【日記※閲覧注意】2021年9月11日「映画感想回」【ネタバレ注意】
こんばんは!
あおたこです。
最近観た映画感想回になります。
観た映画一覧
・『群がり』
・『最強のふたり』
・『孤狼の血』
・『ボブ・ロス: 楽しいアクシデント、裏切りと欲』
・『ローズマリーの赤ちゃん』
・『ミッドサマー』
・『レッドクリフ Part.1』
※※※テンプレ注意書き※※※
この記事には映画のネタバレを…なるべく含まないようにしていますが…やっぱり含まれちゃってます。
私の感想をきっかけに「おっ!これ観てみようかな~」と、なってもらえたら最高ですが、どうしても内容を知ってしまうことに。
できれば初見で本編を観てほしいので、上記のタイトルを未視聴の方はこの記事を読まないのをおすすめします。
また、独断と偏見により、映画の評価もしています。
この記事を読まれた方が大好きな作品を…★1とか2にしていたり、逆にまったく面白いと思わなかった作品に★4とかつけてるかもしれません。
そのへんはどうか、あらかじめご承知おきください。
『群がり』
(2020年) ★★★☆☆
荒井昭二もニッコリのフランス映画です。
(荒井昭二を知らない方はすいません。『学校であった怖い話』というゲームの登場人物です。)
非常に…惜しい!そんな映画でした。
殺人イナゴや、どんどん気が狂っていく母など、題材としてはすごく面白かったですし、中盤まではものすごく引き込まれました。
ただ…オチが…弱い気がする。
なんかもっと、取り返しのつかない感じになってほしかった。
インセクトパニックムービーというよりは、若干スリラー寄りというか。
主役はイナゴじゃなくってお母さん。
お母さんにあるのは、ただただ、愛です。
子どもたちを養うために必死に努力して頑張っている。
ただ、その努力の向き先がおかしく…あまり人の忠告を聞かないタイプの、頑固な性格が災いしてどんどん後戻りできない局面へ向かっていく…という感じです。
冷静な、神視点の視聴者からすると、「そいつと再婚してワイン畑やれや!」とか、「娘の言う通り農場売って引っ越せ!」となるんですが…。
お母さんからしたら引くに引けない、というよりは、”血液でイナゴの繁殖がうまくいく”ことに、自分だけが気づいているという優位性というか、チャンスを捨てることができないんだと思います。
自分だけが気づいているって状況、ものすごく快感だと思うんですよね。
そんなお母さんが、売れる保証がまったくないゲーム作りをずっとやってる自分とダブってしまって、なんだか複雑な気持ちになりました。
しかし…虫に殺される系って、「ひゃ~~~~あ!」ってなるんですが、なぜか目がはなせない。
『ミスト』という映画にも、そんなシーンがありましたね…。
Netflixオリジナル作品らしく、Netflix以外での視聴方法があるかはわかりませんが…オチ以外はわりと楽しめました。
リョナ系の虫○が好きな人にもおすすめかも。
カリム…。
『最強のふたり』
(2011年) ★★☆☆☆
荒井昭二もニッコリのフランス映画です。
たまたま連続でフランス映画…。
私は「Earth, Wind & Fire」の「September」は大好きなので、オープニングから引き込まれました。
内容はなるほど…いかにもヒューマンドラマって感じ。
しかも実在の人物をもとにしているそうですね。
たしかにいい話なのですが、なんだかんだで悪いことをしまくってるドリスのことがいまいち好きになれませんでした。
こういう、型にはまらないタイプの行動派な人間じゃないと、フィリップのことは救えなかったんだろうなとは思います。
芸能人にもたくさんいますよね。
素晴らしい演技をしたり、音楽を作ったりしている一方で、過去に大なり小なり犯罪に手を染めていたヒトとか。
作品とその作者は分けて考えなければいけないというのはわかっています。
例えば、ヤクザ映画や犯罪映画だとかは、ある程度そういう道で生きてきた人じゃないと、迫力というか説得力がでませんし。
なんだかんだ、生き方って顔に出てくると思うので。
Vシネマに出てる人のほとんどは、人を殴ったりしてきた経験があるはずですから。
全員とはいいませんが、その被害者の中には私のようなカースト底辺の人間もいたでしょう。
自殺を考えたりした人もいたかもしれません。
芸能はそういった面と切っても切れない部分があります。
ただ…やっぱり直接悪いことをしているシーンをみてしまうと、「なんやコイツ…」って思っちゃうんです、私は。
ドリスは…ちょっとそのへんの描写が多いというか…よく言われる、”不良がたまにいいことをしたらすごく褒められた”って現象に近いものがある気がする。
性格はまんま、NTRもののイキリ系竿役な感じです。
違反駐車の人間にズバッと文句をいったり、子供に説教したりと、いいこともするのでまったくの悪人ではないんですが…なんかねぇ。
一番「えぇ…」って思ったのが、フィリップの誕生日にクラシック楽団を読んでコンサートしたあと、ドリスが「俺はこんな音楽のほうがすき」といって、そのクラシック楽団の目の前で「Earth, Wind & Fire」の「BOOGIE WONDERLAND」かけるシーンがあるんですが…。
あれはねえよって思いました。
クラシック楽団に対して非礼すぎるし、なんか映画の演出なのかなんなのか、楽団含めてみんな楽しそうにしてましたけど、普通は怒って帰ると思いますよ。
もちろん、前フリとして…フィリップはそういう誕生日をつまらなく思ってたっていうのはあるにはあるんですが…それにしても心がなさすぎるだろと。
一旦、楽団みんな帰った後に、ひっそりと「Earth, Wind & Fire」かけて踊るってんならまだわかりますが…なんだかここが一番、こいつらクソ野郎だなと思っちゃいました(フィリップ含め)。
ネットでそのシーンの評価なんかを調べたんですが、あのシーンはすごく感動したという意見が多数というかほとんどでした。
たしかに、そのクラシック曲は悲しげで、フィリップの状態を考えるとまるでお通夜のようだし。
それをドリスが「BOOGIE WONDERLAND」でその空気をぶっ飛ばすという。
とてもいいシーンだとは思います。
思うんですが…なんかすげえ引っかかっちゃって…。
ちょっと、細かいことを気にしすぎてるのかもしれない。
これは作品を楽しむ上では、かなり余計な考えだと言わざるをえませんな…。
『孤狼の血』
(2018年) ★★★★☆
面白かった!
松坂桃李さんって方をはじめて知ったんですが、すごい演技がよかった…。
ファンになりました。
続編(孤狼の血 LEVEL2)も8月20日に上映開始したそうで、すごく観たい…。
でも私は映画館がすごい苦手なので…Netflixを待つか、1と合わせてBD買っちゃおうかなと思いました。
しかしあれですね、アウトレイジのときも思いましたけど、石橋蓮司さんってイヤな殺され役みたいなのばっかな気が…。
この人すごいかっこいいんですけど、最近はそういう役のオファーがいっぱいくるのかしら。
といっても、私は『浪人街』くらいしか知らないんですけどね。
ヤクザ系の映画って、どうしても『仁義なき戦い』あたりのものと比べちゃって…。
画面が綺麗すぎるのと、役者自体がどうしても…なんかこう、昔の役者と違ってどうしても迫力負けする感じはいなめないので。
この映画も、役所広司さんや江口洋介さんはさすがの貫禄でしたが、その他のヤクザがやっぱりちょっと、どことなくいい人そうな人が多いというか…。
どっちかというと、新聞記者役の中村獅童さんの方が強そうでした(笑)。
LEVEL2のポスターとかみたんですが、日岡が大上ばりにワイルドになってて、やっぱりマル暴で働くにはそれなりの見た目になっていくんだなぁと。
リアルでも、そういう部署にいる刑事さんってめっちゃくちゃ怖そうですもんね…。
最後は、なるほどそうくるかーって感じでよかった反面…なんとなーくこの物語のラストを予感させるような。
LEVEL3で完結って感じだと思うので、今から楽しみです(ง ⦿)ว))ワクワクッ!
『ボブ・ロス: 楽しいアクシデント、裏切りと欲』
(2021年) ★★★★☆
Netflixオリジナル作品。
映画ではなく、ドキュメンタリーです。
真実というのは…あばくのが非常にむずかしい。
このドキュメンタリーの言っていることがすべてホントウのことなのかは、たぶんいち視聴者のワタシにはわからないし、今後わかることもないでしょう。
ボブ・ロスという方は、油絵の絵画教室をTVでやってた方で…ぶっちゃけると私は本編をTVで観たことはありません。
インターネット上でネタ動画として観たり、ニコニコで転載動画をみたことがあるくらいです。
その独特の語り口(私が観たのは日本語でしたが)と、短時間で風景画をかき上げてしまう絵のうでまえが本当にすばらしく、魅力的な方です。
ニコニコの場合、「あぁ~やっちまったな」とか、「それはないよボブ…」などのお約束コメントも合わせて魅力の一つだとは思います。
そんなボブ・ロスの半生と、ボブ・ロスを見出して事業に発展させたコワルスキー夫妻、そして、ボブ・ロスの息子であるスティーブ・ロスがメインとなっているドキュメンタリーでした。
この番組を鵜呑みにするのであれば、コワルスキー夫妻がどうしようもなく貪欲で、ひどい奴らだという印象を受け、非常に腹立たしい気持ちになるでしょう。
その反面、ボブとスティーブの親子の絆、ボブがたくさんの人々の心を救ったことなど、
とても感動する面もある…楽しんでいいのか不快に思っていいのかかよくわからない内容になっています。
クラウドファンディングを使う方法はなかったのかと思いはしますが、そういう手段があればやってるだろうし…とにかく裁判で勝つには金がいるんだなと。
正しい側が勝つようにはできていないんだなぁと、あらためてこの世の不条理にひどく苛立ち、気分が悪いです。
世界中でボブ・ロスは受け入れられているし、今も人々の心を救い続けている一方で、その利益やボブ・ロスの創作物・所有物のすべてがコワルスキー夫妻のものになっていく。
しかし、最後のスティーブ・ロスが描いていた絵をみると、確実に父親の技法を受け継いでいるし、今も個人で絵画教室をやっているというのは本当にかっこいいと思った。
ああいう人が評価されなければおかしい。
とにもかくにも、ショックでした。
『ローズマリーの赤ちゃん』
(1968年) ★★★★☆
ぐれいと…。
『ヘレディタリー/継承』にものすごく似ている…というか、こっちが本家らしいですね。
『ヘレディタリー/継承』のアリ・アスター監督は、この『ローズマリーの赤ちゃん』を意識していたそうです。
私は善意の押しつけってやつが大嫌いなんですが…ヒロインを取り巻くカルト宗教の連中が、まさにそれを巧みに、執拗に計算してヒロインであるローズマリーを操っていこうとする。
そしてそのクソみてぇな陰謀を、孤立無援の中でなんとか必死に抗おうとするローズマリーの迫真の演技!
演じたミア・ファローさんはすごい…。
最初は弱気な女性なんですが、だんだんと母親としての強さに目覚めていく感じがすごくよくでてたと思います。
『ヘレディタリー/継承』のときも思いましたが、母親というのは強いなぁ…と。
あ、『ヘレディタリー/継承』は父親もすごくいい人でしたが…。
その母の愛が負けちゃう胸糞さも、この手の作品の面白さになってしまっています。
「さて、どうやってこの状況で勝つのか、または一矢報いるのか?」とハラハラしながら本編を観ていました。
何度か、これは全部ローズマリーの妄想なのでは…?と思ったり、いややっぱりカルト宗教の陰謀か?と思ったり…。
個人的にはカルト宗教は全部潰れろと思っているので、この『ローズマリーの赤ちゃん』にしろ『ヘレディタリー/継承』にしろ、逆転妄想するのも面白いですね。
どっちもワンチャンないとは言い切れないので。
逆転しちゃうとホラー・サスペンス映画としてはどうかなとは思うんですが、ローズマリーは一応母親という権力者でもあるので…息子を使ってアイツら全員に地獄の責め苦を味あわせてやれませんかねぇ…。
『続・ローズマリーの赤ちゃん』というドラマ?もあるらしいのですが…なんか微妙っぽいですな。
本作で一番怖かったのは、ローズマリーが、夫とカルト医者から逃げ出し、自分の部屋で友人に電話をかけてるシーンです。
ローズマリーの後ろを無音で小走りに横切るカルト教徒たち…。
あ~れはね…観ててゾッとしました。鳥肌たちましたもん…。
『ヘレディタリー/継承』でも、あきらかにこのシーンを意識したような演出があって、「あ~ここだったのか!」と。
や~面白かったですねー。
そんな面白い映画をとったロマン・ポランスキー監督は、”YESロリータ!YESタッチ!”しちゃってフランスに亡命後、何本か映画を撮ったカス野郎でしたとさ(存命)。
好きなものは好きという、否定しようもない性癖の一つではありますが…そこはフィクションで我慢しようね!
そのために、我々絵描きなどがおります…。
『ミッドサマー』
(2019年) ★★★★☆
星4をつけてますが…実際は星3つ半です。
個人的には『ヘレディタリー/継承』の方が面白かった。
ちょっと期待しすぎたのかもしれません。
ただ、『ミッドサマー』にはディレクターズ・カット版があり、来週Netflixで配信されるので…それ次第では評価が変わるかも。
この映画はおそらく、女性が観た方が評価が高くなると思われます。
ヒロインのダニーの境遇は本当に不幸です。
ですがぶっちゃけ、彼氏側からするとほんとにうんざりするでしょう。
そういう、男目線で見ていた自分としては、彼氏のクリスチャンに対して同情の余地というか…いや、正直男から見てもコイツは人間としてどうかとは思いますが、ラストでカタルシスを感じるということはなかったですね。
『ヘレディタリー/継承』、『ミッドサマー』、そして『ローズマリーの赤ちゃん』のどれもが、敵組織というかカルト教団側はほぼノーダメージなので、そのへんが非常にもやもやするというか、スカッとしません。
悪い奴らには、できるだけ苦しんだ上で破滅してもらいたい。
ダニーが覚醒して教団を滅ぼす続編とか期待します。
妄想としては…ダニーが子供を孕まされるんですが、ルビンが死んで代わりが必要になった教団が、ダニーとその子供(勝手にルビンと名付ける)に近親相○を指示。
そこでまともな感性を取り戻したダニーが、息子を守るために…と、ここまで考えて、ラストのダニーだったらたぶん、喜んで息子とセックスするだろうなと思ったのでボツかな。
カルト教団っていうと絶対悪みたいなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、ある意味ではちゃんとしてるというか、合理的な面もあるなとも思いました。
あの村では凶悪犯罪みたいなのは(村人には)しないだろうし。
72歳になったら、ボケたり体が不自由になる前に自殺して、転生するというのもまあ、気持ちはわかるっちゃわかる。
実際に72歳になったときに飛び降りる覚悟ができる方だったら…ですけど。
とはいえ、外部から人間を拉致(誘拐ではなく騙して連れてくる)し、何人か殺害している以上、カルト教団側には一切正義はないですが。
それに、自殺の方法も納得いかない。
めちゃくちゃドラッグキメた上で、安楽死みたいな、眠るように殺せばいいのに。
わざわざ飛び降りさすっていう。
それもおそらく、この教団を作ったやつがいかにも儀式めいたものにするために、適当な理由をつけて考えたんでしょうがね。
”血のワシ”とか初めて聞きましたよ。えげつねぇ…。
どう考えても…どこか、殺しを楽しんでるところはあると思います。
もしかしたら、村人たちのガス抜きの側面もあるのかもしれません。
“90年に一度の祝祭”ってのも、リアリティありますね。
そのくらいの感覚なら、行方不明者が出てもそこまで捜査されなさそうだし。
最後の生贄を決めるガラガラ福引きには、教団の上層部の名前はないんでしょうねぇ…(黒笑)。
でもペレがさすがに、大学にもどったら警察からいろいろ聞かれそうですけどねぇ…。
警察関係者とかに教団の人間がいたりもするのかな。
いや、そもそも彼らには大学の勉強とか必要ないから、普通に大学辞めてダニーと子作りするのか。
村のいやらしい風習みたいなのはちょっとロマンがありますが、ミッドサマーのそれはわりとうざいっすね…。
そばであんなに騒がれたり、なんか腰のフリが足らないからとおばあちゃんが自分のケツを揺すったりするのはすげえ萎えると思う。
欲を言えば、もうちょっと超常的なナニかがでてきてほしかった。
コズミックホラー的な感じでもいいし。
まあ、あくまで”普通の人間”がやってるからこその怖さというのがあるんでしょうけど…個人的にはもうちょっとなんか、インパクトがほしかった。
『レッドクリフ Part.1』
(2008年) ★★★☆☆
フォロワーさんから、誕生日プレゼントでいただきました。
あらためてお礼申し上げます。
ありがとうございます!
星3をつけていますが、厳密には星2つ半くらいです。
いくら頂きものだとはいえ、ここはね…ウソをつくわけにはいかないんです。
前後編の前編ということで、本作では完結しませんが、そこは評価には関係ありません。
私は三國志が大好き…といっても、小説の方はまったく読んでないです。
横山光輝先生の漫画版『三國志』を読んで育ち、大学くらいで『蒼天航路』にドハマリしました。
※『天地を喰らう』も履修していますが…まあ…。ゲーム版のBGMはめちゃくちゃ好きです。
なので、三國志のキャラクター像というのはこの2作品を元に、私の中で構築されております。
さて…本作についてですが、まったく前情報なしに観始めました。
そして思ったのが、この三國志は、”どっち”だろうと。
三國志演義の方をベースにしているのか、史実をベースにしているのか。
しょっぱな、曹操がなんとなく嫌なヤツというか、悪玉の傍若無人系おっさんで描かれているので、ああ、演義かな?と思いました。
しかし、曹操はどの作品でもそういうやつっぽくもあるので(『蒼天航路』の曹操が、ちょっとかっこよすぎる)まあまだわかんないぞと。
そんなこんなで長坂の戦い。
私は伝説の剣とか大好きなので、「せ、青紅の剣…!青紅の剣入手エピソードは…」とワクワクしてたんですが、割愛されていました。
ただ、その割には趙雲の活躍がえらくフィーチャーされている気がします。
趙雲って中国で人気なのかな?
「じゃ、じゃあ張飛の単騎殿エピが…!」とワクワクしていたんですが、割愛されていました。
張飛は横山光輝版も好きなんですが、やっぱり『蒼天航路』の張飛がかわいくて好きですね…。
マジでかっこよかった、『蒼天航路』の長坂の戦いでの張飛は。
しかし、かなりのエキストラを動員し、民衆と一緒に逃げる劉備軍をできるだけ表現していたと思います。
ここで劉備が「民は見捨てるわけにはいかない!」と言っていたので、ああ、やっぱり演義の方がベースなのかとわかりました。
ただ、どことなく蜀のメンツがパッとしないというか…。
どうも、この映画においては、”魏”下げは当然として”蜀”ちょい下げかつ、”呉”上げな感じがします…というかそもそも、主人公が金城武(孔明)かと思いきや、周瑜(トニー・レオン)っぽいんですよね。
なるほど…呉ってたしかに、どんな作品でも地味というか…あんまりパッとしないイメージがあります。
そこを主人公にするとはなかなか大胆なことをしたなぁと。
そして、呉を主人公にするのであれば、赤壁は納得のチョイス…というか、ここしかないかもしれない。
(ちなみに、『蒼天航路』だと孫策がめちゃくちゃかっこいいです。)
劉備も関羽も張飛も…なんかすごく迫力がないというか、華がない。
むしろ周瑜のほうが強そうだし。
あとは…まあ演義でも史実でも描かれてますが、小喬に執着する曹操がキモすぎて逆に笑ってしまいました。
英雄、色を好むとはいえ、やっぱりあんなおっさんが「ぐへへ…」ってなってたらいい印象はありません。
しかもなんか、別人に小喬ってつけて愛でてたりして…イメクラかと。
『蒼天航路』の曹操だったら、いきなり乳首にしゃぶりついても「ああ、いつもどおりだな」って感じなんですけど。
やっぱりイケメンは得だなあ…というか、『蒼天航路』の曹操が卑怯すぎるくらいかっこいいんですよね。
わらじ編んでる劉備とか、軽率に秘孔を突く孫尚香とかも笑えました。
さすがに、長坂の戦いらへんの劉備がてわらじ編んでるのはやりすぎ。
あれ?この人みたことある!って思ってたら中村獅童がいたり。
しかも甘寧かと思いきや、オリジナルキャラクターの甘興だそうです。
中村獅童もやたら尺をもらってましたね…。
いったいどうゆうつながりがあるんだろうか。
ストーリーについては、もうめちゃくちゃ知ってる話なので…そんなに改変できないだろうし、知っている三國志との違いを探して楽しんでいる感じでした。
殺陣というか、戦闘シーンについては、金はかかってそうだなと。
CGももちろんバリバリ使ってるんですが、人間や馬は本物がほとんどでしたし。
ただ、ちょっとタルい部分が目についたというか…全体的に迫力がない気がした。
太陽拳よろしく鏡張りの盾で目潰ししたり、八卦の陣を使ったりと、ビジュアル的にも面白くなるようにいろいろ試行錯誤してるんだなと思いましたが、私の好きなタイプのアクションではなかったです。
私は、スローモーションをできるだけ使わず、テンポよく目まぐるしいくらいのスピードアクションが好きです。
あと、非現実的なSEをバリバリ入れる感じ。香港映画に多い。
嫌いというか苦手なタイプは、チャウ・シンチー監督のやつですね。
『少林サッカー』とか『カンフーハッスル』のアクション。
あれが…どうにも好きじゃなくて。
あのなんか、やったら長いスローモーションを入れて、SEもあんまり入らない感じ。
この映画好きな人には申し訳ないですが、観てて眠くなります。
『少林サッカー』については、ヒロインのムイ(ヴィッキー・チャオ)が、最初のこ汚い状態がすごくかわいかったんですが、なんか身ぎれいになっちゃって全然かわいくなくなっちゃったのがイヤでよけい残念でした。
メガネ地味っ娘をギャルに改造するやつみたいな…。
…ちょっと脱線しましたが、本作のアクションは、私の好きなアクションと嫌いなアクションの中間くらいの塩梅でした。
特に関羽がね…。
やっぱり一騎当千するのって、漫画やアニメだと表現次第で説得力がありますが、実写にすると…さすがに無理だろって感じが強まる。
たぶん、『蒼天航路』を読んでしまったことで目が肥えてしまったというか、いわゆる三國志の英雄たちに対する期待が自分の中で高まりすぎてるんだと思う。
一騎当千感だとむしろ、『レジェンド・オブ・ヒーロー/中華英雄』のイーキン・チェンや、『暗黒街 若き英雄伝説(HERO)』の金城武とユン・ピョウ、さらに言うと『オールドボーイ』のチェ・ミンシクの方がまだ、人間離れしてる感じが出てた。
『リベリオン』のクリスチャン・ベールだったり、『ジョン・ウィック』のキアヌ・リーブスくらい無双感が欲しい。
あと…なんか魏軍でサッカーっぽいことやってたのが、ちょっと政治的なアレなアレを感じてね…。
蹴鞠とか、たぶんサッカーっぽい遊びは世界中で同時多発的に生まれたんだとは思うけど、今のいわゆるサッカーの起源は、中国じゃなくてイングランドだと思うねわたしゃ。
さあいよいよ赤壁がはじまるぞってところでPart.2へ。
いつか、機会があれば観たいと思います。
ただ、孔明に殺人手紙を贈られて憤死する周瑜がみれそうもないんだよなぁ…。
本作ではなんかあの二人、仲良かったし。
横山三國志好きとしては、あのイヤミで性格の悪い孔明に踊らされまくって煽られまくってめちゃくちゃ無念な死に方をする周瑜が観たい。
あのド外道っぷりはまさに、『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』の策士・諸葛亮孔明…。
本作は香港映画ではなく中国映画ですが、同じジョン・ウー監督の『レイン・オブ・アサシン』は、ストーリーもあいまってわりと好きです。
ちなみに…以前にも描きましたが、私の好きなカンフー映画は『レジェンド・オブ・ヒーロー/中華英雄』です。
他にも『風雲 ストームライダーズ』とか『決戦・紫禁城』とか…イーキン・チェンが好きってのもありますが。
ジャッキー・チェンももちろん好きなんですが、観たことがないやつが多くってあんまり語れないんですよね…。
金城武、ユン・ピョウ、チョウ・ユンファ、アンディ・ラウ、サモ・ハン・キンポー、ドニー・イェンやジェット・リーも同じです。
好きだけど、全作品を観たことがあるわけではないという。
『暗黒街 若き英雄伝説(HERO)』や『イップ・マン』なんかは最近観て好きになりました。
他には、『墨攻(2006)』という映画があるんですが…あれはもう、ほんとにイライラした。
観てもらえばわかるんですが、なんか主人公がグダグダやってるうちにヒロインが死ぬんですよ。
なんかわざとヒロイン死ぬまで待ってない?って感じで…。
『グリーン・ディスティニー』も、煮え切らない展開が微妙だったかも。
そんなこんなで、いろいろ突っ込みどころがあったおかげか、意外と長くは感じなかった映画でした。
個人的に、大好きな”徐庶”が出てこなかった(演義の赤壁だからしょうがない)のが残念なのと、キャストは金城武をむしろ、周瑜にしたほうがあってたんじゃないかなと…。
金城武のほうが”美周郎”っぽくない?って思いました。
おわり。