに決まってます。
「だからさ、私の足の裏、そんな最低最悪の足の裏にして欲しいの。世界中のどんな足の裏よりも醜い、むごたらしくておぞましい足の裏にしたいの。そのためならどんなに痛くても苦しくても、私、頑張るから、あなたにも最後まで頑張って欲しいの」
Fちゃんは目をキラキラと輝かせ、本当に嬉しそうに言うのです。自分の足の裏がボロクソのズタズタにされ、極限まで痛めつけられて、人間のものには到底見えないような最悪の足の裏にされる妄想を、彼女はこれまで一体何度繰り返してきたのでしょう。
「でも、焼印、思った以上に……痛かった。煙草とか、足の裏に自分で押し付けたことあるけど、もう全然痛みの程度が違って」
だからさ、とFちゃん。
「私……これから、泣き言とか、もう止めてとか、たくさん言うと思うけど……」
「うん、大丈夫。私、絶対、止めないから。Fちゃんのこと、最後まで絶対に逃さないから。たくさん弱音吐いていいよ」
「……ありがと」
昼食の後、二人で紅茶を飲んで、Fちゃんにもう一度正座してもらって足裏を確認しました。「足裏」の文字と「○問」の文字の周りに大きな水ぶくれが現れてプックリと膨らんでいます。
「じゃあ、午後のチャレンジ、やろっか」
「うん」
私はFちゃんを誘って外に出ました。今日は四十度近い真夏日でカンカン照りです。
「あちっ、あちち」
ペンションの真ん前の砂浜に移動すると、裸足のFちゃんは砂の上で熱そうに両足を踊らせ始めます。私も靴を脱いで少し裸足で歩いてみましたが、あまりの熱さにすぐに耐え切れなくなって靴を履いてしまいました。その上、Fちゃんから「靴脱いじゃダメだよ!」と怒られてしまいます。
「足の裏に○問されるのは私だけの特権なんだから。ね?」
そう言いながらも、Fちゃんは辛そうに足を上下させています。両足裏に火傷をこしらえているFちゃんには、この砂浜の熱は相当のものでしょう。
足を飛び跳ねさせているFちゃんに、用意しておいた薪を並べるように指示し、私は薪の上に枯れ葉や枯れ枝などを載せていきます。そう、次のチャレンジは火渡りです。
「これ、楽しみだったんだ~」
Fちゃんが明るい声を出して言います。
「お寺とかでやってる火渡りに参加したことあるけどさ、一般客が渡る時には熱くもないし火傷もしないようになってるんだよね。ちゃんと火傷する火渡り、やってみたかったの。私、結構、自信あるよ」
Fちゃんいわく、彼女は普段から趣味でセルフ足裏○問を行っており、真夏のアスファルトの上をよく裸足で歩いてるので、熱さには耐えれるはず、とのことです。とはいえ、今、現に砂浜の上で、彼女は足を飛び跳ねさせているのですが……。彼女にそれを指摘すると、
「平気だもん」
と言って、Fちゃんは足裏をべたりと砂浜に着けますが、一分もしないうちに「あっつ!」と言って、また素足を飛び跳ねさせました。そんなFちゃんがすごく可愛くって、思わず顔が綻んでしまいます。
さて、火渡りの準備ですが、やっぱり火を付けるのにだいぶ苦戦してしまいました。実に一時間近く経ってから、ようやく火の道に炎が舞い始めます。そうしている間にも真夏の太陽はドンドン輝きを増していき、Fちゃんは最後の方はもう耐えれないといった感じでピョコピョコと砂浜の上を飛び跳ね続けていました。
一度、正座させて足の裏を観察すると、焼印を押した土踏まずだけでなく、足の裏全体が真っ赤に腫れ上がっています。一時間も砂浜の上に裸足で立たせていたせいでしょう。これは今回の○問メニューには含まれていませんが、特に配慮をする理由もないのでしません。
「正直、早く火渡りして、家の中に帰りたいね」
半泣き半笑いでFちゃんはそんなことを言っています。
ですが、いよいよ火渡りの準備が整い、スタート地点に立ってもらうと、彼女はそこでやっぱり動きを止めてしまいました。
「ここに立ってるだけで……もう爪先が熱いんだけど」
そう言って私を振り返って半笑いの表情を見せます。
今回作った火の道は十メートル。一番下に敷いた薪には火が燃え移っており、そこから伸びた炎の舌が、枯れ葉や枯れ枝の間からチラチラと顔を出しています。ちょうど渡り時の火加減ではあります。
「Fちゃん、早く渡らないと、どんどん炎が回っていくよ」
Fちゃんはコクンと頷きます。私としてはもっともっと燃え盛ってくれても構わないのですが……。
その後、Fちゃんはスタート地点で何度か深呼吸をしてから……今回も、唐突に足を踏み出しました。かわいい素足が火の道を踏みしめます。そのまま、チャッ、チャ、チャッと早足で数歩歩きますが……
「ひッ、ひぃ、ひいいいッ!!!」
また情けない声が漏れ始め、火の道の上で踊るように素足を飛び跳ねさせます。それでも必死に、必死に、少しずつ前へ進んでいます。Fちゃんの足が飛び跳ねるたびに、火の道では赤い火の粉がパッ、パッと綺麗に舞い上がります。
「あッ、熱い! 熱ぃィッ!!」
そのまま踊るように飛び跳ねながら、10秒ほどかけて、無様な姿で火の道を渡り終えたFちゃんは、「ひい」と悲鳴を上げて砂浜の上で転がって苦しみ始めます。しかし、砂も熱いので、のんきに転がってはいられず、Fちゃんは砂浜の上でも身を捩ってバタバタと暴れます。激しく暴れる彼女の両足の裏をなんとかカメラに収めましたが、赤く腫れ上がっていた足裏は、灰で黒く汚れながらも、さらに赤味を増したように見えます。
Fちゃんは涙目になって、何かを言いたそうな顔で私を見つめてきます。
ああ、と気付いた私は、
「家に帰りたいんでしょ? まだダメだよ」
と、涙目の彼女に水の入ったバケツを押し付けます。
「先に後片付け。全部、ちゃんと火を消してからだよ」
彼女はバケツを受け取ると、ギクシャクとした足取りで火の道に戻り、バケツの水で必死に消火を始めます。その間、私は火が消えたところから、スコップで土を被せて後始末していきます。
「水が足りなくなったら汲んできてね」
と言って、私は波打ち際を指差します。Fちゃんは、熱い砂浜の上を、火傷した足裏で、水に満ちた重たいバケツを両手に提げて何度も何度も往復しました。
五、砂利道ランニング
ようやく家に戻ったFちゃんは汗だくです。ソファの上に座り、涙を浮かべた両目で自分の足の裏をまじまじと見つめています。いまやFちゃんの足の裏一面は真っ赤に腫れ上がり、全体が水ぶくれに覆われていました。中でも焼印を押した土踏まずの水ぶくれはブクブクとグロテスクに膨らんでいます。そんな痛ましい足の裏を見ながら、Fちゃんはニヤニヤしはじめます。
「えへへ、私の足の裏、グロくなってきた。もっとボロクソにしたいな……」
「うふふ、良かったね。ずっと、足の裏、こうしたかったんだよね。痛みはどう?」
「メッチャ痛い。ズキズキして、耐えれないくらい痛い。息するたびに痛い」
彼女は笑顔で、自分の足の裏がいかに酷い痛みであるかを教えてくれます。
「でも、まだまだ始まったばかりだからね。足の裏、もっともっと酷いことになるからね」
「うん!」
そう言ってFちゃんはにっこりと笑いました。
うーん、まだまだやる気があるし、喜んでますね。そんなFちゃんも可愛いんですけど……。早くこの顔を泣き顔一色に染め上げて、もう許して!と泣き言を言わせて、こんなチャレンジを始めたことを心の底から後悔させてあげたい。私は強くそう思いました。それに、Fちゃんもきっとそうなることを望んでいるはずです。
「火渡りね、最初の数歩はそうでもなかったんだけど、すぐにメチャクチャ足の裏が熱い、というか、痛くなって、最後までちゃんと歩こうと思ってたのに、耐えれなくて飛び跳ねちゃった」
「真夏のアスファルトで鍛えてるから自信あるんじゃなかったの?」
「そうだったんだけど、やっぱり直火はメッチャ熱いね。えへへ、えへへへ」
そう言ってFちゃんは、足の裏を見つめながら、またニヤニヤした笑顔を浮かべます。
「思った以上に、辛くて、苦しくて……足の裏痛くて、とっても良かった☆」
ニヤニヤしているFちゃんを見ていると、早く彼女を泣き喚かせてあげたい、と強く思いました。
「Fちゃん、じゃあ、休憩終わりね。行こ」
いまは午後二時前。私は休憩を予定よりも早く切り上げて、Fちゃんを外に連れ出すことにしました。せっかくのカンカン照りなのだから、今のうちに次の足裏○問を味わわせてあげるべきだと思ったのです。
Fちゃんはまたすぐに外に戻されることに気付いてビクッと怯えましたが、この三日間は私に絶対服従なのですから逆らえません。私に急かされるまま裸足で外に出て、火傷した足で辛そうに歩き出します。今度は海とは逆側の裏手を通って、砂利道へと到達しました。そう、次のメニューは砂利道ランニングです。
「あ! 私、これ、すっごく楽しみだったんだ!」
とFちゃん。私も同じです。とっても楽しみにしてました。カンカン照りで砂利が熱を持っている間に、Fちゃんを走らせてあげましょう。
私が砂利道の上に乗るよう指示すると、Fちゃんは腫れ上がった足裏を熱された砂利の上で踊らせます。
「熱っ、熱い!」
試しに砂利を拾って握り込んでみると、熱すぎてとても握っていられません。おそらく60度近くまで熱されているのではないでしょうか。
「じゃあ、ここから10kmだよ。気張って走ろっか」
「はい!」
Fちゃんは元気よく返事をして、すぐに駆け出しました。赤く腫れ上がり、酷い水ぶくれをこしらえた足の裏を、尖った砂利の上に叩きつけながら結構なペースで走り続けます。ランニングウェアに着替えた私も彼女を追って走ります。もちろん私はランニングシューズを履いてますが、それでも40度近い熱暑の中、ビデオカメラを抱えて10kmも走るのは私にとっても大変なことです。
ですが、1kmも走った頃には、早くもFちゃんのペースが落ちてきました。足裏の痛みを酷く訴えるので、一度座らせて、確認してみたところ、焼印で出来た水ぶくれが綺麗に破れており、また、足裏のあちこちの水ぶくれも同様に破れていました。
「火傷に……砂利が突き刺さって。マメが破れたみたいな痛みも加わって……メッチャクチャ、痛い……」
彼女は汗だくの顔に笑顔を浮かべながら、今の足裏の苦しみを私に教えてくれました。全面を火傷した足の裏で、尖った砂利を踏みしめながら走っているのですから……痛くないはずがありません。
それでも水分補給を済ませると、彼女はいくらかペースを取り戻して走り続けました。実はこの砂利道ランニング、彼女が最も楽しみにしていた足裏○問の一つなのです。「火渡りとかはできると思うけど……裸足で10km砂利道を走るなんて、絶対にメチャクチャきついから、やりたい!」と、面接の時から目を輝かせて言っていたのです。
3kmを走った辺りから、Fちゃんの足取りは急にもつれ始めました。そして、それからすぐに彼女は走れなくなりました。時刻は午後三時。まだ太陽はギンギンに輝いており、Fちゃんは全身汗だくで、玉のような汗を顔中に浮かべ、両目からボロボロと涙をこぼしはじめます。小さな悲鳴を漏らしながらも、Fちゃんは熱された砂利の上を少しずつ歩き続けます。
ーーそれから六時間後。
「ひッ……ひぃッ、ひ、ひィぃ……」
力ない嗚咽を漏らし、顔面蒼白になったFちゃんが、口元とワンピースをゲロまみれにしながら、真っ暗な田舎道の砂利の上を、それでも必死に歩き続けていました。両足を重そうに引きずりながら、必死に、一歩一歩、前へと進んでいきます。
私は持参したライトで彼女を照らしながら撮影し、彼女の足取りが鈍ると、「楽しみにしてた砂利道だよ!」「足の裏痛いでしょ、嬉しいでしょ!」「頑張って最後まで歩こう!」と必死に声を掛けて励まし続けました。残りは約1km。正直、私も最後の方はメチャクチャ疲れていましたが、彼女にすべての○問を完遂させるのが私の責務なのです。
Fちゃんはランニングの途中で嘔吐していました。午後七時くらいのことだったでしょうか。前触れもなく、突然、口からドロッとしたものが溢れ返って、彼女のワンピースを汚したのです。また、Fちゃんは二度ほど失禁していました。砂利道ランニングの間は砂利道から降りるのを禁止していたのもありますが、ズタボロのFちゃんは自分が失禁していることにすら気付いていなかったのかもしれません。
残り1kmに入ってからの道程は苛烈を極め、午後十一時頃、彼女はようやく10kmの砂利道を踏破します。実に9時間もの苦闘でした。
心身ともにズタボロに成り果てゴール地点で動けなくなった彼女を家まで引きずって帰り、改めて室内のライトの下で彼女の様子を観察すると、それはそれは酷い有様でした。砂利に削られた足の裏は皮が一面剥がれ落ちており、火傷で腫れ上がった赤い皮膚が露出しています。顔は真っ青で、鼻からは鼻水が、口からはゲロと涎が垂れ出て、汚らしく顔にこびりついていました。服はゲロと失禁で汚れて、酷い匂いを放ち、襟元のゲロ汚れにはハエがたかっています。
食事は受け付けませんでしたが、ゼリー飲料を差し出すと、なんとか口に含んで飲み下しました。しかし、冷や汗がずっと止まりません。体も小刻みに震え続けており、足裏の痛みだけではなく、気温40度の中での10kmのランニングがFちゃんの全身を痛めつけたことは明白でした。
Fちゃんが心から楽しみにしていた砂利道ランニングでしたが、彼女はしっかりとその苦しみを味わい切ったのです。憧れのチャレンジを心ゆくまで味わうことができて、本当に嬉しかったに違いありません。
Fちゃんは完全に憔悴しきって、床の上でグズグズと力なく泣き続けていますが、そんな彼女に私は朗報を届けてあげました。
「Fちゃん、とってもお疲れさま。すごく頑張ったね。今日の○問はあと一つだけだから、これを味わったら今日はもう終わりだよ」
フォロワー以上限定無料
全文が読めます
無料