息子の告白/16
久美子は、顎を上げるようにした。
「はあああんっ!」
童貞を導く余裕など全くなく、ただただ快感に身を任せるしかない。
「ぜ、全部入ったよ、母さん……」
息子の声がどこか遠くの方から聞こえるようである。高典の一物は、その先端が、久美子の奥まで届くようだった。その奥というのがいったいどこなのかは分からないながらも、確かにそこに届いていて、それはこれまでに感じたことのないものであり、そもそもが久しぶりのセックスに、久美子は、何が何やら分からないほどの快楽を得ていた。
「母さん……」
自分の目の前に息子の顔があることをかろうじて認められた久美子は、荒く息をつきながらも、どうにか微笑むことができた。そうして、
「童貞卒業、おめでとう……高典」
と言うこともできた。
――ああっ、ただ、入れられてるだけなのに……。
久美子は、びくんっ、と体を震わせた。このままだと遠からず、また達してしまいそうである。交わった状態から息子よりも先に絶頂に達することは避けたいけれど、避けたいと思えば思うほど、性感は高まって、余計に感じてしまう。そんなところに、
「母さん」
息子が優しい表情で、
「愛してる」
そんなことを言って、おもむろに口づけてきたものだから、たまらなかった。息子のキスを受けた瞬間、
――ああ、イクッ……イクーーーーッ!
久美子は、声にならない声を上げて、クライマックスに達した。びくびくびくっ、と体を何度も震わせて、快楽をむさぼると、唇を離した息子が、
「ううっ、母さんっ、出るよっ!」
と言って、彼の腰が震えるのが伝わってきた。次の瞬間、膣奧に、どぴゅどぴゅどぴゅっ、と精の弾丸が撃ち込まれるのを久美子は確かに感じた。少しして、じんわりとお腹が温かくなるのが分かると、久美子は、心の底から幸せな気持ちになった。
これがセックスなのである。セックスとは、これほど気持ちよかったのかと、久美子は以前のときのことを思い出そうとしたが、ここまで快感を得たセックスを思い出すことはできなかった。これほど気持ちがよかったのは、初めてのことではないだろうか。それが、何によるのか。単に体の相性がいいのか、それとも、息子のことを愛しているからか。あるいは、息子とするということに禁忌を犯しているという背徳感があるからなのか。なんにせよ、久美子は、深い満足を覚えてた。そうして、できるなら、もう一度してほしいとも思っていた。これも、これまでにないことである。