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2020年 04月の記事 (16)

官能物語 2020/04/25 23:00

息子の告白/9

「う、うん……」

 久美子は、戸惑いがちに、息子に応えた。すると、彼は、照れたような顔をして、ベッドに上がってきた。そうして、母親に向かい合うと、

「まるで、夢みたいだ。母さんと、初体験ができるなんて」

 屈託の無い笑みを見せてきた。
 久美子は、頬が火照るのを感じた。そんなに大した女ではありません、と否定したい気持ちをあえて抑えて、彼に向かい合って、

「よ、よろしくお願いします」

 と微妙極まりない言葉を口にした。高典は、ぷっと噴き出した。

「わ、笑うなんて、ひどいわ」

 久美子が抗議すると、

「ごめん、ごめん」

 息子は素直に謝ってくれたけれど、なお笑顔である。

「もう!」
「機嫌直して、母さん」

 久美子は冗談交じりに、ぷいっと横をむくようにした。
 高典は、久美子の頬に手を触れさせると、その顔を自分の方に向かせるようにして、そのあと、顔を近づけてきた。久美子は、反射的に目をつむった。少しして、唇に、粘膜の感触を得た久美子は、息子のキスをうっとりと受けた。そう言えば、キスをされたのも、実に10数年ぶりのことである。キスというのは、こんなに気持ちのいいものなのかと、改めて、久美子は考えた。
 
 息子の唇が離れたあと、久美子が目を開くと、息子の微笑みがあった。その余裕綽々とした笑みに、本当に初めてなのだろうかと思ったけれど、彼がそう言っているのであるから、信じるしかないわけである。

「母さん……服、脱がせてもいい?」

 服を脱がないとできないわけであるから、脱ぐしかないわけだけれど、脱がせてもらうのは恥ずかしすぎる。久美子は、自分で脱ぐ旨、伝えると、ベッドから立ち上がって、服を脱ぎ始めた。痛いほど、息子の視線を感じながら、久美子は、服を脱いで、下着姿になった。恥ずかしくて、もじもじとしている久美子に、

「母さん、綺麗だ……」
 
 息子の感嘆の声がかかる。そんなことない、とやはり否定したくなったとけれど、否定すれば、そんなことない女とこれからすることになる彼を辱めることになるので、久美子は、

「あ、ありがとう」

 と答えておくしかなかった。久美子は、まがりなりにも経験者。リードしなければいけない、と改めて考えて、ベッドに上がった彼女は、今度は、自分から息子に体を寄せて、その唇に、そっと自分の唇を重ねた。

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官能物語 2020/04/24 18:00

息子の告白/8

 これから本当に息子とするのかと思えば、まるで、夢のように思われる。ずっと男性と交わらず、もしかしたら、このまま、シないで一生を終えるかもしれないとも思っていた。それでも、別に構わない。息子のために自分の人生はあったのだと、そう思えるくらいに息子のことを愛していた。それが、まさか、当の息子とすることになるとは。再度考えてみたけれど、やはり信じることができない。

――今日すぐじゃなくてもよかったんじゃ……。

 冷静に考えてみれば、なにも今日する必要は無かったのではないか。まだ、息子が旅立つまで何日か時間がある。仮にするとしても、数日、ゆっくりと考えてから、結論を出せばよかったのではないか。しかし、結論など、息子にとってはとっくの昔に出ているのだろう。母のことを想う自分がおかしいのではないかと考えて、死を想ったほどだったのだ。そう、死である。あの子に死なれたらと考えた久美子はゾッとした。高典は、久美子にとっての、生きがいであり命そのものである。

 だとしたら、体を与えることなど、何ほどのこともない理屈だった。多少ホッとした気持ちになった久美子は、実際的な問題について再度、考えた。意外なことに、高典は童貞だという。ということは、当然、経験がある久美子が導いてやらなければならない。しかし、導くも何も、セックスのやり方なんて、ストレートなものしか知らないわけで、それを教えるにしても、何度も確認したことだけれど、もう随分と久しぶりだから、そもそもできるかどうかというところからして怪しかった。

 話は単純と言えば単純だった。勃起した男性自身を、女性器に受け止めればいい。それだけの話といえば、それだけの話である。逆に言えば、それだけの話がもしもできなかったら、どうしようかということになる。自分の方の何かしらの不具合で、できなかったら。彼の初体験を台無しにしてしまうことになりかねない。そんなことになったら、どうしようか。
 
 どうすることもできない。久美子は、深く息子を傷つけた自分自身を想像して、ゾッとした。これは、やっぱりもうちょっと時間を置いた方がいいのではないだろうか。そう、練習がいる! 練習と言っても、どうすればいいのかは分からないけれど、いきなりぶっつけ本番は無理! よし、練習のための時間をもらおう! とベッドから出ようとしたそのときに、

「お待たせ、母さん」
 
 現われたのは、上半身は裸で、下半身はボクサーブリーフ姿の息子だった。半裸の彼はまるで光り輝くようであり、久美子は、胸が鳴るのを覚えた。同時に、体の奥が熱くなる。

 このままできるかもしれない、と久美子は思った。

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官能物語 2020/04/23 16:00

息子の告白/7

 久美子は、まず寝室に行って、着替えを用意することにした。今身につけている下着は、着古したよれよれのものである。こんなものを、初めての少年の目の前にさらすわけにはいかない。どうも足元がふわふわとして落ち着かない。当然である。まさか、こんなことになるとは。息子に自分と血のつながりが無いことを告げたら、その当の息子とセックスすることになるなんて、想像だにしなかった。

 身につけるべき下着を選ぶと、久美子は寝室を出た。広い造りのマンションではない。寝室から出て、浴室に向かう間に、リビングを通らなければならず、久美子は、息子の視線を痛いほど感じながら、そそくさと脱衣所へと入った。

 服を脱いだ久美子は、自分の体を意識した。ボディラインは、そこまで崩れてはいないとは思うが、若い頃の張りは望むべくもない。この体を見たら、息子はする気をなくすのではないだろうか。それならそれで彼と一線を越えずに済んでよいと思う一方で、もしも、体にがっかりされたら、ショックを受けるだろうと、久美子は微妙な心持ちになった。それにそもそもからして、やはり、

――本当にできるの……?

 うまくセックスできるかどうかが心配だった。久美子は、処女ではない。しかし、経験豊富というわけでは全然無い上に、この17年間、まったく経験が無いのである。男性から言い寄られたことは、何度かあったものの、息子を育てることに専念するために、全て誘いを断ってきた。そんな状況で、息子の、童貞の少年の相手をしなければいけないというのは、いかにも荷が重い気がした。しかし、事ここに至っては、じたばたできない。
覚悟を決めるしかなかった。

 シャワーを出した久美子は、丹念に体を洗った。自分の手でなぞっている体を、もうじき息子になぞられるのかと思えば、しかし、嫌悪感は無いようだった。久美子は、小さなハサミを使って陰毛を少し整え、脇毛を剃った。こういうことは、入浴後にするのがいいらしいけれど、それを待ってはいられなかった。もともと薄い方なので、それほどみっともない状態ではなかったけれど、整えるという行為が、相手に対する礼儀であるように思われた。その相手が息子なので、微妙極まる話なのだけれど、それはもう考えても仕方が無い。

 シャワーを浴び終えた久美子は、新しい下着を身につけて服を着て、また息子の視線にさらされながら、しかし、今度は何も言わないわけにはいかず、

「……寝室で待っているから」

 とだけもう一度言って、言葉通り、寝室に入った。ベッドに腰を下ろしたあと、服は脱いでおいた方がいいのだろうかと考えた。そこで、

――本当に、あの子とするの……? できるの?

改めて考えたところで、シャワーの音が聞こえてきた。

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官能物語 2020/04/22 16:00

息子の告白/6

「そんなにわたしのことを……?」
「そうだよ。だから、カノジョだって作ってないだろ。自分で言うのもなんだけど、結構モテるんだよ、おれ」

 確かに、息子に恋人がいた気配は無い。もしも自分がクラスメートだったら放っておかないだろうと思っていた彼に、まったく女性への関心が無いようだったので、もしかしたら、ゲイじゃないかと疑っていたくらいである。

「母さん、好きだ」

 まっすぐにこちらを見て、迫ってくる息子を、もう久美子は拒絶できなかった。ずっと思い続けてきて、その対象が母であることに苦しんで、死まで覚悟したというのである。こっちだって、彼のことを憎からず思っている。いや、愛している。愛している男から、愛を告白されて迫られているのだ。それは拒否できるわけがなかった。しかし――

「ま、待って、高典」
「母さん」
「ち、違うわ。分かったから、あなたの気持ち」
「本当に?」
「ええ」
「じゃあ、おれの童貞を貰ってくれるんだね?」

 久美子はびっくりした。

「えっ、今、なんて!?」
「だから、おれの童貞を貰ってくれるんだろ?」
「た、高典……まだ、経験無いの?」
「無いよ。当たり前だろ。カノジョも作ってないのに、誰と経験すんだよ」

 息子は、ちょっとムッとした顔で答えた。それはその通りだったけれど、カノジョではない人と適当に経験しているのではないだろうかと、そんな風に久美子は思っていたのだった。

「さっきのだって、おれのファーストキスだし」
「ええっ!」

 久美子はさらにびっくりした。こうなると、ちょっと話が違ってくる。体を与えるのはいい。そんなに想ってくれているのなら、一度させてあげることは覚悟できる。しかし、彼が童貞ということになれば、これはちょっと話が違ってくる。童貞卒業というのは、女の処女卒業とともに、男性にとっては一生に一度のことである。その経験は思い出に残る素晴らしいものでなくてはならない。その相手が自分でいいのだろうか。

「母さんでいいっていうか。母さんじゃなくちゃダメなんだよ」

 息子は言った。その覚悟は堅いようである。

「……分かったわ」
「本当?」
「うん」

 久美子がうなずくと、彼は心からホッとしたような表情を見せた。

「でも、こんなところじゃダメよ。それに、シャワーも浴びさせて」
「分かったよ」

 高典は、ソファから離れた。
 久美子はソファの上に身を起こすと、

「もう今からするの?」

 と尋ねてみた。

「母さんが嫌じゃなければね。すぐにでもしたいよ」
「分かったわ。じゃあ、シャワーを浴びるから。高典も浴びなさい」
「うん」
「先に入るわね。出たら、寝室で待っているから」

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官能物語 2020/04/21 14:00

息子の告白/5

 久美子の瞳に、彼の瞳が映る。少年の瞳の美しさに久美子は心が吸い込まれるようになった。そのまま、どのくらい経ったことだろう、ハッと我に返った久美子は、彼の胸板を押して、その身を離した。

「な、なにをしているのっ!」
「好きなんだ、母さんのことが。ずっと好きだった」

 高典は、真剣な声を出した。

「えっ、ど、どういうこと?」
「どうもこうもないよ。その通りの意味だよ。母さんのことが、好きなんだ、一人の女性として」

 久美子は、頭をがんと殴られたような衝撃を受けた。それは、さきほどのガッツポーズと同じ、いや、それ以上の威力である。息子が自分のことを女として見ているという。そんなことがあるだろうか。

「子どもの頃から、ずっと好きだったんだよ。でも、もちろん、母親だからと思って、気持ちを抑えてきたんだ。いけないことだって。でも、好きで。おれ、どこか頭がおかしいんじゃないかって、そんな風に思ったよ。母さんがよくしてくれるたびに、申し訳なくて。でも、そんな風に思わなくてもよかったんだよね。おれと母さんの間に、血のつながりがないなら」

 久美子は、再び身を寄せた少年に、抱き締められるのを認めた。

「ちょ、ちょっと、待って。落ち着いて!」
「母さん。いや、久美子さん。おれは、あなたのことが好きだ。あなたは?」
「待って、待って……本気なの?」
「こんなこと、冗談で言うわけないだろ」
「で、でも、わたしのことが好きだなんて……わたしなんか、もうおばさんだし」

 久美子は、微妙に論点が違うことを主張した。それだけ、パニクッていたわけである。高典は、

「おばさんなんかじゃないよ。母さんは、綺麗だよ。現に、おれの友だちの中には、母さんとヤりたいって言っているやつ、何人もいるし」

 と答えた。

「ええっ!?」

 今時の若い子は熟女が好きなのだろうか、熟女ブームなのだろうかと、またもやおかしな方向に思考が傾いていきそうなところを、何とかそれを元に戻そうとした久美子は、

「と、とにかく、血がつながっていないって言っても、わたしたち親子なんだから、だ、ダメよ!」
「久美子さん」
「そ、その呼び方やめて」
「じゃあ、とりあえず、母さん。おれ、母さんのことがずっと好きだったんだ」
「そ、それは分かったから」

 高典は、その切れ長の瞳に獰猛な色を浮かべた。

「いや、分かってないよ、母さんには。好きな人がすぐそばにいるのに、想いを告白できない辛さなんて。おれ、母さんのことを想って、何度もオナニーしたんだよ。でも、そのたび、罪悪感で本当に自分が嫌になって。こんなヤツ死んだ方がいいんじゃないかって、そんなことまで思ったよ」
「な、何を言っているの!?」
「本当にそう思ったんだよ。でも、死んだら、もう母さんに会えないだろ? だから、諦めたんだ。母さん!」

 久美子は、ソファに押し倒された。背中がソファの座面につけられた状態で、息子を見上げる格好になる。ギラギラとしたその目は、もはや息子のものではなく、メスを犯そうとするオスのそれだった。

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