義弟と交わって/35
その気持ちよさは、まさに、浩二くんが、わたしに対する気持ちをぶつけてくるところから生まれるのではないかとわたしは思いました。夫が、彼自身の欲求のためや、義理のためにするのとはわけが違って、わたしを自分のものにしようとする、あるいは、すでにわたしが自分のものなのだと確認しようとする、そういう気持ちが分かるような行為だから、ここまで快感を得るのではないかと思いました。
ぶちゅぅ、ぶちゅっ、ぶちゅっ、と結合部の水音は高くなり、静かなキッチンに響きます。この音で、義父母が起きてしまうのではないかと、思われるほどです。もしも、こんなところを見られたら、とわたしは再び心配しましたが、
――もう見られてもいいっ!
と思わずそんなことを思ってしまって、自分で驚きました。見られてしまったら一家の破滅に違いありません。でも、そこから、浩二くんとの新しい関係が始まることでしょう。そう考えると、バレてしまってもいいのではないかとそんなことを思ってしまったのです。
もちろん、それはセックスのときの一時の気の迷いかもしれませんが、一瞬であれ、現にそう思ってしまった自分の気持ちをごまかすことはできません。それにも関わらず、わたしは、声を押し殺そうとするのですから、何が何やら、わけが分からない気持ちでした。
「うっ、うっ、うっ、うっ……」
抑えようとした声をどうしても抑えきれず、わたしは、絶頂に向かって疾走します。
浩二くんの、ペニスは、わたしの膣内を凶暴にえぐっては、わたしに性感の電流を加え続けてきます。わたしは、もう限界が近いことを認めました。そうして、
――ああっ、イクッ……。
そのときが来ました。まるでそれが分かっていたかのように、いいえ、さっきの言葉通り、本当に分かっているのでしょう、浩二くんは、
「一緒にイクよ、出すよ」
とわたしに囁くと、奥の奥までペニスをねじ込むようにして、そこで盛大に射精を始めました。どくどくどくどくっと精が放出されたその瞬間に、わたしは、目の前が真っ白になるのを覚えました。ガクガクと体を震わせて、わたしは絶頂に達しました。まるで宙を漂っているような幸福感に包まれたわたしは、しばらくの間、何も考えることができません。
やがて、浩二くんは、わたしの体から身を離しました。ペニスがわたしの体の中から抜かれたとき、わたしは、言いようのない喪失感を覚えました。もっとずっと一緒のままでいたい……。その気持ちが、浩二くんに向けたわたしの素直なものであって、そういう気持ちを抱いた以上、いいえ、その気持ちがわたしの素直なものであると認めた以上は、もう彼と離れることはできないことが分かりました。
それから、数ヶ月、今まで、浩二くんとの関係は続いています。この関係がいつまで続くのか。それは分かりませんが、わたしの方から、関係をやめることはないでしょう。許されざる関係ではありますが、わたしは今、愛する人に愛されて、この上なく幸せであると言わざるを得なくて、一度でもこのような気持ちを味わえたわたしは、未来のことを考える必要も無いと思われるのでした。
(了)