うに庵 2019/12/23 06:00

マリノ後日談ノベル「初恋」

パチン。

「今日もお月様が綺麗だね。マリノと出会えて本当に嬉しいんだ」

「…はい。私もあなたに出会えて嬉しいです」

「ちょっと…女々しくなっちゃうかも知れないから…ヒかないで欲しいんだけど
マリノはさ…俺と出会う前は好きな人…いたりした?」

「…はい」

ゴンッ!! ゴンッ‼

「…そっか…そうだよね。俺だって前の世界で気になる女子や二次元の嫁が沢山いたし。
それで相手はどこのどいつなの?あ、お父さんとかだったり?」

「…はい。マリノは9歳の頃からアルタのことが好きです…好き…あれ…好きでした」

「…男?どんな男?風貌は?村にいるの?」

「…はい。村の学校のクラスメイトで幼馴染です。綺麗な青髪で肩まで垂れた髪が揺れると
とても良い匂いがしてマリノはその匂いが大好きでした。」

「…青い髪のアルタね…あいつのことか…」

パチン。

背後に忍び寄った俺は髪から漂う体臭と石鹸…この村の近くでとれる植物の匂いを嗅いでみた。
胸糞悪い匂いだ。
いけ好かない奴の発する匂いだ。許せない…。

パチン。

「…小さい頃は良く遊んでいましたが、近頃は話もしていませんでした。
だけどマリノはいつも遠目で眺めていました。それだけで幸せでした」

「初恋は実らないもんだし、すっぱいもんだよ。でも良かったじゃん彼、引っ越すみたいだね」

「…はい。マリノはとても悲しい…かなし…う…嬉しいです。
もう彼の顔を見なくてすむと思うと、心がすっぽりと…とても軽くなった気が…します」

「ああマリノ泣かないで。泣くほど嬉しいんだね」

俺はぎゅうっとマリノのことを抱きしめた。

俺はここ一週間程、毎晩外に出かけいた。
毎晩少しずつ肉を殴っていたせいで右手が腫れて痛かった。

でもこの痛みもマリノとの生活を守るためだと思えば、たいしたことはなかった。
むしろちょっと誇らしささえ感じさせてくれる痛みだ。
マリノのナイト様は俺だ!!

「…毎晩化け物がやってきて僕を殴るんだ…アルタはそう言っていました。
顔が日に日に腫れていて、怯えていました。心配した両親が隣町の親戚のうちに預けることになったみたいです」

「それならもう襲われることもないから、安心だね。
もう彼のことは好きじゃない?」

「…はいマリノはアルタのことが好き…好き…好き…で…した」

「うん。俺もたくさん好きな子がいたけど、今は一番マリノが好きだよ。
今日はもう遅いから寝ようか」

「…はい…」

パチン。

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