母さんでもいいや/33
意識を取り戻すと、里穂は、隣から息子に抱かれている自分を認めた。抱かれているというよりは、こちらから抱きついているといった風情である。
「おっ、気がついた、母さん?」
カラッとした声音は、母親とセックスしたことなど本当に気にも留めていないような調子で、里穂は、彼の育て方を激しく間違えたのではないかと疑った。とはいえ、そういう自分にしてみても、息子の行為に喘ぎ声を大きくしながら、あまつさえ、中に出してだの、息子の女になるなど、のたまったのだから、同じことだった。
「こんなことして……わたしたち地獄に落ちるかもよ」
「ま、そのときは、地獄まで付き合うよ……てか、近親相○って、そんなに悪いこと?」
「それはそうでしょ」
「そうかなあ。だとしたら、おれのツレは、結構悪人ばっかだな」
「どういうこと?」
「だって、自分の母親とか姉貴とか妹とか、ヤりたいって言っているヤツ、普通にいるからさ」
「ええっ! そうなの?」
「まあ、中には、そんなこと絶対考えられないって言っているヤツもいるけどね」
世の中に、そんなに身近に、近親相○願望がある人がいるとは思わなかった里穂は、あるいは、もしかして、母親の中にも息子とシてみたい、シてみたいとまでは思わなくても、シてみても別に構わないと思っている人はいるのだろうか、と考えてみた。シングルマザーの友だちの中に、やっぱり同じように息子を一人抱えた人がいて、彼女はその一人息子のことを溺愛しているので、今度、それとなく訊いてみるのもいいかもしれない。
「ま、そういうことで、今日、大学休んでもいいよね、母さん」
「何言っているの。二限には間に合わなくても、三限には間に合うでしょ!?」
「でも、今日は一日中、まったり母さんとセックスし続けたいんだよな」
「ちょ、ちょっと!」
「なに、やっぱり、さっきのおれの女になるっていうの、やめるの?」
「そ、それは、もう……いいわ。一度シてしまったわけだし」
里穂がそう答えると、息子は、嬉しそうに目を輝かせた。
「マジ!?」
「……ええ」
「やった!」
無邪気な顔を見せる彼を見て、母親と体を交えることがそんなに喜ばしいことなのだろうかと思う一方で、そんなに喜んでもらえることに満更でもない気持ちになった里穂は、そんあ自分の気持ちの変化にハッとして、
「と、とにかく、今から大学に行くこと、いいわね?」
あえて厳しい声を出した。
「じゃあ、夜シようよ」
「分かったから」
「本当?」
「ええ」
里穂が答えると、息子は、むっと唇を突き出した。
「何よ」
「約束のキスだよ、ほら、早く」
里穂は、ふうっとため息をついたあとに、自分から息子の唇に唇をつけてやると、すぐに離れようとしたけれど、そのタイミングで息子の手が、こちらのうなじに回ってくるのが分かって、さらには口内に舌が差し込まれるのが分かった。
その舌が、意志を持ったように自在に動くと、里穂は体の中に熱が入るのを認めた。
「あーあ、母さんがそんなエロいキスするから、またシたくなっちゃったよ」
息子が唇を離して言うと、
「な、何言ってるの、今のはあなたが――」
抗弁しようとした里穂はまた唇を塞がれて、そのままの状態で、彼がが自分の体の上にのしかかってくるのを見た。そうして、次の瞬間、すでに回復を果たしていたたくましいモノが秘唇を二つに割るようにして、体内へと挿入されるのが分かる。
「はあっ!」
唇を離して、びくんっ、と体を震わせた里穂は、
「もう一回、母さんとシてから、大学には行くよ」
息子がしてやったりと笑いながら腰を進めてくるのを、あらがいようもなく受け入れるしかなかった。
(了)