官能物語 2020/10/15 14:00

母の浮気/103

 ランチは、イタリアンレストランでパスタということになった。良太は、朝食が軽めだったので、ご飯ものをがっつりといきたかったのだが、母に合わせてあげた格好である。

「ここ、前から来たかったんだぁ、ありがとうね、良太」

 店に着くと、母は、明かるい声を上げた。前から来たかったのならさっさと来ればよかったのにと思った良太だったが、大人には大人の都合があるのだろうと思い直して、口をつぐんだ。

 レストランは、味も良ければ、店員の感じも良かった。ご飯ものを食べたかった良太だったが、デザートまで食べると、それなりにお腹が膨れたようだった。

 腹が膨れると、性欲もしっかりとチャージされたようで、良太は、このまますぐに家に帰って、母と交わりたい気持ちになったが、彼女はドライブしたいようだったので、それに付き合うことにした。仲秋の空は、ところどころ雲があるものの、すっきりと晴れており、ドライブ日和である。

「良太とどこか出かけるなんて、本当に久しぶりね」

 田舎道を運転しながら、母が言った。徐々に刈り取りが進んだ田が、季節が確実に冬に向かっていることを、伝えている。

「母さん、一緒に出かけたいなんて言わないじゃないか」
「遠慮してたのよぉ。お母さんと一緒に出かけたくない年頃かなって」

 確かにその通りだったので、気を配ってもらってよかったかもしれないが、今ではそうでもなくなったので、いつでもどこでも付き合うよ、と良太は請け負った。

「本当!?」
「ああ」
「嬉しい!」

 母は、はしゃいだ声を上げた
 良太としても、彼女を手に入れたからには、好きにさせるよりは、自分が付き合って、目の届くところにいてもらった方が安心だという頭がある。
 小一時間ほど車を走らせたところで、街の中へと入った。古い町並みを保存しているところで、公営の駐車場に車を停めると、

「ちょっと歩こうよ、良太」

 と母が誘ってきた。腹ごなしにちょうどいいので、良太は、母を隣にして歩き出した。その彼女が、隣から腕を組むようにしてくる。

「いいでしょ?」

 母親と一緒に歩くのはまだしも、腕を組んで歩くとなるとさすがに抵抗が無いわけではないが、見知っている人がいるわけでもないだろうから、よしとしておいた。それに、母の乳房の感触を腕に得て、夜の営みに向けた想像が膨らみ、気分が良かったこともある。

「ふふっ、恋人同士には見られないかもしれないけど、親子じゃなくて、年増の女が若いツバメと歩いているみたいには思われるかもね」
「そうかな、少し年が離れた恋人同士で通るんじゃないかな?」

 良太は、お愛想というわけでもない気持ちで言った。
 それほど、今日の母は若々しい。

「じゃあ、もっと恋人同士みたいに見られるようにくっついちゃお」

 母がいっそう身を寄せてきて、それはそれで嬉しかったけれど、歩きにくいよ、と良太は言わざるを得なかった。

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