<アダルト小説>若様の性長日記!・17
…どういうところで感心されているんだ? オレ。
『今日はどうする? 家に帰るのなら、送るわよ?』
「いえ、泊まります。いろいろ…疲れたので」
『分かったわ。それじゃあ明日ね』
「はい…」
重い気分で受話器を置いた。
体は軽くなったけれど、心は重い。
ソファーに倒れこむと、夜景が目に映った。
「キレイだな…」
せめて女の子と二人で過ごすのならまだしも、一人っていうのもアレだな。
でもオレは混乱する思考を収めたかった。
直前まで、オレは紗雪を抱く気はなかった。
けれど触れてしまったら、気持ちが溢れ出して止まらなくなった。
だが事が終わるとまた、冷静になれる。
きっとあの熱い感覚が、性欲なんだろう。
この感覚を扱う職業こそ、オレがこの先継ぐべき会社の仕事だ。
頑張らなくちゃいけないと思う反面、体と心、どちらかが折れるのが先かと考えてしまう。
「逃げられないだろうしなぁ」
あの父親と秘書軍団から逃れるほど、オレは行動的でもなければ、命知らずでもなかった。
だから今は、言う通りにするしかないだろう。
「早く一人前にならないとな…」
欠伸が出た。
まだ疲れが残っているみたいだ。
オレはソファーに身を沈めながら、目を閉じた。
早くこの仕事を、跡継ぎとして継げるようにと思いながら…。
…まだオレはこの時、はじまったばかりだということに気付いていなかった。
性は奥が深いのだ。
<完>
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