官能物語 2021/07/27 21:00

美少女のいる生活/25

 それから、1週間ほどが経った。この間、貴久は昼は普通に仕事をして、朝と夜は美咲と一緒に過ごすという生活を続けたわけだが、一緒に過ごしているうちに、何ごとか気に障ることも出てくるだろうと思っていたけれど、そんなことは全く無かった。それどころか、まるで長年連れ添った夫婦ででもあるかのように息はぴったりである。

「無理してるんじゃないか、美咲ちゃん?」
「えっ、何ですか?」

 夕食時である。
 美咲は、箸で冷ややっこのかけらを口に運ぼうとしたところで、止めた。

「とりあえず、それ食べて」
「はい……食べました」
「生活のペースをおれに合わせようとしてないか?」
「全然してません」
「やっぱりそうか…………ん? してない?」
「わたし、貴久さんに合わせようなんてこれっぽっちもしてませんよ。伸び伸び暮らさせてもらっています」
「いや、でも、そんなことはないだろう。おれの面倒を色々と見てくれているわけだから」
「貴久さんの『面倒』なんて、全然見てませんよ。だって貴久さん、全部自分でやってくださるじゃないですか。面倒っていうのは、仕事以外何にもしなくて、家に帰ってくれば、部屋がきちんと片付いていて、洗濯が為されていて、食事の用意もできていて当然っていう顔をしている父のような人間を見るときに使う言葉です」
「でも、おれもきみのお父さんと同じようなものだと思うけど」
「そんなことないです。食べ終わったら片付けて食器を洗ってくださるし、服は脱ぎっぱなしになさらないし、お風呂やトイレだって――食べているときに失礼します――掃除してくださるでしょ」
「うーん……いや、美咲ちゃんが無理してなければそれでいいんだけどさ」
「わたし、無理しているように見えますか?」
「見え……ないけど、女の子はウソをつくものだから」
「それ、炎上する発言ですよ」
「つぶやく気は無いよ」
「わたし、本当に自由にさせてもらっていますよ。家にいたときよりも、ずっと開放的な気分で暮らしています」
「そうか……ならいいんだけど」

 食べ終わってから、しばらくテレビを見たり、互いに本など読んだりしていると、いつもの時間がやってくる。

「じゃあ、そろそろ寝ましょうか、貴久さん」
「そうだな」

 貴久は、リラックスできる少女と暮らす時間の中で、この時間だけは、多少緊張を覚えた。表面上は冷静にしているけれども、心の中はそれほど冷静なわけではない。貴久は、彼女と一緒に自室に行くと、先にベッドに入って身を横たえて、彼女を迎えた。

「ふふっ」

 と楽しそうな声を出して、腕の中に入ってくる少女は、まだまだ大人とは言えないまでも、子どもとは全く言えない体つきを備えているのである。

「これより広いベッドもいいかもしれないけど、わたしはこのくらいでもいいですよ」

 そう言うと、彼女は足を絡めるようにしてきた。
 しなやかな太ももの感触が貴久の体の奥を熱くする。

「明日はよろしくお願いします」
「きみのお父さんはともかくとしても景子さんに会えるのが楽しみだよ」
「好きになっちゃダメですよ。一応、父の大事な人ですから」
 
 翌日は彼女の入学式で、式には彼女の父と継母も来ることになっていた。
 もちろん、貴久も出席する。

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